第143回・日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 5問とも過去問類似問題。短い解答時間で20点満点を取ってください!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。5問とも過去問類似問題だったので、過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題だったと思います。

 受験生アンケートでも90%近くの方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しており、短い解答時間で最低でも16点…第2問の難度を考えるとできれば20点満点を取りたい問題です。

 日商簿記検定2級の仕訳問題は過去問対策が非常に効果的です。簿記検定ナビで無料配布している仕訳問題対策を有効活用して仕訳対策をしてください。

問1 有価証券の購入

模範解答
(借)売買目的有価証券 796,000
(借)有価証券利息 1,344
 (貸)当座預金 797,344

 有価証券の購入に関する問題です。本問は、【有価証券の購入に関する仕訳】と【利息の支払いに関する仕訳】に分けて考えると分かりやすいと思います。

有価証券の購入に関する仕訳

 有価証券を購入した場合、購入代価と付随費用(取得に伴い発生した費用)の合計額を取得原価として資産計上しますが、本問は付随費用が発生していないので、購入代価を計算するだけです。

取得原価=購入代価+付随費用=(800,000円×@99.50円/@100円)+0円=796,000円

 なお、本問は問題文に「売買目的の有価証券」とあるので、売買目的有価証券勘定で処理します。

  • 短期間で売買する目的で購入:売買目的有価証券勘定で処理
  • 満期まで保有する目的で購入:満期保有目的債券勘定で処理
解答①
(借)売買目的有価証券 796,000
 (貸)当座預金 796,000

利息の支払いに関する仕訳

 問題文に、「年利率:0.42%、利払日:3月末と9月末」とあり、購入日が8月24日なので、前回の利払日の翌日の4月1日から8月24日までの146日分(30日+31日+30日+31日+24日)の端数利息を計算します。

有価証券利息=800,000円×0.42%×146日/365日=1,344円

 1,344という半端な金額になったので、計算が合っているか不安になった方も多かったと思いますが、最近は解答の金額の下一桁がゼロにならない問題も多いので、気にせずに自信を持って解答してください。

解答②
(借)有価証券利息 1,344
 (貸)当座預金 1,344

 最後に、①②の仕訳をまとめると解答になります。

問2 商品保証引当金

模範解答
(借)商品保証引当金 50,000
(借)商品保証費 30,000
 (貸)現金 80,000

 商品保証引当金に関する問題です。商品保証引当金については、【決算時の仕訳】を考えてから【修理時の仕訳】を考えると分かりやすいです。

決算時の仕訳

 まず、問題文のなお書きの「前期の決算で計上した商品保証引当金の残高は ¥ 50,000 である」から、前期の決算時に、当期以降の保証期間内に発生すると予想される「保証に要する費用」を見積もって、商品保証引当金繰入勘定と商品保証引当金勘定を使って仕訳をしたことが分かります。

参考・前期末の仕訳
(借)商品保証引当金繰入 50,000
 (貸)商品保証引当金 50,000

修理時の仕訳

 次に、問題文の「前期に保証書を付して販売した商品について、顧客より無償修理の申し出があったので、修理業者に修理を依頼し、代金 ¥ 80,000 は現金で支払った」から、修理代金80,000円の支払いが発生したことが分かります。

 前期の決算時に計上した商品保証引当金は50,000円なので、まずはこの50,000円を取り崩し、残額の30,000円(=80,000円-50,000円)を商品保証費勘定で費用処理します。

解答
(借)商品保証引当金 50,000
(借)商品保証費 30,000
 (貸)現金 80,000

問3 設立時の新株発行

模範解答
(借)当座預金 8,000,000
 (貸)資本金 4,800,000
 (貸)資本準備金 3,200,000

 設立時の新株発行に関する問題です。

 資本金組入額に関しては、過去に出題された類似問題では「会社法の定める最低限の金額を資本金に組み入れた」のような指示が入ることが多く、この場合は払込金の半分を資本金勘定で、もう半分を資本準備金勘定で機械的に処理すればOKでした。

 ただ、本問の場合は「払込金の6割の金額を資本金とする」という指示があるので、払込金のうちの6割を資本金勘定で、残りの4割を資本準備金勘定で処理します。

払込金=2,000株×@4,000円=8,000,000円

  • 払込金の6割:4,800,000円(=8,000,000円×60%)→資本金勘定で処理
  • 払込金の4割:3,200,000円(=8,000,000円×40%)→資本準備金勘定で処理

 過去に出題されたことのない按分形式(6:4)だったので一瞬、手が止まったかもしれませんが、計算自体は非常に簡単なので確実に点数を取りたい問題です。

問4 利益処分

模範解答
(借)繰越利益剰余金 3,400,000
 (貸)利益準備金 200,000
 (貸)未払配当金 2,700,000 (貸)別途積立金 500,000

 利益処分に関する問題です。

 利益剰余金(繰越利益剰余金)を財源として配当を行う場合には、「配当により減少する利益剰余金の額の10分の1を、資本準備金の額と利益準備金の額とをあわせて、資本金の4分の1に達するまで(利益準備金を)積み立てなければならない」と定められているので、本問でもこの文言どおりにチェックする必要があります。

 まず、問題文に「株主配当金:1株につき ¥ 900 」とあるので、配当により減少する利益剰余金の金額は2,700,000円(=@900円×3,000株)で、その10分の1は270,000円ということが分かります。

 また、資本準備金と利益準備金の合計額が19,800,000円(=12,000,000円+7,800,000円)なので、資本金80,000,000円の4分の1に達するまで積み立てなければならない額は、80,000,000円÷4-19,800,000円=200,000円になります。

 ここで、両者を比較すると【270,000円>200,000円】になるので、本問の利益準備金要積立額は200,000円になります。

  • 配当の10分の1規定による利益準備金要積立額:270,000円
  • 資本金の4分の1規定による利益準備金要積立額:200,000円
  • 金額の小さい方(200,000円)を利益準備金として積み立てる

 配当の10分の1規定に関しては多くの受験生が理解していると思いますが、資本金の4分の1規定と比較するのを忘れてしまう方が多いです。

 今回、利益準備金を270,000円としてしまった方は、典型的なひっかけポイントにひっかかってしまったことになるので、利益処分の問題は必ず資本金の4分の1規定もチェックしてください。

問5 消費税

模範解答
(借)売掛金 432,000
 (貸)売上 400,000
 (貸)仮受消費税 32,000

 消費税に関する問題です。

 消費税の処理方法は、消費税を売上勘定や仕入勘定に含めて処理する「税込方式」と、消費税を仮払消費税勘定や仮受消費税勘定で処理する「税抜方式」があります。

 本問は、問題文に「消費税については税抜方式で記帳する」とあるので、消費税分は売上勘定に含めずに仮受消費税勘定で処理します。

消費税額=400,000円×8%=32,000円

 なお、税抜方式を採用している場合、消費税の納税額が確定した時点で仮払消費税勘定と仮受消費税勘定を相殺し、借方残の場合は貸方に未払消費税勘定を計上し、翌期に未払分の消費税を納付します。

参考(仮に納税額が8,000円に確定した時の仕訳)
(借)仮受消費税 32,000
 (貸)仮払消費税 24,000
 (貸)未払消費税 8,000
参考(翌期に消費税を納付した時の仕訳)
(借)未払消費税 8,000
 (貸)現金など 8,000

 なお、本試験では税抜方式だけでなく税込方式による処理もよく問われるので、必ずセットで押さえておきましょう。



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