日商簿記検定の試験範囲(出題区分)の変更まとめページ

2016年度から日商簿記検定の試験範囲が大きく変わります!

 2015年4月1日、試験の主催団体である日本商工会議所から「日商簿記検定の試験範囲(出題区分)を大幅に変更しますよ!」という重大発表がありました。

 具体的には、簿記2級の範囲だった特殊商品売買・社債・繰延資産などが簿記1級の範囲に、簿記1級の範囲だった連結会計・リース・外貨・税効果などが簿記2級の範囲に…などなど、今回の変更はかなり大掛かりなものになるとのことです。

 本ページでは、情報が錯綜している変更箇所・変更時期を級別に整理しました。日本商工会議所から続報が入り次第、随時更新いたしますので、受験生の方は参考にしてください。

※下のリンクをクリックまたはタップすると、本ページの解説部分にジャンプします
簿記3
の変更点
簿記2
の変更点
簿記1
の変更点

簿記3級の変更点

  • 追加される論点
    1. 伝票の集計・管理(2級→3級)

 3級の追加論点は【伝票の集計・管理】のみです。伝票会計は今まで、3級の第4問で各伝票の起票処理が、2級の第2問で伝票の集計処理が問われていましたが、今後は3級で「各伝票の起票→集計」が問われることになります。

 なお、3級で伝票の集計処理を問う場合は、今まで2級で出題されていた問題よりも伝票の枚数を減らして難度を調整するとのことです。

  • 削除される論点
    1. 仕入伝票・売上伝票(消滅)
    2. 為替手形(消滅)
    3. 売買目的有価証券の処理(3級→2級)

 3級の削除論点は【仕入伝票・売上伝票】【為替手形】【売買目的有価証券の処理】の3点です。仕入・売上伝票および為替手形は実務ではあまり使われないため、試験範囲から削られることになりました。

 売買目的有価証券は、今回の試験範囲の変更で株式・債券の処理が2級にまとめられることになったので、その影響で3級の試験範囲から削られることになりました。

簿記2級の変更点

  • 追加される論点(☆は2017年度から、★は2018年度から適用予定)
    1. 売買目的有価証券の処理(3級→2級)
    2. クレジット売掛金(新規)
    3. 電子記録債権・電子記録債務(1級→2級)
    4. 貸倒引当金の個別評価(新規)
    5. 貸倒引当金繰入の記載区分(新規)
    6. 賞与引当金・返品調整引当金の例示(注意喚起)
    7. 販売のつど売上原価を振り替える処理(新規)
    8. 有形固定資産の割賦購入(新規)
    9. 有形固定資産の圧縮記帳(新規)☆
    10. ソフトウェアの処理(1級→2級)
    11. 子会社株式・関連会社株式・その他有価証券の処理(1級→2級)
    12. リース取引の処理(1級→2級)☆
    13. 外貨建取引の処理(1級→2級)☆
    14. 収益認識基準・役務活動の例示(注意喚起)
    15. 繰延処理しない費用の例示(注意喚起)
    16. 課税所得の算定方法(新規)☆
    17. 税効果会計の処理(1級→2級)★
    18. 製造業を営む会社の決算処理(新規)★
    19. 株主資本等変動計算書の出題範囲の例示(注意喚起)
    20. 株主資本の減額処理(新規)
    21. 本支店会計の意義・目的を追加(注意喚起)
    22. 連結会計の処理(1級→2級)☆★

 【1. 売買目的有価証券の処理】は、今回の試験範囲の変更で株式・債券の処理が2級にまとめられることになったので、3級ではなく2級で問われることになりました。


 【2. クレジット売掛金】は、商品売買が「会社⇔顧客」ではなく「会社⇔信販会社⇔顧客」となるようなクレジット取引で発生する債権です。ネットの普及によってクレジット取引が年々増加しているので、それに合わせた変更であると考えられます。

【仕訳例1】商品10,000円をクレジットで販売した。なお、クレジット会社への手数料(販売代金の2%)は販売時に認識すること。

(借)クレジット売掛金 9,800
(借)支払手数料 200
 (貸)売上 10,000

【仕訳例2】仕訳例1について、クレジット会社から手数料を差し引いた残額が当社の普通預金口座に入金された。

(借)普通預金 9,800
 (貸)クレジット売掛金 9,800

 【3. 電子記録債権・電子記録債務】は、従来の掛け&手形による債権・債務のデメリットを克服するために作られた金銭債権・債務です。一般的には「でんさい」と呼ばれています。

