第154回日商簿記2級 予想問題「簿記ナビ模試」第1問(仕訳問題)の解説

第1問 仕訳を制する者が簿記2級を制する!仕訳で20点満点を取りましょう!

 簿記2級の第1問では毎回、仕訳が5問出題されます。

 過去に出題された問題の類似問題がよく出題されるため、過去問対策が非常に効果的です。簿記検定ナビの仕訳対策教材や市販の仕訳教材・アプリなどを使って万全の対策をしておきましょう。

簿記ナビ模試2級の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
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5分 15分 30分 30分 15分 15分 10分

簿記2級の出題予想のご案内

 簿記検定ナビでは、2020年2月23日に行われる第154回日商簿記2級の出題予想を公開しています。

 過去の出題状況や最近の出題傾向を独自の視点で分析し、大問ごとの予想はもちろんのこと、各論点の重要ポイントや絶対に押さえておくべき過去問などもあわせてご紹介しています。

第1問(仕訳問題)の解説

問1 外貨建取引

重要度:★★★ 難度:★☆☆

模範解答
(借)仕入 1,160,000 ※1
 (貸)買掛金 1,160,000

※1 @116円×10,000ドル=1,160,000円

 外貨建取引の為替予約に関する問題です。

 営業取引にかかる各勘定科目の円換算額を計算するさいに使う為替相場は、為替予約を付したタイミングにより異なります。

  • 取引発生に為替予約を付した場合
    • 予約時:換算なし
    • 取引時:予約時の先物為替相場で換算
    • 決算時:予約時の先物為替相場で換算
    • 決済時:予約時の先物為替相場で換算
  • 取引発生と同時に為替予約を付した場合
    • 取引時&予約時:取引時の先物為替相場で換算
    • 決算時:取引時の先物為替相場で換算
    • 決済時:取引時の先物為替相場で換算
  • 取引発生に為替予約を付した場合
    • 取引時:取引時の直物為替相場で換算
    • 予約時:予約時の先物為替相場で換算(※為替差損益が発生)
    • 決算時:予約時の先物為替相場で換算
    • 決済時:予約時の先物為替相場で換算

 本問は、問題文の「輸入と同時に10,000ドルを2か月後に1ドル ¥ 116で購入する為替予約を結んだため、この為替予約による振当処理を行った。」から、取引発生と同時に為替予約を付したことが分かるので、取引時(為替予約時)の先物為替相場で換算した円換算額を計上します。

取引時(予約時)の先物為替相場で換算した円換算額=@116円×10,000ドル=1,160,000円

解答:輸入時の仕訳
(借)仕入 1,160,000
 (貸)買掛金 1,160,000

 決算時・決済時の仕訳は以下のとおりです。参考までに内容をご確認ください。

参考:決算時の仕訳
仕訳なし
参考:決済時の仕訳
(借)買掛金 1,160,000
 (貸)現金など 1,160,000
管理人

外貨建取引の為替予約に関する問題は、為替予約のタイミングが「取引発生」「取引発生と同時」「取引発生」なのかを必ず確認しましょう。

問2 課税所得の計算

重要度:★★☆ 難度:★★☆

模範解答
(借)法人税、住民税及び事業税 360,000 ※2
 (貸)仮払法人税等 100,000
 (貸)未払法人税等 260,000 ※3

※2 (1,000,000円-100,000円)×40%=360,000円

※3 360,000円-100,000円=260,000円(貸借差額)

 課税所得の計算に関する問題です。

 問題文に「受取配当金の益金不算入額が ¥ 100,000 あることが判明」とあるので、まずは法人税等の計算のベースになる税法上の利益(課税所得)を計算しましょう。

  • 会計上の利益=収益-費用
  • 税法上の利益(課税所得)=益金-損金

 益金不算入とは「会計上は収益になるけど税法上は益金にならない」ことを意味するため、税法上の利益(課税所得)は会計上の利益よりも益金不算入の分だけ少なくなります。

 よって、会計上の利益が1,000,000円、益金不算入額が100,000円ならば、税法上の利益(課税所得)は900,000円になります。

  • 会計上の利益:1,000,000円(問題文より)
  • 税法上の利益(課税所得):1,000,000円-100,000円=900,000円

 税法上の利益(課税所得)を把握したら、この金額に法定実効税率40%を乗じて法人税、住民税及び事業税の金額を計算し、さらに仮払法人税等との差額を未払法人税等で処理します。

  • 法人税、住民税及び事業税:900,000円×40%=360,000円
  • 仮払法人税等:100,000円(問題文より)
  • 未払法人税等:360,000円-100,000円=260,000円
解答:決算時の仕訳
(借)法人税、住民税及び事業税 360,000
 (貸)仮払法人税等 100,000
 (貸)未払法人税等 260,000
管理人

