第139回・日商簿記検定2級 第3問(財務諸表作成問題)の過去問分析

第3問 3回連続の財務諸表作成問題。難度は「やや難しい」ぐらいです。

第3問の難度アンケート結果

 第3問は【財務諸表作成問題】でした。前回・前々回に引き続き、3回連続で財務諸表作成問題が出題されましたが、前回の鬼のような問題に比べると全体的な難度はやや低くなったと思います。

 ただ、有形固定資産の取得原価を1次方程式を使って計算する必要があったり、各自で損益計算書を作って各種の利益を計算しなければいけなかったり…この辺はかなり難しかったのではないでしょうか。

 受験生アンケートでは、90%以上の方が「かなり難しかった」「やや難しかった」と回答していますが、合格するためには最低でも10点は取りたいところです。

 それでは、ひとつひとつ処理を確認していきましょう。

[資料2]決算にあたっての修正事項

1.
(借)現金預金 400,000
 (貸)受取手形 400,000
2.
(借)未収金 1,000,000
 (貸)火災損 1,000,000

 1.の連絡未達(未処理)は、現金預金を増やして受取手形を減らすだけなので特に問題ないと思います。

 2.の火災損失の訂正仕訳は、火災損失として計上していた一部を未収金勘定に振り替えます。問題文にあるとおり「保険金1,000,000円が当社の当座預金口座に入金されることが決定した」だけでまだ受け取っていないので、現金預金勘定で処理しないように気をつけてください。

[資料3]決算整理事項

1.
(借)仕入 3,700,000
 (貸)繰越商品 3,700,000
(借)繰越商品 4,000,000
 (貸)仕入 4,000,000
(借)棚卸減耗損 150,000
(借)商品評価損 240,000
 (貸)繰越商品 390,000
(借)仕入 390,000
 (貸)棚卸減耗損 150,000
 (貸)商品評価損 240,000
2.
(借)貸倒引当金繰入 14,000
 (貸)貸倒引当金 14,000
3.
(借)減価償却費 1,387,500
 (貸)建物減価償却累計額 450,000
 (貸)備品減価償却累計額 937,500
4.
(借)仮受消費税 2,100,000
 (貸)仮払消費税 1,650,000
 (貸)未払消費税 450,000
5.
(借)退職給付費用 300,000
 (貸)退職給付引当金 300,000
6.
(借)未収収益 1,250
 (貸)受取利息 1,250
7.
(借)支払利息 90,000
 (貸)未払費用 90,000
8.
(借)前払費用 60,000
 (貸)支払地代 60,000
9.
(借)法人税等 500,000
 (貸)仮払法人税等 200,000
 (貸)未払法人税等 300,000

1. 売上原価の算定および商品の期末評価

 まずは毎度おなじみの売上原価算定の仕訳(しーくりくりしー)を切ります。期首商品帳簿棚卸高3,700,000円は、問題資料1の決算整理前残高試算表の繰越商品の金額をひっぱってきましょう。

解答①
(借)仕入 3,700,000
 (貸)繰越商品 3,700,000
(借)繰越商品 4,000,000
 (貸)仕入 4,000,000

 次に、問題文に「その中で商品Aには棚卸減耗損150,000円、商品Bには商品評価損240,000円が生じている」とあるので、棚卸減耗損と商品評価損を計上します。

解答②
(借)棚卸減耗損 150,000
(借)商品評価損 240,000
 (貸)繰越商品 390,000

 さらに「いずれも売上原価に算入する」という指示があるので、棚卸減耗損と商品評価損を仕入勘定に振り替えます。

解答③
(借)仕入 390,000
 (貸)棚卸減耗損 150,000
 (貸)商品評価損 240,000

 なお、答案用紙の貸借対照表の空欄に入る勘定科目は商品です。うっかり繰越商品勘定を使わないように気をつけてください。

  • 貸借対照表の商品の金額:4,000,000円-150,000円-240,000円=3,610,000円

2. 貸倒引当金の設定

 決算にあたっての修正事項の「1.連絡未達(未処理)」の受取手形の減少を考慮して貸倒引当金を計算します。

(2,530,000円+2,670,000円-400,000円)×1%-34,000円=14,000円

  • 貸借対照表の受取手形の金額:2,530,000円-400,000円=2,130,000円
  • 貸借対照表の貸倒引当金の金額:2,130,000円×1%=21,300円
  • 貸借対照表の売掛金の金額:2,670,000円
  • 貸借対照表の貸倒引当金の金額:2,670,000円×1%=26,700円

