第140回・日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 激ムズだった前回と比べるとかなり簡単に…16点は取りたいところです!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。問3の売上割戻が少し難しかったかもしれませんが、残りの4問は典型的な過去問類似問題でした。

 受験生アンケートで「普通ぐらいだった」という回答が一番多かったのは少し意外でしたが、きちんと過去問対策をしていれば最低でも4問(16点)は取れたと思います。

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問1 設立時の新株発行

模範解答
(借)当座預金 100,000,000
 (貸)資本金 50,000,000
 (貸)資本準備金 50,000,000
(借)創立費 500,000
 (貸)現金 500,000

 設立時の新株発行に関する問題です。本問のように「資本金は会社法で認められている最低限度額を計上することとした」という指示がある場合は、払込金額総額から資本金組み入れの最低額(=払込金額の二分の一)を差し引いた額を資本準備金として処理します。

 電卓で計算する場合は、払込金額総額100,000,000円(=2,500株×40,000円/株)を2で割って、それぞれを資本金勘定・資本準備金勘定で処理するだけです。

  • 会社法・445条2項…前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
  • 会社法・445条3項…前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。

最低組み入れ額の規定は「できる」規定なので、必ずしも二分の一が強制されるわけではありません。あくまでも、問題文に指示がある場合にのみ適用されるものなので注意してください(指示がない場合は、全額資本金勘定で処理)

 また、創立費とは設立登記までに要した費用をいい、発起人への報酬や定款作成にかかる諸費用だけでなく、新株発行にかかる諸費用も含みます。株式交付費で処理しないように気をつけてください。

  • 設立時の新株発行にかかる諸費用…創立費勘定で処理する
  • 増資時の新株発行にかかる諸費用…株式交付費勘定で処理する

 本問は、問題文に「会社設立のため発起人は株式発行に係わる諸費用500,000円を立て替えて支払っていたことが判明した」とあるので、500,000円を創立費勘定で処理します。

 なお、「発起人が立て替えて支払った→立替金」と判断した方もいらっしゃるかもしれませんが、立替金は会社が立て替え払いをした時に使う勘定科目です。混同しないように気をつけましょう。

問2 本支店会計

模範解答
(借)本店 700,000
 (貸)当座預金 700,000

 本支店会計に関する問題です。本問は「本店が支払うべき買掛金700,000円をを東京支店が支払った」だけなので、仕訳自体はとても簡単です。

解答・東京支店の仕訳
(借)本店 700,000
 (貸)当座預金 700,000

 なお、本問は、問題文に「本店側の仕訳は答えなくてよい」とあるので、本店の仕訳を解答する必要はありませんが、参考までにご確認ください。

参考・本店の仕訳
(借)買掛金 700,000
 (貸)東京支店 700,000

問3 売上割戻

模範解答
(借)売上割戻 105,000
(借)売上割戻引当金 55,000
 (貸)現金 80,000
 (貸)売掛金 80,000

 売上割戻に関する問題です。本問は、今回の仕訳問題5問の中では最も難度の高い問題ですが、商店別に順を追って考えていけば正解にたどり着けると思います。

神奈川商店に関する仕訳

 それでは早速、神奈川商店のほうから考えてみましょう。問題文の中から神奈川商店に関するものを指示だけを抜き出すと、以下のような一文になります。

 神奈川商店が80,000円の売上割戻を実施する要件を満たしていることが判明したので、現金で支払った。

 現金で支払っているので貸方には現金勘定、売上割戻を実施したので借方には売上勘定…としたいところですが、本問は問題文に列挙されている勘定科目の中に売上勘定がない(売上割戻勘定はある)ので、売上割戻勘定で処理すると判断して仕訳を切ります。

