第147回日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 解答にあたって「ひらめき」が必要な仕訳問題。仕訳対策は絶対に必要です!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。

 手も足も出ないような難問はなかったものの、第1問では初めての出題となる外貨建取引やリース取引に手こずったり、問3の取消し処理が「販売時の逆仕訳」であることに気づかなかったり、問5の保守費用を長期前払費用で処理できなかった受験生が多かったようです。

 個人的には、比較的簡単な問1を含めて5問中3問(12点)は取ってもらいたいですし、あえてもっと厳しいことを言いますと、仕訳対策に本腰を入れていれば少なくとも3問は取れたと思います。

 ただ、前回試験の仕訳問題がかなり簡単だったこともあって対策が疎かになっていたのでしょうか、実際には5問中1問~2問(4点~8点)しか取れていない受験生が多いようです。

 受験生アンケートでも、80%近くの方が「かなり難しかった」「やや難しかった」と回答しています。

問1 固定資産の取得・修繕・除却

模範解答
(借)建物 6,000,000
(借)修繕費 1,000,000
 (貸)建設仮勘定 7,000,000
(借)建物減価償却累計額 1,000,000
(借)固定資産除却損 200,000 ※1
 (貸)建物 1,200,000

※1 1,200,000円-1,000,000円=200,000円

 固定資産の取得・修繕・除却に関する問題です。

 解答仕訳の勘定科目の数は多いものの、「取得・修繕に関する仕訳」と「除却に関する仕訳」に分けて考えれば難しい問題ではありません。

取得・修繕に関する仕訳

 取得・修繕の仕訳に関しては、第141回試験の問2で出題された仕訳問題と同じ形です。仕訳対策をきちんとやっていた方はラッキーでした。

 まず、問題文の「工事代金 ¥ 7,000,000 は2回分割で銀行振込により支払済み」から、以前に以下のような仕訳を切っていたことが分かります。

参考・工事代金の前払時の仕訳(※2回分)
(借)建設仮勘定 7,000,000
 (貸)普通預金など 7,000,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、問題文に「工事の明細は、建物 ¥ 6,000,000、修繕費 ¥ 1,000,000 であった」とあるので、建設仮勘定7,000,000円のうちの6,000,000円を建物に、残りの1,000,000円を修繕費に振り替えます。

解答①
(借)建物 6,000,000
(借)修繕費 1,000,000
 (貸)建設仮勘定 7,000,000

除却に関する仕訳

 除却の仕訳に関しては、問題資料で与えられている取得価額(1,200,000円)・減価償却累計額(1,000,000円)の差額(200,000円)を固定資産除却損で処理しましょう。

解答②
(借)建物減価償却累計額 1,000,000
(借)固定資産除却損 200,000
 (貸)建物 1,200,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

 なお、解答仕訳の借方の建物(新建物)と貸方の建物(旧建物)は別物なので、相殺せずに両建てで解答しましょう。

問2 外貨建取引

模範解答
(借)売掛金 11,000,000 ※2
 (貸)売上 11,000,000

※2 100,000ドル×@110円=11,000,000円

 外貨建取引に関する問題です。

 本問は取引発生時までに為替予約を行っているため、外貨建ての売上債権(売掛金)は為替予約時の先物為替相場(@110円)で換算します。

100,000ドル×@110円=11,000,000円

参考:為替予約時の仕訳
仕訳なし
解答:取引発生時の仕訳(←本問で問われている仕訳)
(借)売掛金 11,000,000
 (貸)売上 11,000,000
参考:決算時の仕訳
仕訳なし
参考:決済時の仕訳
(借)現金など 11,000,000
 (貸)売掛金 11,000,000

取引発生後に為替予約を行った場合は?

 輸出時の為替相場(@115円)と為替予約時の先物為替相場(@110円)の差額を為替差損益で処理します。参考までに仕訳をご確認ください。

参考:取引発生時の仕訳
(借)売掛金 11,500,000
 (貸)売上 11,500,000
参考:為替予約時の仕訳
(借)為替差損益 500,000 ※3
 (貸)売掛金 500,000

※3(@115円-@110円)×100,000ドル=500,000円

参考:決算時の仕訳
仕訳なし
参考:決済時の仕訳
(借)現金など 11,000,000
 (貸)売掛金 11,000,000

問3 クレジット売掛金・消費税

模範解答
(借)売上 200,000
(借)仮受消費税 16,000 ※4
 (貸)クレジット売掛金 206,000 ※6
 (貸)支払手数料 10,000 ※5

