簿記ナビ模試のご案内

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第5問(直接原価計算)の解説

 直接原価計算のCVP分析に関する問題です。

 本問では高低点法による処理が問われており、正常操業圏内(4,800個~7,200個)のデータをきちんと読み取れるかどうかが最初のポイントになります。

 データの読み取りを間違えてしまうと全滅…という悲惨な結果になってしまいますので、ケアレスミスにはじゅうぶん気をつけてください。

問1 正常操業圏における売上高の最高額と最低額

 まず、問題文の「月間生産量6,000個の80%から120%までを正常操業圏としており」から、正常操業圏の個数を計算しましょう。

  • 月間生産量6,000個×80%=4,800個
  • 月間生産量6,000個×120%=7,200個
    • 正常操業圏:4,800個~7,200個

 正常操業圏の個数が「4,800個から7,200個までの間」ということが分かったら、問題資料の過去1年間の生産・販売量のデータの中から最低生産量(4,900個)最高生産量(7,200個)のデータをピックアップしましょう。

 なお、11月の7,300個、2月の4,700個は正常操業圏の範囲外なので、問題資料をチェックするさいにこれらのデータには打ち消し線を引いて除外しておきましょう。

 また、問1では生産・販売量ではなく売上高が問われているので、生産・販売量に1個あたりの販売価格500円(※問題資料より)を掛けて、売上高の最高額と最低額を求めましょう。

  • 正常操業圏における売上高の最高額:7,200個×@500円=3,600,000円
  • 正常操業圏における売上高の最低額:4,900個×@500円=2,450,000円

問2 総原価の原価分解

 製品1個あたりの変動費は、「最高生産量と最低生産量の総原価と個数の差」を使って算定します。

  • 製品1個あたりの変動費:(3,180,000円-2,835,000円)÷(7,200個-4,900個)=@150円

 また、月間固定費は1個あたりの変動費と個数から変動費を計算したうえで、総原価から変動費を差し引いて算定します。この計算は6月のデータを使っても9月のデータを使っても、どちらでも構いません。

  • 6月のデータを使って計算する場合
    • 変動費:4,900個×@150円=735,000円
    • 月間固定費:2,835,000円-735,000円=2,100,000円

または

  • 9月のデータを使って計算する場合
    • 変動費:7,200個×@150円=1,080,000円
    • 月間固定費:3,180,000円-1,080,000円=2,100,000円

 総原価と生産・販売量の関係をグラフで表すと以下のような形になります。問題を解くうえではグラフは必要ありませんが、参考までにご確認ください。

総原価の原価分解

問3 月間損益分岐点売上高

 損益分岐点売上高は「貢献利益=固定費(貢献利益-固定費=0)」となる売上高なので、月間固定費を製品1個あたりの貢献利益で割って販売量を計算し、その販売量に販売価格を掛けて売上高を計算しましょう。

  • 製品1個あたりの販売価格:@500円
  • 製品1個あたりの変動費:@150円
  • 製品1個あたりの貢献利益:@350円
  • 月間固定費:2,100,000円
  • 2,100,000円÷350円=6,000個
  • 6,000個×@500円=3,000,000円

 または、販売価格500円と1個あたりの変動費150円から変動費率0.3(=150円÷500円)を計算したうえで、売上高をSと置いたときの「貢献利益=固定費」という1次方程式を作り、Sの金額を求めることも可能です。

  • 売上高:S
  • 変動費:0.3S
  • 貢献利益:0.7S(=S-0.3S)
  • 月間固定費:2,100,000円
  • 0.7S=2,100,000円
  • S=3,000,000円

問3 月間目標販売量&損益分岐点比率・安全余裕率

 月間目標売上高は「貢献利益-固定費=目標営業利益」となる売上高なので、問2と同じように売上高をSと置いて1次方程式を作り、Sの金額を求めましょう。

 なお、売上高営業利益率(%)の計算式は「営業利益÷売上高×100」なので、売上高営業利益率17.5%を達成する営業利益をSを使って表すと、0.175Sになります。

  • 売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
  • 上記の計算式に売上高営業利益率に17.5、売上高にSを代入すると…
  • 17.5=営業利益÷S×100
  • 営業利益=0.175S
  • 売上高:S
  • 変動費:0.3S
  • 貢献利益:0.7S(=S-0.3S)
  • 月間固定費:2,100,000円
  • 目標営業利益:0.175S
  • 0.7S-2,100,000円=0.175S
  • S=4,000,000円

 また、本問では月間目標売上高ではなく月間目標販売量が問われているので、解答にあたっては月間目標売上高を1個あたりの販売価格500円で割って販売量を計算しましょう。

  • 4,000,000円÷@500円=8,000個

 損益分岐点比率は、指定された売上高を100%した場合に、損益分岐点売上高がその何%にあたるかを表した指標です。この数値は低ければ低いほど良いです(数値が低い→損益分岐点売上高を大きく上回っていることになるから)。

 安全余裕率は、指定された売上高が何%減少したら営業利益がゼロになるか(=損益分岐点売上高になるか)を表した指標です。この数値は高ければ高いほど良いです(数値が高い→損益分岐点売上高を大きく上回っていることになるから)。

 損益分岐点比率と安全余裕率の計算に関しては、問題資料で計算式が与えられる場合と、本問のように与えられない場合の2パターンがあります。どちらのパターンでも対応できるように、この機会に計算式を覚えておきましょう。

  • 損益分岐点比率:損益分岐点売上高÷指定された売上高
  • 安全余裕率:(指定された売上高-損益分岐点売上高)÷指定された売上高
  • 損益分岐点比率:3,000,000円/4,000,000円=75%
  • 安全余裕率:(4,000,000円-3,000,000円)/4,000,000円=25%

 最後に、下の画像をご確認ください。損益分岐点比率と安全余裕率は「損益分岐点比率+安全余裕率=100%」という関係になっています。

損益分岐点比率と安全余裕率

まとめ

 解説は以上です。

 本問は、正常操業圏外のデータ(11月・2月)を使っても、問1・問2・問3・問4の月間目標販売量まで全て割り切れるように作ってあるため、序盤のデータの取捨選択を間違えるとドエライことになります。

 このように、工業簿記では少しの油断が大きな失点につながってしまうことが多々あるので、(特に序盤の)資料の読み取りには細心の注意を払いましょう。

簿記ナビ模試2級の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
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