日商簿記検定3級 第133回総評(過去問分析)

第1問 今回も仕訳問題!前回同様に満点が狙える簡単な問題でした!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。5問とも過去問類似問題だったので、簿記検定ナビの仕訳問題対策で過去問対策をきちんとやっていれば十分、20点満点が狙える問題だったと思います。

 アンケートでも90%近くの方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。


 問1有価証券の購入と当座に関する問題です。本問は取得原価に付随費用を含める点と、当座取引の処理方法(一勘定制or二勘定制)の2点がポイントになりますが、過去に何度も出題されている形式の問題なので、きちんと過去問対策をやっていた方にはボーナス問題だったと思います。

 問2仕入取引・手形取引に関する問題です。本問は第122回の問3とほとんど同じ問題なので、問1同様、過去問対策をきちんとやっていた方にはボーナス問題だったと思います。

 問3資本の引き出しに関する問題です。資本の引き出しに関しては、「個人が負担すべきもの→資本金の減少」「会社が負担すべきもの→費用処理」という関係をきちんと押さえた上で、資本金の減少には「資本金勘定を使う方法」と「引出金勘定を使う方法」の2点があることを頭に入れておけば全ての問題に対応出来ます。

 なお、本問の場合、問題文で列挙されている勘定科目から「資本金勘定を使う方法」を採用していると判断して解答しますが、本試験ではもうひとつの「引出金勘定を使う方法」で問われることもあるので、必ず両方の仕訳を押さえておいてください。

 問4現金過不足に関する問題です。現金過不足に関しては以下の流れをきちんと押さえておいてください。本試験では2.と3.の仕訳を問われることが多いです。

  1. 期中に現金の過不足が判明した場合(帳簿残高≠実際有高)、とりあえず現金過不足勘定で一時的に処理する。
  2. 原因が特定できたものについてはその勘定科目に振り替える。
  3. 最終的に原因が特定できなかったものについては決算時に雑益または雑損に振り替える。

 なお、本問では2.の仕訳が問われていますが、2.の仕訳を考える場合は先に1.の仕訳を実際に書き出してみると分かりやすいです。

 問5損益の振り替えに関する問題です。本問や第125回の問4のように収益総額と費用総額の差額を、資本金勘定と損益勘定を使って導き出すだけの問題に関しては、以下のように仕訳を考えると分かりやすいと思います。

  • 収益総額>費用総額 → 儲かった → 資本が増加する → 資本金が増える → 貸方に資本金勘定 → 残った借方に損益勘定(本問)
  • 収益総額<費用総額 → 損した → 資本が減少する → 資本金が減る → 借方に資本金勘定 → 残った貸方に損益勘定(第125回の問4

 上記のように機械的に考えていくだけで解答仕訳を導き出せるので、過去問対策をきちんとやっていた方にはボーナス問題だったと思います。


 なお、各問の詳細な解説に関しては、仕訳問題対策のほうで個別にまとめましたので、必要に応じてご覧いただければと思います(仕訳問題対策に掲載しているのは過去問類題なので、過去問の解答仕訳とは異なる点に留意してください)。


 最後に、仕訳問題の解答手順をもう一度確認しておいてください。

 最近の試験では…第124回の2級で現金預金勘定を使う仕訳問題が出題されましたが、勘定科目のチェックを怠ってしまった受験生は、現金勘定や当座預金勘定を使って解答してしまい、それだけでマイナス12点になってしまったので、練習時から「勘定科目のチェック」を忘れないように気をつけてください。

  1. 解答用紙に仕訳を書く(問題文に列挙されている勘定科目のうち、解答に使用するものには打ち消し線を入れる)
  2. 問5まで全て解き終えたら、勘定科目の再チェックをする(今度は斜線ではなく丸で囲む)
  3. 打ち消し線と丸囲みが一致しているか最終チェックをする

第2問 勘定記入の問題!決算整理仕訳・決算振替仕訳は捨ててOKです!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は【勘定記入】に関する問題でした。本問は、多くの受験生が苦手とする勘定記入と決算処理(特に決算振替仕訳)を組み合わせた問題なので、完答するのはかなり大変だったと思います。事実、アンケートでも80%以上の方が「かなり難しかった」「やや難しかった」と回答されています。

 本問のように難しい問題に遭遇した場合は満点(12点)を取る必要はありません。とにかく取れるところだけ取って、さっさと次の問題に進んでください。

 本試験で一番怖いのは「ひとつの問題に嵌って時間を浪費すること」です。初見の問題や苦手な問題に遭遇すると、頭が真っ白になって「なんとかして解かなくちゃ!」と焦ってしまいますが、本試験はトータルで70点以上取れれば合格なので、取りやすいところから取るのが鉄則です。

