第141回・日商簿記検定3級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 ところどころにひっかけのある仕訳問題!最低でも16点はとりたいところ。

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。全体的な難度は通常レベルですし、多くの問題が過去問類似問題だったので、過去問対策をきちんとしていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 ただ、問3の「貸倒れ処理を行っていた」や問4の「販売目的の~」にひっかかってしまった受験生が多かったようで、平均点は意外と低いような気がします。

 ちなみに、受験生アンケートでは半分以上の方が「普通ぐらいだった」と回答しています。

問1 手形の割引き

模範解答
(借)当座預金 796,000
(借)手形売却損 4,000
 (貸)受取手形 800,000

 手形の割引きに関する問題です。手形は満期日に決済されますが、満期日前であっても銀行に手形を持参して一定の手数料(利息)を支払うことにより、手形を現金化することが出来ます。

 手形の割引日から満期日までの利息相当分は、手形売却損勘定で費用処理します。なお、利息の金額は問題文で与えられることが多いですが、第130回の問5第138回の問3のように自分で算定する必要がある場合は、問題の指示に従って日割計算(または月割計算)をしてください。

問2 預金の預け替え

模範解答
(借)当座預金 3,000,000
 (貸)普通預金 3,000,000
(借)支払手数料 2,000
 (貸)現金 2,000

 預金の預け替えに関する問題です。当座預金口座を開設し、普通預金口座から3,000,000円を振り替えているので、仕訳も同額だけ普通預金勘定を当座預金勘定に振り替えます。

 また、当座預金口座の開設にあたり手数料が発生しているので、別途、支払手数料勘定で費用処理します。

問3 償却債権取立益

模範解答
(借)普通預金 50,000
 (貸)償却債権取立益 50,000

 償却債権取立益に関する問題です。本問は、問題文に「昨年度に得意先が倒産し、その際に売掛金1,000,000円の貸倒れ処理を行っていた」とあるので、まずは貸倒処理時の仕訳をイメージしてみましょう。

参考・貸倒処理時の仕訳
(借)貸倒損失or貸倒引当金 1,000,000
 (貸)売掛金 1,000,000

 本問のように、前期(以前)に貸倒処理した債権を当期に回収した場合、貸倒処理時に計上した貸倒損失や貸倒引当金を取り消すのではなく、償却債権取立益勘定で処理します。

解答・売掛金の一部を回収したときの仕訳
(借)普通預金 50,000
 (貸)償却債権取立益 50,000

 なお、当期に貸倒処理した債権を当期に回収した場合、貸倒処理時に計上した貸倒損失や貸倒引当金を取り消します。参考までに以下の仕訳ご確認ください。

参考・貸倒処理時の仕訳
(借)貸倒損失or貸倒引当金 1,000,000
 (貸)売掛金 1,000,000
参考・売掛金の一部を回収したときの仕訳
(借)普通預金 50,000
 (貸)貸倒損失or貸倒引当金 50,000

問4 仕入取引

模範解答
(借)仕入 1,210,000
 (貸)買掛金 1,200,000
 (貸)現金 10,000

 仕入取引に関する問題です。自動車販売業を営んでいるお店が販売目的で中古自動車を購入した場合、お店にとって車は商品になるので、仕入勘定および買掛金勘定で処理します。「自動車の購入→車両運搬具で処理」と決めつけないように気をつけてください。

中古自動車の本体価格に関する仕訳 … ①
(借)仕入 1,200,000
 (貸)買掛金 1,200,000

 また、車の引取時に発生した運送費は、商品を仕入れるさいに不可避的に発生する費用(付随費用)なので、仕入勘定に含めて処理します。支払手数料勘定で処理しないように気をつけてください。

引取運送費に関する仕訳 … ②
(借)仕入 10,000
 (貸)現金 10,000

 ①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

 なお、自動車販売業を営んでいるお店が業務使用目的で中古自動車を購入した場合は、仕入勘定ではなく車両運搬具勘定で処理します。仕訳を考えるさいは「目的」に着目してください。

  • 販売目的で車を購入 → 商品の仕入になる → 仕入勘定で処理
  • 業務使用目的で車を購入 → 商品の仕入にならない → 車両運搬具勘定で処理

問5 租税公課

模範解答
(借)租税公課 60,000
 (貸)現金 60,000
別解
(借)未払金 60,000
 (貸)現金 60,000

 租税公課(固定資産税)に関する問題です。

 固定資産税は、建物や土地を保有している人に課せられる税金ですが、納税額が確定すると課税主体(税金を徴収する側)である市町村などから、「ユーに課せられる今年の固定資産税は●●円だから、4回に分けて納付しちゃいなよ!」という大変嬉しくないお手紙が届きます。

 このようなお手紙のことを「納税通知書」といい、通常はこの納税通知書を受け取った時点で以下のような仕訳を切ります。

参考・納税通知書を受け取ったときの仕訳(全4期分)
(借)租税公課 240,000
 (貸)未払金 240,000

 納税通知書を受け取った時点で納税額が確定しているので、1年分(4期分)の固定資産税を租税公課勘定で処理するとともに、確定債務の未払いを未払金勘定で処理します。

 その後、4回に分けて固定資産税を納付するさいに、納税通知書受取時に計上した未払金勘定を相殺していきます。

固定資産税を納付したときの仕訳(第1期分)
(借)未払金 60,000
 (貸)現金など 60,000
固定資産税を納付したときの仕訳(第2期分)
(借)未払金 60,000
 (貸)現金など 60,000
固定資産税を納付したときの仕訳(第3期分)
(借)未払金 60,000
 (貸)現金など 60,000
固定資産税を納付したときの仕訳(第4期分)
(借)未払金 60,000
 (貸)現金など 60,000

本問の解答仕訳はどうなるの?

 本問には、上述したような納税通知書に関する情報・指示が何もありませんし、簿記3級では「固定資産税=租税公課勘定で処理」と習いますので、深く考えずに第2期分の固定資産税を租税公課勘定で処理すれば良いと思います。

 ただ、実務的には(ごく小さな個人商店を除いて)納税通知書を受け取った時点で未払い計上するのが一般的ですし、第139回試験の簿記2級の仕訳問題5で、「納税通知書の受け取り→未払い計上」という問題を出題している以上、納付時に未払金勘定で処理する仕訳が間違いとは言えません。

 上記のような理由から、本問は租税公課勘定で解答しても未払金勘定で解答しても正解になると考えられるので、未払金勘定で処理する仕訳を別解としています。



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