簿記ナビ模試のご案内

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第3問(財務諸表)の解説

 サービス業に関する財務諸表(損益計算書)の作成問題です。

 本問の解答手順は、まず下書用紙に【未処理事項および決算整理事項】の仕訳を書いて、各勘定の金額を集計して答案用紙の損益計算書を完成させる…というスタンダードな流れをおすすめします。

1.役務収益・役務原価

 計上漏れとなっている役務収益200,000円を計上するとともに、給料の未払い分を役務原価(報酬)で処理します。

 なお、役務原価の金額は、問題文に「1時間あたりの給与額は派遣先への請求額の70%」とあるので、役務収益200,000円の70%分(=140,000円)になります。

解答仕訳①-1
(借)売掛金 200,000
 (貸)役務収益 200,000
(借)役務原価(報酬)140,000 ※1
 (貸)未払金 140,000

※1 200,000円×70%=140,000円

 また、問題文に「当社が負担すべき事務用品費 ¥ 10,000について派遣先から請求書が送られてきていたが未処理であった」とあるので、未処理分を役務原価(その他)で処理します。

解答仕訳①-2
(借)役務原価(その他)10,000
 (貸)未払金 10,000

2.役務収益・役務原価

 作業が完了したにもかかわらず仕掛品のままになっている368,000円を役務原価(報酬)に振り替えます。なお、役務収益に関しては「派遣先に請求(売上計上)済み」とあるので、ここで新たに計上する必要はありません。

 さらに、役務原価(報酬)のうち4月以降に請求にかかる分の420,000円については、当期の費用として処理するのは適当ではないので、決算において仕掛品に振り替えます。

解答仕訳②
(借)役務原価(報酬)368,000 ※2
 (貸)仕掛品 368,000
(借)仕掛品 420,000
 (貸)役務原価(報酬)420,000

※2 決算整理前残高試算表の「仕掛品 368,000」より

3.貸倒引当金の繰り入れ

 まずは売掛金と貸倒引当金の期末残高を把握しましょう。1.で切った仕訳の売掛金の増加を考慮し忘れないように気をつけましょう。

  • 売掛金:2,100,000円(=1,900,000円+200,000円
  • 貸倒引当金:35,000円

 期末残高を把握したら、売掛金の期末残高2,100,000円に2%を乗じて貸倒引当金要設定額42,000円を算定し、さらに、本問は差額補充法を採用しているので、貸倒引当金の期末残高35,000円との差額7,000円を貸倒引当金繰入で処理します。

解答仕訳③-1
(借)貸倒引当金繰入 7,000 ※3
 (貸)貸倒引当金 7,000

※3 42,000円-35,000円=7,000円

 また、問題文に「貸付金の期末残高に対して4%の貸倒引当金を設定する」とあるので、決算整理前残高試算表の貸付金の金額300,000円に4%を乗じて貸倒引当金要設定額12,000円を算定しましょう。

 なお、営業外債権の貸付金に対する貸倒引当金繰入は、「販売費及び一般管理費」の欄ではなく「営業外費用」の欄に計上します。

  • 売上債権にかかる貸倒引当金繰入7,000円:損益計算書の販売費及び一般管理費の欄に計上する
  • 営業外債権にかかる貸倒引当金繰入12,000円:損益計算書の営業外費用の欄に計上する
解答仕訳③-2
(借)貸倒引当金繰入 12,000 ※4
 (貸)貸倒引当金 12,000

※4 300,000円×4%=12,000円

4.収益と費用の未収・未払い

 定期預金は、預入期間6か月(平成30年2月1日~平成30年7月31日)のうち、当期に属する期間は2か月なので、2か月分の利息(平成30年2月1日~平成30年3月31日)を未収計上します。

ご注意ください!

 月割り計算のさいに「1,200,000×0.1%×2か月/6か月」としてしまう方がいますが、計算式の分母は6か月ではなく12か月です。ケアレスミスにご注意ください。

  • 1年分の利息:1,200,000×0.1%=1,200円
  • 1か月分の利息:1,200円÷12か月=@100円
  • 2か月分の利息:@100円×2か月=200円

 借入金は、前回の利払日の翌日から決算日までの4か月分の利息(平成29年12月1日~平成30年3月31日)を未払計上します。

解答仕訳④
(借)未収利息 200 ※5
 (貸)受取利息 200
(借)支払利息 5,000 ※6
 (貸)未払利息 5,000

※5 1,200,000×0.1%×2か月/12か月=200円

※6 600,000円×2.5%×4か月/12か月=5,000円

5.固定資産の減価償却

 問題文の「減価償却費は概算額をもって、建物は ¥ 4,500、備品は ¥ 1,900を、4月から2月までの11か月間に毎月見積り計上してきている」から、毎月、以下のような仕訳を切っていたことが分かります。

