第135回・日商簿記検定2級 第3問(精算表作成問題)の過去問分析

第3問 商品評価損や社債発行費の計算がやや難しい精算表作成問題!

第3問の難度アンケート結果

 第3問はスタンダードな【精算表作成問題】でした。質・量ともに普通レベルの問題ですが、商品評価損や有価証券利息、社債発行費の計算などに手間取って苦戦した受験生が多かったようです。アンケートでも半分近くの方が「やや難しかった」と回答しています。

 決算整理事項等の処理に関しては、「下書き用紙に仕訳を書きだした上で答案用紙の修正記入欄を埋めていく」方法と「頭の中で仕訳を考えて答案用紙の修正記入欄に直接、記入する」方法の2つがありますが、後者は(解答時間の短縮になりますが)難度が高いので、まずは前者のほうで正確に処理できるようにしましょう。

決算整理事項等

1.
(借)現金 10,000
 (貸)受取配当金 10,000
2.(1)
仕訳なし
2.(2)
(借)当座預金 450,000
 (貸)未払金 450,000
2.(3)
(借)当座預金 300,000
 (貸)受取手形 300,000
3.
(借)貸倒引当金繰入 21,000
 (貸)貸倒引当金 21,000
4.
(借)仕入 1,960,000
 (貸)繰越商品 1,960,000
(借)繰越商品 2,200,000
 (貸)仕入 2,200,000
(借)棚卸減耗損 100,000
(借)商品評価損 126,000
 (貸)繰越商品 226,000
5.①
(借)売買目的有価証券 21,500
 (貸)有価証券評価益 21,500
5.②
(借)未収有価証券利息 4,000
 (貸)有価証券利息 4,000
6.
(借)減価償却費 453,600
 (貸)建物減価償却累計額 300,000
 (貸)備品減価償却累計額 153,600
7.
(借)社債利息 12,000
 (貸)社債 12,000
(借)社債発行費償却 24,000
 (貸)社債発行費 24,000
(借)社債利息 25,000
 (貸)未払社債利息 25,000
8.
(借)前払保険料 180,000
 (貸)支払保険料 180,000

 1.の配当金領収証は通貨代用証券なので、簿記上は現金として取り扱います。

 2.(1)の未取立小切手は不一致の原因が相手側にあるので、当社側で調整する必要はありません。よって「仕訳なし」になります。

 2.(2)の未渡小切手は不一致の原因が当社側にあるので、当社側で調整する必要があります。受験簿記の未渡小切手は「買掛金返済のために振り出した小切手の未渡しの場合」と、「それ以外のケースで振り出した小切手の未渡しの場合」の2つが問われるので、違いをきちんと押さえておいてください。

買掛金返済のために振り出した小切手の未渡しの場合
(借)当座預金 *****
 (貸)買掛金 *****
それ以外のケースで振り出した小切手の未渡しの場合(本問)
(借)当座預金 *****
 (貸)未払金 *****

 2.(3)の未記帳は不一致の原因が当社側にあるので、当社側で調整する必要があります。仕訳の内容自体は簡単なので特に問題ないと思います。

 3.の貸倒引当金の繰入は、2.(3)の受取手形の減少を考慮して計算する必要があるので気をつけてください。

 4.の期末商品ですが、売上原価の算定に関しては「仕入・繰商・繰商・仕入(しーくりくりしー)」という仕訳を切るだけなので特に問題ないと思いますが、商品評価損の算定が少し難しかったと思います。

 私が問題を解いた際には、まず帳簿棚卸高2,200,000円(=1,100個×@2,000円)と実地棚卸高1,974,000円(=900個×@1,920円+150個×@1,640円)を算定し、両者の差額226,000円(=2,200,000円-1,974,000円)を把握しました。

 次に棚卸減耗損を(1,100個-1,050個)×@2,000円=100,000円と計算して、上記の差額226,000円から棚卸減耗損100,000円を差し引いて商品評価損126,000円(=226,000円-100,000円)を算定しました。

