第148回日商簿記検定2級 第3問(連結精算表作成問題)の過去問分析

第3問 2級で初めて出題された連結精算表作成問題。部分点狙いでOKです。

第3問の難度アンケート結果

 第3問は【連結精算表の作成問題】でした。

 連結会計は前回(第147回)から試験範囲に追加された論点で、連結精算表の出題は今回が初めてでしたが、いきなり支配獲得後2年目の処理が問われたのでびっくりした方も多かったと思います。

 他にも、1年目のS社の当期純利益を各自で計算する必要があったり、貸方の金額にカッコが付いていなかったり…一般的な簿記2級受験生が初見で対応するのはかなり大変だったはずです。

 ただ、配点はかなり甘いので、資料2・3・4の基本的な連結修正仕訳さえできれば、7割(20点満点中14点)ぐらいは取れる構成になっています。自己採点をしたら意外と点数が取れていた、という受験生も多かったのではないでしょうか。

 受験生アンケートでは、70%以上の方が「かなり難しかった」「やや難しかった」と回答していますが、合格するためには最低でも半分(20点満点中10点)は取りたいところです。

開始仕訳①(×0年3月31日の仕訳)

開始仕訳①
(借)資本金 100,000
(借)資本剰余金 20,000
(借)利益剰余金 30,000
(借)のれん 80,000 ※1
 (貸)S社株式 200,000
 (貸)非支配株主持分 30,000 ※2

※1 200,000千円-(100,000千円+20,000千円+30,000千円)×80%=80,000円

※2 (100,000千円+20,000千円+30,000千円)×20%=30,000円

 問題資料1のデータを使って、支配獲得時(×0年3月31日)の仕訳を考えましょう。

開始仕訳②(×1年3月31日の仕訳)

開始仕訳②(のれんの償却)
(借)利益剰余金 4,000 ※3
 (貸)のれん 4,000

※3 80,000千円÷20年=4,000千円

 問題文に「のれんは20年にわたり定額法で償却を行っている」とあるので、上の開始仕訳①で求めたのれんの金額80,000円を20年で除して、1年あたりの償却額を求めましょう。

 なお、この仕訳は前期末(×1年3月31日)の仕訳なので、借方の勘定科目は「のれん償却」ではなく「利益剰余金」になります。

開始仕訳③(×1年3月31日の仕訳)

開始仕訳③(当期純利益の配分)
(借)利益剰余金 1,200 ※4
 (貸)非支配株主持分 1,200

※4 6,000千円×20%=1,200千円

 今回の問題で一番難しい処理です。

 S社の個別財務諸表の×2年3月31日の利益剰余金60,000千円と、×2年3月期(×1年4月1日から×2年3月31日)の当期純利益24,000千円から、×1年3月31日時点の利益剰余金を計算します。

 なお、問題文に「S社は支配獲得後に配当を行っておらず」とあるので、以下の計算式の【×2年3月期の配当額】【×1年3月期の配当額】はゼロになります。

【×2年3月31日時点の利益剰余金】=【×1年3月31日時点の利益剰余金】+【×2年3月期の当期純利益】-【×2年3月期の配当額】

【×1年3月31日時点の利益剰余金】=【×2年3月31日時点の利益剰余金】-【×2年3月期の当期純利益】+【×2年3月期の配当額】

【×1年3月31日時点の利益剰余金】=60,000千円-24,000千円+0千円=36,000千円

 さらに、この×1年3月31日時点の利益剰余金36,000千円と、×0年3月31日時点の利益剰余金30,000千円との差額により、×1年3月期(×0年4月1日から×1年3月31日)の当期純利益を計算します。

