書籍概要

  1. 第143回をあてるTAC直前予想 日商簿記2級

    価格 4.0
    内容 4.5
    人気 5.0
    教材種別:
    予想問題集
    出版社:
    TAC出版
    問題数:
    4回分
    ページ数:
    226ページ
    サイズ:
    29.7 × 21 × 2 cm
    価格:
    1,400円(税別)

     第143回日商簿記検定2級対策用の予想問題集です。4回分の試験問題の他に、切り離して使える仕訳カード(全40問)が収載されています。

     また、第143回試験の大問別の出題予想(第1予想~第3予想+プラスワン予想)、集中学習論点シート、過去の出題傾向と対策、繰り返しシートなど…独学者にとって有益な情報も多数掲載されています。

    管理人のレビュー

     TACの予想問題集の一番のウリは「解説が充実している」点です。「合格る(うかる)タイムライン」では時間配分や各問題ごとの解答ポイントが分かりやすくまとめられていますし、「合格る(うかる)下書用紙」では、各問題の下書きの書き方が数ページにわたって詳細にまとめられています。解説がここまで詳しい予想問題集は他にありません。

     また、全ての問題について「解き方レクチャー」という解説動画が用意されています。面倒な会員登録等は不要で、プロ講師による解説講義をYouTubeで気軽に観ることができるので、独学受験生にとっては嬉しいサービスだと思います。

    合格るタイムライン&合格る下書用紙
    合格るタイムライン&合格る下書用紙

    解き方レクチャーの案内
    解き方レクチャーの案内

     第142回試験の的中実績や新出題区分の情報、第143回試験の出題予想なども掲載されています。また、問題用紙と答案用紙はこんな感じで綴じられているので、水色の紙を残してグッと引き抜くと取り外すことができます。

    前回の的中実績はこんな感じです
    前回の的中実績はこんな感じです

    新出題区分の情報と出題予想
    新出題区分の情報と出題予想

    こんな感じで取り外します
    こんな感じで取り外します

    計算用紙も付いています
    計算用紙も付いています

     実際に全ての問題を解いてみたんですが、商業簿記(第1問~第3問)はかなり難しいです。特に第1予想・第2予想の第2問は、作問する側の私も難しく感じたので、1回転目で思うように点数が取れなくても落ち込む必要はありません。2回転目で目標点が取れるように、きちんと復習しておきましょう。

     一方、工業簿記(第4問・第5問)は、いずれも基本的な問題ばかりです。1回転目で目標点が取れなかった方は、危機感を持って復習に力を入れてください。なお、2回転目では「40点満点を取る」ではなく、「短い解答時間で40点満点を取る」ことを目標にしましょう。

     仕訳カードには「左上のリングを通す部分」や「各仕訳カードの境界線」にミシン目加工が入っているので、簡単にカードを切り離してリング穴を作ることができます。紙質もしっかりしているので使いやすいと思います。

    仕訳カード1
    最初はこんな状態です

    仕訳カード2
    本体から切り離します

    仕訳カード3
    重要度別に色分けされています

    仕訳カード4
    裏面はこんな感じです

    仕訳カード5
    完成するとこんな感じです

     価格(税抜)は、NSの予想問題集と同額の1,400円です(※第142回試験まではTAC、NSだけでなく成美堂も予想問題集を出版していましたが、諸事情により今回は出版されないそうです)

     TAC・NSともに直販サイトで教材を10%オフで購入することができますが、NSは注文金額合計が1,500円以下の場合は410円の送料がかかってしまうのに対し、TACは注文金額に関係なく1冊でも送料無料なので、本書の実質的な購入価格で考えるとTACに軍配が上がります。

    直販で購入(10%オフ)

    Amazonで購入(定価)

    楽天ブックスで購入(定価)

管理人が実際に問題を解いてみました!

