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第2問(固定資産)の解説

 固定資産の一連の処理&リース取引に関する問題です。

 本問はまず、【資料1】を参考にして【資料2】の平成29年度の各日付の仕訳を考えたうえで、答案用紙の各設問の空欄を埋めていきましょう。

平成29年4月5日の取引(備品の購入)

 備品の購入に関する仕訳が問われています。

 購入代金は手形を振り出して支払っているので、営業外支払手形で処理します。うっかり支払手形を使わないように気をつけましょう。

解答・平成29年4月5日の仕訳
(借)備品 600,000 ※1
 (貸)営業外支払手形 600,000

※1 備品の取得原価

平成29年4月25日の取引(備品の圧縮記帳)

 備品の圧縮記帳に関する仕訳が問われています。

 本問はまず、問題文の「4月5日の備品の購入に先立ち、国から国庫補助金 ¥ 200,000 を受け取っていた」から、補助金受取時の仕訳を考えてみましょう。

参考・補助金受取時の仕訳
(借)現金など 200,000 ※2
 (貸)国庫補助金受贈益 200,000

※2 国庫補助金の受取額

 上記の仕訳を踏まえたうえで、直接減額方式による圧縮記帳の仕訳を考えましょう。

 具体的には、平成29年4月5日の取引で借方に計上した備品の取得原価600,000円から国庫補助金の200,000円を直接減額し、固定資産圧縮損で処理します。

 この結果、備品の取得原価は600,000円から400,000円に修正され、この400,000円が期末の減価償却の対象になります(後述)。

解答・平成29年4月25日の仕訳
(借)固定資産圧縮損 200,000 ※3
 (貸)備品 200,000

※3 国庫補助金の受取額

平成29年6月20日の取引(車両の滅失&保険金の請求)

 車両の滅失&保険金の請求に関する仕訳が問われています。

 固定資産が滅失した場合、滅失時の帳簿価額を未決算に振り替えますが、本問は車両の取得原価が不明なため、問題資料や答案用紙の情報をヒントにして先に車両の取得原価を求めましょう。

 答案用紙の車両減価償却累計額勘定の「4/1 前期繰越 1,260,000」は、前期末時点の車両の減価償却累計額の金額を表しているので、取得原価をX(エックス)と置いて「前期末までの減価償却累計額=1,260,000」という1次方程式を作ります。

  • 前期末までの減価償却累計額=1,260,000
  • 取得原価×前期末までの実際走行距離/総走行可能距離=1,260,000円
  • X×42,000km/100,000km=1,260,000円
  • X=3,000,000円

 なお、上記の計算式の「前期末までの実際走行距離」は、使用不能となった時点の実際走行距離 45,000 kmから、当期の実際走行距離 3,000 kmを差し引いて求めましょう。うっかり 45,000 kmで計算しないように気をつけてください。

  • 前期末までの実際走行距離+当期の実際走行距離=使用不能となった時点の実際走行距離
  • 前期末までの実際走行距離=使用不能となった時点の実際走行距離-当期の実際走行距離
  • 前期末までの実際走行距離=45,000km-3,000km=42,000km
解答・平成29年6月20日の仕訳
(借)車両減価償却累計額 1,260,000 ※4
(借)減価償却費 90,000 ※5
(借)未決算 1,650,000 ※6
 (貸)車両 3,000,000 ※7

※4 答案用紙の車両減価償却累計額勘定の「4/1 前期繰越 1,260,000」より

※5 当期の減価償却費=3,000,000円×3,000km/100,000km=90,000円

※6 滅失時の帳簿価額=3,000,000円-1,260,000円-90,000円=1,650,000円

※7 車両の取得原価

平成29年7月1日の取引(リース契約の締結)

 ファイナンス・リース取引の契約締結時の仕訳が問われています。

 ファイナンス・リース取引の処理方法には「利子込み法」と「利子抜き法」がありますが、両者の大きな違いはリース資産・リース債務の計上額です。

  • 利子込み法の計上額:リース料総額
  • 利子抜き法の計上額:見積現金購入価額

 本問は、問題文に「利子抜き法により処理することとした」「見積現金購入価額:¥ 4,500,000 」「リース契約した車両はリース資産勘定で処理した」とあるので、指示に従ってリース資産・リース債務を計上しましょう。

