第142回・日商簿記検定3級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 問4の売買手数料の処理は激ムズ!でもその他の4問は過去問類似問題です。

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。問4の売買手数料の処理はかなり難しかったと思いますが、その他の4問は通常レベルの難度で、しかもいずれも過去問類似問題でだったので、過去問対策をきちんとしていれば最低でも16点は取れたと思います。

 ただ、実際には…問1の「直接法の処理」や問5の「現金の判別」を間違えてしまった受験生が多かったようで、平均点は意外と低いようです。受験生アンケートでも80%以上の方が「やや難しかった」「かなり難しかった」と回答しています。

問1 固定資産の売却・未収金

模範解答
(借)減価償却費 15,000
(借)未収金 80,000
(借)固定資産売却損 25,000
 (貸)備品 120,000

 固定資産の売却に関する問題です。固定資産は期首に売却する場合と、期中(または期末)に売却する場合とで処理が異なるので、まず問題がどちらに該当するのか確認しましょう。


期首に固定資産を売却する場合

 当期の減価償却費はゼロなので、取得原価から期首備品減価償却累計額を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。

売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額

期中(または期末)に固定資産を売却する場合

 当期の減価償却の処理に関する指示が入るので、それに従って当期の減価償却費を(月割で)計算します。そのうえで、取得原価から期首備品減価償却累計額&当期の減価償却費を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。

売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額-当期の減価償却費


 本問は、問題文の「本日(平成27年3月30日)¥ 80,000で売却し」「決算日は12月31日」から期中に売却したことが分かります。

 また、問題文に「減価償却費は月割りで計算する」という指示があるので、まず当期の減価償却費を計算します。

  • 平成27年度:3か月(平成27年1月1日~平成27年3月30日)

360,000円÷72か月(6年)=5,000円/月

5,000円/月×3か月=15,000円

 次に、期首備品減価償却累計額を計算します。

  • 平成23年度:12か月(平成23年1月4日~平成23年12月31日)
  • 平成24年度:12か月(平成24年1月1日~平成24年12月31日)
  • 平成25年度:12か月(平成25年1月1日~平成25年12月31日)
  • 平成26年度:12か月(平成26年1月1日~平成26年12月31日)

360,000円÷72か月(6年)=5,000円/月

5,000円/月×48か月=240,000円

 当期の減価償却費と期首備品減価償却累計額の金額を計算したら、取得原価からこれらを差し引いて売却時の帳簿価額を計算します。

取得原価360,000円-期首備品減価償却累計額240,000円-当期の減価償却費15,000円=売却時の帳簿価額105,000円

 さらに、売却時の帳簿価額と売却価額との差額で売却損益を計算します。

  • 売却時の帳簿価額=105,000円
  • 売却価額=80,000円
  • 差額=25,000円(帳簿価額>売却価額…売却損
解答仕訳(間接法)
(借)備品減価償却累計額 240,000
(借)減価償却費 15,000
(借)未収金 80,000
(借)固定資産売却損 25,000
 (貸)備品 360,000

 最後に、上記の間接法による解答仕訳の借方の備品減価償却累計額勘定と貸方の備品勘定を相殺して、直接法による解答仕訳を導き出します。

 直接法による仕訳が問われた場合は、このように「間接法の仕訳→借方と貸方を相殺→直接法の仕訳」の順番で考えると分かりやすくて間違いが少ないと思います。

解答仕訳(直接法)
(借)備品減価償却累計額 240,000
(借)減価償却費 15,000
(借)未収金 80,000
(借)固定資産売却損 25,000
 (貸)備品 360,000120,000

問2 所得税の源泉徴収

模範解答
(借)給料 350,000
 (貸)社会保険料預り金 20,000
 (貸)所得税預り金 14,000
 (貸)当座預金 316,000

 所得税の源泉徴収に関する問題です。この問題は【預り金に関する仕訳】【残額の処理に関する仕訳】の2つに分けて考えると分かりやすいです。

預り金に関する仕訳

 まず「本人負担の社会保険料 ¥ 20,000 と、所得税の源泉徴収分 ¥ 14,000 を差し引き」ですが、これは従業員が負担すべき社会保険料や所得税を給料から天引きしておいて、後で会社がまとめて納税・納付するものなので、天引き段階では「社会保険料預り金」「所得税預り金」勘定で処理します。

解答仕訳①
(借)給料 34,000
 (貸)社会保険料預り金 20,000
 (貸)所得税預り金 14,000

残額の処理に関する仕訳

 最後に残額の振り込みに関する仕訳ですが、これは簡単なので特に問題ないと思います。

解答仕訳②
(借)給料 316,000
 (貸)当座預金 316,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答の仕訳になります。

問3 貸付金の回収

模範解答
(借)当座預金 413,500
 (貸)貸付金 400,000
 (貸)受取利息 13,500

 貸付金の回収に関する問題です。元本(400,000円)の回収に関しては貸付金勘定を減額するとともに、同額だけ当座預金勘定を増額します。

 一方、利息の受け取りについては、問題文の「期間9か月」という部分を見落とさないように注意してください。問題文を読んだときに丸で囲むなり、ラインを引くなりして目立たせておくと良いと思います。

受取利息=400,000円×4.5%×9か月/12か月=13,500円

問4 有価証券の売却・未収金

模範解答
(借)未収金 939,000
 (貸)有価証券 830,000
 (貸)有価証券売却益 109,000

 有価証券の売却に関する問題です。有価証券の売却損益は、有価証券の帳簿価額と売却価額との差額により算定します。

  • 有価証券の帳簿価額:830,000円
  • 有価証券の売却価額:@950円×1,000株=950,000円
  • 差額=120,000円(帳簿価額<売却価額…売却益

 なお、売買手数料等11,000円に関しては、支払手数料勘定等で費用処理するのが一般的ですが、本問のように問題に列挙されている勘定科目の中に「支払手数料」がない場合は、有価証券売却損益に含めて処理します。

  • 有価証券売却損:120,000円-11,000円=109,000円

問5 現金過不足

模範解答
(借)現金過不足 200
 (貸)現金 200

 現金過不足に関する問題です。本問はまず、金庫の中に入っているものの中から、現金および通貨代用証券(簿記上、現金として取り扱うもの)をピックアップします。

  • 紙幣 100,000円:現金
  • 硬貨 5,800円:現金
  • 得意先振出しの小切手 10,000円:通貨代用証券
  • 約束手形 20,000円:受取手形で処理する
  • 郵便切手 1,000円:通信費で処理する

 受験簿記に出てくる通貨代用証券は、得意先振出しの小切手の他にも、郵便為替証書や送金小切手、配当金領収証などがあります。知識が怪しい方はテキストに戻って復習しておきましょう。

 現金および通貨代用証券をピックアップ・集計したら、現金出納帳の残高と比較しますが、問題文に「不一致の原因を調べたが原因は判明しなかったので、現金過不足勘定で処理することにした」とあるので、差額は現金過不足勘定で処理します。

  • 現金の実際有高:100,000円+5,800円+10,000円=115,800円
  • 現金の帳簿残高:116,000円
  • 差額=116,000円-115,800円=200円

 なお、現金過不足が発生している場合は必ず帳簿残高(116,000円)を実際有高(115,800円)に合わせます。逆に合わせないように気をつけてください。



ページの先頭へ