ちなみに、損金不算入は「会計上は費用になるけど税法上は損金にならない」ことを意味します。

よって、税引前当期純利益が1,000,000円、損金不算入が100,000円の場合、税法上の利益(課税所得)は1,100,000円になります。

問3 リース取引

重要度:★★☆ 難度:★★☆

模範解答
(借)支払リース料 20,000 ※4
 (貸)未払費用 20,000

※4 40,000円×6か月/12か月=20,000円

 オペレーティング・リース取引に関する問題です。

 本問はまず、問題文の「支払日は毎年9月末日、現金後払い」「×2年3月31日(決算日)」から、リース料の支払日と決算日が異なることが分かります。

 支払日と決算日が異なる場合、決算において当期の経過期間に対応するリース料を未払計上する必要があるため、契約日から決算日までの6か月分(10月1日~3月31日)のリース料を未払計上します。

  • 1年分のリース料:40,000円(問題資料より)
  • 6か月分のリース料:40,000円×6か月/12か月=20,000円
解答:決算時の仕訳
(借)支払リース料 20,000
 (貸)未払費用 20,000

 契約時・決算時・翌期首・リース料支払時の仕訳は以下のとおりです。決算において未払リース料を計上した場合は、翌期首において再振替仕訳を行います。

参考:契約時(×1年10月1日)の仕訳
仕訳なし
解答:決算時(×2年3月31日)の仕訳
(借)支払リース料 20,000
 (貸)未払費用 20,000
参考:翌期首(×2年4月1日)の仕訳
(借)未払費用 20,000
 (貸)支払リース料 20,000
参考:リース料支払時(×2年9月30日)の仕訳
(借)支払リース料 40,000
 (貸)現金 40,000
管理人

オペレーティング・リース取引は、企業会計原則の注解(注5 経過勘定項目について)に規定されている「一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合」に該当します。

よって、すでに提供された役務に対していまだその対価の支払いが終わらないもの(本問の場合は6か月分のリース料)は未払費用で処理します。うっかり未払金で処理しないように気をつけましょう。

問4 固定資産の滅失

重要度:★★☆ 難度:★★☆

模範解答
(借)建物減価償却累計額 5,800,000
(借)減価償却費 200,000
(借)火災未決算 9,000,000 ※5
 (貸)建物 12,000,000
 (貸)仕入 3,000,000

※5 12,000,000円+3,000,000円-5,800,000円-200,000円=9,000,000円(貸借差額)

 固定資産の滅失に関する問題です。

 保険をかけている資産が滅失した場合、帳簿価額を未決算または火災未決算に振り替えます。

 本問は、問題文の「火災により店舗…および店舗にて保管していた商品…を焼失した」から、店舗と商品が滅失したことが分かるので、それぞれの焼失時の帳簿価額を火災未決算に振り替えます。

 固定資産の焼失時の帳簿価額は「取得原価-期首時点の減価償却累計額-当期の減価償却費」という計算式で表すことができるので、取得原価(建物)期首時点の建物減価償却累計額および当期の減価償却費火災未決算に振り替えます。

 各金額は、問題文の「取得原価:¥ 12,000,000」「期首時点の減価償却累計額:¥ 5,800,000」「当期の減価償却費:¥ 200,000」からひっぱってきましょう。

解答①(店舗の焼失に関する仕訳)
(借)建物減価償却累計額 5,800,000
(借)減価償却費 200,000
(借)火災未決算 6,000,000
 (貸)建物 12,000,000

 焼失した商品の帳簿価額(仕入原価)を火災未決算に振り替えます。なお、三分法により記帳している場合、仕入原価は仕入勘定に含まれているので、仕入火災未決算に振り替えます。

仕入原価=購入代価+付随費用=2,800,000円+200,000円=3,000,000円

 なお、問題文の「売価:¥ 4,000,000」は解答に関係のないダミーデータです。うっかり売価を火災未決算に振り替えないように気をつけましょう。

解答②(商品の焼失に関する仕訳)
(借)火災未決算 3,000,000
 (貸)仕入 3,000,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になる…と言いたいところですが、念のため最後に火災未決算の金額と保険金額を比較しましょう。

  • 火災未決算の金額:6,000,000円+3,000,000円=9,000,000円
  • 保険金額:10,000,000円

 仮に保険金額よりも火災未決算の金額のほうが大きい場合、保険金が満額支払われたとしても火災未決算の全額を回収することができません。

 つまり、資産が焼失した時点で差額分の損失が確定するため、保守主義の観点から保険金の金額確定を待たずに差額分を火災損失で処理します。

  • 保険金額>火災未決算の金額:追加の処理は不要
  • 保険金額<火災未決算の金額:差額分を火災損失で処理

 本問は、火災未決算の金額(9,000,000円)よりも保険金額(10,000,000円)のほうが大きいので、追加の処理は不要です。

解答:保険金額が10,000,000円の場合の仕訳
(借)建物減価償却累計額 5,800,000
(借)減価償却費 200,000
(借)火災未決算 9,000,000
 (貸)建物 12,000,000
 (貸)仕入 3,000,000
参考:仮に保険金額が8,000,000円だった場合の仕訳
(借)建物減価償却累計額 5,800,000
(借)減価償却費 200,000
(借)火災未決算 8,000,000
(借)火災損失 1,000,000

 (貸)建物 12,000,000
 (貸)仕入 3,000,000
管理人

「保険金額<未決算の金額」のケースの問題は、過去の本試験でも出題されています。このケースの問題が出題される可能性は高くないですが、念のために金額をチェックするクセをつけておきましょう。

