日商簿記検定3級 第134回総評(過去問分析)

第1問 普通レベルの仕訳問題!ただ、問1・問2・問3が少し難しいかも。

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。問2の得意先負担の発送運賃の処理や問3の得意先振出小切手の預入れ等、少しややこしい問題もありましたが、全体的には普通レベルの問題だったので、簿記検定ナビの仕訳問題対策で過去問対策をきちんとやっていれば、最低でも5問中4問(20点中16点)は正解できる問題だったと思います。


 問1固定資産の売却・未収金に関する問題です。本問は取得年度(平成19年度)と売却年度(平成24年度)の減価償却費の計算に気をつける点と、売却代金300,000円は、商品売買以外の取引で発生した債権なので、売掛金勘定ではなく未収金勘定で処理する点の2点がポイントになります。

 問2売上取引・前受金・手形取引に関する問題です。通常、得意先負担の発送運賃は売掛金勘定または立替金勘定で処理しますが、問題文に列挙されている勘定科目に立替金勘定がないので、売掛金勘定で処理すると判断して仕訳を切ります。

  • 発送費用を得意先が負担する場合…売掛金勘定または立替金勘定で処理
  • 発送費用を 当店 が負担する場合…発送費勘定や支払運賃勘定、発送運賃勘定等で費用処理

 問3当座取引に関する問題です。得意先振出小切手は受取時に現金の増加として処理しているので、これを当座預金に預け入れる場合は現金の減少として処理します。

 また、本問は問題文に列挙されている勘定科目に当座勘定がないので、二勘定制(当座預金勘定と当座借越勘定を使って当座取引を処理する方法)を採用していると判断して仕訳を切ります。

 問4普通預金に関する問題です。通信費勘定と普通預金勘定を使って普通に仕訳を切るだけなので特に解説する部分はありませんが、普通預金勘定ではなく当座預金勘定を使って処理してしまった方は、解答時に勘定科目のチェック作業を怠らないように気をつけてください。

 問5訂正仕訳に関する問題です。訂正仕訳に関しては、第1問だけでなく第2問以降で問われた場合でも、以下の流れで機械的に処理することが出来るので必ず覚えてください。

  1. 間違って切ってしまった仕訳を書きだす
  2. 1.の逆仕訳を書きだす
  3. 正しい仕訳を書きだす
  4. 2.と3.の仕訳をまとめる

 なお、各問の詳細な解説に関しては、仕訳問題対策のほうで個別にまとめましたので、必要に応じてご覧いただければと思います(仕訳問題対策に掲載しているのは過去問類題なので、過去問の解答仕訳とは異なる点に留意してください)。


 最後に、仕訳問題の解答手順をもう一度確認しておいてください。

 最近の試験では…第124回の2級で現金預金勘定を使う仕訳問題が出題されましたが、勘定科目のチェックを怠ってしまった受験生は、現金勘定や当座預金勘定を使って解答してしまい、それだけでマイナス12点になってしまったので、練習時から「勘定科目のチェック」を忘れないように気をつけてください。

  1. 解答用紙に仕訳を書く(問題文に列挙されている勘定科目のうち、解答に使用するものには打ち消し線を入れる)
  2. 問5まで全て解き終えたら、勘定科目の再チェックをする(今度は斜線ではなく丸で囲む)
  3. 打ち消し線と丸囲みが一致しているか最終チェックをする

第2問 帳簿組織の商品有高帳に関する問題!第120回の問題とほとんど同じ!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は大方の予想通り【帳簿組織】に関する問題でした。問題文で与えられている資料から商品有高帳を作成する問題ですが、第120回の第2問とほとんど同じ問題だったので、過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 アンケートでも多くの受験生が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しており、合格するためにこういう問題をきっちり取る必要があります。

解答手順について

 本問はまず、移動平均法を採用している場合の商品有高帳を作成します。特にひっかけがあるわけではないので、そのまま答案用紙に記入していきましょう。

 次に、先入先出法を採用している場合の当月売上総利益と次月繰越高を算定しますが、わざわざ商品有高帳を作成する必要はありません。以下の様な「商品Aの商品BOX」を書いて、当月売上総利益と次月繰越高を算定します。