参考:毎月、減価償却費を見積り計上する仕訳
(借)減価償却費 6,400
 (貸)建物減価償却累計額 4,500
 (貸)備品減価償却累計額 1,900

 また、問題文に「決算において年間確定額との差額を調整する」とあるので、年間確定額と11か月分の見積計上額合計との差額を計算しましょう。

 なお、備品160,000円のうち新備品の60,000円については月次で減価償却を行っていないので、旧備品と新備品に分けて減価償却費を計算しましょう。

建物の減価償却

  • 建物
    • 年間確定額:1,200,000円÷25年=48,000円
    • 見積計上額:@4,500円×11か月=49,500円
    • 調整額:48,000円-49,500円=▲1,500円

 建物に関しては、11か月分の見積計上額合計が年間確定額を上回っているので、決算において過剰に計上している1,500円を調整します。

解答仕訳⑤-1
(借)建物減価償却累計額 1,500
 (貸)減価償却費 1,500

旧備品の減価償却

  • 旧備品
    • 年間確定額:{(160,000円-60,000円)-(60,900円-20,900円)}×40%=24,000円
    • 見積計上額:@1,900円×11か月=20,900円
    • 調整額:24,000円-20,900円=3,100円

 旧備品に関しては、決算整理前残高試算表の「備品減価償却累計額 60,900」に当期中に計上した11か月分の減価償却費が含まれているので、年間確定額の算定にあたってこれを控除するのがポイントです。

 なお、本問は備品の償却率が与えられていませんが、「200%定率法」「耐用年数:5年」から、40%(=1÷5年×200%)と判断して処理します。

 「200%定率法」や「250%定率法」の償却率は、問題資料で与えられない可能性が高いので、以下の計算式でサクッと計算できるように準備しておきましょう。

  • 200%定率法の償却率=1÷耐用年数×200%
  • 250%定率法の償却率=1÷耐用年数×250%
解答仕訳⑤-2
(借)減価償却費 3,100
 (貸)備品減価償却累計額 3,100

新備品の減価償却

 新備品の60,000円に関しては、上述のとおり毎月の見積り計上の対象になっていないので、決算において4か月分(平成29年12月~平成30年3月)の減価償却費を月割りで計上します。

解答仕訳⑤-3
(借)減価償却費 8,000 ※7
 (貸)備品減価償却累計額 8,000

※7 60,000円×40%×4か月/12か月=8,000円

6.ソフトウェアの償却

 問題文の「ソフトウェアは、平成27年9月10日に自社利用目的で購入した」から、前期末(平成29年3月31日)時点で7か月分(平成28年9月~平成29年3月)の償却が済んでいることが分かります。

  • ソフトウェアの償却期間:60か月(5年)
  • 前期末までに償却した期間:7か月
  • 残りの償却期間:53か月
  • 当期に属する期間:12か月
  • 決算整理前残高試算表のソフトウェアの金額:106,000円

 よって、残りの償却期間53か月で、決算整理前残高試算表のソフトウェアの金額106,000円を月割均等償却します。

解答仕訳⑥
(借)ソフトウェア償却 24,000 ※8
 (貸)ソフトウェア 24,000

※8 106,000円×12か月/53か月=24,000円

7.再振替仕訳と費用の未払い

 まず、前期末に切った費用の未払いの仕訳をイメージしましょう。

参考:前期末に切った費用の未払いの仕訳
(借)給料 54,000
(借)水道光熱費 9,000
 (貸)未払費用 63,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで再振替仕訳を考えますが、逆仕訳を切るだけなので簡単です。また、費用の未払いの仕訳も前期末と同じ形になります。

解答仕訳⑦
(借)未払費用 63,000
 (貸)給料 54,000
 (貸)水道光熱費 9,000
(借)給料 60,000
(借)水道光熱費 12,000
 (貸)未払費用 72,000

8.保険料の前払い

 本問のように、毎年一定額の保険料を支払っている場合、前期末の費用の前払いの仕訳から順番に考えていくと分かりやすいです。

参考・前期末の費用の前払いの仕訳
(借)前払保険料 11X
 (貸)保険料 11X

 上記仕訳の金額部分の「11X」というのは、1か月あたりの保険料をXと置いた場合の、当期の4月1日から2月28日までの11か月分の保険料を意味します。この時点では具体的な金額が分からないので、暫定的に「11X」としています。

 次に、この仕訳を参考にして当期首の再振替仕訳を考えますが、前期末の仕訳の逆仕訳をするだけです。

参考・当期首(4月1日)の再振替仕訳
(借)保険料 11X
 (貸)前払保険料 11X

 次に、3月1日(保険料支払日)の仕訳を考えますが、1年分の保険料(12X)を計上するだけです。

参考・3月1日に1年分の保険料を支払った時の仕訳
(借)保険料 12X
 (貸)現金など 12X

 この結果、決算整理前残高試算表に計上されている保険料55,890円というのは、11X+12X=23X…つまり、1か月あたりの保険料の23か月分の金額ということになるので、55,890を23で割って、1か月あたりの保険料2,430円を算定します。

