第149回日商簿記検定2級 第2問(外貨建取引)の過去問分析

第2問 処理すべき量が多く、資料の読み取りも難しい外貨建取引の誰得問題。

第2問の難度アンケート結果

 第2問は、固定資産および商品売買に関する【外貨建取引】の問題です。

 処理すべき量があまりにも多く、また、資料の読み取りも難しいため、解答するのにかなり時間がかかる問題です。私もすべて解答するのに30分かかりました。

 受験生アンケートでも、80%近くの方が「かなり難しかった」「やや難しかった」と回答しており、本問と第3問が今回の低い合格率の原因になっています。

解答手順

 本問は、問題資料が時系列順になっていないので、問題を解き始める前に資料1・資料2の各取引日の左側に処理する順番を記入しましょう。

 具体的には、資料1の「1月1日」の左に①、資料2の「1月31日」の左に②、資料1の「2月28日」の左に③…という感じで、①~⑭の番号を記入してください。

 また、問題文に「棚卸資産の払出単価の決定方法として移動平均法を採用している」「商品売買の記帳に関して「販売のつど売上原価に振り替える方法」を採用している」とあるので、期中において常に在庫状況を把握しておく必要があります。

 そこで、以下のような商品有高帳を下書きしながら、各取引の仕訳を考えていきましょう(※実際に下書きする場合はもっと簡便的なもので構いません)。

 まずは、問題資料1の「輸入商品X 数量2,000個 @¥1,000」から、前期から繰り越されてきた数量・単価・金額を記入します。

商品有高帳1

②1月31日の仕訳

(借)売掛金など 1,800,000 ※1
 (貸)売上 1,800,000
(借)売上原価 1,000,000 ※2
 (貸)商品 1,000,000

※1 1,000個×@1,800円=1,800,000円

※2 1,000個×@1,000円=1,000,000円

 1月31日にA商会に対して商品1,000個を@1,800円で販売しています。

 1本目の売上の仕訳は、問題資料2の商品販売取引から数量・販売単価をひっぱってくるだけです。一方、2本目の売上原価に振り替える仕訳は、商品有高帳の前回取引の残高欄から払出単価(@1,000円)をひっぱってきましょう。

商品有高帳2

③2月28日の仕訳

(借)買掛金 3,150,000
(借)為替差損 150,000 ※4
 (貸)普通預金 3,300,000 ※3

※3 30,000ドル×110円=3,300,000円

※4 3,300,000円-3,150,000円=150,000円(貸借差額)

 まず、問題資料1の「買掛金(ドル建て)¥ 3,150,000 前期末の為替相場1ドル ¥ 105」から、買掛金は30,000ドル(=3,150,000円÷105円)であることが分かります。

 さらに、問題資料1の「支払時の為替相場1ドル ¥ 110」から支払時の為替相場が分かるので、普通預金の支払額3,300,000円(=30,000ドル×110円)を計算しましょう。

 最後に、貸借差額で為替差損益の金額を求めます。

④4月30日の仕訳

(借)商品 3,240,000 ※5
 (貸)買掛金 3,240,000

※5 3,000個×@10ドル×108円=3,240,000円

 4月30日に商品3,000個を@1,080円(=@10ドル×108円)で仕入れています。

 仕訳自体は簡単ですが、本問では「販売のつど売上原価に振り替える方法(売上原価対立法)」が採用されているため、借方の勘定科目は「仕入」ではなく「商品」になります。

 また、下書きしている商品有高帳に、仕入れた商品の数量・単価・金額を記入しておきましょう。

商品有高帳3

⑤5月15日の仕訳

(借)売掛金など 2,000,000 ※6
 (貸)売上 2,000,000
(借)売上原価 1,060,000 ※7
 (貸)商品 1,060,000

※6 1,000個×@2,000円=2,000,000円

※7 1,000個×@1,060円=1,060,000円

 5月15日にB商会に対して商品1,000個を@2,000円で販売しています。

 1本目の売上の仕訳は、問題資料2の商品販売取引から数量・販売単価をひっぱってくるだけです。一方、2本目の売上原価に振り替える仕訳は、商品有高帳の前回取引の残高欄から払出単価(@1,060円)をひっぱってきましょう。

商品有高帳4

⑥6月30日の仕訳

(借)売掛金など 2,050,000 ※8
 (貸)売上 2,050,000
(借)売上原価 1,060,000 ※9
 (貸)商品 1,060,000

※8 1,000個×@2,050円=2,050,000円

※9 1,000個×@1,060円=1,060,000円

 6月30日にC商会に対して商品1,000個を@2,050円で販売しています。

 1本目の売上の仕訳は、問題資料2の商品販売取引から数量・販売単価をひっぱってくるだけです。一方、2本目の売上原価に振り替える仕訳は、商品有高帳の前回取引の残高欄から払出単価(@1,060円)をひっぱってきましょう。

商品有高帳5

⑦7月31日の仕訳

(借)買掛金 3,240,000
(借)為替差損 120,000 ※11
 (貸)普通預金 3,360,000 ※10

※10 3,000個×@10ドル×112円=3,360,000円

※11 3,360,000円-3,240,000円=120,000円(貸借差額)