解答・平成29年7月1日の仕訳
(借)リース資産 4,500,000 ※8
 (貸)リース債務 4,500,000

※8 リース資産の見積現金購入価額

平成29年8月10日の取引(保険金の受取額の確定)

 保険金の受取額が確定したさいの仕訳が問われています。

 保険金の金額が確定したら、滅失時(平成29年6月20日)に計上した未決算を適切な勘定科目に振り替えましょう。

 本問の場合、未決算で処理していた滅失時の帳簿価額1,650,000円よりも30,000円多い1,680,000円の保険金を受け取ることができるので、差額の30,000円を保険差益で処理します。

解答・平成29年8月10日の仕訳
(借)未収入金 1,680,000 ※9
 (貸)未決算 1,650,000 ※10
 (貸)保険差益 30,000 ※11

※9 問題文の「 ¥ 1,680,000 の保険金を月末に支払う旨の連絡があった」より

※10 平成29年6月20日の仕訳より

※11 保険差益=1,680,000円-1,650,000円=30,000円(貸借差額)

平成29年10月31日の取引(リース料の支払い)

 オペレーティング・リース取引のリース料支払時の仕訳が問われています。

 本問はまず、問題文の「このリース料は、前期の11月1日にリース会社と締結した機械装置のリース契約」から、平成28年11月1日にリース契約を締結していたことが分かりますが、料金後払いのオペレーティング・リース取引の場合、リース契約締結時は「仕訳なし」になります。

参考・リース契約締結時(平成28年11月1日)の仕訳
仕訳なし

 次に、前期末(平成29年3月31日)の決算整理仕訳を考えてみましょう。

 本問のリース契約は後払いのため、1回目の支払いは平成29年10月31日になりますが、前期末の時点で契約締結から5か月が経過しているので、決算において5か月分のリース料を未払計上しています。

参考・前期末(平成29年3月31日)の未払計上の仕訳
(借)支払リース料 50,000 ※12
 (貸)未払費用 50,000

※12 120,000円×5か月/12か月

 さらに、当期首(平成29年4月1日)の再振替仕訳を考えてみましょう。

 【資料1】の「再振替仕訳は期首において適切に行われている」から、当期首に再振替仕訳が行われれていることが分かります。仕訳自体は、前期末に切った未払計上の仕訳の逆仕訳をするだけです。

参考・当期首(平成29年4月1日)の再振替仕訳
(借)未払費用 50,000
 (貸)支払リース料 50,000

 上記の一連の仕訳を踏まえたうえで、リース料支払時(平成29年10月31日)の考えてみましょう。仕訳自体は1年分のリース料を「支払リース料」と「当座預金」で処理するだけです。

解答・リース料支払時(平成29年10月31日)の仕訳
(借)支払リース料 120,000 ※13
 (貸)当座預金 120,000

※13 1年分のリース料支払額

平成29年12月1日の取引(工具器具の購入)

 工具器具の購入に関する仕訳が問われています。

 問題文に「研究開発専用の~」とあるので、購入代金の全額を研究開発費で処理します。うっかり工具器具で処理しないように気をつけましょう。

解答・平成29年12月1日の仕訳
(借)研究開発費 500,000 ※14
 (貸)当座預金 500,000

※14 工具器具の取得原価

平成30年3月15日の取引(店舗の滅失&保険金の請求)

 店舗の焼失&保険金の請求に関する仕訳が問われています。

 平成29年6月20日の取引と同様に、固定資産が滅失した場合、滅失時の帳簿価額を未決算に振り替えます。

解答・平成30年3月15日の仕訳①
(借)建物減価償却累計額 2,100,000 ※15
(借)減価償却費 400,000 ※16
(借)未決算 7,500,000 ※17
 (貸)建物 10,000,000 ※18

※15 前期末までの減価償却累計額=10,000,000円×63か月/300か月=2,100,000円

※16 当期の減価償却費=10,000,000円×12か月/300か月=400,000円

※17 滅失時の帳簿価額=10,000,000円-2,100,000円-400,000円=7,500,000円

※18 建物(店舗)の取得原価

 ここで、未決算の金額と保険契約締結時の保険金額の差額を考えてみましょう。

 上の①の仕訳で未決算を7,500,000円計上しましたが、今後、上限いっぱいの保険金が支払われたとしても手元に入ってくるお金は7,400,000円です。

 つまり、建物(店舗)が焼失した時点で100,000円(=7,500,000円-7,400,000円)の損失が確定するので、保険金の金額確定を待たずに火災損失100,000円を計上します。

