第142回・日商簿記検定2級 第4問(標準原価計算)の過去問分析

第4問 固定費能率差異の処理がポイントになる標準原価計算の問題!

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【標準原価計算】に関する問題でした。期首・期末の在庫がなく、当月の生産量1,500個を使って金額を計算するだけの簡単な問題です。

 ただ、問1・問2の仕訳問題や、問4の能率差異の処理を間違えてしまった方が結構多かったようで、受験生アンケートでも「普通ぐらいだった」「やや難しかった」という回答が多数を占めました。

パーシャルプランとシングルプランの違い

 両者の違いは、差異を把握する場所(勘定)です。

 パーシャルプランは、材料勘定・賃金勘定・製造間接費勘定から仕掛品勘定に原価を振り替えるさいに実際原価を使うので、原価差異は仕掛品勘定で把握します。

パーシャルプランの仕掛品勘定
パーシャルプランの仕掛品勘定

 一方、シングルプランは、材料勘定・賃金勘定・製造間接費勘定から仕掛品勘定に原価を振り替えるさいに標準原価を使うので、原価差異は材料勘定・賃金勘定・製造間接費勘定で把握します。

シングルプランの仕掛品勘定
シングルプランの仕掛品勘定

本問の仕掛品勘定は?

 問題文に「パーシャルプランの標準原価計算を採用している」とあるので、仕掛品勘定の直接材料費・直接労務費・製造間接費は実際原価になります。問題の資料から金額をひっぱってきましょう。

  • 直接材料費:729,600円
  • 直接労務費:1,812,000円
  • 製造間接費:3,890,000円

 また、製品勘定に振り替える当月の完成品原価は標準原価を使って計算します。具体的には、1個あたりの標準原価が4,080円なので、それに当月の生産量1,500個を掛けあわせて金額を計算します。

  • 完成品原価:@4,080円×1,500個=6,120,000円
  • 原価差異:729,600円+1,812,000円+3,890,000円-6,120,000円=311,600円
本問の仕掛品勘定(パーシャルプラン)
本問の仕掛品勘定(パーシャルプラン)

問1 仕掛品勘定から製品勘定へ振り替える仕訳

 標準原価を使って計算した当月の完成品原価6,120,000円を、仕掛品勘定から製品勘定に振り替えます。

(借)製品 6,120,000
 (貸)仕掛品 6,120,000

問2 仕掛品勘定から原価差異勘定へ振り替える仕訳

 仕掛品勘定の貸借差額311,600円を、仕掛品勘定から原価差異勘定に振り替えます。

(借)原価差異 311,600
 (貸)仕掛品 311,600

問3&問4 製造間接費総差異の分析

 まず、差異分析でおなじみのシュラッター図を作るために必要な数字を求めましょう。

シュラッター図1
シュラッター図1
  • 変動費予算額:2,500,000円(問題資料より)
  • 固定費予算額:1,500,000円(問題資料より)
  • 基準操業度:1,000時間(問題資料より)
  • 変動費率:2,500,000円÷1,000時間=@2,500円
  • 固定費率:1,500,000円÷1,000時間=@1,500円
  • 標準配賦率:@2,500円+@1,500円=@4,000円
  • 標準操業度:直接作業時間0.6時間×1,500個=900時間
  • 標準配賦額:@4,000円×900時間=3,600,000円
  • 実際操業度:920時間(問題資料より)
  • 実際発生額:3,890,000円(問題資料より)
シュラッター図2
シュラッター図2
  • 製造間接費総差異=標準配賦額-実際発生額=3,600,000円-3,890,000円=△290,000円(不利差異)

問3&問4 製造間接費総差異の分析

 予算差異・能率差異・操業度差異についても、いつもどおりシュラッター図を使って金額を計算…したいところですが、問題文に「能率差異は変動費のみで計算するものとする」という見慣れない指示があります。

能率差異とは?

 能率差異は…変動費部分から生じる「変動費能率差異」と固定費部分から生じる「固定費能率差異」に分けることが出来ますが、通常はこの2つをまとめて能率差異として把握します。

シュラッター図3
シュラッター図3

 ただ、変動費部分から生じる「変動費能率差異」のみを能率差異として把握し、固定費部分から生じる「固定費能率差異」については操業度差異に含めて把握する方法もあり、本問ではこの方法が問われています。

シュラッター図4
シュラッター図4

 この方法が本試験で問われたのは今回が初めてだったこともあり、市販のテキストではほとんど紹介されておらず、対応に苦慮した受験生も多かったと思います。

 個人的には、初見で「能率差異は変動費のみで計算する」という指示から「固定費から発生する能率差異は操業度差異に含めて計算する」と読み取るのは難しいので、今回の能率差異と操業度差異は間違えてもしょうがないと思います。

  • 予算差異=(@2,500円×920時間+1,500,000円)-3,890,000円=△90,000円
  • 能率差異=変動費能率差異=@2,500円×(900時間-920時間)=△50,000円
  • 操業度差異=@1,500円×(900時間-1,000時間)=△150,000円
シュラッター図5
シュラッター図5


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