第143回・日商簿記検定2級 第2問(固定資産)の過去問分析

第2問 難しいというより面倒くさい問題。端数処理の連続とかマジでやめて…。

第2問の難度アンケート結果

 第2問は【固定資産】に関する問題でした。処理すべき固定資産の数が多く、しかも円未満の小数が何度も出てくる問題だったので非常に解きにくかったと思います。

 受験生アンケートでも80%以上の方が「かなり難しかった」と回答しており、第2問でどれだけ部分点を積み上げられたかが合否の分かれ目になったようです。

 ここでは全ての固定資産の処理を解説しますが、本試験では設問1の総勘定元帳(建物勘定・建物減価償却累計額勘定・ソフトウェア勘定の3つ)の記入のみに注力して、部分点(10点前後)を確実に取りましょう。本問は10点も取れれば御の字です。

 一方、設問2と設問3は、典型的な「労多くして功少なし」の問題なので、解答時間に余裕が無い場合は思い切って捨てても構いません(もちろん、第2問以外をきちんと解いたうえで時間が余っている場合は別です)。

 それでは、固定資産ごとにひとつひとつ処理を考えていきましょう。

事務所(建物)の処理

 事務所は平成19年4月1日に取得しているので、前期末(平成27年3月31日)時点で8回の減価償却が行われています。よって、前期末時点の減価償却累計額および帳簿価額は以下のとおりです。

1年あたりの減価償却費=7,500,000円×0.040=300,000円

平成19年度から平成26年度までの減価償却(合計8回)
(借)減価償却費 300,000
 (貸)建物減価償却累計額 300,000
  • 建物の取得原価:7,500,000円
  • 前期末時点の建物減価償却累計額:300,000円×8回=2,400,000円
  • 前期末時点の建物の帳簿価額:7,500,000円-2,400,000円=5,100,000円

 なお、問題文に「耐用年数に対応する償却率は、下表のとおりである(計算にあたってはこの表の数値を用いること)」という指示があるので、定額法による場合でも償却率を使って計算する必要がある点にご注意ください。

 前期末までの処理を確認したうえで、当期中の処理を順番に確認していきましょう。

平成27年7月1日

 問題文に「事務所の改築を行い、改築工事の代金 ¥ 1,500,000(翌月末払い)のうち、80%が資本的支出であったため、これを建物勘定に追加計上し、耐用年数15年で減価償却を行うこととした」とあるので、80%分を資本的支出として建物勘定で処理し、残りの20%を修繕費勘定で費用処理します。

 仕訳自体は簡単なので特に問題ないと思います。

資本的支出の金額=1,500,000円×80%=1,200,000円

改築工事に関する仕訳
(借)建物 1,200,000
(借)修繕費 300,000
 (貸)未払金 1,500,000

平成28年3月31日(決算日)

 平成19年4月1日に取得した既存分7,500,000円と、7月1日に資本的支出として処理した期中取得分1,200,000円は耐用年数が異なるため、別々に減価償却を行います。

 なお、期中取得分に関しては、問題文に「期中取得分は年間の償却費を月割で計算」という指示があるので、指示に従って9か月分(平成27年7月1日~平成28年3月31日)を月割計上します。

既存分:7,500,000円×0.040=300,000円

期中取得分:1,200,000円×0.067×9か月/12か月60,300円

建物の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 360,300
 (貸)建物減価償却累計額 360,300

 この時点で、答案用紙の建物勘定と建物減価償却累計額勘定の空欄を埋めてしまいましょう。この2つの勘定だけで6点前後の配点があります。

システムA(ソフトウェア)の処理

 システムAは平成20年4月1日に取得しているので、前期末(平成27年3月31日)時点で7回の償却が行われています。よって、前期末時点の帳簿価額は以下のとおりです。

1年あたりの償却額=2,000,000円×0.100=200,000円

平成20年度から平成26年度までのソフトウェア償却(合計7回)
(借)ソフトウェア償却 200,000
 (貸)ソフトウェア 200,000
  • システムAの取得原価:2,000,000円
  • 前期末時点の償却累計額:200,000円×7回=1,400,000円
  • 前期末時点の帳簿価額:2,000,000円-1,400,000円=600,000円

 前期末までの処理を確認したうえで、当期中の処理を確認しましょう。

平成28年3月31日(決算日)

 問題文に「システムC(耐用年数10年)の稼働に伴い、システムAのが不要となったため、9月末の帳簿価額にもとづき、期末で償却費の計上と除却処理を行った」とあるので、6か月分(平成27年4月1日~平成27年9月30日)の償却費を計上するとともに、除却時の帳簿価額を固定資産除却損勘定で処理します。

当期の償却額=2,000,000円×0.100×6か月/12か月=100,000円

除却時の帳簿価額=600,000円-100,000円=500,000円

システムAの償却&除却に関する仕訳
(借)ソフトウェア償却 100,000
(借)固定資産除却損 500,000
 (貸)ソフトウェア 600,000

システムB(ソフトウェア)の処理

 システムBは平成25年10月1日に取得しているので、前期末(平成27年3月31日)時点で2回の償却が行われていますが、1回目の償却は半年分(平成25年10月1日~平成26年3月31日)になる点にご注意ください。前期末時点の帳簿価額は以下のとおりです。

