第150回日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 最後の判断に迷うような仕訳問題のオンパレード。かなり厳しい問題です。

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。

 手も足も出ないような難問はなかったものの、問1の外注費・問2の長期前払費用・問4のクレジット手数料など最後の判断に迷うような問題が多く、全て裏目に出てしまうと4点~8点ぐらいしか取れません。

 また、問題に列挙されている勘定科目の数も多く、配置もバラバラになっているため非常に解答しづらかったと思います。本質的な理解とは関係のないところでもひっかけてやろう、という作問者の意図が透けて見えました。

 受験生アンケートでは80%弱の方が「かなり難しかった」「やや難しかった」と回答しており、20点中12点(5問中3問)取れれば御の字の問題だったと思います。

問1 役務収益・役務原価

模範解答
(借)売掛金 300,000
 (貸)役務収益 300,000
(借)役務原価 220,000
 (貸)仕掛品 150,000
 (貸)買掛金 70,000

 役務収益・役務原価に関する問題です。

 本問は【役務収益に関する仕訳】と【役務原価に関する仕訳】に分けて考えましょう。

役務収益に関する仕訳

 問題文の「顧客に対するサービス提供が完了したため、契約額 ¥ 300,000(支払いは翌月末)を収益に計上した」から、貸方に役務収益300,000円を計上すべきことが分かります。

解答①
(借)売掛金 300,000
 (貸)役務収益 300,000

役務原価に関する仕訳

 問題文に「仕掛品に計上されていた諸費用 ¥ 150,000 と追加で発生した外注費 ¥ 70,000(支払いは翌月25日)との合計額を原価に計上した」とあるので、すでに計上している仕掛品を役務原価に振り替えるとともに、追加で発生した外注費を買掛金で処理します。未払金で処理しないように気をつけましょう。

  • 商品販売やサービス提供にかかる未払債務:買掛金
  • 商品販売やサービス提供以外(ex.有価証券や固定資産の取得など)にかかる未払債務:未払金
参考:仕掛品計上時の仕訳
(借)仕掛品 150,000
 (貸)諸費用 150,000
解答②
(借)役務原価 220,000
 (貸)仕掛品 150,000
 (貸)買掛金 70,000

 以上、解答①②をまとめると解答仕訳になります。

問2 固定資産の取得

模範解答
(借)機械装置 2,000,000
(借)構築物 400,000
(借)長期前払費用 240,000 ※2
 (貸)営業外支払手形 2,640,000 ※1

※1 @110,000円×24枚=2,640,000円

※2 2,640,000円-2,000,000円-400,000円=240,000円(貸借差額)

 固定資産の取得に関する問題です。

 固定資産を割賦契約で購入した場合、現金販売価額と支払額合計との差額を前払費用・長期前払費用(資産)支払利息(費用)などで処理します。

 本問は、問題文に「約束手形に含まれる利息相当額については資産勘定で処理すること」という一文があり、問題に列挙されている勘定科目に長期前払費用がある(前払費用がない)ので、差額の240,000円は長期前払費用で処理します。

  • 現金購入価額:2,000,000円+400,000円=2,400,000円
  • 支払額合計:@110,000円×24枚=2,640,000円
  • 差額:2,640,000円-2,400,000円=240,000円

 また、工事代金は手形を振り出して支払っているので、営業外支払手形で処理します。

  • 商品を仕入れたさいに振り出す手形:支払手形
  • 商品以外のモノ(ex.固定資産など)を購入したさいに振り出す手形:営業外支払手形

問3 企業買収

模範解答
(借)商品 800,000
(借)建物 1,800,000
(借)備品 600,000
(借)のれん 1,300,000 ※3
 (貸)普通預金 4,500,000

※3 4,500,000円-(800,000円+1,800,000円+600,000円)=1,300,000円(貸借差額)

 企業買収に関する問題です。

 譲り受けた資産・負債をそのまま計上するとともに、受け入れた純資産と事業譲渡の対価との差額を「のれん」または「負ののれん発生益」で処理します。

  • 受け入れた純資産<事業譲渡の対価:借方にのれん(資産)を計上
  • 受け入れた純資産>事業譲渡の対価:貸方に負ののれん発生益(収益)を計上

 本問の場合、受け入れた純資産が3,200,000円(=800,000円+1,800,000円+600,000円)、譲渡対価が4,500,000円なので、差額の1,300,000円をのれんで処理します。