第1予想

 第1問の問4・問5は日商が公表しているサンプル問題の類題です。問4の利息分については、購入時に費用処理しておいて決算時に未経過分を振り替える方法もあります。参考までにご確認ください。

参考1・購入時に利息を費用処理する方法
(借)車両運搬具 240,000
(借)支払利息 10,000
 (貸)営業外支払手形 250,000
参考2・決算時に未経過分の手形が1枚ある場合の仕訳
(借)前払費用 2,000
 (貸)支払利息 2,000

 問5は、検収基準(得意先が商品の数量や状態を確認した時に売上を計上する)の処理がポイントになります。出荷基準(当社が商品を出荷した時に売上を計上する)・引渡基準(得意先が商品を受け取った時に売上を計上する)との違いをきちんと押さえておきましょう。

 第2問は、固定資産の勘定記入に関する問題ですが、推定しなければいけない取得原価・減価償却累計額・償却率等がたくさんあり、期中の各処理もかなり難度が高いので、初見ではなかなか点数が取れないと思います。

 建物に関しては、資本的支出と認められた空調設備の減価償却がポイントです。問題文に「残存耐用年数(月割計算)により減価償却する」という指示があるので、残存耐用年数9年9か月(=117か月)を求めたうえで、当期の9か月分の減価償却費の金額を計算します。この処理はかなり難しいです…。

 車両に関しては、割戻額60,000円の処理がポイントになりますが、取得原価から減額するだけなので特に問題ないと思います。

 備品に関しては、B備品の減価償却方法が200%定率法になっていて、しかも償却率が「各自算定」となっているので、「1÷耐用年数×2」という計算式に当てはめて償却率を求めましょう。この計算式はきちんと覚えておいてくださいね。

 第3問は損益計算書の作成問題です。「質」「量」ともに過去問レベルの問題だと思いますが、貸倒引当金繰入の計上場所に気をつけてください。

 受取手形・売掛金・クレジット売掛金・電子記録債権などの売上債権にかかる貸倒引当金繰入は「販売費及び一般管理費」の欄に計上しますが、貸付金等の営業外債権にかかる貸倒引当金繰入は「営業外費用」の欄に計上します。

 第4問は簡単なので特に問題ないと思います。こういう問題を取りこぼすと合格が厳しくなりますので、ケアレスミスには十分気をつけてください。

 第5問も簡単なので特に問題ないと思いますが、全部原価計算と直接原価計算の営業利益の関係は、「ぜんちょくまっしゅ(全直末首)」という謎の語呂で覚えてしまいましょう。

  • 部原価計算の営業利益-接原価計算の営業利益=期仕掛品・製品に含まれる固定製造間接費の金額-期仕掛品・製品に含まれる固定製造間接費の金額

または

  • 部原価計算の営業利益=接原価計算の営業利益+期仕掛品・製品に含まれる固定製造間接費の金額-期仕掛品・製品に含まれる固定製造間接費の金額
★第1予想の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
普通 難しい 普通 簡単 簡単
5分 10分 35分 35分 15分 10分 10分

第2予想

 第1問の問4・問5は日商が公表しているサンプル問題の類題です。問4の電子記録債権・債務については、問題文に「取引銀行を通して債務の発生記録を行った」とあるので、買掛金勘定を電子記録債務勘定に振り替えます。

(借)買掛金 100,000
 (貸)電子記録債務 100,000

 なお、仮に問題文の指示が「取引銀行を通して電子記録債権の譲渡記録を行った」という場合は、買掛金勘定と電子記録債権勘定を相殺する仕訳を切ります。本問の処理とあわせてご確認ください。

(借)買掛金 100,000
 (貸)電子記録債権 100,000

 問5は、役務収益・役務原価の処理を問う問題です。役務収益の発生に先立って役務原価が発生した場合、通常は仕掛品勘定でいったん処理しておいて、役務収益の発生のタイミングで仕掛品勘定を役務原価勘定に振り替えます。

 ただ、本問のように役務原価と役務収益が同じタイミングで発生する場合は、仕掛品勘定を経由せずに役務収益勘定・役務原価勘定でダイレクトに処理します。

 第2問は有価証券に関する問題です。基本的には、売買目的有価証券・満期保有目的債券・その他有価証券・子会社株式の基本的な処理が問われていますが、丙国債のB/S表示の部分はかなり難しいと思います。

 通常、満期保有目的債券は貸借対照表の固定資産に計上される投資有価証券勘定に含めて表示しますが、本問のように決算日の翌日から起算して1年以内に満期日が到来する場合は、(一年基準の適用により)流動資産に計上される有価証券勘定に含めて表示します。