第2問・帳簿組織の下書き1
第2問・帳簿組織の下書き1

 月初商品棚卸高と当期商品仕入高と当月売上高については、問題の[商品Aに関する資料]から引っ張ってくるだけなので特に問題ないと思います。

 一方、月末商品棚卸高についてですが、先入先出法は先に仕入れたものから順番に払い出していくと仮定して払出単価を決定する方法なので、手元に残っている月末商品棚卸高80個は後から仕入れた商品(27日仕入分の50個と、14日仕入分の30個)で構成されることになります。

 あとは、商品BOXの貸借差額で売上原価を算定し、最後に「売上高-売上原価=売上総利益」を計算するだけです。

第2問・帳簿組織の下書き2
第2問・帳簿組織の下書き2

 ちなみに…上級者は商品BOXすら書かずに、問題の[商品Aに関する資料]だけで当月売上総利益と次月繰越高を算定します。余裕がある方は挑戦してみてください。

第3問 予想通り試算表作成問題。明細表作成のために下書きを工夫しましょう!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は予想通り【試算表作成問題】でした。平成25年5月25日現在の合計試算表に、平成25年5月26日から31日までの諸取引を反映させて、平成25年5月末の合計残高試算表と売掛金および買掛金の明細表を作成する問題でした。

 本問は、資料(B)が少し分かりづらい形になっていたものの、試算表作成問題でお馴染みの「二重仕訳」もなく、質・量ともに過去問レベルの普通の問題でしたので、きちんと過去問対策していれば満点が狙える問題だったと思います。

 事実、アンケートでも多くの方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答されています。

解答方法について

 試算表作成問題の解答方法については、下書き用紙に全取引の仕訳を書きだした上で集計する方法と、頻出勘定(仕訳によく出てくる勘定)についてT勘定を設定し、その他の勘定については問題文で与えられている合計試算表の両端の余白に書き込んだり、解答用紙に直接書き込んでいく方法の2つがあります。

 第130回・第133回試験の試算表作成問題のように、月中取引の資料が勘定科目別・帳簿別で与えられている場合は、二重仕訳を考慮する必要があるので、前者の方法で解くことをおすすめします。

 一方、第132回試験や本問のように月中取引の資料が日付別(時系列)で与えられている場合は、二重仕訳を考慮する必要はないので、後者の方法で解くことをおすすめします。

T勘定を設定すべき勘定について

 3級の試算表作成問題をT勘定を使って解く場合は、現金・当座預金・売掛金・買掛金・受取手形・支払手形・仕入・売上勘定の8つについては必ずT勘定を作ってください。

 その他の勘定については臨機応変に対応することになりますが、基本的には「その他」という勘定を作ってそこにどんどん書き込んでいくことをおすすめします。

  • 設定するT勘定:現金勘定、当座預金勘定、売掛金勘定、買掛金勘定、受取手形勘定、支払手形勘定、仕入勘定、売上勘定、その他勘定

具体的な解答手順について

 まず下書き用紙にT勘定を設定し、資料(A)で与えられている合計試算表の数字をT勘定に反映させた後、資料(B)の平成25年5月26日から31日までの取引の仕訳を頭の中で考えて、T勘定を設定している勘定については各T勘定に、設定していないものについては「その他」勘定に勘定科目と金額を埋めていきます。

 なお、本問は売掛金明細表と買掛金明細表も作成する必要があるので、売掛金勘定と買掛金勘定については金額のみを書き込むのではなく、各金額の頭に商店名の頭文字(神奈川商店→か、埼玉商店→さ、千葉商店→ち、茨城商店→い)を書いておくと、後の集計が楽になります。

 資料(B)の取引を全て処理し終えたら、下書き用紙のT勘定を締め切り、各勘定の残高を算定したうえで答案用紙に移記します。なお、「その他」勘定については締め切る必要はないので、ひとつずつ答案用紙に移記してください。

