第148回日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 こんなに簡単でいいの…?と拍子抜けする仕訳問題です。目指せ20点満点!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。

 問3の「株主資本の計数変動」は初めての出題でしたが、問題の指示に従って処理するだけです。また、問1・問2・問4は過去問類似問題ですし、問5の「外貨建取引の為替予約」もテキストの例題レベルです。

 受験生アンケートでも、約70%の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。合格するためには最低でも16点(5問中4問正解)は取りたい問題です。

問1 仕入割引

模範解答
(借)買掛金 5,000,000
 (貸)現金 4,995,000 ※2
 (貸)仕入割引 5,000 ※1

※1 5,000,000円×0.1%=5,000円

※2 5,000,000円-5,000円=4,995,000円(貸借差額)

 仕入割引に関する問題です。

 第142回の問4とほとんど同じ問題なので、きちんと仕訳対策をしていた方にとってはボーナス問題だったと思います。

 商品仕入時の契約により、所定の期日内に掛け代金を支払った場合に、一定額の割り引き(キャッシュバック)を受けられることがあります。

 本問の場合は、問題文の「代金を10日以内に支払えば、0.1%分の支払いを免除する」という条件を満たすことにより、0.1%の割り引きを受けることができます。

 なお、仕訳自体はとても簡単です。返済額の0.1%の5,000円(=5,000,000円×1%)を仕入割引で処理するとともに、残額の4,995,000円(=5,000,000円-5,000円)の支払いを現金で処理します。

問2 固定資産の除却

模範解答
(借)備品減価償却累計額 720,000
(借)貯蔵品 50,000
(借)固定資産除却損 30,000 ※3
 (貸)備品 800,000

※3 800,000円-720,000円-50,000円=30,000円(貸借差額)

 固定資産の除却に関する問題です。

 固定資産の除却時の帳簿価額を算定したうえで、貯蔵品の評価額との差額を除却損で処理しましょう。

1. 固定資産の除却時の帳簿価額を算定する

 除却時の帳簿価額は、前期末時点の帳簿価額から当期の減価償却費を差し引いて求めましょう。なお、前期末時点の帳簿価額は、取得原価から前期末時点の減価償却累計額を差し引いて求めます。

除却時の帳簿価額=前期末時点の帳簿価額-当期の減価償却費

前期末時点の帳簿価額=取得原価-前期末時点の減価償却累計額

 本問はまず、問題文の「取得原価 ¥ 800,000 、減価償却累計額 ¥ 720,000」から、前期末時点の帳簿価額が80,000円(=800,000円-720,000円)であることが分かります。

 また、問題文の「前期末で耐用年数を経過していた備品」から、前期末の時点ですでに耐用年数が到来し、償却手続きが完了していることが分かります。

 よって、当期の減価償却費はゼロです。前期末時点の帳簿価額がそのまま除却時の帳簿価額になります。

  • 取得原価:800,000円
  • 前期末時点の減価償却累計額:720,000円
  • 前期末時点の帳簿価額:80,000円(=800,000円-720,000円)
  • 当期の減価償却費:0円
  • 除却時の帳簿価額:80,000円(=80,000円-0円)
解答仕訳(ステップ1)
(借)備品減価償却累計額 720,000
 (貸)備品 800,000

2. 貯蔵品の評価額との差額を除却損で処理

 除却時の帳簿価額が判明したら、あとは貯蔵品の評価額との差額を除却損で処理するだけです。

固定資産除却損=除却時の帳簿価額-貯蔵品の評価額

 問題文の「この備品の処分価値は ¥ 50,000 と見積もられた」から、貯蔵品の評価額が分かるので、除却時の帳簿価額との差額30,000円(=80,000円-50,000円)を固定資産除却損で処理します。

解答仕訳(ステップ2・完成)
(借)備品減価償却累計額 720,000
(借)貯蔵品 50,000
(借)固定資産除却損 30,000

 (貸)備品 800,000

問3 株主資本の計数変動

模範解答
(借)その他資本剰余金 900,000
 (貸)資本準備金 900,000
(借)繰越利益剰余金 600,000
 (貸)利益準備金 600,000

 株主資本の計数変動に関する問題です。

 従来は1級の範囲とされていましたが、試験範囲の改定により、2級でも(簡単な処理に限定して)出題されることになりました。

株主資本の計数変動の概要

  • ①資本金
  • ②資本剰余金(③資本準備金、④その他資本剰余金)
  • ⑤利益剰余金(⑥利益準備金、⑦任意積立金、⑧繰越利益剰余金)