解答・平成30年3月15日の仕訳②
(借)火災損失 100,000 ※19
 (貸)未決算 100,000

※19 火災損失=7,600,000円-7,500,000円=100,000円

 以上、仕訳①②をまとめると平成30年3月15日の仕訳になります。

 この火災損失の処理はかなり難しいと思いますが、過去の本試験で出題されたことがあります(第108回試験)。保険的な位置づけで押さえておきましょう。

平成30年3月31日の取引(決算)

 決算期末において、所有している建物(倉庫)・備品・リース資産の減価償却を行います。また、当期に属するリース料・利息の未払計上もあわせて行いましょう。

建物(倉庫)に関する決算整理仕訳

 建物(倉庫)の減価償却に関しては、1年分の減価償却費を計算するだけです。

解答・建物の減価償却に関する決算整理仕訳①
(借)減価償却費 300,000 ※20
 (貸)建物減価償却累計額 300,000

※20 当期の減価償却費=6,000,000円÷20年=300,000円

備品に関する決算整理仕訳

 備品の減価償却に関しては、平成29年4月から平成30年3月までの12か月分が計算の対象になります。月割計算の場合、1日でも使ったら1か月にカウントする点に気をつけてください。

 また、平成29年4月25日に圧縮記帳を行った結果、備品の取得原価は600,000円から400,000円に修正されている点や、200%定率法の償却率40%(=1÷5年×200%)にも気をつけて解答しましょう。

解答・備品の減価償却に関する決算整理仕訳②
(借)減価償却費 160,000 ※21
 (貸)備品減価償却累計額 160,000

※21 当期の減価償却費=400,000円×40%=160,000円

ファイナンス・リース取引に関する決算整理仕訳

 リース資産の減価償却に関しては、平成29年7月から平成30年3月までの9か月分が計算の対象になります。うっかり1年分を計上しないように気をつけましょう。

解答・リース資産の減価償却に関する決算整理仕訳③
(借)減価償却費 675,000 ※22
 (貸)リース資産減価償却累計額 675,000

※22 当期の減価償却費=4,500,000円×9か月/60か月=675,000円

 また、本問のファイナンス・リース取引はリース料の支払日と決算日が異なるので、決算において9か月分の利息を未払計上します。

解答・利息の未払計上に関する決算整理仕訳④
(借)支払利息 75,000 ※23
 (貸)未払費用 75,000

※23 (5,000,000円-4,500,000円)×9か月/60か月=75,000円

オペレーティング・リース取引に関する決算整理仕訳

 本問のオペレーティング・リース取引は、ファイナンス・リース取引と同様にリース料の支払日と決算日が異なるので、平成29年11月から平成30年3月までの5か月分のリース料を未払計上します。

解答・リース料の未払計上に関する決算整理仕訳⑤
(借)支払リース料 50,000 ※24
 (貸)未払費用 50,000

※24 120,000円×5か月/12か月=50,000円

 以上、仕訳①②③④⑤をまとめると決算日(平成30年3月31日)の仕訳になります。

平成29年度の仕訳一覧

平成29年4月1日の仕訳
(借)未払費用 50,000
 (貸)支払リース料 50,000
平成29年4月5日の仕訳
(借)備品 600,000
 (貸)営業外支払手形 600,000
平成29年4月25日の仕訳
(借)固定資産圧縮損 200,000
 (貸)備品 200,000
平成29年6月20日の仕訳
(借)車両減価償却累計額 1,260,000
(借)減価償却費 90,000
(借)未決算 1,650,000
 (貸)車両 3,000,000
平成29年7月1日の仕訳
(借)リース資産 4,500,000
 (貸)リース債務 4,500,000
平成29年8月10日の仕訳
(借)未収入金 1,680,000
 (貸)未決算 1,650,000
 (貸)保険差益 30,000
平成29年10月31日の仕訳
(借)支払リース料 120,000
 (貸)当座預金 120,000
平成29年12月1日の仕訳
(借)研究開発費 500,000
 (貸)当座預金 500,000
平成30年3月15日の仕訳
(借)建物減価償却累計額 2,100,000
(借)減価償却費 400,000
(借)未決算 7,400,000
(借)火災損失 100,000
 (貸)建物 10,000,000
平成30年3月31日の仕訳
(借)減価償却費 1,135,000
 (貸)建物減価償却累計額 300,000
 (貸)備品減価償却累計額 160,000
 (貸)リース資産減価償却累計額 675,000
(借)支払利息 75,000
(借)支払リース料 50,000
 (貸)未払費用 125,000