 なお、本問は合計残高試算表を作成する問題なので、T勘定を締め切る際になんとなく残高を計算するのではなく締め切り方をひと工夫すると次のステップの集計が楽になります。


 下の画像は、管理人が問題を解く際に実際に書いた下書き用紙です。T勘定を使った解き方がよく分からない方は参考にしてください。最初は解答を見ながら下書きの練習をすると良いと思います。

第3問・試算表作成問題の下書き
第3問・試算表作成問題の下書き

第4問 伝票会計からの出題。とっても簡単です。

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【伝票会計】に関する問題でした。本問は、取引全体の仕訳を書きだした上で5伝票制の各伝票の空欄を埋める簡単な問題で、アンケートでも90%近くの方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答されています。

5伝票制のポイントまとめ

 5伝票制は入金に関する取引は入金伝票で、出金伝票に関する取引は出金伝票で、売上に関する取引を売上伝票で、仕入に関する取引を仕入伝票で、これら以外に関する取引を振替伝票で処理する方法です。5つの伝票を使うので「5伝票制」と呼ばれています。

 5伝票制は仕入取引・売上取引に関してはいったん全額を掛け仕入・掛け売上したとみなして処理するのがポイントになります。この論点は本試験でもよく問われるので、きちんと押さえておいてください。

(1)仕入取引の処理

 それでは、上記のポイントを押さえたところで実際に問題を解いてみましょう。まずは、取引全体の仕訳を書きだしますが、簡単な仕訳なので特に問題ないと思います。

解答のベースとなる(1)となる仕訳
(借)仕入 27,000
 (貸)現金 10,000
 (貸)買掛金 17,000

 (1)は仕入取引なので、いったん全額を掛け仕入したとみなして処理(仕入伝票を起票)しますが、実際には現金10,000円を支払っているので、買掛金を返済するために現金を支払ったことにして別途、出金伝票を起票します。

★仕入伝票
(借)仕入 27,000
 (貸)買掛金 27,000
★出金伝票
(借)買掛金 10,000
 (貸)現金 10,000

(2)売上取引の処理

 次に(2)の売上取引を考えてみましょう。(1)と同様、まずは取引全体の仕訳を書きだしますが、簡単な仕訳なので特に問題ないと思います。

解答のベースとなる(2)となる仕訳
(借)受取手形 33,000
(借)現金 7,000
 (貸)売上 40,000

 (2)は売上取引なので、いったん全額を掛け売上したとみなして処理(売上伝票を起票)しますが、実際には33,000円の約束手形と7,000円の現金を受け取っているので、売掛金を手形と現金で回収したことにして別途、振替伝票と入金伝票を起票します。

★売上伝票
(借)売掛金 40,000
 (貸)売上 40,000
★振替伝票
(借)受取手形 33,000
 (貸)売掛金 33,000
★入金伝票
(借)現金 7,000
 (貸)売掛金 7,000

 なお、伝票会計に関しては、下の画像2枚の内容を理解しているといろいろと応用が利くので、ぜひ参考にしてください。

伝票会計のまとめノート1
伝票会計のまとめノート1
伝票会計のまとめノート2
伝票会計のまとめノート2

第5問 簡単な精算表作成問題!「浮く牛食う」で満点を取りましょう!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は、簡単な【精算表作成問題】でした。アンケートでも多くの方が「かなり簡単だった」と回答しており、過去問対策をきちんとやっていれば満点(30点)近い点数を取ることが出来たと思います。

 解答手順としては、資料Ⅰ・Ⅱの全取引の仕訳を下書き用紙に書き出した上で、それらを集計して答案用紙の精算表の修正記入欄に記入し、損益計算書欄と貸借対照表欄を完成させるのが一番良いと思います。