  • 平成29年4月1日に計上した保険料:11X
  • 平成30年3月1日に計上した保険料:12X
  • 当期中に計上した保険料:23X(=11X+12X)
  • 決算整理前残高試算表に計上されている保険料:55,890円
  • 1か月あたりの保険料:2,430円(=55,890円÷23X)

 上記のような流れで「1か月あたりの保険料2,430円」を算定できたら、最後に本問で問われている費用の前払いの仕訳を考えます。

 この仕訳の金額については今までのように「~X」という形ではなくて、1か月あたりの保険料2,430円を元に計算した金額を記入します。

 具体的には、前期末と同様に11か月分の費用の前払い処理を行うので、1か月あたりの保険料2,430円×11か月=26,730円と計算します。

解答仕訳⑧
(借)前払保険料 26,730
 (貸)保険料 26,730

9.法人税等の計算

 問題文に「当期の課税所得は ¥ 1,018,000 である」とあるので、課税所得1,018,000円に法定実効税率40%を乗じて法人税等の金額を計算しましょう。

解答仕訳⑨
(借)法人税、住民税及び事業税 407,200 ※9
 (貸)仮払法人税等 50,800
 (貸)未払法人税等 356,400円 ※10

※9 1,018,000円×40%=407,200円

※10 407,200円-50,800円=356,400円

10.税効果会計

 問題資料から将来減算一時差異が18,000円(=62,000円-44,000円)増加していることが分かるので、これに法定実効税率(40%)を乗じて繰延税金資産を追加計上します。

解答仕訳⑩
(借)繰延税金資産 7,200 ※11
 (貸)法人税等調整額 7,200

※11 (62,000円-44,000円)×40%=7,200円

仕訳を考えるさいのポイント

 将来減算一時差異は、差異が解消されるときに課税所得(とそれを元に計算される税金)がマイナスされる一時差異です。将来の税金が安くなるということは、実質的には法人税を前払いしている形になるので、この「将来の税金が安くなる権利」を繰延税金資産(資産)という勘定を使って処理します。

  • 将来減算一時差異が増えた場合 → 法人税の前払分が増える → 繰延税金資産が増える
  • 将来減算一時差異が減った場合 → 法人税の前払分が減る → 繰延税金資産が減る
将来減算一時差異が増えた場合の仕訳(本問)
(借)繰延税金資産 ××× ※12
 (貸)法人税等調整額 ×××
将来減算一時差異が減った場合の仕訳
(借)法人税等調整額 ××× ※12
 (貸)繰延税金資産 ×××

※12 将来減算一時差異の増減額×法定実効税率

 一方、将来加算一時差異は、差異が解消されるときに課税所得(とそれを元に計算される税金)がプラスされる一時差異です。将来の税金が高くなるということは、実質的には法人税の未払いという形になるので、この「将来の税金が高くなる義務」を繰延税金負債(負債)という勘定を使って処理します。

  • 将来加算一時差異が増えた場合 → 法人税の未払分が増える → 繰延税金負債が増える
  • 将来加算一時差異が減った場合 → 法人税の未払分が減る → 繰延税金負債が減る
将来加算一時差異が増えた場合の仕訳
(借)法人税等調整額 ××× ※13
 (貸)繰延税金負債 ×××
将来加算一時差異が減った場合の仕訳
(借)繰延税金負債 ××× ※13
 (貸)法人税等調整額 ×××

※13 将来加算一時差異の増減額×法定実効税率

まとめ

 解説は以上です。

 次に損益計算書の作成問題が出題される場合、本問のようなサービス業の問題になる可能性が高いと言われています(※試験範囲の改定で追加されたにもかかわらず、まだ第3問で出題されていないため)。本問を使って役務収益・役務原価の処理をきちんと押さえておきましょう。

 また、減価償却は本問の建物のように「見積計上額>年間確定額」となるケースも考えられます。いつもの仕訳と貸借が逆になると不安になるかもしれませんが、自信をもって解答してください。

 なお、今回から試験範囲に追加された税効果会計は、第3問はもちろん、第1問の仕訳問題や第2問の個別問題で出題される可能性もあります。ただ、1回目から難しい処理が問われる可能性は低いので、基本的な処理(上で紹介した4つの仕訳)を中心に対策しておきましょう。

解答時のちょっとしたテクニック

 全体的な解答の流れとしては、まず問題資料の未処理事項等および決算整理事項の仕訳を下書きし、答案用紙の損益計算書を完成させる形が一般的ですが、下書きが完成した時点で貸借対照表に関する勘定科目には打ち消し線を引いて集計から除外しましょう。

 本問は損益計算書のみを作成する問題なので、貸借対照表に関する勘定科目の増減は関係ありません。損益計算書に関する勘定科目のみを効率よく集計するために、また集計漏れを防ぐために、集計作業に先立って貸借対照表に関する勘定科目を除外しておくことをおすすめします。

簿記ナビ模試2級の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
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