※4 200,000円×8%=16,000円

※5 200,000円×5%=10,000円

※6 貸借差額

 クレジット売掛金・消費税に関する問題です。

 本問は、以前にクレジット販売したものが返品されたさいの仕訳が問われているので、まず先にクレジット販売時の仕訳を考えましょう。

 まず、「商品 ¥ 200,000 をクレジット払いの条件で販売」「消費税の税率は8%とし、税抜方式で処理する」から、貸方の売上の金額が200,000円、仮受消費税の金額が16,000円(=200,000円×8%)になると判断します。

 次に、「信販会社へのクレジット手数料(商品代金の5%)も販売時に計上していた」「クレジット手数料には消費税は課税されない」から、借方の支払手数料の金額が10,000円(=200,000円×5%)になると判断します。

 最後に、貸借差額206,000円(=200,000円+16,000円-10,000円)をクレジット売掛金で処理します。

参考・クレジット販売時の仕訳
(借)クレジット売掛金 206,000
(借)支払手数料 10,000
 (貸)売上 200,000
 (貸)仮受消費税 16,000

 次に、取り消し処理の仕訳を考えますが、これは単に販売時の逆仕訳をするだけです。上記の仕訳の借方と貸方をひっくり返して解答しましょう。

解答・返品時の仕訳
(借)売上 200,000
(借)仮受消費税 16,000
 (貸)クレジット売掛金 206,000
 (貸)支払手数料 10,000

消費税の処理が税込方式だったら?

 消費税の処理方法が税込方式の場合は、消費税分16,000円(=200,000円×8%)を売上に含めて処理します。

参考・クレジット販売時の仕訳
(借)クレジット売掛金 206,000
(借)支払手数料 10,000
 (貸)売上 216,000
参考・返品時の仕訳
(借)売上 216,000
 (貸)クレジット売掛金 206,000
 (貸)支払手数料 10,000

問4 リース取引

模範解答1
(借)リース資産 2,400,000 ※7
 (貸)リース債務 2,400,000
(借)リース債務 40,000
 (貸)普通預金 40,000
模範解答2
(借)リース資産 2,400,000 ※7
 (貸)リース債務 2,360,000
 (貸)普通預金 40,000

※7 @40,000円×60か月=2,400,000円

 リース取引に関する問題です。

 本問はまず、問題文の「利子込み法により処理する」から、リース資産に計上するのは利息相当額を含んだリース料総額であることが分かります。

リース料総額=@40,000円×60か月=2,400,000円

  • 利子込み法の計上額:リース料総額(見積現金購入価額+利息相当額)
  • 利子抜き法の計上額:見積現金購入価額
解答①・リース取引開始時の仕訳
(借)リース資産 2,400,000
 (貸)リース債務 2,400,000

 次に、第1回目のリース料の支払いの仕訳を考えます。

 本問では利子込み法の処理が問われているため、利息相当額を計算する必要はありません。リース料月額40,000円をそのまま借方に計上しましょう。

解答②・リース料支払時の仕訳
(借)リース債務 40,000
 (貸)普通預金 40,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。なお、借方と貸方のリース債務は相殺してもしなくても正解です。

問5 ソフトウェア

模範解答
(借)ソフトウェア 20,000,000 ※8
(借)長期前払費用 4,800,000
 (貸)ソフトウェア仮勘定 24,800,000

※8 24,800,000円-4,800,000円=20,000,000円

 ソフトウェアに関する問題です。

 まず、問題文の「開発費用 ¥ 24,800,000 は4回分割で銀行振込により支払済み」から、以前に以下のような仕訳を切っていたことが分かります。

 なお、ソフトウェア仮勘定はソフトウェアの(完成・引き渡し前までの)前払い分を一時的に処理する勘定です。有形固定資産の前払分を一時的に処理するさいに使う建設仮勘定と使い方は同じです。

参考・開発費用の前払時の仕訳(※4回分)
(借)ソフトウェア仮勘定 24,800,000
 (貸)普通預金など 24,800,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、問題文に「開発費用 ¥ 24,800,000 の中には、今後の4年間のシステム関係の保守費用 ¥ 4,800,000 が含まれていた」とあるので、ソフトウェア仮勘定24,800,000円のうちの4,800,000円は長期前払費用に振り替え、残りの20,000,000円はソフトウェアに振り替えます。

 保守費用4,800,000円の勘定科目をどれにするか悩んだ方も多かったと思いますが、長期前払費用の他に適当な勘定科目がないため、消去法で長期前払費用を選択しましょう。

解答・ソフトウェアの使用開始時の仕訳
(借)長期前払費用 4,800,000
(借)ソフトウェア 20,000,000
 (貸)ソフトウェア仮勘定 24,800,000


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