3. 固定資産の減価償却

 問題文に「減価償却の記帳は直接法に拠っているが、貸借対照表は間接控除方式で示すこと」とあるので、各データをもとに減価償却費を計算…したいところですが、減価償却の計算に必要な取得原価のデータがありません。

 よって、本問はまず建物と備品の取得原価を算定する必要があります。具体的には、建物の取得原価をX、備品の取得原価をYとおいて1次方程式を作ります。

  • 建物の取得原価-前期末までの減価償却累計額=前期末時点の建物の帳簿価額
  • X-0.9X÷40年×20年=11,000,000円
  • X-0.45X=11,000,000円
  • 0.55X=11,000,000
  • X=20,000,000円

 上記の計算式の2行目に出てくる「0.9X÷40年×20年」の「0.9X」というのは取得原価(X)から残存価額(X×10%=0.1X)を差し引いた要償却額で、「0.9X÷40年」というのは要償却額を耐用年数で割ったもの、つまり1年あたりの減価償却費を表しています。

 さらに、1年あたりの減価償却費(0.9X÷40年)に前期末までの経過年数20年を掛けわせると(×20年)、前期末までの20年分の減価償却累計額(0.9X÷40年×20年)をXを使って表すことができます。

 なお、前期末時点の建物の帳簿価額は、問題資料1の決算整理前残高試算表の建物の金額をひっぱってきましょう。

 取得原価が判明したら、あとはいつも通りの方法で減価償却費を計算するだけです。仕訳自体は簡単なので特に問題ないと思います。

20,000,000円×0.9÷40年=450,000円

解答:建物の減価償却
(借)減価償却費 450,000
 (貸)建物減価償却累計額 450,000
  • 貸借対照表の建物の金額:20,000,000円
  • 貸借対照表の減価償却累計額の金額:450,000円×21年=9,450,000円

 建物の計算が終わったら、同じ要領で備品の取得原価を計算しましょう。こちらは減価償却方法が定率法なので、間違えないように気をつけてください。

  • 備品の取得原価-前期末までの減価償却累計額=前期末時点の備品の帳簿価額
  • Y-0.25Y=3,750,000円
  • 0.75Y=3,750,000
  • Y=5,000,000円

3,750,000円×0.25=937,500円

解答:備品の減価償却
(借)減価償却費 937,500
 (貸)建物減価償却累計額 937,500
  • 貸借対照表の備品の金額:5,000,000円
  • 貸借対照表の減価償却累計額の金額:(5,000,000円-3,750,000円)+937,500円=2,187,500円

 取得原価をXとおいて1次方程式を作る問題は、今回の簿記ナビ模試の仕訳問題で出題しましたし、第111回の仕訳問題・問3でも出題されていますが、初見では、「資料1の決算整理前残高試算表の金額=前期末時点の帳簿価額」ということにはなかなか気づけないと思います。

4. 消費税の計算

 資料1の決算整理前残高試算表に「仮払消費税 1,650,000」と「仮受消費税 2,100,000」があるので、それぞれを相殺して貸借差額(450,000円)を未払消費税勘定で処理します。

  • 貸借対照表の未払消費税の金額:2,100,000円-1,650,000円=450,000円

5. 退職給付費用の計上

 見積額300,000円を退職給付費用で処理するだけです。

  • 貸借対照表の退職給付引当金の金額:640,000円+300,000円=940,000円

6. 未収収益の計算

 問題文に「利息は満期日に受取り」とあるので、平成25年11月1日に預け入れた1年物の定期預金の利息3,000円(=1,000,000円×0.3%)は、平成26年10月31日に受け取ることになります。

 よって、1年分の利息のうち当期に属する5か月分(平成25年11月1日から平成26年3月31日まで)の利息を、決算において収益を見越し計上します。

1,000,000円×0.3%×5か月/12か月=1,250円

7. 未払費用の計算

 問題文に「利払日は毎年6月末日と12月末日(後払い)となっている」とあるので、期中に以下のような仕訳を切ったことが分かります。

平成25年12月31日:利息の支払に関する仕訳
(借)支払利息 180,000
 (貸)現金預金 180,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、決算日現在、前回の利払日以降の3か月分(平成26年1月1日から平成26年3月31日まで)が未払になっているので、決算において費用の繰延処理を行います。

9,000,000円×4%×3か月/12か月=90,000円

平成26年3月31日:利息の繰延処理に関する仕訳
(借)支払利息 90,000
 (貸)未払費用 90,000

8. 前払費用の計算

 費用の繰延べはほぼ毎回出題される頻出論点なので、ここで考え方・処理方法を改めて確認しておきたいと思います。まずは前期末の仕訳を考えてみましょう。

前期末の(支払地代の繰延べの)仕訳
(借)前払費用 1か月分の地代
 (貸)支払地代 1か月分の地代

 問題文に「毎年5月1日に向こう1年分をまとめて支払っている」とあるので、前期末に「平成25年4月1日から平成25年4月末までの1か月分の地代」を前払費用勘定を使って繰延処理したことが分かります。

