第136回・日商簿記検定2級 第1問(仕訳問題)の過去問分析

第1問 最低でも4問は取りたい仕訳問題。仕訳は過去問対策が必須です!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳問題】でした。問3の研究開発費は約10年ぶりの出題でしたし、問4の手形の更改で決算整理仕訳まで問われるなど、いつもと少し毛色が違う問題が出題されましたが、残りの3問は典型的な過去問類似問題でした。

 受験生アンケートでは、約6割の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しており、きちんと過去問対策をしていれば20点満点が狙える問題だったと思います。

問1 固定資産の買替え

 固定資産の買換えに関する問題です。本問は「期首売却」なので期中の減価償却を考慮する必要もなく、また記帳方法もおなじみの「間接法」だったので簡単に解けたと思います。

 仕訳を考えるさいは「旧車両の売却に関する仕訳」「新車両の購入に関する仕訳」を分けて考えると分かりやすいです。

旧車両の売却に関する仕訳

 まず、旧車両の売却損益を算定するために買換時の旧車両の帳簿価額を算定します。取得原価2,000,000円から減価償却累計額1,800,000円を差し引くだけなので簡単です。

 買換時の車両の帳簿価額が判明したら、下取り価額300,000円との差額100,000円を固定資産売却益として処理します。

  • 買替時の帳簿価額=2,000,000-1,800,000円=200,000円
  • 下取り価額=300,000円
  • 差額=100,000円(帳簿価額<下取価額…売却益
旧車両の売却に関する仕訳…①
(借)車両減価償却累計額 1,800,000
(借)車両 2,000,000
 (貸)未収金 300,000
 (貸)固定資産売却益 100,000

新車両の購入に関する仕訳

 次に、新車両を購入に関する仕訳を考えます。車両代金2,500,000円のうち300,000円については旧車両の下取り300,000円を充当し、残額の2,200,000円については未払金勘定で処理します。

新車両の購入に関する仕訳…②
(借)車両 2,500,000
 (貸)未収金 300,000
 (貸)未払金 2,200,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。なお、借方の車両2,500,000円(新車両)と貸方の車両2,000,000円(旧車両)はそれぞれ別の車両なので相殺しない点に気をつけてください(未収金は相殺します)。

問2 法人税

 法人税等に関する問題です。本問に限らず、日商簿記検定2級の第1問で出題される法人税等に関する仕訳問題は、必ず中間納付が絡んでくるので、先に中間納付時の仕訳を書き出してから解答すべき仕訳を考えましょう。

中間納付時の仕訳(参考)
(借)仮払法人税等 1,550,000
 (貸)現金 1,550,000

 上記の中間納付時の仕訳を考慮したうえで、解答すべき仕訳を考えます。具体的には、借方に計上されている仮払法人税等勘定を貸方に計上して相殺消去し、確定した法人税等の額(問題文で与えられます)を法人税等勘定を使って借方に計上し、貸借差額を未払法人税等勘定で処理します。

解答仕訳
(借)法人税等 3,700,000
 (貸)仮払法人税等 1,550,000
 (貸)未払法人税等 2,150,000

 なお、資格の大原の解答速報では、未払法人税等の代わりに未払金でも正解となっています(TACやネットスクールの解答速報には別解の記載なし)。

問3 研究開発費

 研究開発費に関する問題です。研究開発に関するコストはすべて発生時に研究開発費勘定で費用処理するだけです。「人件費」「材料」「実験装置」等の言葉に惑わされないように気をつけましょう。

問4 手形の更改

 手形の更改に関する問題です。本問は手形の交換だけでなく、決算整理仕訳まで問う珍しい問題ですが、「手形の交換に関する仕訳」と「利息に関する決算整理仕訳」を分けて考えると分かりやすいです。

手形の交換に関する仕訳

 まず旧手形の減少(→受取手形勘定の減少)と新手形の増加(受取手形勘定の増加)を認識しますが、問題文に「延長3か月分の利息120,000円を含めた新たな約束手形を受け取っていた」とあるので、新手形は利息を含めて処理します。

手形の交換に関する仕訳…①
(借)受取手形 3,120,000
 (貸)受取手形 3,000,000
 (貸)受取利息 120,000

 なお、問題によっては利息を手形に含めずに現金等で受け取ることもあります。参考までに押さえておいてください。

利息を手形に含めない場合の仕訳(参考)
(借)受取手形 3,000,000
 (貸)受取手形 3,000,000
(借)現金など 120,000
 (貸)受取利息 120,000

利息に関する決算整理仕訳

 次に利息に関する決算整理仕訳を考えます。本問は、決算の1か月前に3か月分の利息を受け取っているので、2か月分の利息を前受け処理します。

受け取った利息120,000円÷3か月=40,000円/月

40,000円/月×2か月=80,000円

利息に関する決算整理仕訳…②
(借)受取利息 80,000
 (貸)前受利息 80,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。なお、受取利息に関しては「借方に80,000、貸方に120,000」と両建てで書いてもいいですし、貸借の金額をまとめて「貸方に40,000」と書いても正解です。

問5 増資時の新株発行

 株式申込証拠金に関する問題です。株式の発行にあたり、株式引受人から銀行口座に申込証拠金の払い込みを受けた際には、当座預金勘定ではなく別段預金勘定で処理します。

 別段預金で処理する理由は…株式申込証拠金というのは、払込期日までは株式引受人から一時的に預かっている状態(=まだ他人のお金)に過ぎず、自由に使える当座預金勘定とは明確に区別する必要があるからです。

 なお、本問は問題文に列挙されている勘定科目の中に株式申込証拠金勘定がなく、代わりに許容勘定である新株式申込証拠金勘定があるので、新株式申込証拠金勘定で処理する点に気をつけてください。

【参考】既に切られている仕訳
(借)別段預金 25,000,000
 (貸)新株式申込証拠金 25,000,000

 上記の仕訳を踏まえたうえで払込期日が到来したら、新株式申込証拠金と別段預金勘定をそれぞれ適当な勘定科目に振り替えます。

別段預金を当座預金に振り替える仕訳…①
(借)当座預金 25,000,000
 (貸)別段預金 25,000,000
新株式申込証拠金を資本金・資本準備金に振り替える仕訳…②
(借)新株式申込証拠金 25,000,000
 (貸)資本金 12,500,000
 (貸)資本準備金 12,500,000

 以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。

 なお、会社法の規定では払込金額の半分を資本金勘定で処理し、残り半分を資本準備金勘定で処理することが認められています。本問も問題文に「資本金への振替えは、会社法で認められている最低額を計上することとした」という指示があるので、その指示に従って処理します。

  • 会社法・445条2項…前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
  • 会社法・445条3項…前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。

最低組み入れ額の規定は「できる」規定なので、必ずしも二分の一が強制されるわけではありません。あくまでも問題に指示がある場合にのみ適用されます。



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