 株主総会の決議があれば、②資本剰余金内(③⇔④)や⑤利益剰余金内(⑥⇔⑦や⑥⇔⑧など)で自由に振り替えることができます。

 また、②資本剰余金は、資本金に振り替えたり(②→①)、逆に資本金から振り替えることも可能です(①→②)。

 ⑤利益剰余金は、資本金に振り替えることはできますが(⑤→①)、資本金や資本剰余金から繰越利益剰余金に振り替えることができるのは、繰越利益剰余金がマイナスのときに限定されています(①→⑧、②→⑧)。

株主資本の計数変動の仕訳の考え方

 上記のように文章にするとなにやら難しく感じるかもしれませんが、問題の指示に従って金額を振り替えるだけなので仕訳は簡単です。

 本問は、資本剰余金内の振り替え(④→③)と、利益剰余金内の振り替え(⑧→⑥)の処理が問われているので、その他資本剰余金を資本準備金に、繰越利益剰余金を利益準備金に振り替えます。

  • その他資本剰余金:同じ資本剰余金内の資本準備金に振り替える
  • 繰越利益剰余金:同じ利益剰余金内の利益準備金に振り替える

 なお、配当にあたっては各準備金の積み立てが(会社法により)強制されるため、準備金要積立額の計算が別途必要になりますが、株主資本の計数変動は純資産の内訳が変わるだけで、お金が社外に流出するわけではありません。よって、そのような積み立て・計算は不要です。

問4 売上割戻

模範解答
(借)売上割戻引当金 10,500
(借)売上 7,500 ※5
 (貸)普通預金 18,000 ※4

※4 1,200,000円×1.5%=18,000円

※5 18,000円-10,500円=7,500円(貸借差額)

 売上割戻に関する問題です。

 第140回の問3とほとんど同じ問題なので、きちんと仕訳対策をしていた方にとってはボーナス問題だったと思います。

 本問はまず、問題文の「3か月間の売上が ¥ 1,000,000 を超える顧客に対し、売上総額の1.5%相当額を支払う」から、売上割戻の金額を計算しましょう。

 計算にあたっては、判断基準となる金額(1,000,000円)ではなく、直近3か月の福島物産に対する売上高合計(1,200,000円)に1.5%を乗じる点にご注意ください。

1,200,000円×1.5%=18,000円

 また、問題文の「前期末の決算で、同社に対する売上割戻引当金を ¥ 10,500 計上している」から、前期末の決算で売上割戻引当金を計上していることが分かります。

 よって、売上割戻18,000円のうち、10,500円については売上割戻引当金を取り崩して充当し、残額の7,500円(=18,000円-10,500円)については売上のマイナスとして処理します。

 なお、本問は問題に列挙されている勘定科目に売上がある(売上割戻はない)ので、売上で処理すると判断します。うっかり売上割戻で処理しないように気をつけてください。

問5 外貨建取引

模範解答
(借)為替差損益 800,000 ※6
 (貸)売掛金 800,000

※6 (@115円-@113円)×400,000ドル=800,000円

 外貨建取引に関する問題です。

 取引発生後に為替予約を行った場合は、売上時の直物為替相場(@115円)による売掛金の円換算額と、為替予約時の先物為替相場(@113円)による売掛金の円換算額との差額を為替差損益で処理します。

  • 売上時の直物為替相場による売掛金の円換算額:400,000ドル×@115円=46,000,000円
  • 為替予約時の先物為替相場による売掛金の円換算額:400,000ドル×@113円=45,200,000円
    • 為替差損益:46,000,000円-45,200,000円=800,000円(※売掛金が800,000円減った)

取引発生以前に為替予約を行っていた場合は?

 仮に、取引発生以前(※同時も含む)に為替予約を行っていた場合、為替予約時の先物為替相場により売掛金の円換算額を計算します。売上時の直物為替相場を使わない点、また、為替差損益が発生しない点がポイントです。



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