 なお、この時点では1か月分の地代の具体的な金額が分からないので、仕訳の金額部分は暫定的に「1か月分の地代」としています。

 それでは次に、上記の仕訳を参考にして当期首の再振替仕訳を考えます。

【4月1日】再振替仕訳
(借)支払地代 1か月分の地代
 (貸)前払費用 1か月分の地代

 当期首の再振替仕訳については、前期末の仕訳の逆仕訳をするだけなので特に問題ないと思います。では次に、5月1日(地代支払日)の仕訳を考えてみましょう。

【5月1日】1年分の地代を支払った時の仕訳
(借)支払地代 12か月分の地代
 (貸)現金預金 12か月分の地代

 この結果、問題資料1の決算整理前残高試算表に記載されている支払地代780,000円というのは、1か月分の地代+12か月分の地代=13か月分の地代の金額ということになるので、この780,000円を13か月で割ると、1か月あたりの地代が60,000円であることが分かります。

 1か月分の地代を算定することが出来たら、最後に当期末の費用の繰延べの仕訳を考えますが、この仕訳の金額については今までのように「~か月分の地代」という形ではなくて、1か月あたりの地代を元に正しい金額を記入します。

 具体的には、前期末と同様に1か月分の費用の繰延べを行うので、1か月あたりの地代60,000円×1か月=60,000円になります。

【解答】費用の繰延べの仕訳
(借)前払費用 60,000
 (貸)支払地代 60,000

 この費用の繰延べの仕訳を切ることによって、問題資料1の決算整理前残高試算表において13か月分計上されていた「支払地代」勘定が12か月分に訂正され、その結果、正しい金額720,000円(=1か月あたりの地代60,000円×12か月)が損益計算書に記入されます。

9. 法人税等の計算

 問題文に「税引前当期純利益の25%にあたる500,000円を「法人税、住民税及び事業税」に計上する」とあるので、借方に法人税等(法人税、住民税及び事業税)を計上するとともに、問題資料1の決算整理前残高試算表の仮払法人税等との差額を未払法人税等で処理します。

区分式損益計算書に表示される利益について

 本問は「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「当期純利益」の4つの金額が問われていますが、この中で一番簡単に出せるのが「当期純利益」です。

 9.法人税等の計算の問題文の「税引前当期純利益の25%にあたる500,000円」から、税引前当期純利益を逆算することができます。

税引前当期純利益×25%=500,000円

税引前当期純利益=2,000,000円

 税引前当期純利益の金額が判明したら、法人税等の金額を差し引いて当期純利益の金額を算定します。本試験では、法人税等の500,000円を引き忘れて2,000,000円と解答してしまった受験生が結構いましたので、引き忘れにご注意ください。

税引前当期純利益2,000,000円-法人税等500,000円=当期純利益1,500,000円

  • 貸借対照表の繰越利益剰余金の金額:4,361,750円+1,500,000円=5,861,750円

 次に、「売上総利益」を考えてみましょう。売上総利益は売上から売上原価を差し引いて計算しますが、1.売上原価の算定および商品の期末評価の棚卸減耗損と商品評価損を売上原価に算入するところがポイントです。

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高+棚卸減耗損+商品評価損=3,700,000円+33,000,000円-4,000,000円+150,000円+240,000円=33,090,000円

売上総利益=売上-売上原価=42,000,000円-33,090,000円=8,910,000円

 残りの「営業利益」「経常利益」については、自分で損益計算書を作って計算しなければいけないので難度が高く、時間をかけてがんばって解いたとしても配点は2点~4点ぐらいです。

 よって、解答時間に余裕が無い場合は思いきって捨てても良いと思います。本試験はトータルで70点以上取れれば合格なので、他の取りやすいところに時間をさいてください。

損益計算書
売上
売上原価
売上総利益
給料
通信費
支払地代
貸倒引当金繰入
減価償却費
退職給付費用
営業利益
受取利息
支払利息
有価証券売却損
経常利益
固定資産売却益
火災損失
税引前当期純利益
法人税等
当期純利益
42,000,000
▲33,090,000
8,910,000
▲1,920,000
▲369,750
▲720,000
▲14,000
▲1,387,500
▲300,000
4,198,750
1,250
▲270,000
▲360,000
3,570,000
430,000
▲2,000,000
2,000,000
▲500,000
1,500,000


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