 なお、受け入れた商品は「商品」ではなく「仕入」や「繰越商品」で処理するするケースもあります。問題に列挙されている勘定科目を使って解答しましょう。

問4 クレジット売掛金・消費税

模範解答
(借)現金 54,000
(借)クレジット売掛金 206,000 ※6
(借)支払手数料 10,000 ※5
 (貸)売上 250,000
 (貸)仮受消費税 20,000 ※4

※4 250,000円×8%=20,000円

※5 (250,000円-54,000円÷1.08)×5%=10,000円

※6 250,000円+20,000円-54,000円-10,000円=206,000円(貸借差額)

 クレジット売掛金・消費税に関する問題です。

 まず、問題文の「商品を ¥ 250,000 で顧客に販売」「消費税の税率は8%とし、税抜方式で処理する」から、売上250,000円および仮受消費税20,000円を貸方に計上します。

  • 売上高(税抜き):250,000円
  • 仮受消費税:250,000円×8%=20,000円
ステップ1
 (貸)売上 250,000
 (貸)仮受消費税 20,000

 また、問題文の「このうち消費税込みで ¥ 54,000 を現金で受け取り」から、現金54,000円を借方に計上します。

ステップ2
(借)現金 54,000
 (貸)売上 250,000
 (貸)仮受消費税 20,000

 さらに、信販会社へのクレジット手数料を計算しますが、問題文に「クレジット販売代金の5%」「クレジット手数料には消費税は課税されない」とあるので、売上高(税抜き)から現金売上代金(税抜き)を差し引いて求めたクレジット販売代金に5%を乗じて手数料の金額を求めましょう。

  • 売上高(税抜き):250,000円
  • 現金売上代金(税抜き):54,000円÷1.08=50,000円
  • クレジット販売代金:250,000円-50,000円=200,000円
  • クレジット手数料:200,000円×5%=10,000円
ステップ3
(借)現金 54,000
(借)支払手数料 10,000
 (貸)売上 250,000
 (貸)仮受消費税 20,000

 最後に、クレジット売掛金の金額を貸借差額で計算します。

ステップ4(解答仕訳)
(借)現金 54,000
(借)支払手数料 10,000
(借)クレジット売掛金 206,000
 (貸)売上 250,000
 (貸)仮受消費税 20,000

消費税の処理方法が税込方式の場合は?

 消費税の処理方法が税込方式の場合は、消費税分20,000円を売上に含めて処理します。参考までに仕訳をご確認ください。

参考・税込方式の場合の解答仕訳
(借)現金 54,000
(借)支払手数料 10,000
(借)クレジット売掛金 206,000
 (貸)売上 270,000

問5 株主資本の計数変動

模範解答
(借)資本準備金 3,000,000
 (貸)その他資本剰余金 3,000,000
(借)利益準備金 2,500,000
 (貸)繰越利益剰余金 2,500,000

 株主資本の計数変動に関する問題です。

 本問はまず、問題文に「利益準備金の取崩額は、繰越利益剰余金とした」とあるので、利益準備金を繰越利益剰余金に振り替えます。

解答①
(借)利益準備金 2,500,000
 (貸)繰越利益剰余金 2,500,000

 次に、資本準備金の振り替え先を考えましょう。

 資本準備金は「資本金」や「その他資本剰余金」はもちろん、繰越利益剰余金がマイナスの場合、という条件を満たせば(その他資本剰余金を経由して)繰越利益剰余金に振り替えることもできます。

参考仕訳
(借)資本準備金 3,000,000
 (貸)その他資本剰余金 3,000,000
(借)その他資本剰余金 3,000,000
 (貸)繰越利益剰余金 3,000,000

 ただ、本問の場合、利益準備金を繰越利益剰余金に振り替えた結果、繰越利益剰余金は貸方残(=プラスの状態)になるため、資本準備金を繰越利益剰余金に振り替えることはできません。

 また、問題に列挙されている勘定科目にその他資本剰余金がある(資本金がない)ので、資本準備金はその他資本剰余金に振り替えます。

解答②
(借)資本準備金 3,000,000
 (貸)その他資本剰余金 3,000,000

 以上、解答①②をまとめると解答仕訳になります。



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