第141回・日商簿記検定3級 第3問(試算表作成問題)の過去問分析

第3問 ボリューム感のある試算表作成問題。集計時にひと工夫しましょう!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は予想通り【試算表作成問題】でした。試算表の月初残高に12月中の取引を反映させて、12月末日時点の残高試算表を作成するという問題でした。

 取引の数がかなり多かったので仕訳の処理が大変だったかもしれませんが、問題自体は第138回試験と同じパターンだったので、過去問対策をきちんとやっていれば完答できたと思います。

 受験生アンケートでは「普通ぐらいだった」という回答が一番多かったですが、最低でも8割(30点中24点)は取りたい問題です。

解答方法について

 試算表作成問題の解答方法は、「下書き用紙に全取引の仕訳を書きだしたうえで集計時に一工夫する方法」と、「頻出勘定(仕訳によく出てくる勘定)についてT勘定を設定し、その他の勘定については問題文で与えられている合計試算表の両端の余白に書き込んだり、解答用紙に直接書き込んでいく方法」の2つがあります。

 本問や、第130回第133回第138回試験の試算表作成問題のように、月中取引の資料が取引別に与えられている場合は、二重仕訳を考慮する必要があるので前者の方法で解くことをおすすめします。

 一方、第132回第135回第137回試験の試算表作成問題のように、月中取引の資料が日付別(時系列)で与えられている場合は、二重仕訳を考慮する必要はないので後者の方法で解くことをおすすめします。

  • まず、二重仕訳を考慮する必要があるか考える(自分で資料を見て判断する)
  • 考慮する必要がある場合→下書き用紙に全取引の仕訳を書きだしたうえで集計時に一工夫する
  • 考慮する必要がない場合→頻出勘定(仕訳によく出てくる勘定)についてT勘定を設定し、その他の勘定については問題文で与えられている合計試算表の両端の余白に書き込んだり、解答用紙に直接書き込んでいく

 本問は、問題文の「各取引の中には他の取引欄の記入内容と重複しているものが含まれているので注意すること」から、二重仕訳を考慮する必要があると判断し、下書き用紙に全取引の仕訳を書きだしたうえで集計時に一工夫する方法で解答します。

本問の具体的な解答手順について

 まずは下書き用紙に全ての取引の仕訳を書きだしましょう。

(1) 現金に関する取引

a. ※二重仕訳
(借)現金 150,000
 (貸)当座預金 150,000
b.
(借)現金 110,000
 (貸)前受金 110,000
c.
(借)前払金 80,000
 (貸)現金 80,000
d.
(借)仮払金 15,000
 (貸)現金 15,000
e.
(借)発送費 2,000
 (貸)現金 2,000
f.
(借)支払家賃 80,000
(借)通信費 15,000
(借)水道光熱費 13,000
 (貸)現金 108,000
g.
(借)所得税預り金 3,000
 (貸)現金 3,000
h.
(借)旅費交通費 14,000
(借)現金 1,000
 (貸)仮払金 15,000

(2) 当座預金に関する取引

a.
(借)当座預金 150,000
 (貸)受取手形 150,000
b.
(借)当座預金 400,000
 (貸)売掛金 400,000
c.
(借)当座預金 118,000
(借)手形売却損 2,000
 (貸)受取手形 120,000
d. ※二重仕訳
(借)現金 150,000
 (貸)当座預金 150,000
e. ※二重仕訳
(借)仕入 200,000
 (貸)当座預金 200,000
f.
(借)支払手形 140,000
 (貸)当座預金 140,000
g.
(借)買掛金 300,000
 (貸)当座預金 300,000
h.
(借)借入金 500,000
(借)支払利息 5,000
 (貸)当座預金 505,000
i.
(借)給料 300,000
 (貸)所得税預り金 5,000
 (貸)当座預金 295,000

(3) 仕入れに関する取引

a. ※二重仕訳
(借)仕入 200,000
 (貸)当座預金 200,000
b.
(借)仕入 60,000
 (貸)支払手形 60,000
c.
(借)仕入 550,000
 (貸)買掛金 550,000
d.
(借)仕入 120,000
 (貸)前払金 120,000
e.
(借)買掛金 30,000
 (貸)仕入 30,000

(4) 売上げに関する取引

a.
(借)受取手形 180,000
 (貸)売上 180,000
b.
(借)前受金 200,000
 (貸)売上 200,000
c.
(借)売掛金 900,000
 (貸)売上 900,000
d.
(借)売上 10,000
 (貸)売掛金 10,000

(5) その他の取引

a.
(借)発送費 3,000
 (貸)現金過不足 3,000
b.
(借)貸倒引当金 8,000
 (貸)売掛金 8,000
c.
(借)仮受金 100,000
 (貸)売掛金 100,000

 以下の画像は、私が実際に問題を解いた時に書いた下書きです。仕訳を切るさいに「現金取引」「当座預金取引」「仕入取引」「売上取引」「その他の取引」をきちんと分けて書いておくと、集計時の二重取引のピックアップ作業が楽になります。

 また、勘定科目や金額の下三桁を出来るかぎり省略して書くことによって、解答時間の短縮を図っています。省略方法やルールについては勘定科目の省略パターン一覧表でも詳しく紹介していますので、興味のある方はご確認ください。

第3問・試算表作成問題の下書き1
第3問・試算表作成問題の下書き1

 次に集計作業に移りますが、現金勘定・当座預金勘定・仕入勘定・売上勘定については、一部が二重計上されている可能性があるので、上記の4勘定についてはそれぞれの欄に計上されている金額のみを集計しましょう。

 具体的には…例えば当座預金勘定であれば、「当座預金に関する取引」欄で切った仕訳から当座預金勘定を集計します。「現金に関する取引」や「仕入に関する取引」の各欄に計上されている、いわゆる二重取引に該当する当座預金勘定については集計時には無視します。

  • 当座預金勘定:月初2,800,000円+150,000円+400,000円+118,000円-150,000円-200,000円-140,000円-300,000円-505,000円-295,000円=1,878,000円
第3問・試算表作成問題の下書き2
第3問・試算表作成問題の下書き2

 残りの現金勘定・仕入勘定・売上勘定も同じように集計します。その他の勘定科目については普通に集計するだけです。

  • 現金勘定:月初536,000円+150,000円+110,000円+1,000円-80,000円-15,000円-2,000円-108,000円-3,000円=589,000円
  • 仕入勘定:月初14,200,000円+200,000円+60,000円+550,000円+120,000円-30,000円=15,100,000円
  • 売上勘定:月初18,776,000円+180,000円+200,000円+900,000円-10,000円=20,046,000円

 解き方については他にもいろいろありますが、この方法は全ての仕訳を切った後に簡単なルールに従って機械的に集計するだけで二重取引を排除することが出来るのでおすすめです。

 なお、本問と同様の問題が第130回の第3問第133回の第3問第138回の第3問でも出題されています。復習のさいには本問とあわせて内容をご確認ください。問題の考え方・解き方は全く同じです。

解答形式について

 答案用紙には、借方・貸方ともに「月中取引高欄」「12月末残高欄」の3列の解答欄があります。「月中取引高欄」は残高欄ではないので、月中取引額を借方・貸方にそれぞれ記入します。一方、「12月末残高欄」は残高欄なので、各勘定の純額(借方と貸方の金額を相殺した後の金額)を記入します。

 試算表作成問題は、解答形式を勘違いすると思わぬ大失点につながりますので、解答時には「なんの金額を記入すべきか」をきちんと確認するクセをつけましょう。



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