第151回日商簿記検定2級 第3問(連結精算表)の過去問分析

第3問 作問者ハンパないって!もうハンパないって!こんなん解けへんやん普通…。

第3問の難度アンケート結果

 第3問は【連結精算表】の作成問題でした。

 子会社が2つ、売上だけじゃなくて役務収益もある、子会社間取引、利息の未計上、期首商品の未実現利益の調整、科目の振り替え…これはもう簿記2級史上、過去最高難度の問題と言っても過言ではないです。

 本問は、比較的点数の取りやすい「のれんの償却(問題資料1)」「債権債務残高および取引高(問題資料2)」と「非償却性固定資産の未実現利益の消去(問題資料5)」あたりで部分点を積み上げるのが精一杯だと思います。

 具体的には「売掛金」「土地」「のれん」「役務収益」「のれん償却」あたりで、8点~10点ぐらい取れればじゅうぶんです。逆に、難度の高い「利益剰余金」「商品」「販売費及び一般管理費」などは最初から捨ててしまって構いません。

 難易度アンケートでも、90%以上の受験生が「かなり難しかった」と回答しています。アンケート結果の偏りが、本問の衝撃をリアルに表していると思います。

 なお、巷で話題になっている問題文の「×4年度(×3年4月1日から×4年3月31日まで)」については、日本商工会議所から説明がありました。この年度表記は欧米の一部の企業で使われているもので、受験生に配慮するためにこの形にした、とのことです。

P社とS1社にかかる連結修正仕訳

連結会計のタイムテーブル
連結会計のタイムテーブル

 まず、私が解答するさいに下書きしたタイムテーブルをご紹介します。

 Sは資本金、SJは資本剰余金、RJは利益剰余金の略語です。このような下書きを書いて、以下の開始仕訳を導き出しましょう。

 なお、答案用紙の連結財務諸表の「のれん」「のれん償却」「非支配株主持分」「非支配株主に帰属する当期純利益」は、以下で紹介する仕訳を積み上げなくても、このタイムテーブル上のデータだけで金額を求めることができます。参考までに各金額をご確認ください。

  • のれん:20,800千円
  • のれん償却:1,300千円
  • 非支配株主持分:36,000千円+10,976千円+5,624千円=52,600千円
  • 非支配株主に帰属する当期純利益:5,624千円

開始仕訳

(借)資本金 120,000
(借)資本剰余金 30,000
(借)利益剰余金 44,876 ※1
(借)のれん 22,100 ※2
 (貸)子会社株式 170,000
 (貸)非支配株主持分 46,976 ※3

※1 30,000千円+10,976千円+3,900千円=44,876千円

※2 26,000千円-3,900千円=22,100千円

※3 36,000千円+10,976千円=46,976千円

 資本金資本剰余金子会社株式の3つに関しては、タイムテーブルから金額を引っぱってくるだけです。

 利益剰余金に関しては、まず先に前期末の利益剰余金を求めましょう。

 P社の支配獲得後、S1社は配当を行っていないため「前期末の利益剰余金+当期純利益=当期末の利益剰余金」という計算式が成り立ちます。

 答案用紙のS1社の個別財務諸表の利益剰余金(113,000千円)から当期純利益(28,120千円)を差し引いて、前期末の利益剰余金(84,880千円)を求めましょう。

 あとは、「3年分の当期純利益のうち非支配株主に帰属する20%分」と「3年分ののれん償却額」を加算するだけです。タイムテーブルから簡単に金額を拾うことができます。

  • 3年分の当期純利益のうち非支配株主に帰属する20%分:(84,880千円-30,000千円)×20%=10,976千円
  • 3年分ののれん償却額:26,000千円×3年/20年=3,900千円

 非支配株主持分に関しては、「3年分の当期純利益のうち非支配株主に帰属する20%分」と支配獲得時に計上した36,000千円の合計額になります。こちらもタイムテーブルから簡単に金額を拾うことができます。

のれん償却

(借)のれん償却 1,300 ※4
 (貸)のれん 1,300

※4 26,000千円÷20年=1,300千円

 1年分ののれんを償却します。ここは連結の基本知識だけで解けるところなので、絶対に落としてはいけません。

当期純利益の振り替え

(借)非支配株主に帰属する当期純利益 5,624 ※5
 (貸)非支配株主持分 5,624

※5 28,120千円×20%=5,624千円

 S1社の当期純利益のうち、非支配株主に帰属する20%分を非支配株主持分に振り替えます。上ののれんと同様に、ここは基本知識だけで解けるところです。絶対に落としてはいけません。

取引高・債権債務の相殺消去

(借)買掛金 160,000
 (貸)売掛金 160,000
(借)借入金 100,000
 (貸)貸付金 100,000
(借)未払金 8,000
 (貸)未収入金 8,000
(借)売上高 660,000
 (貸)売上原価 660,000
(借)受取利息 1,500
 (貸)支払利息 1,500