 ちなみに、私が受験生だったら…決算整理仕訳・決算振替仕訳の部分は捨てて、月中仕訳部分だけを解答(これだけで6点ぐらい取れます)してさっさと先に進むと思います。配点の多い第1問・第3問・第5問にたっぷり時間を使います。

解答手順について

 本問はまず、問題で与えられている商品勘定・商品売買益勘定・損益勘定から分記法による仕訳を書き出した上で三分法による仕訳を導き出し、最後に解答用紙の繰越勘定・売上勘定・仕入勘定・損益勘定を完成させる…という流れになります。

1. 商品勘定・商品売買益勘定・損益勘定から分記法による仕訳を書きだす

 分記法による仕訳に関しては特に問題ないと思います。仕訳を書きだす際には問題用紙の日付部分に打ち消し線を引く等の工夫をすると、二重計上や計上漏れを防ぐことが出来るのでおすすめです。

分記法による仕訳

1月1日
仕訳なし
1月7日(仕入)
(借)商品 60,000
 (貸)買掛金 60,000
1月10日(売上)
(借)売掛金 100,000
 (貸)商品 80,000
 (貸)商品売買益 20,000
1月12日(仕入値引or戻し)
(借)買掛金 10,000
 (貸)商品 10,000
1月16日(売上戻り)
(借)商品 15,000
(借)商品売買益 5,000
 (貸)売掛金 20,000
1月18日(仕入)
(借)商品 90,000
 (貸)支払手形 90,000
1月20日(売上)
(借)現金 75,000
 (貸)商品 60,000
 (貸)商品売買益 15,000
1月25日(売上)
(借)受取手形 25,000
 (貸)商品 20,000
 (貸)商品売買益 5,000
1月31日(決算整理仕訳)
仕訳なし
1月31日(決算振替仕訳)
(借)商品売買益 35,000
 (貸)損益 35,000

 分記法による仕訳を書きだす際は、後に三分法による仕訳と対比しやすくするために左側半分に書きましょう。

第2問・勘定記入の下書き1
第2問・勘定記入の下書き1

2. 三分法による仕訳を導き出す

 1.で書きだした分記法による仕訳を元に三分法による仕訳を導き出します。月中仕訳は簡単なので特に問題ないと思いますが、決算整理仕訳・決算振替仕訳はちょっと難しいので、そこまで手が回らない方はバッサリ捨てていただいても構いません。

三分法による仕訳

1月1日
仕訳なし
1月7日(仕入)
(借)仕入 60,000
 (貸)買掛金 60,000
1月10日(売上)
(借)売掛金 100,000
 (貸)売上 100,000
1月12日(仕入値引or戻し)
(借)買掛金 10,000
 (貸)仕入 10,000
1月16日(売上戻り)
(借)売上 20,000
 (貸)売掛金 20,000
1月18日(仕入)
(借)仕入 90,000
 (貸)支払手形 90,000
1月20日(売上)
(借)現金 75,000
 (貸)売上 75,000
1月25日(売上)
(借)受取手形 25,000
 (貸)売上 25,000
1月31日(決算整理仕訳)
(借)仕入 50,000
 (貸)繰越商品 50,000
(借)繰越商品 45,000
 (貸)仕入 45,000
1月31日(決算振替仕訳)
(借)損益 145,000
 (貸)仕入 145,000
(借)売上 180,000
 (貸)損益 180,000
第2問・勘定記入の下書き2
第2問・勘定記入の下書き2

3. 解答用紙の繰越勘定・売上勘定・仕入勘定・損益勘定を完成させる

 最後に解答用紙の各勘定の空欄を埋めていきますが、こちらについても基本的なルールに従って埋めていくだけなので特にコメントすることはありません。P/L項目である売上勘定・仕入勘定の貸借差額については損益勘定に振り替えます。

第3問 予想通りの試算表作成問題。今回も下書きの書き方を徹底解説!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は予想通り【試算表作成問題】でした。問題文で与えられた前期末の貸借対照表の各残高に、平成25年1月中の取引を反映させて、1月31日における合計残高試算表を作成するというスタンダードな問題です。

 本問は、1月中の取引が時系列ではなく取引ごとにまとめられているので、一部取引が二重になっていることをきちんと読み取れたかどうかがポイントになります。


 それでは早速、具体的な問題の解き方を考えていきますが、個人的には「下書き用紙に全ての取引の仕訳を切った上で、二重取引を考慮して集計する方法」がベストだと思いますので、まずは下書き用紙に全ての取引の仕訳を書いてください。

