書籍概要

  1. 第147回試験 日商簿記2級 ラストスパート模試

    教材種別:
    予想問題集
    出版社:
    ネットスクール出版
    問題数:
    5回分
    ページ数:
    212ページ
    サイズ:
    29.4 × 20.8 × 1.2 cm
    価格:
    1,512円(税込)

     第147回日商簿記検定2級対策用の予想問題集です。5回分の試験問題の他に、切り離して使える新範囲攻略ブックが収載されています。

     また、第147回試験の大問別の出題予想(第1予想~第4予想+ウラ予想)や過去の出題傾向と対策など…独学者にとって有益な情報も収載されています。

    管理人のレビュー

     今回の予想問題集の付録は、別冊になっている「新範囲攻略ブック」ですが、個人的には少し物足りなさを感じてしまいました。

     2016年度・2017年度から新たに試験範囲に追加された論点をひととおり紹介しているだけなので、わざわざ別冊にする必要はないですし、サイズ(A4)的にも持ち運びには不向きです。

     また、内容も「2016年度から追加された論点」と「2017年度から追加される論点」が整理されておらず、TACの予想問題集と比較すると…どうしても見劣りしてしまいます。

    新範囲攻略ブック1
    新範囲攻略ブック1

    新範囲攻略ブック2
    新範囲攻略ブック2

    新範囲攻略ブック3
    新範囲攻略ブック3

    過去の出題傾向と対策
    過去の出題傾向と対策

     問題用紙と答案用紙は、オレンジ色の紙を残してグッと引き抜くと取り外すことができます。けっこう力がいるので、取り外すときは周りに気をつけてください。

     問題用紙の表紙(の下半分)には「出題内容とコメント・時間の目安・目標得点・おすすめ解答順序」が掲載されています。

     解く前・解いた後にサクッと確認できるので、この位置に各種情報がまとめられていると便利だと思います。考えた人、グッジョブ!(←何様だよ)

     なお、問題は5回分収載されています(第1予想~第4予想+ウラ予想)。TACの予想問題集(4回分)よりも1回分多いのでお得感があります。

    問題用紙と答案用紙1
    問題用紙と答案用紙1

    問題用紙と答案用紙2
    問題用紙と答案用紙2

     各問題の解答は、配点箇所だけでなく「A:確実に正解したい」「B:できれば正解したい」「O:資料からの数値変更なし」「ドクロマーク:難易度が高いため、後回し」などに分類されています。

     ひとりで勉強していると、確実に取らなければいけないところ・思い切って捨てるべきところの取捨選択の判断が難しいので、こういう表示はとても良いと思います。

    解答・解説1
    解答・解説1

    解答・解説2
    解答・解説2

    価格は?

     価格は1,512円(税込)です。

     ライバルとなるTAC出版の「第147回をあてるTAC直前予想 日商簿記2級」よりも108円安いですが、直販サイトで購入すると10%割引により注文金額が1,500円を下回ってしまうため、410円の送料が別途かかってしまいます…なんてこったい(下の※参照)。

     つまり、本体価格はライバルのTACの「あてる」よりも安いものの、本書のみの購入ですと送料が発生し実質購入価格が逆に高くなってしまうため、直販サイトを利用する場合は過去問題集等との「合わせ買い」をおすすめします。

    直販で購入(1,361円)

    Amazonで購入(1,512円)

    楽天で購入(1,512円)

  • ※ 予想問題集の実質購入金額の比較
    • TACの「あてる」を直販サイトで購入:1,458円(10%割引)+送料0円=1,458円 ※一番安い
    • TACの「あてる」をAmazon等で購入:1,620円(定価)+送料0円=1,620円
    • NSの「ラスパ」を直販サイトで購入:1,361円(10%割引)+送料410円=1,771円 ※一番高い
    • NSの「ラスパ」をAmazon等で購入:1,512円(定価)+送料0円=1,512円



管理人が実際に問題を解いてみました!