 第3問は貸借対照表の作成問題です。本問は、貸倒引当金の個別評価・一括評価と返品未処理分の処理の2点がポイントになります。

 第142回試験までは回収可能性に関係なく、売上債権を一括評価して貸倒引当金を設定していましたが、第143回試験からは回収可能性を加味して貸倒引当金を設定することになりました。

 具体的には…回収可能性の低い債権は個別に評価して貸倒引当金を設定し、残りの回収可能性に問題のない債権は今までどおり一括評価して貸倒引当金を設定します。金額を計算するさいは「個別評価すべき分」と「一括評価すべき分」をきちんと分けて考えましょう

  • 個別評価する場合の貸倒引当金の計算式:(債権の期末残高-担保処分見込額)×貸倒設定率
  • 一括評価する場合の貸倒引当金の計算式:債権の期末残高合計×貸倒設定率

 返品未処理分に関しては、資料Ⅱの決算整理事項等の3.の「この返品未処理分の商品の正味売却価額は4,800円であった」という指示がポイントです。原価との差額3,200円(=8,000円-4,800円)は、商品評価損勘定で処理します。この処理はかなり難しいです…。

 なお、答案用紙の繰越利益剰余金の金額は、損益計算書を自作して「決算整理前の繰越利益剰余金+当期純利益」を計算するか、貸借対照表の貸借差額で計算する必要があります。ただ、決算整理事項等の処理をひとつでも間違えると金額が合わなくなるので、ここは最初から捨ててしまっても良いと思います。

 第4問は、問2の内部材料副費の処理が少し難しかったかもしれませんが、答案用紙のB材料勘定・内部材料副費勘定の勘定科目が最初から埋まっているので、それをヒントに金額を計算するだけです。なお、復習するさいには、解説50ページの勘定連絡図を見ながら各問題の処理を考えると分かりやすいと思います。

 第5問は等級別総合原価計算の簡単な問題です。本問の仕損品には処分価値があるので、直接材料費の完成品総合原価および月末仕掛品原価を計算するさいに、実際消費額2,375,000円から処分価値50,000円(=@200円×250個)を控除します。

★第2予想の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
普通 難しい 難しい 普通 簡単
5分 10分 25分 30分 25分 15分 10分

第3予想

 第1問は、問3の勘定科目に気をつけてください。第142回試験までは未収金が主要勘定でしたが、第143回試験からは未収入金が主要勘定になります。

 第2問は現金預金に関する問題です。「質」「量」ともに過去問レベルの問題なので、短い解答時間で20点満点を取らなけれないけない問題です。

 問1では「簿記上の現金」が問われていますが、郵便為替証書や期限到来済みの公社債の利札以外にも以下のようなものがあります。解説65ページの「現金の範囲」とあわせて、参考までにご確認ください。

  • 硬貨・紙幣
  • 他人振出小切手
  • 郵便為替証書
  • 送金小切手
  • 株式配当金領収書
  • 期限到来済みの公社債の利札

 なお、問2(2)の決算整理後の当座預金の金額は、(1)の銀行勘定調整表(両者区分調整表)から計算するのは難しいので、当座預金勘定残高484,000円に①③⑤の仕訳を加味して計算しましょう(②④は仕訳なし)。

 第3問は損益計算書の作成問題です。いつもの「売上」「仕入(売上原価)」の部分が「役務収益」「役務原価」になっているのでなんとなく難しそうに見えますが、基本的な考え方は同じなので処理自体は問題ないと思います。

 また、第1予想の損益計算書の作成問題にも出てきましたが、資料Ⅱの決算整理事項の3.で計上する貸倒引当金繰入の場所に気をつけてください。

 受取手形・売掛金・クレジット売掛金・電子記録債権などの売上債権にかかる貸倒引当金繰入は「販売費及び一般管理費」の欄に計上しますが、貸付金等の営業外債権にかかる貸倒引当金繰入は「営業外費用」の欄に計上します。

 なお、決算整理事項の5.のソフトウェアは、今回から新しく試験範囲になった論点です。本問は、償却方法に関する指示がないので、償却額の計算にあたって「月割り」なのか「年割り」なのか迷った方がいらっしゃるかもしれませんが、特に指示がなくても月割りで償却額を計算しましょう。

