第143回・日商簿記検定3級 第3問(試算表作成問題)の過去問分析

第3問 問題資料の6つの勘定を有効活用して、効率よく問題を解きましょう!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は予想通り【試算表作成問題】でした…が、問題資料の与え方があまりみかけない形だったので、面食らって手が止まってしまった受験生も多かったようです。

 ただ、本試験のオリジナル予想問題「簿記ナビ模試」で同じような資料の与え方の問題をたまたま出題していたので、きちんと解いていれば少なくとも半分以上の点数は取れたのではないでしょうか。

 受験生アンケートでは60%以上の方が「かなり難しかった」と回答していますが、合格するためには最低でも6割以上(30点満点中18点以上)は取らなければいけない問題です。

解答方法について

 試算表作成問題の解答方法は、「下書き用紙に全取引の仕訳を書きだす→集計時に一工夫する」方法と、「下書き用紙にT勘定を設定する→頭のなかで仕訳を考えて各勘定に金額を記入する→各勘定ごとに金額を集計する」方法の2つがあります。

 本問や第138回試験第141回試験の試算表作成問題のように、月中取引の資料が取引別・勘定別に与えられている場合は、二重仕訳を考慮する必要があるので前者の方法で解くことをおすすめします。

 一方、第140回試験第142回試験の試算表作成問題のように、月中取引の資料が日付別(時系列)で与えられている場合は、二重仕訳を考慮する必要はないので後者の方法で解くことをおすすめします。

  • まず、二重仕訳を考慮する必要があるか考える(問題資料を見て自分で判断する)
  • 考慮する必要がある場合→下書き用紙に全取引の仕訳を書きだす→集計時に一工夫する
  • 考慮する必要がない場合→下書き用紙にT勘定を設定する→頭のなかで仕訳を考えて各勘定に金額を記入する→各勘定ごとに金額を集計する

本問の具体的な解答手順について

 本問は、問題資料の各勘定の金額の一部が「?」になっているので、まずはこの「?」の金額をパズル感覚で埋めていきましょう。なお、埋めていく順番に決まりはないので、分かるところからどんどん金額を埋めていきましょう。

当座預金勘定の受取手形・現金の金額

 受取手形は受取手形勘定の「当座預金 299,000」から金額(299,000円)を引っ張ってきましょう。同様に、現金は現金勘定の「当座預金 200,000」から金額(200,000円)を引っ張ってきましょう。

受取手形勘定の売掛金の金額

 売掛金は売掛金勘定の「受取手形」から金額を引っ張ってき…たいところですが、こちらも「?」になっているのでこの時点では金額を埋めることができません。この金額はひとまず置いておきましょう。

売掛金勘定の売上・当座預金・受取手形の金額

 売上は答案用紙の得意先元帳の「売り上げ 500,000」「売り上げ 210,000」から金額(500,000円+210,000円=710,000円)を引っ張ってきましょう。

 同様に、受取手形は答案用紙の得意先元帳の「回収(約手受取) 150,000」から金額(150,000円)を引っ張ってきましょう。ついでに、先ほど埋められなかった受取手形勘定の売掛金の金額についても同額(150,000円)を記入しておきましょう。

 当座預金は当座預金勘定の「売掛金 400,000」から金額(400,000円)を引っ張ってきましょう。

 問題資料の金額の推定に関しては、この売掛金部分が一番難しかったと思います。本問のように、問題資料だけでなく答案用紙にもヒントが隠れている場合があるので、問題を解くさいには気をつけてください。

支払手形勘定の当座預金の金額

 当座預金は当座預金勘定の「支払手形 200,000」から金額(200,000円)を引っ張ってきましょう。

買掛金勘定の支払手形の金額

 支払手形は支払手形勘定の「買掛金 100,000」から金額(100,000円)を引っ張ってきましょう。


 問題資料の金額の推定が終わったら、下書き用紙に全ての取引の仕訳を書きだ…したいところですが、本問は全ての取引の仕訳を書きださなくても問題資料の勘定を使って解答することができます。

 まず、問題資料で与えられている6つの勘定(現金・当座預金・受取手形・売掛金・支払手形・買掛金)の金額に関しては、各勘定の貸借差額で簡単に求めることができます。

  • 現金:2,000,000円+200,000円-1,450,000円-40,000円-15,000円-370,000円=325,000円
  • 当座預金:5,000,000円+300,000円+299,000円+400,000円-3,400,000円-200,000円-200,000円-300,000円-200,000円-42,000円-40,000円-60,000円=1,557,000円
  • 受取手形:2,200,000円+500,000円+150,000円-1,900,000円-299,000円-1,000円=650,000円
  • 売掛金:3,100,000円+710,000円-2,700,000円-60,000円-400,000円-150,000円=500,000円
  • 支払手形:1,200,000円+250,000円+100,000円-1,000,000円-200,000円=350,000円
  • 買掛金:2,300,000円+490,000円-2,000,000円-300,000円-100,000円-40,000円=350,000円

二重仕訳対策に関して

 例えば…当座預金は当座預金勘定のみの金額を集計し、他の勘定に出てくる当座預金を無視することによって二重仕訳の問題を回避することができます。

 他の5つの勘定も同じように、その勘定の金額のみを集計しましょう。


 6つの勘定の金額を集計し終えたら、他の勘定の集計の邪魔にならないように、6つの勘定の中の「前月までの合計」「現金」「当座預金」「受取手形」「売掛金」「支払手形」「買掛金」に(金額部分も含めて)打ち消し線を引きましょう。