 なお、仕訳を頭の中で考えて、そのまま解答用紙の精算表の修正記入欄に書きこんでいくという上級テクニックもありますが、3級受験時にマスターするのはかなり大変なので、無理に挑戦する必要はありません。まずはひとつひとつの取引を確実に処理することを最優先にして取り組んでください。

資料Ⅰ

(借)貸倒引当金 7,000
 (貸)売掛金 7,000

資料Ⅱ

1.
(借)売上原価 293,000
 (貸)繰越商品 293,000
(借)売上原価 2,823,000
 (貸)仕入 2,823,000
(借)繰越商品 270,000
 (貸)売上原価 270,000
2.
(借)貸倒引当金繰入 20,100
 (貸)貸倒引当金 20,100
3.
(借)有価証券評価損 12,000
 (貸)売買目的有価証券 12,000
4.
(借)減価償却費 225,000
 (貸)建物減価償却累計額 75,000
 (貸)備品減価償却累計額 150,000
5.
(借)消耗品 5,000
 (貸)消耗品費 5,000
6.
(借)未収手数料 12,000
 (貸)受取手数料 12,000
7.
(借)前払保険料 86,000
 (貸)支払保険料 86,000
8.
(借)支払利息 18,000
 (貸)未払利息 18,000

 (1)の売上原価の算定については、問題文に「売上原価は「売上原価」の行で計算すること」という指示があるので、いつもの「しーくりくりしー」ではなく、簿記の語呂「浮く牛食う(うくうしくう)」の仕訳を切ります。

売上原価を「売上原価」の行で計算する場合の仕訳
(借)売上原価 期首商品棚卸高
 (貸)繰越商品 期首商品棚卸高
(借)売上原価 当期商品仕入高
 (貸)仕入 当期商品仕入高
(借)繰越商品 期末商品棚卸高
 (貸)売上原価 期末商品棚卸高

 なお、本問の場合、期首商品棚卸高には答案用紙の残高試算表の繰越商品勘定の金額293,000円が、当期商品仕入高には答案用紙の残高試算表の仕入勘定の金額2,823,000円が、期末商品棚卸高には資料Ⅱ(1)の金額270,000円が入ります。

 (2)の貸倒引当金の計算は、資料Ⅰの売上債権の貸倒れを考慮して計算するだけです。(3)の売買目的有価証券の時価評価も、時価と簿価の差額を評価損益で処理するだけなので特に問題ないと思います。

 (4)の減価償却については特に問題ないと思いますが、「建物の残存価額→取得原価の10%」「備品の残存価額→ゼロ」に気をつけてください。

 (5)の消耗品については、答案用紙の残高試算表欄の「消耗品費 67,000」から、決算期末に未使用分を消耗品勘定に振り替える(購入時に費用処理する)方法を採用していることが分かるので、5,000円を消耗品費勘定から消耗品勘定に振り替えます。

 (6)の手数料の未収処理については、未収分を未収手数料勘定で処理するだけです。

 (7)の保険料ついては、答案用紙の残高試算表欄に計上されている支払保険料129,000円が9月1日に支払った向こう1年分になるので、前払いした8か月分(翌期の1月1日から8月31日まで)の86,000円(=129,000円÷8か月/12か月)を前払い処理します。

 (8)の利息の未払処理については、未払分を未払利息勘定で処理するだけです。

まとめ

全体的な難度に関するアンケート結果

 今回の試験は第1問の仕訳が少し難しかったものの、第2問以降は過去問対策をきちんとやっていれば、まず間違いなく合格点を取れる問題だったと思います。全体的な難度に関するアンケートでも「やや難しかった」「かなり難しかった」と回答された方は1割弱でした。

 日商簿記検定3級については、「テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら過去問題集・予想問題集を購入して典型論点の問題をこなしておく」という王道的なスタイルできちんと勉強すれば、よっぽどのことがない限り短期&1発合格できるので、地道にコツコツ勉強してください。

 なお、過去問・予想問題を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように毎回工夫すること」の2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているか毎回チェックし、下書き用紙については捨てずに保管しておいて、常に比較できるようにしておいてください。



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