第1予想

 第1問は、仕訳問題5問です。

 問1の固定資産の取得は、登記料60,000円を取得原価に含めて処理する点と、振り出した約束手形を営業外支払手形で処理する点がポイントです。

 問2の固定資産の除却&リース会計は、直接法で記帳しているので除却時の仕訳の貸方が備品になる点、また、リース会計のほうは利子込み法を採用しているので、リース料総額5,760,000円(=@1,152,000円×5年)をもってリース資産・リース債務とする点がポイントです。

 問3の売上原価対立法は、売上の計上とセットで商品を売上原価に振り替えます。

 問4の電子記録債権の割引きは、考え方は手形の割引きと同じです。割引料に関しては、手形売却損の代わりに電子記録債権売却損を使いましょう。

 問5の固定資産の圧縮記帳は、借方に固定資産圧縮損を計上するとともに、貸方に機械装置を計上して帳簿価額を減額します。仕訳自体はとても簡単です。


 第2問は、有価証券に関する問題です。

 売買目的有価証券は、配当権利落ちの処理がポイントになります。配当権利落ちにより(理論的には)配当金の金額分だけ株価が下落するので、費用収益対応の原則から、決算において翌期に受け取る配当金を見越計上します。

 その他有価証券の甲社株式は、期末に時価評価するだけです。乙社社債は1年分のクーポン利息を計上したうえで、期末に時価評価します。

 なお、本問の乙社社債は取得金額と額面金額との差額が金利の調整と認められないため、後述の丙社社債のように償却原価法を適用する必要はありませんが、問題によってはその他有価証券にも償却原価法を適用する場合があるので、適用の有無を必ずチェックするクセを付けましょう。

 満期保有目的債券の丙社社債は、1年分のクーポン利息を計上したうえで、期末に償却原価法を適用して帳簿価額の評価替えを行います(※時価評価はしない)。問題資料の「時価:@¥103」はダミーデータなので、うっかり時価評価しないように気をつけてください。

 なお、丙社社債は満期保有目的債券なので、通常は貸借対照表の投資有価証券(固定資産)に含めて表示されますが、決算日の翌日から起算して1年以内に満期日が到来する当期末においては、投資有価証券ではなく有価証券(流動資産)に含めて表示します。


 第3問は、連結会計に関する問題です。

 本問のように、支配獲得後2年目の処理が問われた場合は、まず1年目の連結修正仕訳を考えます。次に、1年目の連結修正仕訳を踏まえて2年目の開始仕訳を考え、さらに2年目の連結修正仕訳を考えていきましょう。

 なお、連結修正仕訳はパターンがほぼ決まっているので、仕訳時に勘定科目がすぐに出てこない方は、割り切って仕訳の型を暗記してしまいましょう。

連結貸借対照表の利益剰余金について

 解説10ページのような流れで利益剰余金を計算しますが、本試験でこの計算をするのはあまり現実的ではないので、勉強が進んでいない場合は思い切って捨ててしまっても全く問題ありません。貸借差額をサクッと計算して金額を埋めて、深入りせずに先に進みましょう。


 第4問は、実際個別原価計算に関する問題です。

 月初・月末の仕掛品および製品、売上原価の計算にあたっては、解説14ページで紹介されているような原価計算表を自作して金額を求めましょう。

 また、問2の差異分析を行うにあたっては、年間予算額10,800,000円の変動費と固定費の内訳が不明なので、固定予算により差異分析を行います。毎度おなじみの図を書いて、差異の金額をサクッと求めましょう。


 第5問は、固定別総合原価計算に関する問題です。

 本問は、過去に本試験でも出題されたことがある半製品の取り扱いがポイントです。

 NSの解説ではこの半製品の取り扱いについてきちんと書かれていませんが、問題を解くさいには第1工程と第2工程の間に以下のようなボックスを作ると分かりやすいです。

第1工程完成品総合原価の振り分け
第1工程完成品総合原価の振り分け

★第1予想の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
普通 普通 普通 簡単 簡単
5分 15分 25分 30分 20分 15分 10分