解答のポイント

設問(1)の勘定記入

 上記の平成29年度の仕訳をもとに、勘定科目および金額を埋めていくだけです。

 ちなみに、建物減価償却累計額勘定の「前期繰越」は、店舗と倉庫の前期末時点の減価償却累計額の合計になります。【資料1】の各データを使って金額を求めましょう。

  • 店舗の前期末時点の減価償却累計額:10,000,000円×63か月/300か月=2,100,000円
  • 倉庫の前期末時点の減価償却累計額:6,000,000円×54か月/240か月=1,350,000円
    • 店舗と倉庫の前期末時点の減価償却累計額:2,100,000円+1,350,000円=3,450,000円

設問(2)の決算整理後残高試算表の金額

 「リース資産」は、平成29年7月1日に計上した4,500,000円に変動はありません。「保険差益」も平成29年8月10日に計上した30,000円がそのまま入ります。

 「減価償却費」は平成30年3月31日に計上した分だけでなく、平成29年6月20日・平成30年3月15日に計上した分も忘れずに集計しましょう。

  • 建物の減価償却費:700,000円(=400,000円+300,000円)
  • 車両の減価償却費:90,000円
  • 備品の減価償却費:160,000円
  • リース資産の減価償却費:675,000円
    • 合計額:1,625,000円(=700,000円+90,000円+160,000円+675,000円)

 「支払リース料」は、平成29年4月1日・平成29年10月31日・平成30年3月31日の3本の仕訳から金額を計算しましょう。

平成29年4月1日の仕訳(再振替仕訳)
(借)未払費用 50,000
 (貸)支払リース料 50,000
平成29年10月31日の仕訳(期中仕訳)
(借)支払リース料 120,000
 (貸)当座預金 120,000
  • 決算整理前残高試算表の「支払リース料」の金額:120,000円-50,000円=70,000円
平成30年3月31日の仕訳(決算整理仕訳)
(借)支払リース料 50,000
 (貸)未払費用 50,000
  • 決算整理後残高試算表の「支払リース料」の金額:70,000円+50,000円=120,000円

 「支払利息」は、平成30年3月31日に計上した75,000円がそのまま入ります。「火災損失」も平成30年3月15日に計上した100,000円がそのまま入ります。

まとめ

 解説は以上です。車両の取得原価の計算や火災損失の計上、リース料や利息の未払計上の処理などはかなり難しかったと思います。

 1回目の点数は気にする必要はありませんので、2回目で20点満点が取れるように、間違えてしまったところをきちんと復習しておきましょう。

参考:7月1日の取引を利子込み法で処理した場合の仕訳

 平成29年7月1日に契約したファイナンス・リース取引を「利子込み法」で処理した場合、リース契約時の仕訳・決算整理仕訳は以下のような形になります。参考までに仕訳をご確認ください。

平成29年7月1日の仕訳
(借)リース資産 5,000,000 ※25
 (貸)リース債務 5,000,000

※25 @1,000,000円×5年=5,000,000円

 リース資産・リース債務の計上額は、見積現金購入価額ではなくリース料総額になります。1年あたりのリース料1,000,000円にリース期間の5年を乗じて、リース料総額5,000,000円を計算しましょう。

平成30年3月31日の仕訳
(借)減価償却費 750,000 ※26
 (貸)リース資産減価償却累計額 750,000

※26 当期の減価償却費=5,000,000円×9か月/60か月=750,000円

 減価償却の対象となるのは、上の仕訳と同様、見積現金購入価額ではなくリース料総額になります。

 なお、利子込み法の場合は支払日と決算日が異なっていても、利息の未払計上はしません。この部分の処理は利子抜き法と大きく異なるので、きちんと押さえておきましょう。

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