 電子記録債権・電子記録債務は、処理が簡単かつ便利ということもあって徐々に普及してきているので、それに合わせた変更であると考えられます。

【仕訳例1-1】A社から商品20,000円を掛けで仕入れた。

(借)仕入 20,000
 (貸)買掛金 20,000

【仕訳例1-2】上記取引で発生した買掛金について発生記録の請求を行った結果、電子記録債権にかかる債務20,000円が発生した。

(借)買掛金 20,000
 (貸)電子記録債務 20,000

【仕訳例1-3】支払期限が到来し、上記債務20,000円が普通預金口座から引き落とされた。

(借)電子記録債務 20,000
 (貸)普通預金 20,000

【仕訳例2-1】B社に商品20,000円を掛け販売した。

(借)売掛金 20,000
 (貸)売上 20,000

【仕訳例2-2】上記取引で発生した売掛金について発生記録の請求を行った結果、電子記録にかかる債権20,000円が発生した。

(借)電子記録債権 20,000
 (貸)売掛金 20,000

【仕訳例2-3】上記取引で発生した電子記録債権15,000円について譲渡記録の請求を行い、現金14,000円と引き換えにC社に譲渡した。

(借)現金 14,000
(借)電子記録債権売却損 1,000
 (貸)電子記録債権 15,000

【仕訳例2-4】電子記録債権5,000円の決済期限が到来し、当座預金口座に5,000円が振り込まれた。

(借)当座預金 5,000
 (貸)電子記録債権 5,000

 【4. 貸倒引当金の個別評価】は、実務では一括評価(債権をひとまとめにして貸倒見積高を計算)だけでなく、個別評価(債権ごとに貸倒見積高を計算)も普通に行われているので、それに合わせた変更であると考えられます。


 【5. 貸倒引当金繰入の記載区分】は、損益計算書の記載区分を明示したものです。売掛金や受取手形などの営業債権にかかる貸倒引当金繰入は「販売費及び一般管理費」の区分に、貸付金などの営業外債権にかかる貸倒引当金繰入は「営業外費用」の区分に記載されます。


 【7. 販売のつど売上原価を振り替える処理】は、実務では年度決算だけでなく月次決算が幅広く行われており、売上原価をタイムリーに把握したいという需要が年々高まってきているので、今回はそれに合わせた変更であると考えられます。

 仕訳は簡単です。売上原価対立法(商品を仕入れたさいには商品勘定(原価)で処理し、これを販売したさいに売上勘定(売価)で処理するとともに、商品の原価を商品勘定から売上原価勘定に振り替える方法)で処理しましょう。

【仕訳例1】商品10,000円を掛けで仕入れた。なお、当店では売上のつど、売上原価を商品勘定から売上原価勘定に振り替えている。

(借)商品 10,000
 (貸)買掛金 10,000

【仕訳例2】仕訳例1で仕入れた商品を15,000円で掛け販売した。

(借)売掛金 15,000
 (貸)売上 15,000
(借)売上原価 10,000
 (貸)商品 10,000

 【8. 有形固定資産の割賦購入】は、割賦購入により発生した利息は原則として取得原価に含めずに、前払費用等の勘定で処理します。クレジット取引の普及によって割賦購入が年々増加しているので、それに合わせた変更であると考えられます。


 【9. 有形固定資産の圧縮記帳】は、国・地方公共団体からの補助金や(火災などの)保険金を使って有形固定資産を購入した場合に、取得原価の一部を減額(圧縮)して法人税の課税時期を後ろにずらすために行う処理です。

 補助金や保険金を使って固定資産を揃える時期は何かと物入りだろうから、税金の納付を先延ばし(免除ではないよ)にしてあげるね…という制度です。全国各地で幅広く行われているので、それに合わせた変更であると考えられます。

 なお、圧縮記帳に関しては、出題区分表に☆印が付いているので、2017年度(平成29年度)からの出題になります。ご留意ください。

【仕訳例1】備品の購入に先立って、国庫補助金500,000円が普通預金口座に振り込まれた。

(借)普通預金 500,000
 (貸)国庫補助金受贈益 500,000

【仕訳例2】補助金の対象となる2,000,000円の備品を、現金一括ニコニコ払いで購入した。

(借)備品 2,000,000
 (貸)現金 2,000,000

【仕訳例3】決算において、直接控除方式による圧縮記帳処理を行った。

(借)固定資産圧縮損 500,000
 (貸)備品 500,000

【仕訳例4】さらに、この備品について減価償却(記帳方法:間接法、使用期間:6か月、耐用年数:6年、残存価額:ゼロ)を行った。

(借)減価償却費 125,000
 (貸)備品減価償却累計額 125,000

計算式:(2,000,000円-500,000円)÷6年×6か月/12か月=125,000円


 【10. ソフトウェアの処理】は、パソコンの普及によってソフトウェア(ex.WordやExcel、Adobeなど)を購入する機会が増えているので、それに合わせた変更であると考えられます。

 なお、ソフトウェアに関してはこれまでは1級で問われていましたが、試験範囲の変更にあたって「自社利用による場合の簡単な処理」が2級でも問われることになりました。


 【11. 子会社株式・関連会社株式・その他有価証券の処理】は、今回の試験範囲の変更で株式・債券の処理が2級にまとめられることになったので、1級ではなく2級で問われることになりました。


 【12. リース取引の処理】【13. 外貨建取引の処理】は、これまでは1級で問われていましたが、今や大企業だけでなく中小企業でも普通に行われているので、2級でも問われることになりました。

