第145回・日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 問5以外は絶対に正解したい仕訳問題。ケアレスミスに気をつけてください!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。

 問5の本支店会計の仕訳はやや難しかったものの、その他の4問は難度・ボリュームともに平均レベルの問題だったので、合格するためには最低でも16点(5問中4問)は取りたいところです。

 なお、問1(固定資産の割賦購入)と問4(役務原価)は2016年度から試験範囲になった新論点の問題ですが、分かりやすい指示が入っていたので特に問題なかったと思います。

 受験生アンケートでも約半数の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。

問1 固定資産の購入

模範解答
(借)備品 14,580,000 ※1
(借)前払利息 420,000 ※3
 (貸)営業外支払手形 15,000,000 ※2

※1 @145,800円×100台=14,580,000円

※2 @1,250,000円×12枚=15,000,000円

※3 貸借差額

 固定資産の割賦購入に関する問題です。

 固定資産を割賦契約で購入した場合、現金販売価額と支払額合計との差額を前払利息(資産)または支払利息(費用)等で処理します。

  • 現金購入価額:14,580,000円(=@145,800円×100台)
  • 支払額合計:15,000,000円(=@1,250,000円×12枚)
  • 差額:15,000,000円-14,580,000円=420,000円

 本問は、問題文に「利息相当額については、資産の勘定(前払利息)を用いて処理することとする」という一文があるので、差額の420,000円に関しては前払利息勘定で処理します。

 また、代金は手形を振り出して支払っているので営業外支払手形勘定で処理します。うっかり支払手形勘定を使わないように気をつけましょう。

  • 商品を仕入れたさいに手形を振り出した場合:支払手形勘定で処理
  • 商品以外を購入したさいに手形を振り出した場合:営業外支払手形勘定で処理

問2 企業合併

模範解答
(借)諸資産 87,000,000
 (貸)諸負債 34,000,000
 (貸)資本金 30,000,000 ※4
 (貸)資本準備金 20,000,000 ※5
 (貸)負ののれん発生益 3,000,000 ※6

※4 @5,000円×10,000株×60%=30,000,000円

※5 @5,000円×10,000株×40%=20,000,000円

※6 貸借差額

 企業合併に関する問題です。

 他の企業を吸収合併する場合、被合併会社の資産・負債を時価で引き継ぎ、その対価として株式を交付したうえで、被合併会社の純資産(資産-負債)の額と交付した株式の額を比較して、のれん(借方に計上する場合)または負ののれん発生益(貸方に計上する場合)を計上します。

 本問の場合、問題文に「諸資産(時価)は ¥ 87,000,000、諸負債(時価)は ¥ 34,000,000であった」とあるので、被合併会社の純資産の額は53,000,000円(=87,000,000円-34,000,000円)になります。

 一方、交付した株式の額は、問題文の「新たに当社の株式10,000株(合併時点の時価:@¥ 5,000 )を発行し、これを大阪商事の株主に交付した」という一文から、50,000,000円(=10,000株×@5,000円)ということが分かります。

 この結果、53,000,000円が価値のある会社を50,000,000円で手に入れたことになるので、差額の3,000,000円を負ののれん発生益(特別利益)として処理します。

 なお、新たに交付した株式に関しては、問題文に「取得の対価のうち60%を資本金、残り40%を資本準備金として計上することとした」とあるので、指示に従って資本金・資本準備金勘定で処理します。

  • 資本金:50,000,000円×60%=30,000,000円
  • 資本準備金:50,000,000円×40%=20,000,000円

問3 有価証券の購入

模範解答
(借)満期保有目的債券 59,700,000 ※7
(借)有価証券利息 42,000 ※8
 (貸)当座預金 59,742,000 ※9

※7 60,000,000円×@99.50円/@100円=59,700,000円

※8 60,000,000円×0.365%×70日/365日=42,000円

※9 貸借差額

 有価証券の購入に関する問題です。

 本問は、【普通社債の購入に関する仕訳】と【利息の支払いに関する仕訳】に分けて考えると分かりやすいです。

普通社債の購入に関する仕訳

 社債を購入した場合、購入代価と付随費用(取得に伴い発生した費用)の合計額を取得原価として資産計上しますが、本問は付随費用が発生していないので、購入代価を計算するだけです。

取得原価=購入代価+付随費用=(60,000,000円×@99.50円/@100円)+0円=59,700,000円

 なお、本問は問題文に「満期まで保有する目的で」とあるので、売買目的有価証券ではなく満期保有目的債券で処理します。

 有価証券の分類は、第1問だけでなく第2問・第3問でも問われる可能性があるので、きちんと分類できるようにしておきましょう。

  • 売買目的で購入した株式・債券:売買目的有価証券
  • 満期まで保有する目的で購入した債券:満期保有目的債券
  • 発行済株式総数の50%超を保有している株式:子会社株式
  • 発行済株式総数の20%~50%を保有している株式:関連会社株式
  • 上記4つ以外の株式・債券:その他有価証券