平成25年度の償却額=3,000,000円×0.100×6か月/12か月150,000円

平成25年度のソフトウェア償却
(借)ソフトウェア償却 150,000
 (貸)ソフトウェア 150,000

平成26年度の償却額=3,000,000円×0.100=300,000円

平成26年度のソフトウェア償却
(借)ソフトウェア償却 300,000
 (貸)ソフトウェア 300,000
  • システムBの取得原価:3,000,000円
  • 前期末時点の償却累計額:150,000円+300,000円=450,000円
  • 前期末時点の帳簿価額:3,000,000円-450,000円=2,550,000円

 前期末までの処理を確認したうえで当期中の処理を確認しますが、システムBは期中に変動がないので1年分の償却費を計上するだけです。

平成28年3月31日(決算日)

平成27年度の償却額=3,000,000円×0.100=300,000円

システムBの償却に関する仕訳
(借)ソフトウェア償却 300,000
 (貸)ソフトウェア 300,000

システムC(ソフトウェア)の処理

 問題文の「平成27年10月1日から、新たなシステムCが稼働しソフトウェアの代金(翌月末払い)は ¥ 2,800,000 であった」からシステムCを期中に取得したことが分かるので、6か月分(平成27年10月1日~平成28年3月31日)の償却費を計上します

平成28年3月31日(決算日)

平成27年度の償却額=2,800,000円×0.100×6か月/12か月140,000円

システムCの償却に関する仕訳
(借)ソフトウェア償却 140,000
 (貸)ソフトウェア 140,000

 この時点で、答案用紙のソフトウェア勘定の空欄を埋めてしまいましょう。この勘定だけで4点前後の配点があります。

 ここから下の備品については、冒頭にも書いたとおり本試験では無理して解く必要はありません。参考までに処理をご確認ください。

備品A(備品)の処理

 備品Aは平成23年4月1日に取得しているので、前期末(平成27年3月31日)時点で4回の減価償却が行われています。よって、前期末時点の減価償却累計額および帳簿価額は以下のとおりです。

 なお、問題文に「平成19年4月1日から平成24年3月31日までの取得 250%定率法」という指示があるので、償却費の計算にあたっては耐用年数8年と250%定率法がぶつかる償却率(0.313)を使う点にご注意ください。

 また、平成24年度以降の減価償却費については円未満の小数が発生してしまいますが、問題文に「減価償却累計額の計算により生ずる円未満の端数は、切り捨てて計算すること」とあるので、指示に従って小数点を切り捨てます。

平成23年度の減価償却費=1,800,000円×0.313=563,400円

平成23年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 563,400
 (貸)備品A減価償却累計額 563,400

平成24年度の減価償却費=(1,800,000円-563,400円)×0.313=387,055.8円→387,055円

平成24年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 387,055
 (貸)備品A減価償却累計額 387,055

平成25年度の減価償却費=(1,800,000円-563,400円-387,055円)×0.313=265,907.585円→265,907円

平成25年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 265,907
 (貸)備品A減価償却累計額 265,907

平成26年度の減価償却費=(1,800,000円-563,400円-387,055円-265,907円)×0.313=182,678.694円→182,678円

平成26年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 182,678
 (貸)備品A減価償却累計額 182,678
  • 備品Aの取得原価:1,800,000円
  • 前期末時点の備品A減価償却累計額:563,400円+387,055円+265,907円+182,678=1,399,040円
  • 前期末時点の備品Aの帳簿価額:1,800,000円-1,399,040円=400,960円

 前期末までの処理を確認したうえで当期中の処理を確認しますが、備品Aは期中に変動がないので1年分の減価償却費を計上するだけです。

平成27年度の減価償却費=400,960×0.313=125,500.48円→125,500円

平成27年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 125,500
 (貸)備品A減価償却累計額 125,500

備品B(備品)の処理

 備品Bは平成25年4月1日に取得しているので、前期末(平成27年3月31日)時点で2回の減価償却が行われています。よって、前期末時点の減価償却累計額および帳簿価額は以下のとおりです。

 なお、問題文に「平成24年4月1日以後の取得 200%定率法」という指示があるので、償却費の計算にあたっては耐用年数6年と200%定率法がぶつかる償却率(0.333)を使う点にご注意ください。

平成25年度の減価償却費=600,000円×0.333=199,800円

平成25年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 199,800
 (貸)備品B減価償却累計額 199,800

平成26年度の減価償却費=(600,000円-199,800円)×0.333=133,266.6円→133,266円

平成26年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 133,266
 (貸)備品B減価償却累計額 133,266
  • 備品Bの取得原価:600,000円
  • 前期末時点の備品B減価償却累計額:199,800円+133,266円=333,066円
  • 前期末時点の備品Bの帳簿価額:600,000円-333,066円=266,934円