 この結果、問題資料の6つの勘定の中で残っているものは以下の勘定科目になります。実際に打ち消し線を入れて確かめてみましょう。

  • 現金:仕入(40,000)、発送費(15,000)、給料(370,000)
  • 当座預金:売上(300,000)、仕入(200,000)、通信費(42,000)、水道光熱費(40,000)、支払家賃(60,000)
  • 受取手形:売上(500,000)、手形売却損(1,000)
  • 売掛金:売上(710,000と60,000)
  • 支払手形:仕入(250,000)
  • 買掛金:仕入(40,000と490,000)

 さらに、ここで付記事項の3つの取引の仕訳を考えましょう。

ア.仕入れに伴う手付金の相殺
(借)仕入 80,000
 (貸)前払金 80,000
イ.売り上げに伴う手付金の相殺
(借)前受金 120,000
 (貸)売上 120,000
ウ.給料支給総額から源泉徴収した所得税
(借)給料 10,000
 (貸)所得税預り金 10,000

 あとはこれらの金額を集計するだけです。なお、資本金に関しては4月1日時点の残高試算表の差額で算定しましょう。

  • 前払金:160,000円-80,000円=80,000円
  • 前受金:220,000円-120,000円=100,000円
  • 所得税預り金:30,000円+10,000円=40,000円
  • 資本金:貸借差額で2,000,000円
  • 売上:5,000,000円+300,000円+500,000円+710,000円+120,000円-60,000円=6,570,000円
  • 仕入:3,250,000円+40,000円+200,000円+250,000円+490,000円+80,000円-40,000円=4,270,000円
  • 給料:1,200,000円+370,000円+10,000円=1,580,000円
  • 発送費:50,000円+15,000円=65,000円
  • 支払家賃:180,000円+60,000円=240,000円
  • 通信費:120,000円+42,000円=162,000円
  • 水道光熱費:150,000円+40,000円=190,000円
  • 手形売却損:10,000円+1,000円=11,000円

 なお、問題資料の6つの勘定を使って集計する場合は、勘定の右側が借方で、勘定の左側が貸方になります。プラスとマイナスを間違えないように気をつけてください。

 さらに、神奈川商店の回収(当座振込)の金額は、問題資料の売掛金勘定の「当座預金 400,000」と答案用紙の千葉商店の「回収(当座振込)100,000」から、差額で300,000円(=400,000円-100,000円)を算定します。

 また、千葉商店の値引きの金額は、問題資料の売掛金勘定の「売上 60,000」と答案用紙の神奈川商店の「返品 55,000」から、差額で5,000円(=60,000円-55,000円)を算定します。

まとめ

 本問は、今回紹介した「問題資料の勘定を使って効率的に解く方法」の他に、「問題資料から全ての仕訳を推定して下書き用紙に書きだし、二重仕訳に気をつけてひとつひとつ集計する方法」でも解くことができます。

 ただ、本問の場合は後者の方法で解くとどうしても時間がかかりすぎてしまうので、最初は難しく感じるかもしれませんが、前者の「問題資料の勘定を使って効率的に解く方法」にぜひチャレンジしてみてください。

参考:4月中の仕訳

現金勘定 ※赤字は二重仕訳部分
(借)現金 200,000
 (貸)当座預金 200,000
(借)仕入 40,000
(借)発送費 15,000
(借)給料 370,000
 (貸)現金 425,000
当座預金勘定 ※赤字は二重仕訳部分
(借)当座預金 999,000
 (貸)売上 300,000
 (貸)受取手形 299,000
 (貸)売掛金 400,000
(借)仕入 200,000
(借)支払手形 200,000
(借)買掛金 300,000
(借)現金 200,000
(借)通信費 42,000
(借)水道光熱費 40,000
(借)支払家賃 60,000
 (貸)当座預金 1,042,000
受取手形勘定 ※赤字は二重仕訳部分
(借)受取手形 650,000
 (貸)売上 500,000
 (貸)売掛金 150,000
(借)当座預金 299,000
(借)手形売却損 1,000
 (貸)受取手形 300,000
売掛金勘定 ※赤字は二重仕訳部分
(借)売掛金 710,000
 (貸)売上 710,000
(借)売上 60,000
(借)当座預金 400,000
(借)受取手形 150,000
 (貸)売掛金 610,000
支払手形勘定 ※赤字は二重仕訳部分
(借)支払手形 200,000
 (貸)当座預金 200,000
(借)仕入 250,000
(借)買掛金 100,000
 (貸)支払手形 350,000
買掛金勘定 ※赤字は二重仕訳部分
(借)買掛金 440,000
 (貸)当座預金 300,000
 (貸)支払手形 100,000
 (貸)仕入 40,000
(借)仕入 490,000
 (貸)買掛金 490,000
付記事項
(借)仕入 80,000
 (貸)前払金 80,000
(借)前受金 120,000
 (貸)売上 120,000
(借)給料 10,000
 (貸)所得税預り金 10,000


ページの先頭へ