 また、本問は問題文に「当社の当座預金口座から指定された銀行の普通預金口座へ振り込んだ」とあるので、当座預金勘定で処理します。うっかり普通預金勘定を使わないように気をつけましょう。

解答①
(借)満期保有目的債券 59,700,000
 (貸)当座預金 59,700,000

利息の支払いに関する仕訳

 問題文に、「利払日は毎年6月と12月の末日、利率は年0.365%」とあり、購入日が9月8日なので、前回の利払日の翌日の7月1日から9月8日までの70日分(31日+31日+8日)の端数利息を計算します。

有価証券利息=60,000,000円×0.365%×70日/365日=42,000円

解答②
(借)有価証券利息 42,000
 (貸)当座預金 42,000

 最後に、①②の仕訳をまとめると解答になります。

 ところで、上記の仕訳について、なぜ社債購入時に「前回の利払日の翌日から購入日までの端数利息」を支払わなければいけないかはお分かりですか?

 社債を購入すると次回の利払日(本問の場合は12月末日)に半年分の利息を受け取ることになりますが、購入時に「前回の利払日の翌日から購入日まで端数利息」を先に支払っておかないと、保有していなかった期間(7月1日から9月8日まで)の分まで余分にもらってしまうことになるからです。

  • 購入日(9月8日):前回の利払日の翌日から購入日までの70日分の端数利息を支払う
  • 次回の利払日(12月31日):半年分の利息を受け取る
  • 有価証券利息:保有期間に見合った利息(半年分の利息-70日分の利息)が計上される

 この処理は質問掲示板でもよくお問い合わせいただくところなので、考え方・処理方法をきちんと押さえておきましょう。

問4 役務原価

模範解答
(借)仕掛品 245,000
 (貸)給料 200,000
 (貸)旅費交通費 45,000

 役務原価に関する問題です。

 過去に出題されたことのないパターンの問題なので一瞬手が止まったかもしれませんが、問題文の指示に従って処理するだけなので非常に簡単です。

 まず、問題文に「給料 ¥ 700,000および出張旅費 ¥ 180,000を過日現金にて支払い」とあるので、以前に切った仕訳をまず考えてみましょう。仕訳自体はとても簡単です。

以前に切った仕訳
(借)給料 700,000
(借)旅費交通費 180,000
 (貸)現金 880,000

 次に、問題文に「そのうち給料 ¥ 200,000および出張旅費 ¥ 45,000が特定の案件のために費やされたものであることが明らかになったので、これらを仕掛品勘定に振り替えた」とあるので、指示に従って仕掛品勘定に振り替えましょう。

解答仕訳
(借)仕掛品 245,000
 (貸)給料 200,000
 (貸)旅費交通費 45,000

問5 本支店会計

模範解答
(借)支店 613,000
 (貸)損益 613,000

 本支店会計に関する問題です。

 今回は本店の仕訳のみが問われていますが、本店と支店の仕訳は必ず対応しているので、本問のように難度が高い場合は本店・支店両方の決算振替仕訳から解答仕訳を考えましょう。

 まずは、支店の決算振替仕訳からです。問題文に「当期純利益 ¥ 613,000 を計上した」とあるので、(説明の便宜上)仮に諸収益の金額が713,000円、諸費用の金額が100,000円であったとすると、以下のような仕訳になります。

支店の決算振替仕訳1
(借)諸収益 713,000
 (貸)損益 713,000
(借)損益 100,000
 (貸)諸費用 100,000

 次に、上記の仕訳で残った損益を…いつもであれば繰越利益剰余金に振り替えますが、支店には純資産の勘定がありません(代わりに本店勘定があります)ので、貸方残613,000円の損益を本店勘定に振り替えます。

支店の決算振替仕訳2
(借)損益 613,000
 (貸)本店 613,000

 次に、本店の決算振替仕訳を考えます。諸収益・諸費用を損益に振り替えるのは同じです。

本店の決算振替仕訳1
(借)諸収益 ×××
 (貸)損益 ×××
(借)損益 ×××
 (貸)諸費用 ×××

 諸収益・諸費用を損益に振り替えたら、このタイミングで支店の損益を受け入れます。支店の仕訳の貸方が「本店」なので、本店の仕訳の借方に「支店」が入ります。

本店の決算振替仕訳2(解答仕訳)
(借)支店 613,000
 (貸)損益 613,000

 参考までにそのあとの流れも…上記の仕訳により、本店の損益勘定の貸方には本店の当期純利益と支店の当期純利益が計上されるので、これを最後に繰越利益剰余金に振り替えます。

本店の決算振替仕訳3
(借)損益 ×××
 (貸)繰越利益剰余金 ×××


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