 なお、図を書いて求める方法もあるので、参考まで載せておきます。

変形商品BOX図
変形商品BOX図

 5.の売買目的有価証券の評価替えに関しては特に問題ないと思います。帳簿価額の総額と時価総額を比較して評価損益を計上するだけです。

 有価証券利息は、購入日の4月1日から9月30日までの半年分4,000円(=500,000円×1.6%×6か月/12か月)については既に受け取っているものの、10月1日から決算日の3月31日までの半年分4,000円についてはまだ受け取っていないので、未収有価証券利息勘定を使って収益を計上します。

 6.の減価償却は普通に計算するだけなので特に問題ないと思います。

 7.の社債については【評価替えの仕訳】【社債利息の未払い処理の仕訳】【社債発行費の償却の仕訳】の3つの仕訳が問われているので少し難しかったと思います。

 まず【評価替えの仕訳】については、問題の資料から社債の発行価額が5,940,000(=6,000,000円×99円/100円)ということが分かり、額面総額6,000,000円との差額60,000円を償還期間5年で按分するので、1年あたりの調整額は12,000円(=60,000円÷5年)になります。

 次に【社債利息の未払い処理の仕訳】については、利払日の翌日の11月1日から決算日の3月31日までの5か月分・25,000円(=6,000,000円×1%×5か月/12か月)が未払いの状態なので、未払社債利息勘定を使って費用を計上します。

 【社債発行費の償却の仕訳】については、問題文に「社債発行費は発行時に計上したもので、社債の償還期間にわたって月割償却を行っている」とあるので、答案用紙の社債発行費108,000円は、前期の10月1日から前期末の3月31日までの半年分を既に償却した金額であることに気をつけてください。

 つまり、残りの償還期間54か月(=60か月-6か月)で、108,000円を償却することになるので、1か月あたりの償却額は2,000円(=108,000円÷54か月)となり、決算において12か月分の24,000円を償却します。

 8.の保険料の前払いはほぼ毎回出題される頻出論点なので、ここで考え方・処理方法を改めて確認しておきたいと思います。まずは前期末の仕訳を考えてみましょう。

前期末の(保険料の前払いの)仕訳
(借)前払保険料 3か月分の保険料
 (貸)保険料 3か月分の保険料

 問題文に「毎年同額を7月1日に1年分前払いしている」とあるので、前期末に「当期の4月1日から6月末までの3か月分の保険料」を前払保険料勘定を使って前払い処理したことが分かります。

 なお、この時点では3か月分の保険料の具体的な金額が分からないので、仕訳の金額部分は暫定的に「3か月分の保険料」としています。

 それでは次に、上記の仕訳を参考にして当期首の再振替仕訳を考えます。

【4月1日】再振替仕訳
(借)保険料 3か月分の保険料
 (貸)前払保険料 3か月分の保険料

 当期首の再振替仕訳については、前期末の仕訳の逆仕訳をするだけなので特に問題ないと思います。では次に、7月1日(保険料支払日)の仕訳を考えてみましょう。

【7月1日】1年分の保険料を支払った時の仕訳
(借)保険料 12か月分の保険料
 (貸)現金など 12か月分の保険料

 この結果、答案用紙の試算表に記載されている保険料900,000円というのは、3か月分の保険料+12か月分の保険料=15か月分の保険料の金額ということになるので、この900,000円を15か月で割ると、1か月あたりの保険料が60,000円であることが分かります。

 1か月あたりの保険料を算定することが出来たら、最後に当期末の費用の前払いの仕訳を考えますが、この仕訳の金額については今までのように「~か月分の保険料」という形ではなくて、1か月あたりの保険料を元に正しい金額を記入します。

 具体的には、前期末と同様に3か月分の費用を前払い処理するので、1か月あたりの保険料60,000円×3か月=180,000円になります。

【解答】費用の前払いの仕訳
(借)前払保険料 180,000
 (貸)保険料 180,000

 この費用の前払いの仕訳を切ることによって、答案用紙の精算表において15か月分計上されていた「保険料」勘定が12か月分に訂正され、その結果、正しい金額720,000円(=1か月あたりの保険料60,000円×12か月)が損益計算書に記入されます。



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