第138回・日商簿記検定3級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 今回も仕訳!過去問対策をやっていれば20点満点が狙える問題です!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。受験生アンケートでは「やや難しかった」という回答が一番多かったですが、簿記検定ナビで無料配布している仕訳問題対策できちんと過去問対策していれば、短い解答時間で20点満点を取れる問題だったと思います。

問1 有価証券の購入

 有価証券の購入に関する問題です。短期的に売買する目的で株式や社債を購入した場合、取得原価に付随費用(取得に伴い発生した費用)を含めて資産計上します。

 ただ、本問は付随費用が発生していないので、購入代価1,970,000円(=2,000,000円×98.50円/100円)がそのまま取得原価になります。

 なお、商品売買取引以外で発生した債務については、未払金勘定を使って処理します。買掛金勘定を使わないように注意してください。

 本問は、付随費用がゼロ&当座取引との絡みもないので、過去に出題された「有価証券の購入に関する問題」の中でもかなり簡単な部類になります。絶対に点数を取らなければいけない問題です。

問2 固定資産の売却

 固定資産は期首に売却する場合と、期中(または期末)に売却する場合とで処理が異なるので、まず問題がどちらに該当するのか確認しましょう。


期首に固定資産を売却する場合

 当期の減価償却費はゼロなので、取得原価から期首備品減価償却累計額を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。

売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額

期中(または期末)に固定資産を売却する場合

 当期の減価償却の処理に関する指示が入るので、それに従って当期の減価償却費を(月割で)計算します。そのうえで、取得原価から期首備品減価償却累計額&当期の減価償却費を差し引いて売却時の帳簿価額を計算し、さらに売却価額との差額で売却損益を計算します。

売却時の帳簿価額=取得原価-期首備品減価償却累計額-当期の減価償却費


 本問は、問題文の「平成25年1月1日に20,000円で売却」「当店の決算日は12月31日」から期首に売却したことが分かるので、まずは期首備品減価償却累計額を計算しましょう。

 なお、平成22年度については12か月分ではなく4か月分(平成22年9月1日~平成22年12月31日)なので間違えないように気をつけてください。

  • 平成22年度:4か月(平成22年9月1日~平成22年12月31日)
  • 平成23年度:12か月(平成23年1月1日~平成23年12月31日)
  • 平成24年度:12か月(平成24年1月1日~平成24年12月31日)

150,000円÷60か月(5年)=2,500円/月

2,500円/月×28か月=70,000円

 期首備品減価償却累計額の金額を計算したら、取得原価からこれを差し引いて売却時の帳簿価額を計算します。

取得原価150,000円-期首備品減価償却累計額70,000円=売却時の帳簿価額80,000円

 最後に、売却時の帳簿価額と売却価額との差額で売却損益を計算します。

  • 売却時の帳簿価額=80,000円
  • 売却価額=20,000円
  • 差額=60,000円(帳簿価額>売却価額…売却損
解答仕訳
(借)備品減価償却累計額 70,000
(借)現金 20,000
(借)固定資産売却損 60,000
 (貸)備品 150,000

おまけ:記帳方法が直接法の場合の仕訳はどうなる?

 なお、本問を直接法で記帳していた場合、解答仕訳は以下のようになります。貸方の備品勘定の金額は、取得原価ではなく期首時点(=売却時)の帳簿価額になります。参考までにご確認ください。

参考:記帳方法が直接法の場合の解答仕訳
(借)現金 20,000
(借)固定資産売却損 60,000
 (貸)備品 80,000

問3 手形の割引き

 手形の割引きに関する問題です。手形は満期日に決済されますが、満期日前であっても銀行に手形を持参して一定の手数料(利息)を支払うことにより、手形を現金化することが出来ます。

 手形の割引日から満期日までの利息相当分は、手形売却損勘定で費用処理します。通常、利息の金額は問題文で与えられますが、本問のように自分で算定する必要がある場合は、問題の指示に従って日割計算(または月割計算)をしてください。

511,000円×3%×50日/365日=2,100円

 本問は、第130回の問5とほとんど同じ問題でしたので、過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題だったと思います。

問4 売上取引・手形取引

 売上取引・手形取引に関する問題です。この問題は【裏書手形に関する仕訳】【売掛金に関する仕訳】【発送費用に関する仕訳】に分けて考えると分かりやすいです。

裏書手形に関する仕訳

 問題文に「代金のうち150,000円は佐賀商店振出し、同店受取りの約束手形を裏書譲渡され」とありますが、他店振り出しの約束手形を裏書譲渡された場合、新たに手形代金を受け取る権利が発生するので受取手形勘定を増額します。

他店振り出しの約束手形を裏書譲渡されたときの仕訳…①
(借)受取手形 150,000
 (貸)売上 150,000

売掛金に関する仕訳

 残額の200,000円については売掛金勘定を増額するだけなので特に問題ないと思います。

残額200,000円を掛けで処理する仕訳…②
(借)売掛金 200,000
 (貸)売上 200,000

運賃に関する仕訳

 運賃を当店が負担する場合は、発送費勘定や支払運賃勘定、発送運賃勘定等で費用処理します。一方、運賃を得意先が負担する場合は、売掛金勘定または立替金勘定で処理します。

  • 運賃を 当店 が負担する場合…発送費勘定や支払運賃勘定、発送運賃勘定等で費用処理
  • 運賃を得意先が負担する場合…売掛金勘定または立替金勘定で処理

 本問は、問題文のなお書きに「運送会社に運賃12,000円を小切手で支払ったが、当店と長崎商店とで半額ずつ負担することになっており、長崎商店の負担分は売掛金で処理する」とあるので、当店負担分の6,000円は発送費勘定で費用処理し、長崎商店負担分の6,000円は売掛金勘定に含めて処理します。

運賃を半分ずつ負担する場合の仕訳…③
(借)発送費 6,000
(借)売掛金 6,000
 (貸)当座預金 12,000

 以上、①②③の仕訳をまとめると解答になります。このような問題は、各取引ごとに分けて考えると分かりやすいです。

問5 売上取引・商品券

 売上取引・商品券に関する問題です。

 まず、問題文の「代金のうち10,000円は他店発行の全国百貨店共通商品券で受け取り」から、新たに商品券の額面金額を受け取る権利が発生したことが分かるので、他店商品券勘定(資産)を増額します。

①他社発行の商品券を受け取ったときの仕訳
(借)他店商品券 10,000
 (貸)売上 10,000

 また、問題文の「残額は当店発行の商品券で受け取った」から、以前に発行した商品券の額面金額を支払う義務が消滅したことが分かるので、商品券勘定(負債)を減額します。

②当社発行の商品券を受け取ったときの仕訳
(借)商品券 2,000
 (貸)売上 2,000

 最後に①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。



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