第111回日商簿記検定2級・仕訳類題3(固定資産の除却)

仕訳問題(類題)

重要度:★★☆ 難度:★★★

 平成16年の期首(4月1日)に購入したコンピュータを当期末(平成20年3月31日)に除却し、処分時まで一時倉庫に保管することとした。なお、このコンピュータのスクラップとしての価値は ¥ 20,000 であると見積もられる。当該資産の当期首(平成19年4月1日)の簿価は ¥ 70,000 であり、当該資産は定額法(耐用年数9年、残存価額は取得原価の10%)によって償却され、直接法で記載されている。当期分の減価償却費の計上もあわせて行うこと。

勘定科目は、次の中から最も適当と思われるものを選びなさい。
現金 当座預金 建物 備品
未収入金 備品減価償却累計額 修繕費 貯蔵品
修繕引当金 修繕引当金戻入 固定資産除却損 減価償却費

解答仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費
貯蔵品
固定資産除却損
10,000
20,000
40,000
備品 70,000

または

別解
借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費
貯蔵品
固定資産除却損
10,000
20,000
40,000
備品
備品
10,000
60,000

解説

 固定資産の除却に関する問題です。

 固定資産の除却時の帳簿価額を算定したうえで、貯蔵品の評価額との差額を除却損で処理しましょう。

1. 固定資産の除却時の帳簿価額を算定する

 除却時の帳簿価額は、前期末時点の帳簿価額から当期の減価償却費を差し引いて求めましょう。なお、前期末時点の帳簿価額は、取得原価から前期末時点の減価償却累計額を差し引いて求めます。

除却時の帳簿価額=前期末時点の帳簿価額-当期の減価償却費

前期末時点の帳簿価額=取得原価-前期末時点の減価償却累計額

 まず、問題文の「平成16年の期首(4月1日)に購入したコンピュータ」から、前期末時点で3年分(平成16年4月1日~平成19年3月31日)の減価償却が行われていることがわかります。

 そこで、3年分の減価償却費を計算…したいところですが、本問は取得原価が不明なため、まず先に取得原価を求める必要があります。

 問題文の「当該資産の当期首(平成19年4月1日)の簿価は ¥ 70,000 であり、当該資産は定額法(耐用年数9年、残存価額は取得原価の10%)によって償却され」から、当期首の簿価が分かるので、取得原価をXと置いて、以下のような1次方程式を作ってXの値を求めましょう。

取得原価-前期末までの3年分の減価償却累計額=当期首の帳簿価額

X-0.9X×3年/9年=70,000円

X=100,000円(取得原価)

管理人の下書き画像

 このような流れで取得原価100,000円を計算したら、まず3年分の減価償却費(=前期末時点の減価償却累計額)を計算しましょう。

3年分の減価償却費=100,000円×0.9×3年/9年=30,000円

 上記の計算の結果、前期末時点の帳簿価額は70,000円(=100,000円-30,000円)であることが分かります。

解答仕訳(ステップ1)
(借)備品減価償却累計額 30,000
 (貸)備品 100,000

 次に、当期の減価償却費を計算しましょう。問題文の「当期末(平成20年3月31日)に除却」から、当期末に除却したことが分かるので、1年分をそのまま当期の減価償却費として計上します(※月割り計算は不要)。

当期の減価償却費=100,000円×0.9×1年/9年=10,000円

 以上の計算により、除却時の帳簿価額が60,000円(=70,000円-10,000円)であることが分かります。

解答仕訳(ステップ2)
(借)備品減価償却累計額 30,000
(借)減価償却費 10,000
 (貸)備品 100,000

2. 貯蔵品の評価額との差額を除却損で処理

 除却時の帳簿価額が判明したら、あとは貯蔵品の評価額との差額を除却損で処理するだけです。

固定資産除却損=除却時の帳簿価額-貯蔵品の評価額

 問題文の「スクラップとしての価値は ¥ 20,000 であると見積もられる」から、貯蔵品の評価額が分かるので、除却時の帳簿価額との差額40,000円(=60,000円-20,000円)を固定資産除却損で処理します。

解答仕訳(ステップ3)
(借)備品減価償却累計額 30,000
(借)減価償却費 10,000
(借)貯蔵品 20,000
(借)固定資産除却損 40,000

 (貸)備品 100,000

 最後に、本問は直接法による処理が問われているので、借方の減価償却累計額と貸方の備品を相殺消去します。

解答仕訳(ステップ4・完成)
(借)備品減価償却累計額 30,000
(借)減価償却費 10,000
(借)貯蔵品 20,000
(借)固定資産除却損 40,000
 (貸)備品 100,000 70,000

 なお、「当期の減価償却費に関する仕訳」と「除却に関する仕訳」を別々に考えて、2本の仕訳をもって解答とする方法もあります。参考までに以下の別解をご確認ください。

参考1・当期の減価償却費に関する仕訳
(借)減価償却費 10,000
 (貸)備品 10,000
参考2・除却に関する仕訳
(借)貯蔵品 20,000
(借)固定資産除却損 40,000
 (貸)備品 60,000
別解(参考1+参考2)
(借)減価償却費 10,000
 (貸)備品 10,000
(借)貯蔵品 20,000
(借)固定資産除却損 40,000
 (貸)備品 60,000

 固定資産の除却に関する問題は、第103回の問1第110回の問5第121回の問5第135回の問3第147回の問1第148回の問2でも出題されているので、あわせてご確認ください。



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