問5 本支店会計

重要度:★★☆ 難度:★☆☆

模範解答(1)本店の仕訳
(借)剛田支店 120,000 ※6
 (貸)骨川支店 120,000

※6 100,000円+20,000円=120,000円

模範解答(2)剛田支店の仕訳
(借)受取商品券 100,000
(借)租税公課 20,000
 (貸)本店 120,000 ※7

※7 100,000円+20,000円=120,000円

 本支店会計に関する問題です。

 本支店会計の支店間取引は「本店集中計算制度」と「支店分散計算制度」の2つがあり、採用している制度により本店・支店の仕訳が異なります。

  • 本店集中計算制度:支店間取引を各支店が記帳する場合に、いったん本店を経由して取引されたとみなして記帳する制度です。各支店は本店勘定のみを設定し、本店は各支店の勘定を設定します。
  • 支店分散計算制度:支店間取引を各支店が記帳する場合に、本店を経由することなく、取引の事実に従って記帳する制度です。各支店は本店勘定だけでなく取引のある各支店の勘定を設定し、本店は各支店の勘定を設定します。

 本問は、問題文に「同社は本店集中計算制度を採用している」とあるので、各支店が支店間取引を記帳する場合は、いったん本店を経由して取引されたとみなして処理します。

参考:骨川支店の仕訳
(借)本店 120,000
 (貸)受取商品券 100,000
 (貸)租税公課 20,000
解答(1):本店の仕訳
(借)受取商品券 100,000
(借)租税公課 20,000

 (貸)骨川支店 120,000
(借)剛田支店 120,000
 (貸)受取商品券 100,000
 (貸)租税公課 20,000
解答(2):剛田支店の仕訳
(借)受取商品券 100,000
(借)租税公課 20,000
 (貸)本店 120,000

 各支店が支店間取引を記帳する場合は、本店を経由することなく取引の事実に従って処理します。参考までに仕訳をご確認ください。

参考:骨川支店の仕訳
(借)剛田支店 120,000
 (貸)受取商品券 100,000
 (貸)租税公課 20,000
参考:本店の仕訳
仕訳なし
参考:剛田支店の仕訳
(借)受取商品券 100,000
(借)租税公課 20,000
 (貸)骨川支店 120,000
管理人

支店分散計算制度の仕訳を考えるさいは、「骨川支店と本店の仕訳」「本店と剛田支店の仕訳」の2つに分けて考えると分かりやすいです。

簿記2級の仕訳問題に関するQ&A

文字数の多い勘定科目は2行で書いても大丈夫ですか?
 問題に列挙されている勘定科目に合わせて書くことをおすすめします。

 本問の場合、「法人税、住民税及び事業税」は1行で書かれているので、解答するさいは横幅を詰めて1行で書きましょう。
自分の解答と模範解答の勘定科目の上下が逆になっていました。不正解になりますか?
 仕訳は上下が逆になっていても正解です。

 例えば、問4の模範解答では借方が「建物減価償却累計額・減価償却費・火災未決算」の順番に並んでいますが、これらの勘定科目は上下が入れ替わっても構いません。その他の問題も同様です。
勘定科目の漢字を間違えた場合、部分点はもらえますか?
 部分点はもらえません。

 勘定科目の漢字を間違えた場合は金額があっていても不正解になりますので、ケアレスミスにご注意ください。また、問題に列挙されていない勘定科目を使って解答した場合も不正解になります。
金額にカンマ(コンマ)を付けないと不正解になりますか?
 不正解にはなりません。

■日商簿記:カンマを付けなくても採点してもらえる
■全経簿記:カンマがないと採点してもらえない(※不正解扱い)

 ただ、実務においてカンマを付けるのは当たり前のことですし、省略したからといって解答時間の短縮にはなりません。むしろ、見直しの時に見にくいだけです。

 このようにカンマを付けないデメリットはあってもメリットはありませんので、金額には必ずカンマを付けましょう。
管理人さんの仕訳問題の解き方を教えてください。
 私はまず、問題に列挙されている勘定科目群に線を入れて「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」「その他」などに分けて見やすくします。

 そのさいに気になる勘定科目があったらマルで囲んで目立たせておきます。今回の問題ですと「法人税、住民税及び事業税」「火災未決算」あたりの勘定科目は要注意ですよね。

 次に、問題文を読んで解答のカギになりそうなところにアンダーラインを引きます。問1なら「輸入と同時に」、問2なら「益金不算入」「40%」「100,000」、問3なら「×1年10月1日」「オペレーティング・リース取引」「×2年3月31日(決算日)」、問4なら「間接法」「三分法」「10,000,000」、問5なら「本店集中計算制度」などです。

 このような準備をしたうえで解答仕訳を考えますが、答案用紙に勘定科目を書くさいには、問題に列挙されている勘定科目を毎回必ずチェックして打ち消し線を引くことを徹底しましょう。

 ひと手間を加えるだけで「指定されていない勘定科目で解答してしまう」という非常にもったいないケアレスミスをなくすことができます。

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