第148回日商簿記検定3級 第3問(試算表作成問題)の過去問分析

第3問 30点満点を狙える簡単な試算表作成問題。ケアレスミスに気をつけて!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は予想通り【試算表作成問題】でした。

 月中取引の数が少なく、また売掛金・買掛金明細表を作成する必要もなかったので、きちんと対策していた方は短い解答時間で高得点が取れたと思います。

 受験生アンケートでも、70%以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。

解答方法

 本問は、資料(B)の平成29年12月中の取引が時系列順に与えられているので、解答にあたって二重取引を考慮する必要はありません。

 二重取引を考慮する必要のない問題の解答方法は、「下書用紙に全取引の仕訳を書いて集計する方法(以下、①法)」と、「下書用紙にT勘定を設定し、頭のなかで仕訳を考えて各勘定に金額を記入し、各勘定ごとに金額を集計する方法(以下、②法)」の2つがあります。

 本問は、12月中の取引がそんなに多くないので①法で解いても良いと思いますが、基本的にはメリットの多い②法で解くことをおすすめします。

①法 ②法
練習の必要性 特になし あり
解答時間 長くなる 短くて済む
ケアレスミス 発生しやすい 発生しにくい

設定すべきT勘定

 3級の試算表作成問題を②法で解く場合は、現金・当座預金(普通預金)・売掛金・買掛金・受取手形・支払手形・仕入・売上勘定の8つについては必ずT勘定を作りましょう。

 なお、その他の勘定については必要に応じて臨機応変に対応しますが、基本的には「その他」という勘定を作ってそこにどんどん書き込んでいくと分かりやすいです。

解答手順

 まず、下書用紙を4つ折りにしたあと、一番左の列に現金勘定・当座預金勘定、左から2番目の列に受取手形勘定・売掛金勘定・売上勘定、右から2番目の列に支払手形勘定・買掛金勘定・仕入勘定、一番右の列にその他勘定を書きます。

合計残高試算表の下書き1
残高試算表の下書き1(PDF版

 次に、平成29年11月30日時点の各勘定の「借方または貸方に計上されている金額」をT勘定に記入します。金額自体は、資料(A)の残高試算表からひっぱってくるだけです。

合計残高試算表の下書き2
残高試算表の下書き2(PDF版

 T勘定の下準備が終わったら、資料(B)の平成29年12月中の取引を頭の中で仕訳して、8つの勘定+その他勘定に記入していきます。

 たまに、いったん仕訳を下書きしたあとT勘定を使って集計する方がいますが、それではT勘定を使う意味がありません。慣れるまでは大変ですが、頭の中で仕訳を考えるトレーニングをしましょう。

合計残高試算表の下書き3
残高試算表の下書き3(PDF版

 最後に8つの勘定を締め切り、答案用紙に金額を記入します。

 なお、「その他」勘定は締め切り不要です。資料(A)の残高試算表の11月30日時点の各金額に、「その他」勘定に計上した金額を反映させて、12月31日時点の金額を求めましょう。

合計残高試算表の下書き4
残高試算表の下書き4(PDF版

参考1:T勘定の締め切り方

 仮に、解答要求が「合計試算表」の場合は、残高ではなく借方合計額・貸方合計額を集計しましょう。

 また、解答要求が「合計残高試算表」の場合は、いったん借方合計額・貸方合計額を集計したあとに残高の金額を求めましょう。

合計試算表の下書き
合計試算表の下書き(PDF版
合計残高試算表の下書き
合計残高試算表の下書き(PDF版

参考2:12月中の取引の仕訳

平成29年12月1日の仕訳
(借)貸倒引当金 500
(借)貸倒損失 9,500
 (貸)売掛金 10,000

 前期販売分の売上債権が貸倒れた場合、まず貸倒引当金を取り崩し、それでも足りない分は貸倒損失で費用処理します。

 本問は残高試算表に貸倒引当金が500円計上されているのでまずはこれを取り崩し、足りない分の9,500円(=10,000円-500円)を貸倒損失で費用処理します。

  • 前期に発生した債権が貸倒れた場合:前期末に引当金を設定している→貸倒引当金をの取り崩して処理する(足りない分は貸倒損失で処理)
  • 当期に発生した債権が貸倒れた場合:前期末に引当金を設定していない→全額を貸倒損失で処理
平成29年12月4日の仕訳
(借)仕入 110,000
 (貸)前払金 15,000
 (貸)買掛金 95,000
平成29年12月7日の仕訳
(借)所得税預り金 6,000
 (貸)現金 6,000
平成29年12月8日の仕訳
(借)受取手形 100,000
(借)前受金 8,000
(借)売掛金 162,000
 (貸)売上 270,000
(借)発送費 2,000
 (貸)現金 2,000

 当店負担の発送費は、発送費で費用処理します。

  • 仕入時の諸掛り
    • 当店負担:仕入原価に含めて処理
    • 仕入先負担:立替金で処理or買掛金と相殺して処理
  • 売上時の諸掛り
    • 当店負担:発送費などで費用処理(本問)
    • 得意先負担:立替金で処理or売掛金に含めて処理
平成29年12月11日の仕訳
(借)水道光熱費 7,000
 (貸)当座預金 7,000
平成29年12月13日の仕訳
(借)現金 30,000
 (貸)前受金 30,000

 この時点では注文を受けただけです。商品を販売したわけではありませんので、うっかり売上を計上しないように気をつけましょう。

平成29年12月15日の仕訳
(借)当座預金 170,000
 (貸)受取手形 170,000
平成29年12月18日の仕訳
(借)支払家賃 15,000
 (貸)当座預金 15,000
平成29年12月19日の仕訳
(借)買掛金 190,000
 (貸)支払手形 190,000
平成29年12月21日の仕訳
(借)給料 100,000
 (貸)所得税預り金 7,000
 (貸)当座預金 93,000
平成29年12月22日の仕訳
(借)支払手形 200,000
 (貸)当座預金 200,000
平成29年12月25日の仕訳
(借)現金 175,000
 (貸)売掛金 175,000

 得意先振出小切手を受け取った場合は現金の増加として処理します。うっかり当座預金を増加しないように気をつけましょう。

  • 得意先振出小切手を受け取った場合:現金の増加(本問)
  • 当店振出小切手を受け取った場合:当座預金の増加
  • 得意先振出小切手を受け取って、ただちに当座預金に預け入れた場合:当座預金の増加
平成29年12月27日の仕訳
(借)備品 300,000
 (貸)未払金 300,000
平成29年12月29日の仕訳
(借)仕入 92,000
 (貸)買掛金 90,000
 (貸)現金 2,000

 当店負担の引取運賃は、仕入原価に含めて処理します。

  • 仕入時の諸掛り
    • 当店負担:仕入原価に含めて処理(本問)
    • 仕入先負担:立替金で処理or買掛金と相殺して処理
  • 売上時の諸掛り
    • 当店負担:発送費などで費用処理
    • 得意先負担:立替金で処理or売掛金に含めて処理


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