第149回日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 5問とも簡単な仕訳問題。ケアレスミスに気をつけて満点を狙いましょう!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。

 問1の電子記録債権と問5のリース取引はテキストの例題レベルですし、問2・問3・問4は過去問類似問題だったので、簿記検定ナビの仕訳問題対策等を使ってきちんと対策をしていた方は、短い解答時間で20点満点が取れたのではないでしょうか。

 受験生アンケートでも、60%以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。合格するためには最低でも16点(5問中4問正解)は取りたい問題です。

問1 電子記録債権

模範解答
(借)当座預金 297,200 ※1
(借)電子記録債権売却損 2,800
 (貸)電子記録債権 300,000

※1 300,000円-2,800円=297,200円

 電子記録債権に関する問題です。

 仕訳の考え方は受取手形の割引きと全く同じです。受取手形の割引きでは割引料(手数料)を「手形売却損」で処理していましたが、電子記録債権の割引きの場合は「電子記録債権売却損」で処理します。

問2 有価証券の購入

模範解答
(借)満期保有目的債券 988,000 ※2
(借)有価証券利息 800 ※3
 (貸)当座預金 988,800

※2 1,000,000円×@98.80円/@100円=988,000円

※3 1,000,000円×0.365%×80日/365日=800円

 有価証券の購入に関する問題です。

 本問は、【有価証券の購入に関する仕訳】と【有価証券利息に関する仕訳】に分けて考えると分かりやすいと思います。

有価証券の購入に関する仕訳

 社債を購入した場合、購入代価と付随費用(取得に伴い発生した費用)の合計額を取得原価として資産計上しますが、本問は付随費用が発生していないので、購入代価を計算するだけです。

取得原価=購入代価+付随費用=(1,000,000円×@98.80円/@100円)+0円=988,000円

 なお、本問は問題文に「満期保有目的の債券として」とあるので、満期保有目的債券で処理します。

  • 短期間で売買する目的で購入:売買目的有価証券で処理
  • 満期まで保有する目的で購入:満期保有目的債券で処理
  • その他の目的(長期保有など)で購入:その他有価証券で処理
①有価証券の購入に関する仕訳
(借)満期保有目的債券 988,000
 (貸)当座預金 988,000

有価証券利息に関する仕訳

 問題文に「代金は直近の利払日の翌日から売買日当日までの期間にかかわる端数利息とともに小切手を振り出して支払った」「端数利息の金額については、1年を365日として日割り計算する」とあるので、80日分(=30日+31日+19日)の端数利息を計算しましょう。

有価証券利息=1,000,000円×0.365%×80日/365日=800円

②有価証券利息に関する仕訳
(借)有価証券利息 800
 (貸)当座預金 800

 以上、①②をまとめると解答仕訳になります。

 ところで、上記の仕訳について、なぜ購入時に「前回の利払日の翌日から売買日当日までの端数利息」を支払わなければいけないかはお分かりですか?

 社債を購入すると次回の利払日(本問の場合は9月末日)に半年分の利息を受け取ることになりますが、購入時に「前回の利払日の翌日から売買日当日まで端数利息」を先に支払っておかないと、保有していなかった期間(4月1日から6月19日まで)の分まで余分にもらってしまうことになるからです。

  • 購入日(6月19日):前回の利払日の翌日から売買日当日までの80日分の端数利息を先に支払う
  • 利払日(9月末日):半年分の利息を受け取る
    • 「半年分の利息-80日分の利息」で保有期間に見合った有価証券利息が計上される

 質問掲示板でもよくお問い合わせいただく論点なので、上記の考え方・処理方法をきちんと押さえておきましょう。

問3 固定資産の修繕

模範解答
(借)建物 180,000 ※4
(借)修繕引当金 600,000
(借)修繕費 120,000 ※5
 (貸)当座預金 900,000

※4 900,000円×20%=180,000円

※5 900,000円×80%-600,000円=120,000円

 固定資産の修繕に関する問題です。

 修繕に関する問題は、支出した費用を「資本的支出」と「収益的支出」に分けて処理しましょう。

  • 資本的支出:耐用年数を延長させたり、その価値を高めるような支出 → 固定資産の増加として処理
  • 収益的支出:定期修繕など固定資産の諸機能を維持するための支出 → 修繕費・修繕引当金で処理

 本問はまず、問題文の「工事代金の20%は改良のための支出と判断された」から、900,000円のうちの20%(=180,000円)が資本的支出になるので、建物の増加として処理します。

①資本的支出
(借)建物 180,000
 (貸)当座預金 180,000

 残りの80%(=720,000円)は収益的支出になりますが、問題文の「この修繕工事に備えて、前期に ¥ 600,000 の引当金を設定している」から600,000円の修繕引当金が設定されていることが分かります。

 よって、720,000円のうち600,000円については修繕引当金を取り崩して処理し、残額の120,000円については修繕費で費用処理します。

②収益的支出
(借)修繕引当金 600,000
(借)修繕費 120,000
 (貸)当座預金 720,000

 以上、①②をまとめると解答仕訳になります。

問4 株式申込証拠金

模範解答
(借)当座預金 22,400,000 ※6
 (貸)別段預金 22,400,000
(借)株式申込証拠金 22,400,000 ※6
 (貸)資本金 11,200,000 ※7
 (貸)資本準備金 11,200,000 ※7

※6 800株×@28,000円=22,400,000円

※7 22,400,000円÷2=11,200,000円

 株式申込証拠金に関する問題です。

 株式引受人から受け取った払込金は、株式申込証拠金として別段預金に預け入れます。あえて別段預金を使うのは、一時的に預かっている状態の「払込金」と、自由に使える「各種預金」とを区別するためです。

参考・以前に切った仕訳
(借)別段預金 22,400,000
 (貸)株式申込証拠金 22,400,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、本問で問われている払込期日の仕訳を考えましょう。

 まず、問題文の「申込証拠金を資本金に充当し」「資本金には会社法が規定する最低額を組み入れる」という指示に従って、株式申込証拠金を資本金と資本準備金に2分の1ずつ振り替えます。

  • 会社法規定の原則額を資本金に組み入れる場合:全額を資本金に振り替える(会社法第445条1項)
  • 会社法規定の最低額を資本金に組み入れる場合:資本金と資本準備金に2分の1ずつ振り替える(会社法第445条2項)
①株式申込証拠金を適当な勘定科目に振り替える仕訳
(借)株式申込証拠金 22,400,000
 (貸)資本金 11,200,000
 (貸)資本準備金 11,200,000

 次に、問題文の「別段預金を当座預金に預け替えた」という指示に従って、別段預金を当座預金に振り替えます。

②別段預金を適当な勘定科目に振り替える仕訳
(借)当座預金 22,400,000
 (貸)別段預金 22,400,000

 以上、①②をまとめると解答仕訳になります。

問5 リース会計

模範解答
(借)リース資産 260,000
 (貸)リース債務 260,000

 リース会計に関する問題です。

 問題文に「このリース取引はファイナンス・リース取引であり、利子抜き法で会計処理を行う」とあるので、コピー機の見積現金購入価額260,000円をリース資産・リース負債で処理します。

  • リース取引開始時に計上するリース資産・リース債務の金額
    • 利子抜き法:見積現金購入価額
    • 利子込み法:リース料総額(見積現金購入価額+利息相当額)

利子込み法による場合の仕訳

 仮に、本問が利子込み法だった場合は、リース料総額300,000円(=@60,000円×5年)をリース資産・リース負債で処理します。あわせてご確認ください。

参考・利子込み法だった場合の解答仕訳
(借)リース資産 300,000
 (貸)リース負債 300,000


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