第2予想

 第1問は、仕訳問題5問です。

 問1の外貨建取引は、借方の普通預金・貸方の売掛金の金額を先に埋めてから、貸借差額で為替差損益の金額を計算しましょう。

 問2の課税所得の計算は、税引前当期純利益に損金不算入額(損金として認められない→その分だけ税金が増える)を足した金額に、法定実効税率30%を乗じて法人税等の金額を計算しましょう。

 問3の有価証券の売却は、問題文に「普通預金口座に振り込まれることになった」とあるので、未収入金で処理します。うっかり普通預金で処理しないように気をつけましょう。

 問4の役務収益・役務原価は、収益・費用を役務収益・役務原価として処理するとともに、仕掛品を役務原価に振り替えます。

 問5の研究開発費は、全額を研究開発費で処理します。うっかり機械装置やソフトウェアで処理しないように気をつけましょう。


 第2問は、固定資産に関する問題です。

 問1の固定資産除却損の金額は、当期の減価償却費を計算するさいに資料1の*の改定償却率を使う必要があります。

 重要性が高い論点ではないので思い切って捨ててしまっても構いませんが、計算自体は帳簿価額を残存耐用年数で割るだけなので簡単です。この機会に押さえておくことをおすすめします。

 問2の固定資産売却損の金額は、売却時の帳簿価額と下取額との差額を計算するだけです。問3・問4も大きなひねりはないので、この3つは確実に得点したいところです。

 問5のリース債務の残高は、3月31日に1回目のリース料を支払っているので、契約時に計上したリース債務600,000円から60,000円を差し引いた残額になります。

 なお、本問は問題文に「流動負債・固定負債の区分をせず、一括して記入すること」とあるので考える必要はありませんが、リース債務を貸借対照表に計上する場合は長短分類をする必要があります。参考までにご確認ください。

  • リース債務の分類
    • 決算日の翌日から起算して1年以内に支払日が到来するもの:リース債務 (流動負債)
    • 決算日の翌日から起算して1年を超えて支払日が到来するもの:長期リース債務(固定負債)
  • 本問に当てはめると…
    • 平成29年度中に支払日が到来する120,000円リース債務 (流動負債)
    • 平成30年度以降に支払日が到来する420,000円長期リース債務(固定負債)

 第3問は、財務諸表(損益計算書)の作成問題です。

 決算整理事項3の「売上原価の算定」は、28ページの解説では仕訳が紹介されていますが、実際に問題を解くさいには仕訳は不要です。

 以下のような商品ボックスを書いて「期首商品棚卸高・当期商品仕入高・売上原価・期末商品棚卸高・棚卸減耗損・商品評価損・期末実地棚卸高」を把握しましょう。

第2予想・第3問の商品ボックス
第2予想・第3問の商品ボックス

 決算整理事項9の「課税所得の計算」は、税引前当期純利益に商品評価損の損金不算入額(損金として認められない→その分だけ税金が増える)を足した金額に、法定実効税率30%を乗じて法人税等の金額を計算しましょう。

解答時のちょっとしたテクニック

 全体的な解答の流れとしては、まず資料2の決算にあたっての修正事項および資料3の決算整理事項の仕訳を下書きし、答案用紙の損益計算書を完成させる形が一般的かと思いますが、下書きが完成した時点で貸借対照表に関する勘定科目には打ち消し線を引いて集計から除外しましょう。

 本問は損益計算書のみを作成する問題なので、貸借対照表に関する勘定科目の増減は関係ありません。損益計算書に関する勘定科目のみを効率よく集計するために、また集計漏れを防ぐために、集計作業に先立って貸借対照表に関する勘定科目を除外しておくことをおすすめします。


 第4問は、実際個別原価計算の仕訳問題です。

 特に難しい処理はありませんが、原料甲の払出単価を計算するさいには、1.の当社負担の運送費および保険料の合計金額87,000円を考慮し忘れないように気をつけてください。