 前期末までの処理を確認したうえで、当期中の処理を順番に確認していきましょう。

期中(日時不明)

 問題文に「固定資産の棚卸を実施したところ、備品Bのうち2個が滅失していることが判明し、前期末の帳簿価額にもとづき除却処理を期首で行うこととした」という指示があるので、2個分について除却処理を行います。

  • 備品Bの取得原価(2個分):600,000円×2個/5個=240,000円
  • 前期末時点の備品B減価償却累計額(2個分):333,066円×2個/5個=133,226.4円→133,226円
備品Bの除却に関する仕訳
(借)備品B減価償却累計額 133,226
(借)固定資産除却損 106,774
 (貸)備品 240,000

平成28年3月31日(決算日)

 期末に残っている3個分について減価償却を行います。

 なお、期中取得分に関しては、問題文に「期中取得分は年間の償却費を月割で計算」という指示があるので、指示に従って9か月分(平成27年7月1日~平成28年3月31日)を月割計上します。

  • 備品Bの取得原価(3個分):600,000円×3個/5個=360,000円
  • 前期末時点の備品B減価償却累計額(2個分):333,066円×3個/5個=199,839.6円→199,839円

平成27年度の減価償却費=(360,000円-199,839円)×0.333=53,333.613円→53,333円

平成27年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 53,333
 (貸)備品B減価償却累計額 53,333

備品C(備品)の処理

 問題文の「平成27年4月1日に備品C(耐用年数8年)を ¥ 800,000(翌月末払い)で購入した」から備品Cを期首に取得したことが分かるので、12か月分(平成27年4月1日~平成28年3月31日)の減価償却費を計上します

 なお、問題文に「平成24年4月1日以後の取得 200%定率法」という指示があるので、償却費の計算にあたっては耐用年数8年と200%定率法がぶつかる償却率(0.250)を使う点にご注意ください。

平成28年3月31日(決算日)

平成27年度の減価償却費=800,000円×0.250×12か月/12か月200,000円

平成27年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 200,000
 (貸)備品C減価償却累計額 200,000

備品PC(備品)の処理

 備品PCは平成26年4月1日に取得しているので、前期末(平成27年3月31日)時点で1回の減価償却が行われています。よって、前期末時点の減価償却累計額および帳簿価額は以下のとおりです。

 なお、問題文に「平成24年4月1日以後の取得 200%定率法」という指示があるので、償却費の計算にあたっては耐用年数4年と200%定率法がぶつかる償却率(0.500)を使う点にご注意ください。

平成26年度の減価償却費=2,200,000円×0.500=1,100,000円

平成26年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 1,100,000
 (貸)備品PC減価償却累計額 1,100,000
  • 備品PCの取得原価:2,200,000円
  • 前期末時点の備品PC減価償却累計額:1,100,000円
  • 前期末時点の備品PCの帳簿価額:2,200,000円-1,100,000円=1,100,000円

 前期末までの処理を確認したうえで当期中の処理を確認しますが、備品PCは期中に変動がないので1年分の減価償却費を計上するだけです。

平成27年度の減価償却費=1,100,000×0.500=550,000円

平成27年度の減価償却に関する仕訳
(借)減価償却費 550,000
 (貸)備品PC減価償却累計額 550,000

当期の固定資産除却損の金額

 備品Bの除却にともない発生した除却損106,774円と、ソフトウェアAの除却にともない発生した除却損500,000円を合算します。

当期の固定資産除却損の金額=106,774円+500,000円=606,774円

別解について

 計算途中で小数点の切り捨てを行う関係上、答案用紙の固定資産管理台帳の金額は1円ずれる可能性があります。どちらの金額も正解になりますのでご確認ください。

  • 備品Bの期首減価償却累計額:199,839円(199,840円でもOK)
  • 備品Bの差引期首帳簿価額:160,161円(160,160円でもOK)
  • 当期の固定資産除却損の金額:606,774円(606,773円でもOK)

 なお、LECの模範解答では、固定資産管理台帳の備品Bの期首取得原価、期首減価償却累計額、差引期首帳簿価額が除却前の5個分の金額になっています。参考までにご紹介いたします。

  • 固定資産管理台帳の備品B欄の模範解答
    • 備品Bの期首取得原価:360,000円
    • 備品Bの期首減価償却累計額:199,839円
    • 備品Bの差引期首帳簿価額:160,161円
    • 当期の減価償却費:53,333円
  • 別解
    • 備品Bの期首取得原価:360,000円
    • 備品Bの期首減価償却累計額:199,840円
    • 備品Bの差引期首帳簿価額:160,160円
    • 当期の減価償却費:53,333円
  • LECの模範解答
    • 備品Bの期首取得原価:600,000円(←5個分の金額)
    • 備品Bの期首減価償却累計額:333,066円(←5個分の金額)
    • 備品Bの差引期首帳簿価額:266,934円(←5個分の金額)
    • 当期の減価償却費:53,333円


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