第146回・日商簿記検定2級 第3問(精算表作成問題)の過去問分析

第3問 固定資産の処理が少し難しかったものの、全体的には簡単な精算表作成問題!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は【精算表作成問題】でした。

 未処理事項2の「建設仮勘定」と、決算整理事項3の「建物の減価償却」ところがちょっと難しかったかもしれませんが、その他の設問は過去問レベルの簡単な問題です。

 受験生アンケートでも、60%以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。合格するためには最低でも7割(20点満点中14点)は取りたいところです。

精算表作成問題の解き方

 資料の未処理事項および決算整理事項の全取引の仕訳を下書用紙に書きだしたうえで、それらを集計して答案用紙の精算表の修正記入欄に記入し、さらに損益計算書欄と貸借対照表欄を完成させます。

 精算表の問題に慣れてきたら…仕訳を下書用紙に書き出さずに頭の中で考えて、答案用紙の精算表の修正記入欄にダイレクトに書きこんでいく解き方に挑戦してみましょう(※管理人はこの方法で解いています)。

 慣れるまでは大変ですが、いったん慣れてしまえば解答時間をかなり短縮できます。なお、難しい取引に関しては無理に頭の中だけで考えようとせずに、問題用紙の余白等にいったん書き出して頭の中を整理しましょう。

未処理事項1(債権の貸倒れ)

(借)貸倒損失 30,000
 (貸)売掛金 30,000

 当期の販売から生じた売掛金の貸倒れは、貸倒損失で処理します。うっかり貸倒引当金を取り崩さないように気をつけましょう。

  • 前期以前に発生した売掛金が貸倒れた場合:貸倒引当金を取り崩して処理
  • 当期中に発生した売掛金が貸倒れた場合:貸倒損失で費用処理

未処理事項2(建設仮勘定)

(借)修繕費 40,000
(借)建物 120,000 ※1
 (貸)建設仮勘定 160,000

※1 160,000円-40,000円=120,000円

 問題文の指示に従って、建設仮勘定160,000円のうち40,000円は修繕費で費用処理し、残額の120,000円は建物に振り替えます。

未処理事項3(水道光熱費)

(借)水道光熱費 3,000
 (貸)当座預金 3,000

 電力料3,000円を水道光熱費で費用処理するだけです。

未処理事項4(退職給付引当金の取崩し)

(借)退職給付引当金 30,000
 (貸)仮払金 30,000

 借方の仮払金と貸方の退職給付引当金を相殺消去します。

決算整理事項1(売上原価の算定)

(借)売上原価 308,000 ※2
 (貸)繰越商品 308,000
(借)売上原価 2,070,000 ※3
 (貸)仕入 2,070,000
(借)繰越商品 272,200 ※4
 (貸)売上原価 272,200
(借)棚卸減耗損 13,200 ※5
(借)商品評価損 9,500 ※6
 (貸)繰越商品 22,700

※2 答案用紙の精算表の「繰越商品 308,000」より

※3 答案用紙の精算表の「仕入 2,070,000」より

※4 200個×@500円+420個×@410円=272,200円

※5(200個-190個)×@500円+(420個-400個)×@410円=13,200円

※6(@500円-@450円)×190個=9,500円

 売上原価勘定を使った売上原価算定の仕訳は、仕訳の各勘定科目の頭文字を取って「浮く牛食う(うくうしくう)」という語呂で覚えてしまいましょう。

 なお、商品Bは原価よりも正味売却価額(時価)のほうが高くなっています。この場合は商品評価益を計上することも、他の商品評価損と相殺することも出来ませんのでご注意ください。

 よって、商品評価損は、商品Aからのみ発生します。

 また、本問は、問題文に「商品評価損と棚卸減耗損は、精算表上、独立の項目として示すこと」という指示があるので、棚卸減耗損および商品評価損の発生額をそのまま計上します。

 仮に、問題文が「商品評価損と棚卸減耗損は、売上原価の内訳項目として処理している」だった場合は、追加で棚卸減耗損および商品評価損を売上原価に振り替える必要があります。

 参考までに仕訳をご確認ください。

参考・売上原価の内訳項目として処理する場合の仕訳
(借)売上原価 22,700
 (貸)棚卸減耗損 13,200
 (貸)商品評価損 9,500

決算整理事項2(貸倒引当金の設定)

(借)貸倒引当金繰入額 260 ※7
 (貸)貸倒引当金 260

※7(106,000円+200,000円-30,000円)×1%-2,500円=260円

 貸倒引当金の繰入額を計算するさいには、未処理事項1のマイナス30,000円を考慮し忘れないように気をつけましょう。

決算整理事項3(減価償却)

(借)減価償却費 95,840 ※10
 (貸)建物減価償却累計額 28,000 ※8
 (貸)備品減価償却累計額 67,840 ※9

※8 750,000円÷30年+120,000円÷20年×6か月/12か月=28,000円

※9(530,000円-190,800円)×20%=67,840円

※10 貸方合計

 本問の中では一番難しい処理です。

 旧建物750,000円は耐用年数30年で割って、当期の減価償却費を求めるだけです。

 一方、新建物の120,000円は、問題文に「当期の増改築工事による増加部分はこの建物の残存耐用年数にわたり残存価額はゼロとして定額法により償却」とあるので、残存耐用年数20年(=30年-10年)で割って、当期の減価償却費を求めます。うっかり30年で割らないように気をつけましょう。

  • 旧建物の減価償却費:750,000円÷30年=25,000円
  • 新建物の減価償却費:120,000円÷20年×6か月/12か月=3,000円

 なお、備品は償却率20%の定率法で償却するだけなので簡単です。

  • 備品の減価償却費:(530,000円-190,800円)×20%=67,840円

決算整理事項4(満期保有目的債券の評価替え)

(借)満期保有目的債券 1,000 ※11
 (貸)有価証券利息 1,000

※11(600,000円-595,000円)÷5年=1,000円

 満期保有目的債券は当期首に取得しているので、額面総額600,000円と取得価額595,000円との差額5,000円を、償還期間5年(平成28年4月1日~平成33年3月31日)で割って、当期の償却原価法適用額を計算します。

決算整理事項5(外貨建取引)

(借)為替差損益 1,000 ※12
 (貸)買掛金 1,000

※12 200ドル×@115円-22,000円=1,000円

 第146回試験から新たに試験範囲に追加された「外貨建取引」の処理です。外貨建ての買掛金を、決算時の為替相場(@115円)で評価替えするだけです。

決算整理事項6(退職給付引当金の設定)

(借)退職給付費用 50,000 ※13
 (貸)退職給付引当金 50,000

※13 200,000円-(180,000円-30,000円)=50,000円

 当期の退職給付費用を計算するさいには、未処理事項4の処理(マイナス30,000円)を考慮し忘れないように気をつけましょう。

決算整理事項7(保険料の前払い)

(借)前払保険料 8,000 ※14
 (貸)保険料 8,000

※14(12,000円÷12か月)×8か月=8,000円

 当期の12月1日に前払いした1年分の保険料のうち、翌期に属する8か月分(平成29年4月1日~11月30日)の保険料を前払い処理します。



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