第141回・日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 最低でも8点、できれば12点とりたい仕訳問題!今回はかなり難しいです。

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】が出題されました…が、まともに解けそうな問題は問2・問5の2問ぐらいで、その他の3問については正解にたどり着くのが難しい問題だったと思います。

 仕訳問題だけで考えますと、直近10年の試験の中で最も難しかった第139回試験と同レベルの問題だったのではないでしょうか。受験生アンケートでも70%以上の方が「かなり難しかった」と回答しています。

 個人的な感想としては…問1の源泉所得税は既に第139回試験でも出題されていますし、問4の消費税もホットな論点なので実務的で良い問題だったと思います。

 ただ、問3の未収金の相殺は指示が分かりにくいですし、問5の貯蔵品の振り替えも難度を上げるためだけに取ってつけたような感じがします。

 また、市販のテキスト・問題集でほとんど触れられていない「構築物」を問2であえて出したり、問題で列挙している勘定科目をぐちゃぐちゃに並べる必要性も理解しがたいです。

 簿記2級は「落とす試験」ではないと思いますので、がんばって勉強している受験生のためにももう少し本質的な理解を問う問題を出題していただきたいです。

問1 源泉所得税

模範解答
(借)当座預金 240,000
(借)仮払法人税等 60,000
 (貸)受取配当金 300,000

 源泉所得税に関する問題です。

 前々回の第139回試験でも源泉所得税の問題が出題されていたので、仕訳の過去問対策をやっていた方は解けたかもしれません。ただ、現在市販されているテキスト・問題集にはほとんど載っていない論点なので、一般的には「捨て問」レベルの問題です。

 株式を保有していると業績に応じた配当金を受け取ることが出来ますが、受け取るさいに一定の税金を支払う義務が発生するため、実際に会社から株主に支払われるのは税金を差し引いた(=源泉徴収した)後の金額になります。

 本問は、問題文の「源泉所得税20%を控除後」というカッコ書きから、当座預金口座に入金された240,000円は源泉徴収後の金額であることが分かります。

 そこで、まずは源泉徴収前の配当金の金額を計算し、実際に入金された分は当座預金勘定で、源泉徴収された分は法人税の前払いと考えて仮払法人税等勘定で処理します。

  • 源泉徴収前の配当金の金額:240,000円÷80%=300,000円 → 受取配当金勘定で処理
  • 実際に入金された金額:240,000円 → 当座預金勘定で処理
  • 源泉徴収された金額:60,000円(=300,000円-240,000円)→ 仮払法人税等勘定で処理

※ なお、源泉徴収した側の会社(本問の場合はA商会)は後日、配当金の支払時に源泉徴収した税金をまとめて国に納付します。

問2 固定資産の購入

模範解答
(借)建物 5,500,000
(借)構築物 2,200,000
(借)修繕費 1,100,000
 (貸)建設仮勘定 8,800,000

 固定資産の購入に関する問題です。構築物や共通工事費など見慣れない言葉が出てきますが、他の仕訳問題の難度を考えますと、確実に4点を取りたい問題です。

 本問は、問題文の「工事代金8,800,000円は4回分割で小切手により支払済み」から、増設工事の完成前に工事代金を支払っていることが分かるので、まずは仕訳をイメージしてみましょう。

参考・増設工事の完成前に支払った工事代金の仕訳(4回分)
(借)建設仮勘定 8,800,000
 (貸)当座預金 8,800,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、借方に計上した建設仮勘定を適切な勘定科目に振り替えますが…ここで「構築物ってなに?」「共通工事費ってなに?」という話しになるかと思います。

 構築物とは、土地の上に建てられた建物以外の建造物や設備などを管理する勘定科目です。建物とセットで考える場合は、建物の周りに立てられた「塀(へい)」をイメージすると分かりやすいと思います。

 受験簿記ではほとんど取り扱わない勘定科目なのでびっくりした方も多かったと思いますが、仕訳自体は構築物勘定で処理するだけなので簡単です。

 また、工事にともなって発生した費用のうち帰属先が不明なものを共通工事費といいます。工業簿記の部門別原価計算に出てくる「部門共通費」をイメージすると分かりやすいと思います。

 共通工事費が発生した場合、これを「建物を作った時に発生した分」「構築物を作った時に発生した分」「修繕した時に発生した分」と明確に分けるのは現実的に難しいので、一定の基準を設けて各勘定に配賦します。

 本問は、問題文に「共通工事費は各勘定の金額比で配賦することにした」という指示があるので、指示に従って共通工事費800,000円を各勘定に配賦します。

  • 建物5,000,000円+構築物2,000,000円+修繕費1,000,000円=8,000,000円
  • 共通工事費800,000円÷8,000,000円=0.1
  • 建物:5,000,000円×0.1=500,000円
  • 構築物:2,000,000円×0.1=200,000円
  • 修繕費:1,000,000円×0.1=100,000円
  • 建物:5,000,000円+500,000円=5,500,000円
  • 構築物:2,000,000円+200,000円=2,200,000円
  • 修繕費:1,000,000円+100,000円=1,100,000円

 各勘定の金額を算定したら、あとは建設仮勘定を振り替えるだけです。受験生アンケートによると「構築物」を「建築物」と書いてしまった受験生がけっこういたようですが、勘定科目の漢字の間違いは不正解になってしまいますので気をつけてください。