 うっかり忘れるとどえらいことになります…。


 第5問は、直接原価計算(CVP分析)に関する問題です。

 ④で問われている全部原価計算の営業利益に関しては、固定製造間接費600,000千円の取り扱いがポイントになります。

 直接原価計算の場合、固定製造間接費を製品原価に集計せずに期間原価として処理します。一方、全部原価計算の場合は固定製造間接費を製品原価に集計します。

 この違いにより、直接原価計算の営業利益と全部原価計算の営業利益は、期首・期末に含まれる固定製造間接費の分だけ金額がズレます。

部原価計算による営業利益-接原価計算による営業利益=期製品に含まれる固定製造間接費の金額-期製品に含まれる固定製造間接費の金額

 本問に当てはめてみると…

部原価計算による営業利益-1,500,000千円=120,000千円-0円

部原価計算による営業利益=1,620,000千円

 なお、この関係式には「全直末首(ぜんちょくまっしゅ)」という便利な語呂がありますので、この機会に語呂をしっかり押さえておきましょう。

 また、⑧で問われている安全余裕度は、簡単にいうと「今の売上がどれぐらい減ると損益分岐点売上高と同じになるか」を表す指標です。

 通常は「~%」という単位で表されることが多いですが、本問のように「~台」などのケースもあります。どちらで問われてもきちんと対応できるようにしておきましょう。

★第2予想の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
簡単 普通 普通 普通 簡単
5分 15分 30分 30分 20分 10分 10分

第3予想

 第1問は、仕訳問題5問です。

 問1の固定資産の割賦購入は、車両購入時に振り出した手形の決済なので借方が営業外支払手形になる点と、利息相当額を前払利息から支払利息に振り替える点がポイントです。

 問2のクレジット販売と問3の設立時の新株発行は、問題の指示に従って処理するだけなので特に問題ないと思います。

 問4の固定資産の修繕は、資本的支出(価値を高めるための支出)を建物の増加として処理するとともに、収益的支出を修繕費(※修繕引当金がある場合はまず取崩し)で処理します。

 問5の本支店会計は、どっちが損益でどっちが支店か迷った方も多かったと思いますが、その場合は支店の仕訳から順番に考えていくと分かりやすいです。

 まず、支店において当期純損失720,000円が発生しているので、仮に支店の諸収益の金額を1,000,000円、諸費用の金額を1,720,000円として決算振替仕訳を考えてみましょう。

支店の決算振替仕訳1
(借)諸収益1,000,000
 (貸)損益 1,000,000
(借)損益 1,720,000
 (貸)諸費用 1,720,000

 この時点で支店の損益勘定は720,000円の借方残になるので、さらにこれを本店勘定に振り替えます。

支店の決算振替仕訳
(借)本店 720,000
 (貸)損益 720,000

 最後に、本店の仕訳を考えますが、上記の支店の仕訳で借方に本店勘定が計上されているので、本店の仕訳では反対側の貸方に支店勘定が来ることが分かります。

本店の仕訳(解答仕訳)
(借)損益 720,000
 (貸)支店 720,000

 第2問は、連結会計に関する問題です。

 本問のように、支配獲得後2年目の処理が問われた場合は、まず1年目の連結修正仕訳を考えます。次に、1年目の連結修正仕訳を踏まえて2年目の開始仕訳を考え、さらに2年目の連結修正仕訳を考えていきましょう。

 なお、連結精算表は必ず損益計算書→株主資本等変動計算書→貸借対照表の順番に金額を埋めていきます。連結修正仕訳もパターンが決まっているので、仕訳時に勘定科目がすぐに出てこない方は、割り切って暗記してしまいましょう。