【×1年3月31日時点の利益剰余金】=【×0年3月31日時点の利益剰余金】+【×1年3月期の当期純利益】-【×1年3月期の配当額】

【×1年3月期の当期純利益】=【×1年3月31日時点の利益剰余金】-【×0年3月31日時点の利益剰余金】+【×1年3月期の配当額】

【×1年3月期の当期純利益】=36,000千円-30,000千円+0千円=6,000千円

 最後に、×1年3月期の当期純利益6,000千円の20%を非支配株主持分に振り替えます。

 なお、この仕訳は前期末(×1年3月31日)の仕訳なので、借方の勘定科目は「非支配株主持分に帰属する当期純利益」ではなく「利益剰余金」になります。

のれんの償却(×2年3月31日の仕訳)

のれんの償却
(借)のれん償却 4,000
 (貸)のれん 4,000

 上の開始仕訳②と同じ要領で当期の償却額を求めましょう。

 なお、この仕訳は当期末(×2年3月31日)の仕訳なので、借方の勘定科目は「のれん償却」になります。

当期純利益の配分(×2年3月31日の仕訳)

当期純利益の配分
(借)非支配株主持分に帰属する当期純利益 4,800 ※5
 (貸)非支配株主持分 4,800

※5 24,000千円×20%=4,800千円

 ×2年3月期(×1年4月1日から×2年3月31日)の当期純利益24,000千円の20%を非支配株主持分に振り替えます。

 なお、この仕訳は当期末(×2年3月31日)の仕訳なので、借方の勘定科目は「非支配株主持分に帰属する当期純利益」になります。

内部取引高および債権債務の相殺消去(×2年3月31日の仕訳)

内部取引高および債権債務の相殺消去
(借)買掛金 180,000
 (貸)売掛金 180,000
(借)借入金 60,000
 (貸)貸付金 60,000
(借)未払金 18,000
 (貸)未収入金 18,000
(借)未払費用 900
 (貸)未収収益 900
(借)売上高 860,000
 (貸)売上原価 860,000
(借)受取利息 1,500
 (貸)支払利息 1,500

 問題の資料2で各金額が与えられているので、親子会社間の内部取引高および債権債務の期末残高をそのまま相殺消去します。

未実現利益の消去①(×2年3月31日の仕訳)

未実現利益の消去①
(借)売上原価 42,000 ※6
 (貸)商品 42,000

※6 140,000千円×30%=42,000千円

 問題文の「P社がS社に対して販売する商品の売上総利益率は30%であった」から利益率が分かるので、対象となる売上高に利益率を乗じて、期末において消去すべき未実現利益の金額を計算しましょう。

未実現利益の消去②(×2年3月31日の仕訳)

未実現利益の消去②
(借)土地売却益 6,000 ※7
 (貸)土地 6,000

※7 36,000千円-30,000千円=6,000千円

 本文で問われてる親子会社間の土地の売買は、連結グループで考えると連結グループ内で土地が移動しただけです。

 よって、連結財務諸表の作成にあたって「親会社が計上した固定資産売却益6,000円」と「子会社が計上した土地36,000円のうちの利益部分6,000円」を相殺消去します。

Q&A

連結精算表の修正・消去欄に配点はありますか?
 本問には「修正・消去欄は、採点の対象とはしない。」という注意書きがなかったので気になっている方も多いと思いますが、通常、連結精算表の修正・消去欄には配点はありません。ここに配点してしまうと別解がたくさん出てしまうからです。

 本問についても、複数の空欄が用意されている「のれん」「利益剰余金」「非支配株主持分」については、修正・消去欄の記入箇所や記入順序が模範解答と異なっていても、一番右の列の連結財務諸表欄の金額が合っていれば正解になります。
連結精算表の貸方の金額にカッコを付けた場合は不正解になりますか?
 答案用紙の個別財務諸表欄に記入されている金額にカッコが付いていない点、また、問題の指示がない点を考えますと、貸方の金額に勝手にカッコを付けて解答した場合は、(金額が合っていたとしても)おそらく不正解になります。

追記:合格発表の早い商工会議所ではすでに合格発表が行われていますが、合格者の自己採点と試験結果を勘案しますと、今回の問題に関しては貸方の金額にカッコを付けていても金額が合っていれば正解にしてもらえるようです(※2018年3月12日追記)。


ページの先頭へ