 第4問は費目別計算の問題です。各費用を適切に分類できるかどうかがカギになりますが、中でもよく間違えやすいのが棚卸減耗損特許権使用料です。棚卸減耗損は間接材料費ではなく間接経費として処理し、特許権使用料は外注加工賃とともに直接経費として処理します。

 答案用紙の製造原価報告書から損益計算書への流れがイマイチ理解できていない方は、解説74ページの勘定連絡図を使って勘定の流れを今一度確認しておきましょう。本問を理解するうえでとても大事な図です。

 第5問は工程別総合原価計算の問題です。非常に簡単な問題なので特に解説することはありませんが、過去の本試験では、第1工程完了品(本問の場合は570個)のすべてではなく一部のみを第2工程に振り替える問題が出題されたことがあります。

 よって、工程別総合原価計算の問題を解くさいには、第1工程から第2工程に振り替えられる個数のチェックを忘れないようにしてください。

★第3予想の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
簡単 簡単 普通 普通 簡単
5分 10分 20分 35分 25分 15分 10分

プラスワン予想

 第1問の問4は、88ページの解説のように「手数料の立て替えに関する仕訳」と「買掛金の支払いに関する仕訳」の2つに分けて考えると分かりやすいです。

 第2問は株主資本等変動計算書に関する問題ですが、記入すべき金額欄にカッコが付いていないので、過去に本試験で出題された問題(第138回・第142回)に比べると難度は高くなっています。

 ここ最近の出題パターンを考えますと…次に出題される場合は本問のように金額欄にカッコが付かない可能性も十分に考えられます。カッコがなくても解答できるように、本問を使って準備しておきましょう。

 なお、11月1日の資本準備金・その他資本剰余金の資本組入は今回から新たに試験範囲になった論点ですが、仕訳自体は資本準備金・その他資本剰余金勘定を資本金勘定に振り替えるだけなので簡単です。

 また、12月1日の吸収合併に関しては、承継する資産・負債を帳簿価額ではなく時価で引き継ぐ点がポイントになります。そのうえで、引き継いだ資産・負債の貸借差額と新たに交付した株式の金額との差額をのれん勘定で処理します。

 第3問は精算表の作成問題です。本問の一番のポイントは、売上原価対立法による商品売買の処理です。売上原価対立法は、商品仕入時に商品勘定で処理しておいて、売上の都度、商品勘定を売上原価勘定に振り替える方法です。期中において、常に売上原価の金額を把握できるというメリットがあります。

参考・売上原価対立法による場合の仕入時の仕訳
(借)商品 *****
 (貸)買掛金など *****
参考・売上原価対立法による場合の販売時の仕訳
(借)売掛金など *****
 (貸)売上 *****
(借)売上原価 *****
 (貸)商品 *****

 なお、決算整理前の未処理事項等2.で備品代金の一部前払額を建設仮勘定で処理していますが…備品でも建設仮勘定で処理できるんですね!(初めて知りました)

 「建物の代金を前払いした時は建設仮勘定でいいんだろうけど、建物以外の代金を前払いした場合、どの勘定科目を使うんだろう…」と思っていたので、モヤモヤが解消できて良かったです(超個人的感想)

 第4問は部門別原価計算の問題です。超簡単な問題なので、絶対に取りこぼしてはいけません。

 第5問は面白い形の直接原価計算の問題です。第1予想の第5問のところにも書きましたが、全部原価計算と直接原価計算の営業利益の関係は、「ぜんちょくまっしゅ(全直末首)」という謎の語呂で覚えてしまいましょう。

  • 部原価計算の営業利益-接原価計算の営業利益=期仕掛品・製品に含まれる固定製造間接費の金額-期仕掛品・製品に含まれる固定製造間接費の金額

または

  • 部原価計算の営業利益=接原価計算の営業利益+期仕掛品・製品に含まれる固定製造間接費の金額-期仕掛品・製品に含まれる固定製造間接費の金額
★プラスワン予想の「各問題の難度」と「解答時間の目安」
準備 第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 見直し
普通 難しい 難しい 簡単 簡単
5分 10分 30分 35分 10分 20分 10分

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