連結会計の対策について

 仮に11月の試験で連結会計が出題される場合、どんなに難しくてもこれぐらいのレベルだと思います。

 本問を完ぺきにしておけば連結会計の対策はバッチリなので、何度も繰り返し解いて解き方をマスターしておきましょう。


 第3問は、財務諸表(貸借対照表)の作成問題です。

 決算整理事項その他5の「売上原価の算定」は、46ページの解説では仕訳が紹介されていますが、実際に問題を解くさいには仕訳は不要です。

 以下のような商品ボックスを書いて「期首商品棚卸高・当期商品仕入高・売上原価・期末商品棚卸高・棚卸減耗損・商品評価損・期末実地棚卸高」を把握しましょう。

第3予想・第3問の商品ボックス
第3予想・第3問の商品ボックス

 決算整理事項その他7の「定期預金」は、1年基準による長短分類がポイントです。貸借対照表作成問題では必ずと言っていいほど定期預金・貸付金・借入金の1年基準による長短分類が問われるので、きちんと分類できるように準備しておきましょう。

  • 定期預金
    • 決算日の翌日から起算して1年以内に満期日が到来するもの:現金預金など(流動資産)
    • 決算日の翌日から起算して1年を超えて満期日が到来するもの:長期性預金(固定資産)
  • 貸付金
    • 決算日の翌日から起算して1年以内に返済日が到来するもの:短期貸付金(流動資産)
    • 決算日の翌日から起算して1年を超えて返済日が到来するもの:長期貸付金(固定資産)
  • 借入金
    • 決算日の翌日から起算して1年以内に返済日が到来するもの:短期借入金(流動負債)
    • 決算日の翌日から起算して1年を超えて返済日が到来するもの:長期借入金(固定負債)

 決算整理事項その他9の「保険料の繰延べ」は、1年基準による長短分類がポイントです。

  • 保険料
    • 当期に属する分:保険料(費用処理)
    • 決算日の翌日から起算して1年以内のもの:前払費用(流動資産)
    • 決算日の翌日から起算して1年を超えるもの:長期前払費用(固定資産)
  • 本問に当てはめると…
    • 平成28年12月1日から平成29年3月31日までの4か月分:保険料(費用処理)
    • 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの12か月分:前払費用(流動資産)
    • 平成30年4月1日から平成31年11月30日までの20か月分:長期前払費用(固定資産)

未払法人税等・繰越利益剰余金について

 本問は法人税等の金額が与えられていないので、税引前当期純利益の金額を自分で計算する必要があります。

 計算方法は「貸借対照表の貸借差額と1次方程式を使って税引前当期純利益を計算する方法」と「損益計算書を作って税引前当期純利益を計算する方法」の2つがあるので、どちらで計算しても構いません。

 ただ、いずれの方法にしても決算整理事項その他の処理が1つでも間違っていると正しい税引前当期純利益の金額を算定することは出来ないので、貸借対照表の未払法人税等・繰越利益剰余金の金額は、基本的には捨て問になります。

 以下の解説は参考までにご確認ください。

貸借対照表の貸借差額と1次方程式を使って税引前当期純利益を計算する方法

 まず、答案用紙の貸借対照表の未払法人税等と繰越利益剰余金以外の金額を全て埋めて、貸借差額を計算します。

  • 借方合計:6,861,720円
  • 貸方合計:5,601,720円
  • 貸借差額:1,260,000円(=未払法人税等と繰越利益剰余金の合計金額)

 次に、税引前当期純利益の金額をXと置いて「未払法人税等+繰越利益剰余金=1,260,000円」という1次方程式を作ります。

  • 未払法人税等=税引前当期純利益×30%=0.3X
  • 繰越利益剰余金=決算整理前残高試算表の繰越利益剰余金+当期純利益=720,000円+0.7X
  • 0.3X+(720,000円+0.7X)=1,260,000円

 上記の1次方程式を計算すると「X=540,000円」になるので、その30%分の162,000円を未払法人税等として計上し、さらに70%分の378,000円に決算整理前残高試算表の繰越利益剰余金720,000円を足した金額1,098,000円を繰越利益剰余金として計上します。

