第150回日商簿記検定2級 第3問(財務諸表)の過去問分析

第3問 非常に簡単な貸借対照表の作成問題。絶対に取りこぼしてはいけません!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は【財務諸表作成問題】でした。

 最近の第3問にしては珍しく、難度・ボリュームともに平均レベル以下の簡単な問題ですので、合格するためには短い解答時間で20点満点を取る必要があります。

 受験生アンケートでも、半数以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。

解答手順

 問題資料Ⅱ・Ⅲの未処理事項・決算整理事項の仕訳を下書きし、答案用紙の貸借対照表を作成しましょう。

未処理事項1

(借)当座預金 6,000
 (貸)償却債権取立益 6,000

 前期以前に貸倒れ処理していた売上債権を回収した場合、償却債権取立益で処理します。

未処理事項2

(借)当座預金 49,800
(借)手形売却損 200
 (貸)受取手形 50,000

 手形の割引に関する仕訳です。

未処理事項3

(借)建物 1,800,000
 (貸)建設仮勘定 1,200,000
 (貸)当座預金 600,000

 建設仮勘定を建物に振り替えるとともに、工事代金の残額の支払いを適切に処理しましょう。

決算整理事項1

(借)貸倒引当金繰入 4,600 ※1
 (貸)貸倒引当金 4,600

※1 (220,000円-50,000円+410,000円)×2%-7,000円=4,600円

 未処理事項2で貸方に計上した受取手形を忘れずに考慮しましょう。

決算整理事項2

(借)仕入 30,000
 (貸)繰越商品 30,000
(借)繰越商品 31,680
 (貸)仕入 31,680
(借)棚卸減耗損 180
(借)商品評価損 1,750
 (貸)繰越商品 1,930

 仕訳は上記のような形になりますが、解答を解くさいには仕訳を考える必要はありません。

 本問は貸借対照表の作成問題なので、解答に必要なのは実地棚卸高のみです。電卓でサクッと実地棚卸高29,750円(=@85円×350個)を計算しましょう。

決算整理事項3

(借)減価償却費 181,800
 (貸)建物減価償却累計額 105,000 ※2
 (貸)備品減価償却累計額 76,800 ※3

※2 3,000,000円÷30年+1,800,000円÷30年×1か月/12か月=105,000円

※3 (600,000円-216,000円)×20%=76,800円

 建物の減価償却費は、旧建物と新建物の金額を別々に計算しましょう。なお、新建物の使用期間は1か月(3月1日~3月31日)です。うっかり1年分を計上しないように気をつけましょう。

  • 旧建物の減価償却費:3,000,000円÷30年=100,000円
  • 新建物の減価償却費:1,800,000円÷30年×1か月/12か月=5,000円
    • 建物の減価償却費:100,000円+5,000円=105,000円

 備品の減価償却費は、問題資料で償却率が与えられていないので「1÷耐用年数×200%」の公式に当てはめて償却率を計算しましょう。

  • 償却率:1÷10年×200%=20%
  • 備品の減価償却費:(600,000円-216,000円)×20%=76,800円

決算整理事項4

(借)満期保有目的債券 2,400 ※4
 (貸)有価証券利息 2,400

※4 (800,000円-788,000円)÷5年=2,400円

 償却原価法を適用して満期保有目的債券の評価替えを行います。なお、本債券は当期首に購入しているので、1年分をまるまる計上します(※月割り計算は不要)。

決算整理事項5

(借)退職給付費用 92,500
 (貸)退職給付引当金 92,500

 退職給付引当金の繰入額は、退職給付費用で処理します。

決算整理事項6

(借)支払利息 5,600 ※5
 (貸)未払利息 5,600

※5 800,000円×1.2%×7か月/12か月=5,600円

 当期に属する7か月分(9月1日~3月31日)の利息を未払い計上しましょう。

決算整理事項7

(借)法人税、住民税及び事業税 125,000
 (貸)仮払法人税等 67,000
 (貸)未払法人税等 58,000 ※6

※6 125,000円-67,000円=58,000円(貸借差額)

 当期の納税額と仮払法人税等との差額を未払法人税等で処理します。

貸借対照表の繰越利益剰余金について

 繰越利益剰余金については、損益計算書を自作して当期純利益を計算し、これに決算整理前残高試算表の金額(100,000円)を加えて計算するか、もしくは答案用紙の貸借対照表の貸借差額で計算するかの2パターンの算定方法が考えられます。

 ただ、限られた解答時間の中で損益計算書を自作するのは現実的ではありませんし、貸借差額で計算する方法も未処理事項や決算整理事項の処理をひとつでも間違えると金額が合わなくなるため、基本的には「捨て問(解かずに捨てるべき問題)」と考えてください。

 解答時間が余った場合にのみ、答案用紙の貸借対照表の貸借差額でサクッと計算しましょう。

解答テクニックと注意事項

 全体的な解答の流れとしては、まず問題資料の未処理事項および決算整理事項の仕訳を下書きし、答案用紙の貸借対照表を完成させる形が一般的ですが、下書きが完成した時点で損益計算書に関する勘定科目には打ち消し線を引いて集計から除外しましょう。

 本問は貸借対照表のみを作成する問題なので、損益計算書に関する勘定科目の増減は関係ありません。貸借対照表に関する勘定科目のみを効率よく集計するために、また集計漏れを防ぐために、集計作業に先立って損益計算書に関する勘定科目を除外しておくことをおすすめします。

 また、貸借対照表の貸倒引当金や減価償却累計額の金額の前には、マイナスを意味する△マークを付けてはいけません(※答案用紙に△マークが付いている場合はそのままでOKです)。

 「実務では△マークを付けても問題ない(というか普通は付ける)から付けてもいい」という意見もありますが、実務と筆記試験は違います。

 筆記試験は模範解答以外は不正解になるため、△マーク等を勝手に付けた場合、金額が合っていても不正解になる可能性が高いです。解答にあたって特段の指示がない場合は、金額だけを記入しましょう。



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