第137回・日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 今回も仕訳問題。創立費の処理と端数利息の計算がポイントです!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。問4の創立費の処理と、問5の端数利息の計算が少し難しかったかもしれませんが、残りの3問は典型的な過去問類似問題でした。

 受験生アンケートで、半数以上の方が「普通ぐらいだった」と回答されたのが少し意外でしたが、きちんと過去問対策をしていれば最低でも4問(16点)は取れたと思います。

 日商簿記検定2級の仕訳問題は過去問対策が非常に有効です。簿記検定ナビで無料配布している仕訳問題対策を有効活用して、なるべく早い時期から対策することをおすすめします。

問1 本支店会計

 本支店会計に関する問題です。本問は、本店集中計算制度による本店の仕訳を問う問題ですが、パッと解答仕訳を導き出せない方は本店だけでなく埼玉支店や横浜支店の仕訳も考えると分かりやすいです。

 まず、問題文の「埼玉支店が横浜支店の広告宣伝費86,000円を立替払いしたとの報告を受け」という一文から、横浜支店において広告宣伝費86,000円が発生し、埼玉支店の現金(説明の便宜上、現金で支払ったと仮定します)が86,000円減少したことが分かります。

横浜支店(参考)
(借)広告宣伝費 86,000
埼玉支店(参考)
 (貸)現金 86,000

 また、本問は本店集中計算制度を採用しているので、「横浜支店は本店に広告宣伝費86,000円を払ってもらった→本店は横浜支店に対して同額の債権が発生した」と考えるとともに、「埼玉支店は本店の広告宣伝費86,000円を立て替え払いした→本店は埼玉支店に対して同額の債務が発生した」と考えます。

横浜支店(参考)
(借)広告宣伝費 86,000
 (貸)本店 86,000
埼玉支店(参考)
(借)本店 86,000
 (貸)現金 86,000
本店(解答)
(借)横浜支店 86,000
 (貸)埼玉支店 86,000
  • 横浜支店の貸方の本店勘定 ←対応→ 本店の借方の横浜支店勘定
  • 埼玉支店の借方の本店勘定 ←対応→ 本店の貸方の埼玉支店勘定

 本支店会計の仕訳問題は、本問や第116回の問3のように本店の仕訳を問う問題と、第126回の問5のように支店の仕訳を問う問題の2パターンが考えられます。あわせて押さえておいてください。

問2 特殊商品売買(試用販売)

 特殊商品売買(試用販売)に関する問題です。本問はまず、問題文に「試送した商品の原価を試用品勘定を用いて処理しており」とあるので、得意先に商品を試送したときに、原価の1,000,000円(=20個×@50,000円)を仕入勘定から試用品勘定に振り替えていることが分かります。

 なお、試用販売は、得意先から買い取りの意思表示があったときに売上を計上します。得意先に商品を試送したときではないので注意してください。

【参考】試送時に切った仕訳
(借)試用品 1,000,000
 (貸)仕入 1,000,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで、買い取りの意思表示があった15個の仕訳を考えていきましょう。問題文に「売上計上のつど売上原価を試用品勘定から仕入勘定に振り戻している」とあるので、900,000円(=15個×@60,000円)の売上を計上するとともに、売上原価の750,000円(=15個×@50,000円)を試用品勘定から仕入勘定に振り替えます。

(借)売掛金 900,000
 (貸)試用品売上 900,000
(借)仕入 750,000
 (貸)試用品 750,000

 なお、残りの5個については現時点で買取りの意思表示がされていない(返品もされていない)ので、仕訳を切る必要はありません。本問は第106回の問1とほとんど同じ問題です。

問3 固定資産の改良と修繕

 固定資産の改良と修繕に関する問題です。改良と修繕に関しては、①修繕のみを問われる問題と②改良と修繕の両方を問われる問題の2つに分けることが出来ますが、本問は①のケースに該当します。

 本問はとても簡単で、修繕費総額180,000円のうち150,000円に関しては修繕引当金を取り崩し、残りの30,000円に関しては修繕費を計上して処理するだけです。

 なお、本問は第123回の問5とほとんど同じ問題です。

問4 設立時の新株発行

 設立時の新株発行に関する問題です。本問のように「この株式に対する払込金額のうち、会社法の定める最低限の金額を資本金に組み入れた」という指示がある場合は、払込金額総額から資本金組み入れの最低額(=払込金額の二分の一)を差し引いた額を資本準備金として処理します。

 実際に計算する場合は、払込金額総額150,000,000円(=2,500株×60,000円/株)を2で割って、それぞれを資本金勘定・資本準備金勘定で処理するだけです。

 また、創立費とは設立登記までに要した費用をいい、発起人への報酬や定款作成にかかる諸費用だけでなく、設立時の新株発行にかかる諸費用も含みます。株式交付費で処理しないように気をつけてください。

  • 設立時の新株発行にかかる諸費用…創立費勘定で処理する
  • 増資時の新株発行にかかる諸費用…株式交付費勘定で処理する

 本問は、問題文に「設立に伴う登記費用等360,000円と株式発行に伴う諸費用1,700,000円」とあるので、合計額の2,060,000円を創立費勘定で処理します。

 なお、解答仕訳の借方と貸方の当座預金は、別の取引(「株式の払込み」と「創立費の支払い」)で発生したものなので、貸借の金額を相殺して表示することはできません。あわせてご確認ください。

問5 有価証券の売却

 有価証券の売却に関する問題です。本問は「有価証券利息を受け取った仕訳」と「売買目的有価証券を売却した仕訳」を分けて考えることをおすすめします。

 まず「有価証券利息を受け取った仕訳」を考えてみましょう。問題文に「端数利息の計算期間は、前回の利払い日の翌日から売却前日までの期間としている」とあるので、前回の利払日の翌日から売却日までの140日分(=31日+30日+31日+31日+17日)の有価証券利息を計上します。

 なお、売却代金と端数利息はまだ受け取っていないので、未収金勘定で処理します。うっかり当座預金勘定で処理しないように気をつけてください。

5,000,000円×1.46%×140日/365日=28,000円

解答①
(借)未収金 28,000
 (貸)有価証券利息 28,000

 次に「売買目的有価証券を売却した仕訳」を考えますが、こちらは簡単なので特に問題はないと思います。有価証券の売却損益は、帳簿価額と売却価額の差額で求めます。

  • 有価証券の帳簿価額=5,000,000円×98.60円/100円=4,930,000円
  • 有価証券の売却価額=5,000,000円×97.80円/100円=4,890,000円
  • 差額=40,000円(帳簿価額>売却価額…売却損
解答②
(借)未収金 4,890,000
(借)有価証券売却損 40,000
 (貸)売買目的有価証券 4,930,000

 最後に①と②の仕訳をまとめて解答用紙に記入すれば完了です。



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