損益計算書を作って税引前当期純利益を計算する方法

 解説48ページで紹介されている損益計算書を下書用紙に書いて、税引前当期純利益を計算することも出来ます。ただ、これもかなり難度が高いので現実的とは思えません…。

 上にも書きましたが、貸借対照表の未払法人税等・繰越利益剰余金の計算は「労多くして功少なし」の典型例なので、時間に余裕が無い場合は思い切って捨ててください。

解答時のちょっとしたテクニック

 全体的な解答の流れとしては、まず資料Ⅱの決算整理事項その他の仕訳を下書きし、答案用紙の貸借対照表を完成させる形が一般的かと思いますが、下書きが完成した時点で損益計算書に関する勘定科目には打ち消し線を引いて集計から除外しましょう。

 本問は貸借対照表を作成する問題なので、損益計算書に関する勘定科目の増減は関係ありません。貸借対照表に関する勘定科目のみを効率よく集計するために、また集計漏れを防ぐために、集計作業に先立って損益計算書に関する勘定科目を除外しておくことをおすすめします。


 第4問は、費目別計算に関する問題です。

 材料勘定は、主要材料・部品(AとB)・消耗品Cを全て合算して処理します。製造間接費は実際配賦額と予定配賦額との差額を配賦差異として処理します。


 第5問は、標準原価計算に関する問題です。

 毎度おなじみのシュラッター図を下書きして金額を求めるだけです。なお、問4のように能率差異を変動費のみで計算する場合は、能率差異の固定費部分は操業度差異に含めて処理します。

★第3予想の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
普通 普通 普通 普通 簡単
5分 15分 25分 35分 20分 10分 10分

第4予想

 第1問は、仕訳問題5問です。

 問1の配当金の処理は、過去問類似問題です。源泉所得税を仮払法人税等で処理する点、480,000円が控除後の金額である点、の2点に気をつけましょう。

 問2の企業合併は、千葉商会の資産および負債を時価で承継する点がポイントです。

 問3の固定資産の滅失は、火災の発生によって資産が焼失した場合、焼失時の帳簿価額を未決算に振り替えます。本問の場合、車両の帳簿価額216,000円を未決算勘定に振り替えます。

車両の帳簿価額216,000円=取得原価900,000円-焼失時の減価償却累計額576,000円-当期の減価償却費108,000円

仕訳①
(借)減価償却費 108,000
(借)未決算 216,000
 (貸)車両運搬具 324,000

 ここで、上記の未決算の金額と保険契約締結時の保険金額との差額を考えてみましょう。未決算の金額が216,000円なのに対して、契約どおり保険金が全額支払われたとしても手元に入ってくるお金は180,000円です。

 つまり、車両が焼失した時点で36,000円の損失が確定するので、保守主義の観点(費用の認識はなるべく早く、収益の認識はなるべく遅くという考え方)から、保険金の支払金額の確定を待たずに、差額の36,000円を火災損失で処理します。

仕訳②
(借)火災損失 36,000
 (貸)未決算 36,000

 最後に、上記の①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

 受験簿記では、ほとんどの場合「未決算の金額保険契約締結時の保険金額」になりますが、この場合は仕訳の貸借差額を未決算で処理すればOKです。

 ただ、本問のように「未決算の金額保険契約締結時の保険金額」となる場合は、未決算を計上するタイミングで、未決算の金額と保険契約締結時の保険金額との差額を損失として処理します。

 出題可能性は低いものの過去に出題されたことのある論点なので(第108回試験の問3)、この手の問題を解くさいは念のために金額の大小をチェックするクセを付けておきましょう。

 問4の剰余金の配当・処分は、準備金の10分の1規定と4分の1規定の金額を計算し、どちらか小さい方の金額を配当額で按分します。10分の1規定を忘れてしまう方が多いのでご注意ください。

 問5の有価証券の購入は、問題文に「追加で30%を取得し取引先に対する影響力を行使できるようになった」とあるので、その他有価証券を関会社株式に振り替えます。うっかり関会社株式にしないように気をつけましょう。