解答①・神奈川商店の仕訳
(借)売上割戻 80,000
 (貸)現金 80,000

静岡商店に関する仕訳

 次に、静岡商店のほうを考えてみましょう。問題文の中から静岡商店に関するものを指示だけを抜き出すと、以下のような一文になります。

 静岡商店が80,000円の売上割戻を実施する要件を満たしていることが判明したので、同店に対する売掛金と相殺することとした。ただし、前期末に売上割戻引当金55,000円を計上している。

 静岡商店に対しては売上割戻引当金を設定しているので、80,000円のうち55,000円については引当金を充当し、残額の25,000円を売上割戻勘定で処理します。

解答②・静岡商店の仕訳
(借)売上割戻引当金 55,000
(借)売上割戻 25,000
 (貸)売掛金 80,000

 最後に①②の仕訳をまとめると解答になります。なお、売上割戻勘定については解答仕訳のように①の80,000円と②の25,000円をまとめて105,000円としてもいいですし、以下の別解のようにまとめずに解答しても構いません。

別解
(借)売上割戻 80,000
 (貸)現金 80,000
(借)売上割戻引当金 55,000
(借)売上割戻 25,000
 (貸)売掛金 80,000

 なお、本問では問われていませんが、期中に売上割戻を売上割戻勘定で処理した場合、決算整理仕訳で売上勘定に振り替える仕訳を行います。参考までに仕訳をご確認ください。

参考・期末の処理
(借)売上 105,000
 (貸)売上割戻 105,000

問4 有価証券の購入

模範解答
(借)満期保有目的債券 99,000,000
(借)有価証券利息 150,000
 (貸)当座預金 99,150,000

 有価証券の購入に関する問題です。本問は、【有価証券の購入に関する仕訳】と【利息の支払いに関する仕訳】に分けて考えると分かりやすいと思います。

有価証券の購入に関する仕訳

 有価証券を購入した場合、購入代価と付随費用(取得に伴い発生した費用)の合計額を取得原価として資産計上しますが、本問は付随費用が発生していないので、購入代価を計算するだけです。

取得原価=購入代価+付随費用=(100,000,000円×@99円/@100円)+0円=99,000,000円

 なお、本問は問題文に「満期日に償還されるまで保有する予定」とあるので、売買目的有価証券勘定ではなく満期保有目的債券勘定で処理します。

  • 短期間で売買する目的で購入…売買目的有価証券勘定で処理
  • 満期まで保有する目的で購入…満期保有目的債券勘定で処理
解答①
(借)満期保有目的債券 99,000,000
 (貸)普通預金 99,000,000

利息の支払いに関する仕訳

 問題文に、「年利率:1.825%、利払日:毎年3月および9月末日」とあり、購入日が4月30日なので、4月1日から4月30日までの30日分の端数利息を計算します。

有価証券利息=100,000,000円×1.825%×40日/365日=150,000円

解答②
(借)有価証券利息 150,000
 (貸)当座預金 150,000

 最後に、①②の仕訳をまとめると解答になります。ところで、上記の仕訳について、なぜ購入時に「前回の利払日の翌日から購入日までの端数利息」を支払わなければいけないかはお分かりですか?

 社債を購入すると次回の利払日(本問の場合は9月末日)に半年分の利息を受け取ることになりますが、購入時に「前回の利払日の翌日から購入日まで端数利息」を先に支払っておかないと、保有していなかった期間(4月1日から4月30日まで)の分まで余分にもらってしまうことになるからです。

  • 購入日(4月30日):前回の利払日の翌日から購入日までの30日分の端数利息を支払う
  • 利払日(9月30日):半年分の利息を受け取る
  • 有価証券利息:「半年分の利息-30日分の利息」で保有期間に見合った利息が計上される

問5 固定資産の減価償却

模範解答
(借)減価償却費 5,400,000
 (貸)車両減価償却累計額 5,400,000

 固定資産の減価償却に関する問題です。本問は生産高比例法により減価償却を行っているので、利用度に応じた減価償却費を計上します。

取得原価30,000,000円×0.9×8万キロ÷40万キロ=5,400,000円



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