 なお、リース取引・外貨建取引に関しては、出題区分表に☆印が付いているので、2017年度(平成29年度)からの出題になります。ご留意ください。


 【16. 課税所得の算定方法】【17. 税効果会計の処理】は、リースや外貨建取引と同様にこれまでは1級で問われていましたが、大企業だけでなく中小企業でも普通に行われているので、2級で問われることになりました。

 なお、課税所得の算定方法に関しては、出題区分表に☆印が付いているので、2017年度(平成29年度)からの出題になります。また、税効果会計の処理に関しては、出題区分表に★印が付いているので、2018年度(平成30年度)からの出題になります。


 【18. 製造業を営む会社の決算処理】は、簡単に言いますと…「商業簿記と工業簿記をミックスしたような問題が出題される」ということです。

 最近は、ユニクロ(ファーストリテイリング)のように自社工場で作った洋服を、直営店やネットで販売する会社も増えてきたので、世の中の実態に合わせた対応であると考えられます。

 なお、製造業を営む会社の決算処理に関しては、出題区分表に★印が付いているので、2018年度(平成30年度)からの出題になります。ご留意ください。


 【20. 株主資本の減額処理】は、これまでは1級で問われていましたが、仕訳が簡単&出題範囲のバランスを考えて、2級で問われることになりました。


 【22. 連結会計の処理】は、今回の試験範囲の変更のラスボスです。紅白歌合戦でいう小林幸子…いや、和田アキ子のほうがボスっぽさがあるのでしっくりくる…でも衣装の豪華さでいうとやっぱりサッチーに分が…(オチがないので以下省略)。

 連結会計はこれまでは1級で問われていましたが、実務において個別よりも連結が重視されていることを鑑みて、簡単な処理が2級でも問われることになりました。

 なお、連結会計の処理に関しては、出題区分表に☆印・★印が付いているので、2017年度(平成29年度)・2018年度(平成30年度)からの出題になります。ご留意ください。

  • 削除される論点(すべて2016年度から適用予定)
    1. 仕訳帳の分割(消滅)
    2. 伝票の集計(2級→3級)
    3. 保証債務の処理(2級→1級)
    4. 為替手形(消滅)
    5. 手形裏書時・割引時の偶発債務(評価勘定法・対照勘定法)の処理(消滅)
    6. 特殊商品売買の処理(2級→1級)
    7. 繰延資産の処理(2級→1級)
    8. 大陸式決算法(消滅)
    9. 社債の処理(2級→1級)
    10. 本支店会計の未達事項・内部利益の処理(消滅)

 【1. 仕訳帳の分割】は、具体的には第2問で問われていた特殊仕訳帳のことですが、昔に比べると実務ではあまり使われなくなったので、試験範囲から削られることになりました。


 【2. 伝票の集計】は、伝票に関する一連の処理が3級にまとめられることになりましたが、2級の試験範囲には3級の試験範囲も含まれるので、(以前に比べると低くなりますが)2級で出題される可能性もあります。


 【3. 保証債務の処理】【4. 為替手形】【5. 手形裏書時・割引時の偶発債務(評価勘定法・対照勘定法)の処理】は、実務ではあまり使われていないため、2級の試験範囲から削られることになりました。

 前時代的かつ取引形態をイメージしづらい為替手形や偶発債務の処理が試験範囲外になるのは、勉強する側にとっても教える側にとっても朗報だと思います。

 なお、荷為替手形に関しては試験範囲から完全に削除されたわけではなく、1級の(輸出入時の)外貨建取引で問われる可能性が残っている点にご留意ください。


 【6. 特殊商品売買の処理】は、2級の中でもかなり重たい論点の1つでしたが、試験範囲の変更にあたって1級にまとめられることになったので、2級の試験範囲からは削られることになりました。


 【7. 繰延資産の処理】は、実務ではあまり使われていないため、2級の試験範囲から削られることになりました。ただ、荷為替手形と同様に試験範囲から完全に削除されたわけではなく、1級で問われる可能性が残っています。


 【8. 大陸式決算法】は、実務では多くの企業が英米式決算法を採用していることから、2級の試験範囲から削られることになりました。


 【9. 社債の処理】は、2級が前提とする中小企業では資金調達の手段として実質使えないため、2級の試験範囲から削られることになりました。


 【10. 本支店会計の未達事項・内部利益の処理】は、実務では未達事項の整理や内部利益の除去作業が発生する機会が少ないため、2級の試験範囲から削られることになりました。

簿記1級の変更点

 簿記1級の試験範囲には下位(3級・2級)のものも含まれるので、今回の試験範囲の変更(1級の論点⇔2級の論点)の影響はほとんどありません。

  • 簿記3級の試験範囲=簿記3級の出題区分表から出題
  • 簿記2級の試験範囲=簿記3級・簿記2級の出題区分表から出題
  • 簿記1級の試験範囲=簿記3級・簿記2級・簿記1級の出題区分表から出題

 よって、社債や特殊商品売買など「2級から上がってきた論点」はもちろんのこと、連結会計やリース・税効果取引など「(基本的な処理が)2級に下がった論点」も今までと同じように試験範囲に含まれます。

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