第116回日商簿記検定2級・仕訳類題3(本支店会計)

仕訳問題(類題)

重要度:★★☆ 難度:★★☆

 板部岡商事株式会社は相模支店、伊豆支店、江戸支店の3つの支店を有しており、本店集中計算制度により会計処理を行っている。このような場合、伊豆支店が相模支店の広告宣伝費 ¥ 100,000 を現金で支払った取引について、本店で行われる仕訳を示しなさい。

勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。
現金 当座預金 仮払金 立替金
未払金 本店 本店より仕入 支店向け売上
相模支店 伊豆支店 江戸支店 広告宣伝費

解答仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
相模支店 100,000 伊豆支店 100,000

解説

 本支店会計に関する問題です。

 支店間取引については「本店集中計算制度」と「支店分散計算制度」の2つがあり、採用している制度により仕訳が異なるので、まずは両制度の概要を確認しましょう。


本店集中計算制度

 支店間取引をそれぞれの支店が記帳する場合に、本店を相手にすべて取引したものとみなして記帳する制度です。各支店は本店勘定のみを設定し、本店は各支店の勘定を設定します。

 本店集中計算制度は、本店が「本店⇔支店」の取引だけでなく「支店⇔支店」の取引まで全て把握することができるので、本店による支店管理の観点からは望ましい制度ですが、記帳事務が煩雑になるというデメリットもあります。

支店分散計算制度

 支店間取引をそれぞれの支店が記帳する場合に、本店を経由することなく、取引の事実に従って記帳する制度です。各支店は本店勘定だけでなく取引のある各支店の勘定を設定し、本店は各支店の勘定を設定します。

 支店分散計算制度は、本店集中計算制度に比べて記帳事務を簡略化することができますが、本店が「支店⇔支店」の取引をリアルタイムに把握できないというデメリットもあります。


 それでは、上記のことを踏まえたうえで実際に問題を考えていきましょう。本問は、本店集中計算制度による本店の仕訳を問う問題ですが、パッと解答仕訳を導き出せない方は本店だけでなく伊豆支店や相模支店の仕訳も考えると分かりやすいです。

 まず、問題文の「伊豆支店が相模支店の広告宣伝費 ¥ 100,000 を現金で支払った」という一文から、相模支店において広告宣伝費100,000円が発生し、伊豆支店の現金が100,000円減少したことが分かります。

相模支店(参考)
(借)広告宣伝費 100,000
伊豆支店(参考)
 (貸)現金 100,000

 また、本問は本店集中計算制度を採用しているので、「相模支店は本店に広告宣伝費100,000円を払ってもらった→本店は相模支店に対して同額の債権が発生した」と考えるとともに、「伊豆支店は本店の広告宣伝費100,000円を立て替え払いした→本店は伊豆支店に対して同額の債務が発生した」と考えます。

相模支店(参考)
(借)広告宣伝費 100,000
 (貸)本店 100,000
伊豆支店(参考)
(借)本店 100,000
 (貸)現金 100,000
本店(解答)
(借)相模支店 100,000
 (貸)伊豆支店 100,000
  • 相模支店の貸方の本店勘定 ←対応→ 本店の借方の相模支店勘定
  • 伊豆支店の借方の本店勘定 ←対応→ 本店の貸方の伊豆支店勘定

 最後に、本店集中計算制度ではなく支店分散計算制度を採用している場合は、本店を経由せずに仕訳を切ります。参考までに、上記の仕訳と対比して押さえておいてください。

相模支店(参考)
(借)広告宣伝費 100,000
 (貸)伊豆支店 100,000
伊豆支店(参考)
(借)相模支店 100,000
 (貸)現金 100,000
本店(参考)
仕訳なし
  • 相模支店の貸方の伊豆支店勘定 ←対応→ 伊豆支店の借方の相模支店勘定

 本支店会計に関する問題は、第107回の問5第121回の問1第126回の問5第137回の問1第140回の問2第142回の問5第145回の問5第151回の問1でも出題されています。あわせてご確認ください。



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