第140回・日商簿記検定2級 第4問(標準原価計算)の過去問分析

第4問 シングルプランによる標準原価計算の問題!落ち着いて考えましょう。

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【標準原価計算】に関する問題でした。標準原価計算といえば、第5問でパーシャルプラン!というのがお決まりだったので、第4問で、しかもシングルプランの処理を問う問題というのはかなり意外でしたが、問題の難度自体は普通レベルだと思います。

 受験生アンケートでは結果がかなりバラけましたが、この問題で大きく失点してしまうと合格がかなり厳しくなるので、最低でも半分(20点満点中10点)は取りたいところです。

パーシャルプランとシングルプランの違い

 両者の違いは、差異を把握する場所(勘定)です。

 パーシャルプランは、材料勘定・賃金勘定・製造間接費勘定から仕掛品勘定に原価を振り替えるさいに実際原価を使うので、原価差異は仕掛品勘定で把握します。

 一方、シングルプランは、材料勘定・賃金勘定・製造間接費勘定から仕掛品勘定に原価を振り替えるさいに標準原価を使うので、原価差異は材料勘定・賃金勘定・製造間接費勘定で把握します。


 本問はシングルプランを採用しているので、材料勘定から仕掛品勘定に原価を振り替えるさいには標準原価を使います(問1の(2)の仕訳)。また、原価差異を材料勘定で把握するので、数量・価格差異の計上時の相手科目は材料勘定になります(問1の(3)の仕訳)。

 なお、問2の損益計算書の作成にはパーシャルプランもシングルプランも関係ありません。両者の違いは、原価差異を材料勘定で把握するのか、仕掛品勘定で把握するのかだけなので、製品勘定以降の数字は全く同じになります。

 どちらの方法によっても、当月製品製造原価・月末製品棚卸高を標準原価で計算し、原価差異の合計額を標準売上原価に加減して売上総利益を計算します。

問1 仕訳問題

 (3)は少し難しいですが、(1)(2)は簡単なので絶対に取りこぼしてはいけません。また、本問は勘定科目の指定があるので、解答するさいは気をつけてください。

(1)の解答仕訳
(借)材料 1,152,000
 (貸)買掛金 1,152,000

 (1)では、材料購入時の仕訳が問われています。問題文に「当工場では実際の購入単価をもって材料勘定への受入記録を行っている」とあるので、材料の実際購入額1,152,000円(=900kg×@1,280円)を使います。

(2)の解答仕訳
(借)仕掛品 864,000
 (貸)材料 864,000

 (2)では、材料勘定から仕掛品勘定に原価を振り替えるさいの仕訳が問われています。本問は、シングルプランを採用しているので、標準原価864,000円(=360個×@2,400円)を使います。

(3)の解答仕訳
(借)価格差異 60,000
(借)数量差異 36,000
 (貸)材料 96,000

 (3)では、直接材料費差異を把握するさいの仕訳が問われています。本問は、シングルプランを採用しているので、価格差異・数量差異の計上時の相手科目は材料勘定になります。

 価格差異・数量差異は以下のようなボックスを作って求めるのが簡単です。

第4問・標準原価計算の下書き1
第4問・標準原価計算の下書き1

シングルプランではなくパーシャルプランだったら?

 パーシャルプランを採用していた場合の仕訳を参考までにご紹介いたします。(2)(3)の仕訳が異なりますので、シングルプランの仕訳と比較してみましょう。

参考・パーシャルプランを採用していた場合の仕訳

(1)
(借)材料 1,152,000
 (貸)買掛金 1,152,000
(2)
(借)仕掛品 960,000
 (貸)材料 960,000
(3)
(借)価格差異 60,000
(借)数量差異 36,000
 (貸)仕掛品 96,000

問2 損益計算書の作成

 上にも書きましたが、損益計算書の作成にはパーシャルプランもシングルプランも関係ありません。当月製品製造原価・月末製品棚卸高を標準原価で計算し、原価差異の合計額を標準売上原価に加減して売上総利益を計算します。

 問2ははっきり言ってボーナス問題です。ここだけで8点~11点ぐらいの配点があるので、取りこぼしのないようにしてください。

  • 売上高:1,500,000円(=300個×@5,000円)
  • 当月製品製造原価:1,404,000円(=360個×@3,900円)
  • 月末製品棚卸高:234,000円(=60個×@3,900円)
  • 標準売上原価:1,170,000円(=1,404,000円-234,000円)
  • 原価差異:180,000円(=96,000円+84,000円)
  • 売上原価:1,350,000円(=1,170,000円+180,000円)
  • 売上総利益:150,000円(=1,500,000円-1,350,000円)

 原価差異は、直接材料費差異と加工費差異の合計額を記入します。また、原価差異は借方差異なので、「標準売上原価+原価差異=売上原価」になります。プラスとマイナスを間違えないように気をつけましょう。



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