第143回・日商簿記検定3級 第5問(精算表作成問題)の過去問分析

第5問 売上原価算定の仕訳は「うくうしくう」という語呂で覚えましょう!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は、簡単な【精算表作成問題】でした。売上原価を売上原価の行で計算する処理が少し難しかったかもしれませんが、それ以外は難度・ボリュームともに平均レベル以下でした。

 その売上原価の処理に関しても、本試験のオリジナル予想問題「簿記ナビ模試」で、売上原価の行で計算する精算表作成問題をバッチリ出題していたので、簿記ナビ模試を解いていた方にとってはボーナス問題だったと思います。

 受験生アンケートでは約半数の方が「普通ぐらいだった」と回答していますが、合格するためには短い解答時間で最低でも24点(約8割)は取らなければいけない問題です。

解答手順について

 資料の[決算日に判明した事項]と[決算整理事項]の全取引の仕訳を下書き用紙に書きだしたうえで、それらを集計して答案用紙の精算表の修正記入欄に記入し、損益計算書欄と貸借対照表欄を完成させます。

 仕訳を頭の中で考えて、そのまま解答用紙の精算表の修正記入欄に書きこんでいく…という上級テクニックもありますが、3級受験時にマスターするのはかなり大変なので、無理に挑戦する必要はありません。まずはひとつひとつの取引を確実に処理することを最優先にして取り組んでください。

決算日に判明した事項

(1) 現金過不足

解答仕訳
(借)通信費 2,000
(借)雑損 1,000
 (貸)現金過不足 3,000

 現金過不足の借方残3,000円は、原因が判明した2,000円については通信費勘定に振り替え、原因が判明しなかった残額1,000円については雑損勘定で処理します。現金勘定を動かさないように気をつけてください。

(2) 仕訳の訂正

解答仕訳
(借)売掛金 20,000
 (貸)前受金 20,000

 仕訳の訂正は、以下の流れで機械的に処理しましょう。

  1. 間違って切ってしまった仕訳を書きだす
  2. 1.の逆仕訳を書きだす
  3. 正しい仕訳を書きだす
  4. 2.と3.の仕訳をまとめる

 それでは、本問の仕訳を当てはめて確認してみましょう。問題文に「得意先から商品の内金 ¥ 20,000 を現金で受け取っていたが、これを売掛金の回収として処理していた」とあるので、間違って切ってしまった仕訳は以下のとおりです。

1. 間違って切ってしまった仕訳を書きだす
(借)現金 20,000
 (貸)売掛金 20,000

 次に「1.の逆仕訳」を考えますが、これは単純に貸借を逆にするだけなので簡単です。

2. 1.の逆仕訳を書きだす
(借)売掛金 20,000
 (貸)現金 20,000

 さらにその次に正しい仕訳を考えますが、内金を現金で受け取っただけなので特に問題ないと思います。

3. 正しい仕訳を書きだす
(借)現金 20,000
 (貸)前受金 20,000

 最後に2.と3.の仕訳をまとめます。

4. 2.と3.の仕訳をまとめる
(借)売掛金 20,000
 (貸)現金 20,000
(借)現金 20,000
 (貸)前受金 20,000

 訂正仕訳は順番通りに、機械的に処理するのが一番間違いが少ないです。

(3) 仮払金の振り替え

解答仕訳
(借)備品 250,000
 (貸)仮払金 250,000

 残高試算表の仮払金250,000円を備品勘定に振り替えます。決算整理事項(3)で減価償却費を計算するさいに、この250,000円分を忘れないように気をつけましょう。

決算整理事項

(1) 売上原価の算定

解答仕訳
(借)売上原価 41,000
 (貸)繰越商品 41,000
(借)売上原価 650,000
 (貸)仕入 650,000
(借)繰越商品 38,000
 (貸)売上原価 38,000

 売上原価の算定の仕訳は、「しーくりくりしー」の語呂でおなじみの仕訳を切り…たいところですが、問題文に「売上原価は「売上原価」の行で計算すること」とあるので、「浮く牛食う(うくうしくう)」の仕訳を切ります。

期首商品棚卸高を繰越商品勘定から売上原価勘定に振り替える
(借)上原価 41,000
 (貸)越商品 41,000
当期商品仕入高を仕入勘定から売上原価勘定に振り替える
(借)上原価 650,000
 (貸)入 650,000
期末商品棚卸高を売上原価勘定から繰越商品勘定に振り替える
(借)越商品 38,000
 (貸)上原価 38,000

 仕訳の語呂は、仕訳の各勘定の頭文字「(売上原価)」「(繰越商品)」「(売上原価)」「(仕入)」「(繰越商品)」「(売上原価)」で構成されています。

 売上原価の行で計算する問題は忘れたころにポロッと出てくるので、「浮く牛食う(うくうしくう)」の語呂で仕訳を押さえておきましょう。

(2) 貸倒引当金

解答仕訳
(借)貸倒引当金繰入 6,400
 (貸)貸倒引当金 6,400

 貸倒引当金の繰入額は、決算日に判明した事項(2)の売掛金20,000円を考慮して計算します。

(76,000円+114,000円+20,000円)×4%=8,400円(貸倒引当金)

8,400円-2,000円(残高試算表の貸倒引当金の金額)=6,400円(貸倒引当金繰入)

(3) 減価償却

解答仕訳
(借)減価償却費 106,500
 (貸)建物減価償却累計額 54,000
 (貸)備品減価償却累計額 52,500

 備品の減価償却は、決算日に判明した事項(3)の備品250,000円を忘れないように気をつけましょう。

建物の減価償却費:1,800,000円×90%÷30年=54,000円

旧備品の減価償却費:200,000円÷5年=40,000円

新備品の減価償却費:250,000円÷5年×3か月/12か月=12,500円

(4) 消耗品

解答仕訳
(借)消耗品 1,000
 (貸)消耗品費 1,000

 残高試算表の「消耗品費 6,000」から、決算期末に残っている分を消耗品勘定に振り替える(購入時に費用処理する)方法を採用していることが分かるので、1,000円を消耗品費勘定から消耗品勘定に振り替えます。

参考:購入時に費用処理(消耗品費勘定で処理)した場合の仕訳

購入時の仕訳
(借)消耗品費 *****
 (貸)現金など *****
決算期末時の仕訳(期末に残っている分を消耗品に振り替える)
(借)消耗品 1,000
 (貸)消耗品費 1,000

参考:購入時に資産処理(消耗品勘定で処理)した場合の仕訳

購入時の仕訳
(借)消耗品 *****
 (貸)現金など *****
決算期末時の仕訳(期中に使った分を消耗品費に振り替える)
(借)消耗品費 *****
 (貸)消耗品 *****

(5) 保険料

解答仕訳
(借)前払保険料 4,000
 (貸)保険料 4,000

 保険料のうち12,000円は、5月1日に1年分を前払いしたものなので、4か月分(翌期の1月1日から4月30日まで)を前払い処理します。

保険料の前払額:12,000円×4か月/12か月=4,000円

(6) 貸付金

解答仕訳
(借)未収利息 2,000
 (貸)受取利息 2,000

 貸付金にかかる利息は、返済時に受け取る利息のうち、当期に属する5か月分(当期の8月1日から12月31日まで)を未収計上します。

利息の未収額:400,000円×1.2%××5か月/12か月=2,000円



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