第146回・日商簿記検定3級 第5問(財務諸表作成問題)の過去問分析

第5問 スタンダードな財務諸表作成問題。30点満点を狙いましょう!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は、大方の予想どおり【財務諸表作成問題】でした。

 問題資料から貸借対照表と損益計算書を作成するスタンダードな問題で、難度・ボリュームともに平均レベル以下だったので、きちんと対策していた方は満点近い点数が取れたのではないでしょうか。

 受験生アンケートでも、60%以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。

解答手順

 本問は、下書用紙に【決算整理事項等】の仕訳を書いて、各勘定の金額を集計して答案用紙の貸借対照表・損益計算書を完成させましょう。

決算整理事項等1(現金過不足)

(借)雑損 2,000 ※1
 (貸)現金 2,000

※1 128,000円-126,000円=2,000円

 現金過不足は、帳簿残高を実際有高に合わせます。

 よって、現金の帳簿残高128,000円と実際有高126,000円との差額2,000円を雑損で処理します。

  • 帳簿>実際 → 実際にあわせるために帳簿を減らす → 貸方に現金 → 借方に雑損
  • 帳簿<実際 → 実際にあわせるために帳簿を増やす → 借方に現金 → 貸方に雑益

決算整理事項等2(仮受金の処理)

(借)仮受金 56,000 ※2
 (貸)売掛金 56,000

※2 問題資料の決算整理前残高試算表の「仮受金 56,000」より

 仮受金を売掛金に振り替えるだけです。

決算整理事項等3(貸倒引当金の繰り入れ)

(借)貸倒引当金繰入 16,000 ※3
 (貸)貸倒引当金 16,000

※3(470,000円+386,000円-56,000円)×3%-8,000円=16,000円

 貸倒引当金の繰入額を計算するさいは、決算整理事項等2の売掛金の減少(▲56,000)を考慮し忘れないように気をつけましょう。

決算整理事項等4(売上原価の算定)

(借)仕入 262,000 ※4
 (貸)繰越商品 262,000
(借)繰越商品 285,000 ※5
 (貸)仕入 285,000

※4 問題資料の決算整理前残高試算表の「繰越商品 262,000」より

※5 問題資料の決算整理事項等の「期末商品棚卸高は ¥ 285,000 である」より

 売上原価を算定にあたっては仕訳は不要です。実際に問題を解くさいは以下のような商品ボックスを書いて売上原価の金額を把握しましょう。

商品ボックス
商品ボックス
  • 期首商品棚卸高:問題資料の決算整理前残高試算表の「繰越商品 262,000」より
  • 当期商品仕入高:問題資料の決算整理前残高試算表の「仕入 3,080,000」より
  • 期末商品棚卸高:問題資料の決算整理事項等の「期末商品棚卸高は ¥ 285,000 である」より
    • 売上原価:262,000円+3,080,000円-285,000円=3,057,000円

決算整理事項等5(消耗品の処理)

(借)消耗品 5,000 ※6
 (貸)消耗品費 5,000

※6 問題資料の決算整理事項等の「消耗品の未使用残高は ¥ 5,000 である」より

 問題資料の決算整理前残高試算表の「消耗品費 43,000」から、消耗品の購入時に費用処理していることが分かるので、決算において未費消分を消耗品に振り替えます。

  • 購入時に費用処理 → 決算において未費消分を消耗品に振り替える
  • 購入時に資産処理 → 決算において期中消費分を消耗品費に振り替える

決算整理事項等6(減価償却)

(借)減価償却費 65,000 ※7
 (貸)備品減価償却累計額 65,000

※7(480,000円-120,000円)÷6年+120,000円÷6年×3か月/12か月=65,000円

 問題文に「備品のうち平成28年10月1日に取得した ¥ 120,000 」とあるので、旧備品と新備品に分けて減価償却費を計算しましょう。

 なお、新備品に関しては、3か月分(平成28年10月1日~12月31日)の減価償却費を計上します。うっかり1年分を計上しないように気をつけましょう。

  • 旧備品:(480,000円-120,000円)÷6年=60,000円
  • 新備品:120,000円÷6年×3か月/12か月=5,000円
    • 備品の減価償却費:60,000円+5,000円=65,000円

決算整理事項等7(家賃の前払い)

(借)前払費用 90,000 ※8
 (貸)支払家賃 90,000

※8 問題資料の決算整理事項等の「家賃の前払額が ¥ 90,000 ある」より

 問題文の指示に従って、支払家賃90,000円を前払費用に振り替えるだけです。

決算整理事項等8(利息の未収)

(借)未収収益 2,400 ※9
 (貸)受取利息 2,400

※9 300,000×2.4%×4か月/12か月=2,400円

 4か月分(平成28年9月1日~12月31日)の利息を計算して未収計上します。うっかり1年分を計上しないように気をつけましょう。

決算整理事項等9(手数料の前受け)

(借)受取手数料 2,000 ※10
 (貸)前受収益 2,000

※10 問題資料の決算整理事項等の「手数料の前受額が ¥ 2,000 ある」より

 問題文の指示に従って、受取手数料2,000円を前受収益に振り替えるだけです。

貸借対照表の表示科目について

 答案用紙の売掛金の下の空欄には貸倒引当金、備品の下の空欄には減価償却累計額が入ります。

 貸倒引当金は特に問題ないと思いますが、減価償却累計額を「備品減価償却累計額」と解答してしまった方が結構いらっしゃるようです。

 「仕訳で使う勘定科目」と「貸借対照表の表示科目」は必ずしも同じではありません。貸借対照表は企業外部の第三者も利用するため、財務諸表等規則にて表示科目に関するルールが定められています。

■参考・財務諸表等規則 第二十五条(減価償却累計額の表示)の一部抜粋

有形固定資産に対する減価償却累計額は、当該各資産科目に対する控除科目として、減価償却累計額の科目をもつて掲記しなければならない。

 よって、備品の下の空欄に「備品減価償却累計額」と書いてしまった方は残念がら不正解になります(勘定科目に配点がないことを祈りましょう)。

 簿記3級の受験にあたっては、売上債権の控除科目は貸倒引当金、有形固定資産の控除科目は減価償却累計額、ということをきちんと押さえておきましょう。

 なお、貸倒引当金と減価償却累計額の金額欄には、マイナスを意味する「△」や「▲」を金額の前に付けてはいけません。勝手に付けた場合、金額が合っていても不正解になるのでご注意ください。



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