問3 仕入割戻

模範解答
(借)買掛金 2,500,000
 (貸)未収金 300,000
 (貸)普通預金 2,200,000

 仕入割戻に訂正仕訳を絡ませた問題です。問題文の読み取りが非常に難しく、問1と同様に「捨て問」レベルの問題になります。

 本問はまず、問題文に「買掛金支払時に、同社からの仕入割戻300,000円が未収金に含まれていることが判明した」とあるので、仕入割戻時に未収金として処理してしまった仕訳を考えます。

参考・仕入割戻の一般的な仕訳
(借)買掛金 *****
 (貸)仕入 *****
参考・仕入割戻時に未収金として処理してしまった仕訳
(借)未収金 *****
 (貸)仕入 *****

 仕入割戻を未収金勘定で処理した経理担当者、マジで許さねぇ…と心の中でつぶやいたうえで、下記の「訂正仕訳の解答手順」に沿って処理を考えていきましょう。

  1. 間違って切ってしまった仕訳を書きだす
  2. 1.の逆仕訳を書きだす
  3. 正しい仕訳を書きだす
  4. 2.と3.の仕訳をまとめる
1. 間違って切ってしまった仕訳を書きだす
(借)未収金 300,000
 (貸)仕入 300,000
2. 1.の逆仕訳を書きだす
(借)仕入 300,000
 (貸)未収金 300,000
3. 正しい仕訳を書きだす
(借)買掛金 300,000
 (貸)仕入 300,000
4. 2.と3.の仕訳をまとめる … ①
(借)仕入 300,000
 (貸)未収金 300,000
(借)買掛金 300,000
 (貸)仕入 300,000

 訂正仕訳の処理が終わったら、最後に買掛金の支払いに関する仕訳を考えましょう。支払う予定だった買掛金2,500,000円のうち、300,000円は仕入割戻として上記の訂正仕訳で適切に処理したので、残額の2,200,000円の買掛金を支払います。

買掛金の支払いに関する仕訳 … ②
(借)買掛金 2,200,000
 (貸)普通預金 2,200,000

 ①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。なお、本問は買掛金を普通預金口座から支払っています。うっかり当座預金勘定で処理しないように気をつけてください。

問4 仕入取引・研究開発費・消費税

模範解答
(借)仕入 3,200,0000
(借)研究開発費 600,000
(借)仮払消費税 304,000
 (貸)買掛金 3,456,000
 (貸)未払金 648,000

 仕入取引・研究開発費・消費税に関する問題です。本問は「商品の購入に関する仕訳」と「研究開発用の備品の購入に関する仕訳」に分けて考えましょう。

商品の購入に関する仕訳

 商品3,200,000円を翌月末払いの条件で購入しているので、仕入勘定と買掛金勘定で処理します。未払金勘定を使わないように気をつけてください。

 また、問題文に「消費税の税率は8%であり、取引は税抜方式により記帳する」とあるので、消費税分に関しては仮払消費税勘定で処理します。

商品の購入に関する仕訳 … ①
(借)仕入 3,200,000
(借)仮払消費税 256,000
 (貸)買掛金 3,456,000

 参考までに税込方式による場合の仕訳も確認しておきましょう。消費税分を仕入勘定に含めて処理します。

参考・税込方式による場合の仕訳
(借)仕入 3,456,000
 (貸)買掛金 3,456,000

研究開発用の備品の購入に関する仕訳

 研究開発目的で支出したコストは全て研究開発費勘定で処理します。例えば、研究開発部門の人件費や実験で使う材料費や器具、消耗品なども全て研究開発費になります。

 本問は、問題文に「研究開発専用で使用する測定機器備品600,000円」とあるので、600,000円全額を研究開発費勘定で処理します。備品勘定で処理しないように気をつけてください。

研究開発用の備品の購入に関する仕訳 … ②
(借)研究開発費 600,000
(借)仮払消費税 48,000
 (貸)未払金 648,000

 ①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。本問は、研究開発のひっかけ+消費税の処理が問われているので、正解にたどり着くのはなかなか難しい問題です。

問5 商品保証引当金

模範解答
(借)商品保証引当金 1,000,000
(借)商品保証費 150,000
 (貸)貯蔵品 1,150,000

 商品保証引当金に関する問題です。貯蔵品の取り崩しはイメージしづらいと思いますが、他の仕訳問題の難度を考えますと、確実に4点を取りたい問題です。

 本問は、問題文に「貯蔵品に計上されている修理用備品を使用した分の修理費用合計1,150,000円が発生した」とあるので、まず借方に計上されている貯蔵品勘定を取り崩します。

 また、問題文に「前期末に計上した商品保証引当金の残高は1,000,000円であった」とあるので、貸方に計上されている商品保証引当金を取り崩すとともに、足らない分の150,000円を商品保証費勘定で処理します。修繕費勘定を使わないように気をつけてください。



簿記オフ会のおしらせ
簿記オフ会

 2019年10月26日(土)の夜(18時~)と10月27日(日)の昼(13時~)から東京・渋谷で簿記検定ナビ主催の簿記オフ会を開催いたします。現在参加者募集中です!

 みんなで楽しく気分転換&情報交換しませんか?人見知りする方も管理人がなるべくフォローしますので、ぜひぜひご参加ください!

簿記教材の割引キャンペーン情報
CyberBookStore

 資格の学校TACの直販サイトでは、TAC出版の簿記教材を割引価格(定価の10%~20%オフ)&冊数に関係なく送料無料で購入することができます。

簿記検定ナビの人気コンテンツ

ページの先頭へ