 問題資料2の金額をそのままひっぱってきましょう。この辺りで部分点を積み上げたいところです。

商品に含まれる未実現利益の消去

 問題資料3で、期首商品・期末商品に含まれる未実現利益に関するデータが与えられています。本問はP社→S1社なので、ダウンストリームの処理を行います。

 本問は、先に期末商品の未実現利益にかかる仕訳から考えましょう。未実現利益の金額を計算したうえで、(期末)商品から差し引くとともに売上原価を増やしましょう。

期末商品に含まれる未実現利益:150,000千円×30%=45,000千円

売上原価を増やす理由が分からない方は、売上原価の算定式(または商品ボックス図)をイメージしてください。期末商品棚卸高が小さくなると、その分だけ売上原価が大きくなります。

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

売上原価(+45,000円)=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高(▲45,000)

期末商品の未実現利益の消去
(借)売上原価 45,000 ※6
 (貸)商品 45,000

※6 150,000千円×30%=45,000千円


 一方、期首商品の未実現利益にかかる仕訳に関しては、前期末に行った未実現利益を消去する仕訳+その逆仕訳を合算します。

 逆仕訳をする理由は…前期末の商品は当期中に販売されたと考えられるため、「前期末に行った未実現利益を消去する仕訳」を取り消す必要があるからです。また、前期末に行った仕訳の売上原価(損益項目)は、利益剰余金で処理します。

期首商品に含まれる未実現利益:120,000千円×30%=36,000千円

期首商品の未実現利益の消去
(借)利益剰余金 36,000 ※7
 (貸)商品 36,000
(借)商品 36,000
 (貸)売上原価 36,000

※7 120,000千円×30%=36,000千円

P社とS2社にかかる連結修正仕訳

開始仕訳

(借)資本金 100,000
 (貸)子会社株式 100,000

 問題文に「S2社は、P社の100%所有子会社」とあるので、資本金と子会社株式を相殺するだけです。非支配株主持分やのれんは出てきません。

取引高・債権債務の相殺消去

取引高・債権債務の相殺消去①(以下の②③以外)
(借)役務収益 96,000
 (貸)売上原価 96,000
(借)買掛金 25,000
 (貸)売掛金 25,000
(借)借入金 40,000
 (貸)貸付金 40,000
(借)受取利息 1,700
 (貸)支払利息 1,700

 問題資料2の金額をそのままひっぱってくるだけですが、未払利息と受取家賃に関しては単純に相殺消去できません。ひとまず単純に相殺消去できるものだけ処理しましょう。

 また、役務収益と相殺するのは据付費(売上原価)です。うっかり役務原価と相殺しないように気をつけてください。


取引高・債権債務の相殺消去②(未払利息の未計上にかかる処理)
(借)支払利息 500
 (貸)未払費用 500
(借)未払費用 500
 (貸)未収収益 500

 問題資料2に未収収益と未払費用が載っていますが、金額が合わないためそのまま相殺消去することはできません。

 問題文に「S2社では支払利息を支払時に計上していたため、P社に対する既経過の未払利息500千円が未計上となっていた」とあるので、まずはこの既経過の未払利息500千円を正しく処理したうえで、相殺消去の仕訳を考えましょう。


取引高・債権債務の相殺消去③(受取家賃にかかる処理)
(借)賃貸資産受取家賃 2,700
 (貸)販売費及び一般管理費(支払家賃) 2,700
(借)販売費及び一般管理費(減価償却費) 2,250
 (貸)賃貸資産減価償却費 2,250

 1本目の相殺消去の仕訳に関しては、問題資料2の金額をそのままひっぱってくるだけです。

 2本目の仕訳に関しては、まずは問題資料4の「連結財務諸表の作成上で消去仕訳を行った結果によって、費用収益の対応が適切でなくなる場合には、該当する費用を適切な科目に振り替える」という一文をご確認ください。文章が分かりづらいので意訳してみましょう。

 P社の個別の財務諸表では、費用と収益の対応関係を明確にするために、賃貸資産から発生した家賃を「賃貸資産受取家賃」、その家賃の発生源泉となっている減価償却費を「賃貸資産減価償却費」としています。
 ただし、連結修正仕訳により「賃貸資産受取家賃」がゼロになった場合はもう対応させる必要はないから、「賃貸資産減価償却費」を適切な勘定科目に振り替えてくださいね。

 上記の指示に従って、賃貸資産減価償却費を販売費及び一般管理費(減価償却費)に振り替えます。

非償却性固定資産の未実現利益の消去

(借)土地売却益 7,700 ※8
 (貸)土地 7,700

※8 134,000千円-126,300千円=7,700千円

 問題資料5で、非償却性固定資産の未実現利益に関するデータが与えられています。本問はP社→S2社なので、ダウンストリームの処理を行います。

 第148回の第3問でも同様の処理が出題されているため、処理自体は特に問題ないと思います。差額で売却益を計算して相殺消去するだけです。

S1社とS2社にかかる連結修正仕訳

取引高・債権債務の相殺消去

(借)役務収益 84,000
 (貸)売上原価 84,000
(借)買掛金 12,000
 (貸)売掛金 12,000

 最後に、子会社同士の取引高・債権債務の相殺消去を行いますが、問題資料2の金額をそのままひっぱってくるだけです。



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