第146回・日商簿記検定3級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 5問とも簡単な仕訳問題!短い解答時間で20点満点を取りましょう。

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。

 問5はあまり見かけない形でしたが処理自体は簡単ですし、他の4問も典型的な過去問類似問題だったので、仕訳対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題だったと思います。

 受験生アンケートでも、70%以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。合格するためには、短い解答時間で20点満点を取らなければいけない問題です。

問1 仕入取引・手形取引

模範解答
(借)仕入 502,000
 (貸)受取手形 500,000
 (貸)現金 2,000

 仕入取引・手形取引に関する問題です。

 本問は【手形の裏書きに関する仕訳】【引取運賃に関する仕訳】に分けて考えましょう。

手形の裏書きに関する仕訳

 問題文に「代金のうち ¥ 500,000 は仙台商店振出しの約束手形を裏書譲渡」とあるので、得意先振出しの約束手形の減少→受取手形の減少として処理します。

解答仕訳①
(借)仕入 500,000
 (貸)受取手形 500,000

引取運賃に関する仕訳

 引取運賃などの付随費用は、商品を仕入れるさいに不可避的に発生する費用なので、仕入原価に含めて処理します。

解答仕訳②
(借)仕入 2,000
 (貸)現金 2,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

問2 固定資産の売却・未収入金

模範解答
(借)備品減価償却累計額 300,000
(借)未収入金 20,000
(借)固定資産売却損 80,000
 (貸)備品 400,000

 固定資産の売却・未収入金に関する問題です。

 固定資産は期首に売却する場合と、期中(または期末)に売却する場合とで処理が異なるので、まず問題がどちらに該当するのか確認しましょう。


期首に固定資産を売却する場合

 当期の減価償却費はゼロなので、取得原価から期首備品減価償却累計額を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。

売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額

期中(または期末)に固定資産を売却する場合

 当期の減価償却の処理に関する指示が入るので、それに従って当期の減価償却費を(月割で)計算します。そのうえで、取得原価から期首備品減価償却累計額&当期の減価償却費を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。

売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額-当期の減価償却費


 本問は、問題文の「期首に ¥ 20,000 で売却し」から期首に売却したことが分かるので、まずは取得原価から減価償却累計額を差し引いて売却時の帳簿価額を計算します。

取得原価400,000円-期首備品減価償却累計額300,000円=売却時の帳簿価額100,000円

 次に、売却時の帳簿価額と売却価額との差額で売却損益を計算します。なお、売却価額20,000円は商品売買以外の取引で発生した債権なので、売掛金ではなく未収入金で処理します。

  • 売却時の帳簿価額=100,000円
  • 売却価額=20,000円
  • 差額=80,000円(帳簿価額>売却価額…売却損
解答仕訳
(借)備品減価償却累計額 300,000
(借)未収入金 20,000
(借)固定資産売却損 80,000
 (貸)備品 400,000

記帳方法が直接法の場合の仕訳は?

 本問を間接法ではなく直接法で記帳していた場合、貸方の備品勘定の金額は取得原価ではなく期首時点(=売却時)の帳簿価額になります。参考までに仕訳をご確認ください。

参考:記帳方法が直接法の場合の解答仕訳
(借)未収入金 20,000
(借)固定資産売却損 80,000
 (貸)備品 100,000

問3 租税公課

模範解答
(借)租税公課 7,000
 (貸)現金 7,000

 租税公課に関する問題です。

 本問のように、収入印紙を購入後、ただちに使用した場合は租税公課で費用処理します。

解答仕訳
(借)租税公課 7,000
 (貸)現金 7,000

 なお、本問では問われていませんが、期末において収入印紙の未費消分がある場合は租税公課を貯蔵品に振り替えます。参考までに仕訳をご確認ください。

参考・仮に期末に収入印紙が500円残っていた場合の決算整理仕訳
(借)貯蔵品 500
 (貸)租税公課 500

問4 債権の貸倒れ

模範解答
(借)現金 70,000
(借)貸倒引当金 130,000 ※1
 (貸)売掛金 200,000

※1 200,000円-70,000円=130,000円

 債権の貸倒れに関する問題です。

 債権の貸倒れは債権の発生時期によって処理が異なるので、まずはいつ発生したのかを確認しましょう。


前期以前に発生した債権が貸倒れた場合

 前期以前に発生した債権は、前期末の決算を通過しているので貸倒引当金が設定されています。よって、この債権が貸倒れた場合は、まず貸倒引当金を取り崩し、それでも足りない場合は貸倒損失で処理します。

参考・前期以前に発生した債権が貸倒れた場合の仕訳1
(借)貸倒引当金 ×××
 (貸)売掛金 ×××
参考・前期以前に発生した債権が貸倒れた場合の仕訳2
(借)貸倒引当金 ×××
(借)貸倒損失 ×××
 (貸)売掛金 ×××

当期中に発生した債権が貸倒れた場合

 当期中に発生した債権は、前期末の決算を通過していないので貸倒引当金が設定されていません。よって、この債権が貸倒れた場合は、全額を貸倒損失で処理します。

 なお、問題によっては貸倒引当金の金額が与えられる場合がありますが、それはダミーデータです。うっかり取り崩して処理しないように気をつけましょう。

参考・当期中に発生した債権が貸倒れた場合の仕訳
(借)貸倒損失 ×××
 (貸)売掛金 ×××

本問はどっち?

 問題文の「売掛金 ¥ 200,000(前期販売分)」から、前期に発生した債権が貸倒れたことが分かります。

 よって、貸倒れた売掛金130,000円(=200,000円-70,000円)は貸倒引当金を取り崩して処理します。

解答仕訳①・貸倒れた130,000円に関する仕訳
(借)貸倒引当金 130,000
 (貸)売掛金 130,000

 なお、70,000円については現金で回収しただけなので特に問題ないと思います。

解答仕訳②・現金で回収した70,000円に関する仕訳
(借)現金 70,000
 (貸)売掛金 70,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

 なお、貸倒れた売掛金が当期販売分だった場合、貸倒引当金を取り崩すことは出来ないので、貸倒損失で費用処理します。参考までに仕訳をご確認ください。

参考・貸倒れた売掛金が当期販売分だった場合の仕訳
(借)現金 70,000
(借)貸倒損失 130,000
 (貸)売掛金 200,000

問5 仮払金

模範解答
(借)現金 23,000 ※2
(借)旅費交通費 17,000 ※3
 (貸)仮払金 25,000
 (貸)前受金 15,000

※2 8,000円+15,000円=23,000円

※3 25,000円-8,000円=17,000円

 仮払金に関する問題です。

 本問は【旅費の仮払いに関する仕訳】【手付金の受け取りに関する仕訳】に分けて考えましょう。

旅費の仮払いに関する仕訳

 まず、問題文から旅費に関する部分を抜き出すと「従業員が出張から戻り、旅費の残額 ¥ 8,000 を現金で受け取った。なお、出張にあたって、従業員には旅費の概算額 ¥ 25,000 を渡していた。」になります。

 仮払時の仕訳をイメージしたうえで、解答仕訳を考えましょう。旅費交通費17,000円は、仮払額25,000円から残額8,000円を差し引いて求めます。

参考・仮払時の仕訳
(借)仮払金 25,000
 (貸)現金など 25,000
解答仕訳①
(借)現金 8,000
(借)旅費交通費 17,000
 (貸)仮払金 25,000

手付金の受け取りに関する仕訳

 こちらは受け取った手付金を前受金で処理するだけなので簡単です。

解答仕訳②
(借)現金 15,000
 (貸)前受金 15,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。



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