 第2問は、商品売買に関する勘定記入問題です。

 取引ひとつひとつの難度はそれほど高くないものの、処理すべき「量」が多いため解くのがしんどい問題です。

 問題の注意事項2に「販売のつど売上原価勘定に振り替える方法を採用している」とあるので、仕入時には商品勘定を使って処理し、売上時には原価相当額を売上原価勘定に振り替えます。

参考・仕入時
(借)商品 ×××
 (貸)現金など ×××
参考・売上時
(借)売上原価 ×××
 (貸)商品 ×××

 具体的な解答手順は…問題資料を元に4月中の取引を仕訳するとともに、解説62ページで紹介されているような商品ボックスを書いて、商品の流れを常に把握する必要があります(※売上の都度、売上原価に振り替える必要があるため)。

 なお、問2で当月の売上高・売上原価の金額が問われていますが、問題の注意事項3に「棚卸減耗損および商品評価損はいずれも売上原価に算入する」とあるので、この2つの金額を売上原価に含める必要があります。うーん、この処理はかなり難しいです。


 第3問は、サービス業に関する財務諸表(損益計算書)の作成問題です。

 次に損益計算書の作成問題が出題される場合、本問のようなサービス業の問題になる可能性が高いと言われているので、本問を使って役務収益・役務原価の処理をきちんと押さえておきましょう。。

 決算整理事項等2の「役務収益・役務原価」は、3月中に請求(売上計上)したものについて仕掛品から役務原価に振り替えるとともに、4月以降に請求(売上計上)するものについて役務原価から仕掛品に振り替えます。

 さらに、決算整理事項等3では、計上漏れとなっている役務収益および役務原価を計上します。

 決算整理事項等7の「ソフトウェア」は、旧ソフトウェアと新ソフトウェアに分けて償却額および除却額を求めましょう。


 第4問は、本社工場会計に関する仕訳問題です。

 本問は、工場で設定されていない勘定(買掛金・現金など)を本社勘定に置き換えて解答するのがポイントです。

 特に難しい処理はありませんが、素材の払出単価を計算するさいには、(1)の引取運賃120,000円を考慮し忘れないように気をつけてください。うっかり忘れるとどえらいことになります…。


 第5問は、直接原価計算(全部原価計算)に関する問題です。

 直接原価計算と全部原価計算の営業利益に関しては、固定加工費の取り扱いがポイントになります。

 直接原価計算の場合、固定加工費を製品原価に集計せずに期間原価として処理します。一方、全部原価計算の場合は固定加工費を製品原価に集計します。

 この違いにより、直接原価計算の営業利益と全部原価計算の営業利益は、期首・期末に含まれる固定加工費の分だけ金額がズレます。

部原価計算による営業利益-接原価計算による営業利益=期製品に含まれる固定加工費の金額-期製品に含まれる固定加工費の金額

 なお、この関係式には「全直末首(ぜんちょくまっしゅ)」という便利な語呂がありますので、この機会に語呂をしっかり押さえておきましょう。

★第4予想の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
難しい 難しい 普通 簡単 普通
5分 15分 35分 30分 10分 15分 10分

ウラ予想

 第1問は、仕訳問題5問です。

 問1の消費税は、税込の仕入金額を税抜に直して、消費税分を仮払消費税で処理します。

 問2の不渡手形は、倉庫の売却時に受け取った手形なので営業外受取手形で処理します。うっかり受取手形で処理しないように気をつけましょう。

 問3の商品保証は、修理費についてまずは商品保証引当金を取崩し、残額を修理費で処理します。

 問4の売上割引は、0.2%の割引額を計算するだけです。また、問5の電子記録債務は、買掛金を電子記録債務に振り替えるだけです。


 第2問は、株主資本等変動計算書の作成問題です。

 本問は、株主資本等変動計算書の「金額を記入すべき箇所」に最初からカッコが付いているので難度は高くないですが、次に本試験で出題される場合はこのカッコがない可能性もあります。

