第141回・日商簿記検定2級 第5問(直接原価計算・CVP分析)の過去問分析

第5問 「1次方程式の作り方」がカギになる直接原価計算のCVP分析の問題!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は【直接原価計算・CVP分析】に関する問題でした。問題の資料で与えられた「直接原価計算方式の損益計算書」を元に、損益分岐点売上高(問1)や安全余裕率(問3)などを計算しますが、CVP分析の仕組みをきちんと理解している方にとってはボーナス問題だったと思います。

 受験生アンケートでも、70%以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しており、合格するためには短い解答時間で満点を狙いたい問題です。

解答手順

 まず、問題の資料で与えられた「直接原価計算方式の損益計算書」の変動費と固定費を、それぞれひとつにまとめてみましょう。

  • 変動費:変動売上原価+変動販売費=2,800万円+200万円=3,000万円
  • 固定費:製造固定費+固定販売費および一般管理費=1,000万円+800万円=1,800万円
直接原価計算方式の損益計算書
直接原価計算方式の損益計算書

 次に、売上高を基準にして、変動費率と貢献利益率を計算しましょう。

  • 変動費率:変動費÷売上高=3,000万円÷5,000万円=0.6(60%)
  • 貢献利益率:貢献利益÷売上高=2,000万円÷5,000万円=0.4(40%)
変動費率と貢献利益率の計算
変動費率と貢献利益率の計算

 ここで仮に売上高をS(Salesの頭文字)を置くと、変動費と貢献利益はどのように表すことが出来るでしょうか。

 上の計算式で変動費率が0.6、貢献利益率が0.4であることが判明したので、売上高をSと置くと変動費は0.6S(=S×0.6)、貢献利益は0.4S(=S×0.4)と表すことが出来ます。

 さらに、貢献利益0.4Sから固定費1,800万円を差し引くことにより、営業利益を0.4S-1,800万円と表すことができます。

売上高をSと置いた場合の損益計算書
売上高をSと置いた場合の損益計算書

 本問は、ここまでの作業がきちんと出来るかどうかがカギになります。あとは各問の条件を当てはめて計算するだけです。

 なお、上記のSは他の文字・記号に置き換えても構いません。X(エックス)でもいいですし、★や?でもなんでもいいです。

問1 損益分岐点売上高

 損益分岐点売上高とは、営業利益がゼロになるときの売上高のことをいいます。損益分岐点売上高をSと置いて「貢献利益-固定費=営業利益0」という1次方程式を作り、Sの金額を算定します。

0.4S-1,800万円=0円 0.4S=1,800万円 S=4,500万円

損益分岐点売上高の計算
損益分岐点売上高の計算

問2 目標利益達成売上高

 目標利益達成売上高とは、文字どおり目標利益を達成するために必要な売上高のことをいいます。目標利益達成売上高をSと置いて「貢献利益-固定費=営業利益400」という1次方程式を作り、Sの金額を算定します。

0.4S-1,800万円=400万円 0.4S=2,200万円 S=5,500万円

目標利益達成売上高
目標利益達成売上高

問3 安全余裕率

 安全余裕率とは、現在の売上が何%減少すると利益がゼロになるかを示す割合です。以下の計算式で求めることができます。

  • 安全余裕率=(現在の売上高-損益分岐点売上高)÷現在の売上高×100%
  • 安全余裕率=(5,000万円-4,500万円)÷5,000万円×100%=10%

 公式に当てはめると以上のような計算式になりますが、実際に問題を解くさいには以下のような感じでサクッと計算しちゃいましょう。

  • 現在の売上高:5,000万円
  • 損益分岐点売上高:4,500万円
  • 差額:500万円
  • 500万円÷5,000万円=0.1(10%)
  • よって、売上高が現在よりも500万円(10%)下がると、損益分岐点の売上高に達する。

問4 営業利益の増減

 売上高の増加に比例して増加する費用は変動費のみ(固定費は一定)なので、売上高が一定額増加した場合、貢献利益の増加額と営業利益の増加額は同じ金額になります。

 本問の場合、売上高をSと置くと貢献利益は0.4Sと表すことができるので、0.4SのSに500万円を代入すると…0.4×500万円=200万円になり、売上高が500万円増加すると貢献利益・営業利益が200万円増加することが分かります。

 なお、上記の関係が分かりにくい場合は自分で損益計算書を作りなおして「増加する営業利益」を求めても良いと思います。

 売上高が500万円増加すると5,500万円(=5,000万円+500万円)になるので、それに伴って変動費は3,300万円(=5,500万円×0.6)、貢献利益は2,200万円(=5,500万円×0.4)になります。

売上高が500万円増加したときの損益計算書
売上高が500万円増加したときの損益計算書

※ 本問では営業利益の増加額(200万円)が問われています。増加後の営業利益の金額(400万円)を解答しないように気をつけてください。

問5 固定費の引き下げ

 売上高の減少に比例して減少する費用は変動費のみ(固定費は一定)なので、売上高が一定額減少した場合、貢献利益の減少額と営業利益の減少額は同じ金額になります。

 本問の場合、売上高をSと置くと貢献利益は0.4Sと表すことができるので、0.4SのSに100万円を代入すると…0.4×100万円=40万円になり、売上高が100万円減少すると貢献利益・営業利益が40万円減少することが分かります。

 よって、損益分岐点売上高(4,500万円)を100万円引き下げて4,400万円にした時に固定費の金額をいじらないと、営業利益がマイナス40万円になってしまうので、営業利益をゼロにするために固定費を40万円引き下げます。

 なお、上記の関係が分かりにくい場合は自分で損益計算書を作りなおして「固定費の引き下げ額」を求めても良いと思います。

 損益分岐点売上高から売上高が100万円減少すると4,400万円(=4,500万円-100万円)になるので、それに伴って変動費は2,640万円(=4,400万円×0.6)、貢献利益は1,760万円(=4,400万円×0.4)になります。

損益分岐点売上高から売上高が100万円減少したときの損益計算書
損益分岐点売上高から売上高が100万円減少したときの損益計算書

※ 本問では固定費の引き下げ額40万円(=1,800万円-1,760万円)が問われています。引き下げ後の固定費の金額(1,760万円)を解答しないように気をつけてください。



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