 まず、問題資料1の「商品X3,000個を@10ドルで」から、買掛金は30,000ドル(=3,000個×@10ドル)であることが分かります。

 さらに、問題資料1の「支払時の為替相場1ドル ¥ 112」から支払時の為替相場が分かるので、普通預金の支払額3,360,000円(=30,000ドル×112円)を計算しましょう。

 最後に、貸借差額で為替差損益の金額を求めます。

⑧11月1日の仕訳

(借)機械装置 5,814,000 ※12
 (貸)未払金 5,814,000

※12 51,000ドル×114円=5,814,000円

 機械装置については、購入価額(51,000ドル)に輸入時の為替相場(1ドル114円)を乗じて購入価額を計算しましょう。なお、貸方の勘定科目は未払金になります。

⑨11月1日の仕訳

(借)商品 2,508,000 ※13
 (貸)買掛金 2,508,000

※13 2,000個×@11ドル×114円=2,508,000円

 11月1日に商品2,000個を@1,254円(=@11ドル×114円)で仕入れています。

 仕訳自体は簡単ですが、本問では「販売のつど売上原価に振り替える方法(売上原価対立法)」が採用されているため、借方の勘定科目は「仕入」ではなく「商品」になります。

 また、下書きしている商品有高帳に、仕入れた商品の数量・単価・金額を記入しておきましょう。

商品有高帳6

⑩11月15日の仕訳

(借)売掛金など 3,300,000 ※14
 (貸)売上 3,300,000
(借)売上原価 1,735,500 ※15
 (貸)商品 1,735,500

※14 1,500個×@2,200円=3,300,000円

※15 1,500個×@1,157円=1,735,500円

 11月15日にD商会に対して商品1,500個を@2,200円で販売しています。

 1本目の売上の仕訳は、問題資料2の商品販売取引から数量・販売単価をひっぱってくるだけです。一方、2本目の売上原価に振り替える仕訳は、商品有高帳の前回取引の残高欄から払出単価(@1,157円)をひっぱってきましょう。

商品有高帳7

⑪12月1日の仕訳

(借)売掛金など 3,375,000 ※16
 (貸)売上 3,375,000
(借)売上原価 1,735,500 ※17
 (貸)商品 1,735,500

※16 1,500個×@2,250円=3,375,000円

※17 1,500個×@1,157円=1,735,500円

 12月1日にE商会に対して商品1,500個を@2,250円で販売しています。

 1本目の売上の仕訳は、問題資料2の商品販売取引から数量・販売単価をひっぱってくるだけです。一方、2本目の売上原価に振り替える仕訳は、商品有高帳の前回取引の残高欄から払出単価(@1,157円)をひっぱってきましょう。

商品有高帳8

⑫12月31日の仕訳

(借)為替差損 306,000 ※18
 (貸)未払金 306,000
(借)為替差損 132,000 ※19
 (貸)買掛金 132,000

※18 51,000ドル×(120円-114円)=306,000円

※19 2,000個×@11ドル×(120円-114円)=132,000円

 決算期末に残っている未払金と買掛金(いずれも11月1日に発生したもの)について、決算時の為替相場(1ドル120円)による評価替えを行います。

⑬12月31日の仕訳

(借)棚卸減耗損 57,850 ※20
 (貸)商品 57,850

※20 50個×@1,157円=57,850円

 帳簿棚卸数量と実地棚卸数量との差分が棚卸減耗損になります。棚卸減耗損の数量・単価・金額は、払い出しが行われたと仮定して商品有高帳の払出欄に記入しましょう。

  • 帳簿棚卸数量:1,000個(※12月1日時点の商品有高帳を参照)
  • 実地棚卸数量:950個(※問題資料1より)
    • 棚卸減耗損:50個(=1,000個-950個)
商品有高帳9

⑭12月31日の仕訳

(借)減価償却費 96,900 ※21
 (貸)機械装置 96,900

※21 5,814,000円÷10年×2か月/12か月=96,900円

 問題資料1に「輸入した機械装置の減価償却費を2か月分計上」とあるので、当期の減価償却費を月割りで計算しましょう。

当期の売上高・為替差損益の計算方法

 当期の売上高は、上の仕訳から集計してもいいですし、問題資料2の各取引の数量・販売単価を使って計算することもできます。簡単に出せるので、この金額は絶対に落としてはいけません。

  • 1月31日:1,000個×@1,800円=1,800,000円
  • 5月15日:1,000個×@2,000円=2,000,000円
  • 6月30日:1,000個×@2,050円=2,050,000円
  • 11月15日:1,500個×@2,200円=3,300,000円
  • 12月1日:1,500個×@2,250円=3,375,000円
    • 当期の売上高:1,800,000円+2,000,000円+2,050,000円+3,300,000円+3,375,000円=12,525,000円

 当期の為替差損・為替差益は、上の仕訳から金額を集計しましょう。なお、為替差益は発生していないのでゼロ円になります。

  • 為替差損:150,000円+120,000円+306,000円+132,000円=708,000円
  • 為替差益:0円


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