 復習時にはどの箇所になんの金額が入るのかきちんと押さえておきましょう。

 6月25日の剰余金の配当にあたっては、10分の1規定および4分の1規定のチェックを忘れないように気をつけてください。

 本問は繰越利益剰余金とその他資本剰余金を配当財源としているので、準備金の要積立額は配当財源の金額比で按分しましょう。

 また、その他有価証券の評価替えに関しては、株主資本等変動計算書に「株主資本以外の項目の当期変動額(純額」とあるので、当期首の90に加減する形で金額を調整します。

 なお、本問は問題文に「減少については金額の前に△にて示すこと」という指示があるので、△マークの付け忘れにご注意ください(※付け忘れた場合は金額が合っていても不正解になります)。


 第3問は、精算表の作成問題です。

 決算整理事項1の「外貨建取引」は、評価替えの金額が貸倒引当金の設定対象になります。考慮し忘れないように気をつけましょう。

 決算整理事項9の「のれんの償却」は、前期末までに2年分(平成26年4月1日~平成28年3月31日)を償却済みなので、残りの8年間で均等償却します。うっかり10年で割らないように気をつけましょう。

 余裕がある方は…解説63・64ページに載っている損益計算書や、解説85・86ページに載っている損益計算書と貸借対照表も作ってみましょう。


 第4問は、部門別原価計算に関する問題です。

 問1の年間予算部門別配賦表は、(本試験では)合計欄にも配点がある可能性があるので、金額をきちんと埋めましょう(※11,250,000で上下を挟まれた1,560,000・900,000・1,320,000の部分です)。

 また、答案用紙の部門費は「工場事務部費」「修繕部費」「動力部費」の順番に並んでいますが、「動力部費」と「工場事務部費」を逆に書いてしまう方が結構います。工業簿記のケアレスミスは命取りになることが多いので、間違えないように必ずチェックしましょう。


 第5問は、等級別総合原価計算に関する問題です。

 B原料は工程を通じて平均的に投入されているので、商品ボックス内の個数は加工費と同じになります。本問はこの処理が一番のポイントになります。

 なお、一番最後に等級製品S改定の完成品単位原価が問われていますが、按分後の完成品総合原価を完成品数量の1,200個で割って求めましょう。うっかり積数の960個で割ってしまう方が必ずいるので、じゅうぶんご注意ください。

★ウラ予想の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
簡単 簡単 普通 簡単 簡単
5分 10分 25分 40分 15分 15分 10分

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仕訳問題に関するQ&A

自分の解答と模範解答の勘定科目の上下が逆になっていました。不正解になりますか?
 仕訳は上下が逆になっていても正解です。

 本書ですと…例えば、第1予想の問1の模範解答では営業外支払手形・未払金・現金・建設仮勘定の順番に並んでいますが、この4つは上下が入れ替わっても構いません。他の問題も同様です。

勘定科目の漢字を間違えた場合、部分点はもらえますか?
 部分点はもらえません。

 勘定科目の漢字を間違えた場合は不正解になりますので、ケアレスミスにご注意ください。また、問題に列挙されていない勘定科目を使って解答した場合も不正解になります。

金額にカンマを付けないと不正解になりますか?
 不正解にはなりません。

 ただ、実務においてカンマを付けるのは当たり前のことですし、省略したからといって解答時間の短縮にはなりません。それどころか、見直しの時に見にくいだけです。

 このようにカンマを付けないメリットはなにもありませんので、金額には必ずカンマを付けましょう。

管理人さんの仕訳問題の解き方を教えてください。
 私はまず、問題に列挙されている勘定科目群に線を入れて「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」「その他」などに分けて見やすくします。そのさいに気になる勘定科目があったらマルで囲んで目立たせておきます。

 次に、問題文を読んで重要そうなところにアンダーラインを入れます。

 上記の準備をしたうえで解答仕訳を考えますが、答案用紙にいきなり仕訳を書くのではなく、まずは問題用紙の余白部分に仕訳をメモ書きして勘定科目のチェックをしてから答案用紙に書きます。

 ひと手間を加えるだけでケアレスミスをなくすことができますので、ぜひ参考にしてください。