 なお、仕訳を切る際に「現金取引」「当座預金取引」「仕入取引」「売上取引」「その他の取引」をきちんと分けて書いておくと、集計時の二重取引のピックアップ作業が楽になります。私が実際に問題を解く際に書いた下書き画像を載せておきますので、参考にしていただければ幸いです。

第3問・試算表作成問題の下書き1
第3問・試算表作成問題の下書き1

 次に集計に移りますが、現金勘定・当座預金勘定・仕入勘定・売上勘定については、一部が二重計上されているので、上記の4勘定についてはそれぞれの欄に計上されている金額のみを集計してください。

 具体的には…例えば現金勘定であれば、「現金取引」欄で切った仕訳から現金勘定を集計して、「仕入取引」「売上取引」「その他の取引」の各欄に計上されている、いわゆる二重取引に該当する現金勘定については集計時には無視します。

第3問・試算表作成問題の下書き2
第3問・試算表作成問題の下書き2

 あとは、現金勘定と同じように当座預金勘定・仕入勘定・売上勘定を集計していくだけです。その他の勘定科目については普通に集計するだけなので特に問題ないと思います。

 解き方については他にもいろいろありますが、この方法は全ての仕訳を切った後に簡単なルールに従って機械的に集計するだけで二重取引を排除することが出来るのでおすすめです。

 なお、本問と同様の問題が第127回の第3問第130回の第3問でも出題されているので、復習の際には本問とあわせて確認しておいてください。考え方・解き方は全く同じです。

第4問 伝票会計からの出題。とっても簡単です。

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【伝票会計】に関する問題でした。仕訳を書きだした上で5伝票制を採用している場合の処理、3伝票制を採用している場合の処理を考えるだけの簡単な問題で、アンケートでも約3分の2の方が「かなり簡単だった」と回答されています。

解答のベースとなる仕訳
(借)仕入 180,000
 (貸)現金 30,000
 (貸)買掛金 150,000

5伝票制を採用している場合の処理

 5伝票制は入金に関する取引は入金伝票で、出金伝票に関する取引は出金伝票で、それら以外に関する取引を振替伝票で処理する点は3伝票制と同じですが、これらに加えて、売上に関する取引を売上伝票で、仕入に関する取引を仕入伝票で処理する方法です。5つの伝票を使うので「5伝票制」と呼ばれています。

 なお、5伝票制は売上伝票の相手勘定は売掛金勘定仕入伝票の相手勘定は買掛金勘定というルールがあります。よく問われるところなので、きちんと押さえておいてください。

★仕入伝票
(借)仕入 180,000
 (貸)買掛金 180,000
★出金伝票
(借)買掛金 30,000
 (貸)現金 30,000

3伝票制を採用している場合の処理

 3伝票制は、入金に関する取引を入金伝票で、出金に関する取引を出金伝票で、それら以外に関する取引を振替伝票で処理する方法です。3つの伝票を使うので「3伝票制」と呼ばれています。

 よく問われる一部振替取引の処理方法としては、取引を分解する方法(本問)と取引を擬制する方法の2つがあるので、必ず両方の考え方・処理方法を押さえておいてください。

★振替伝票
(借)仕入 150,000
 (貸)買掛金 150,000
★出金伝票
(借)仕入 30,000
 (貸)現金 30,000

第5問 質・量ともに易しめの精算表作成問題!高得点を狙える問題です!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は、質・量ともに易しめのオーソドックスな【精算表作成問題】でした。アンケートでも75%以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しており、過去問対策をきちんとやっていれば満点(30点)近い点数を取ることが出来たと思います。

 解答手順としては、決算整理事項等の全取引の仕訳を下書き用紙に書き出した上で、それらを集計して答案用紙の精算表の修正記入欄に記入し、損益計算書欄と貸借対照表欄を完成させるのが一番良いと思います。

 なお、仕訳を頭の中で考えて、そのまま解答用紙の精算表の修正記入欄に書きこんでいくという上級テクニックもありますが、3級受験時にマスターするのはかなり大変なので、無理に挑戦する必要はありません。まずはひとつひとつの取引を確実に処理することを最優先にして取り組んでください。

決算整理事項等

1.
(借)雑損 900
 (貸)現金 900
2.
(借)仮受金 20,000
 (貸)売掛金 20,000
3.
(借)貸倒引当金繰入 1,880
 (貸)貸倒引当金 1,880
4.
(借)有価証券評価損 1,200
 (貸)売買目的有価証券 1,200
5.
(借)仕入 46,000
 (貸)繰越商品 46,000
(借)繰越商品 42,000
 (貸)仕入 42,000
6.
(借)消耗品 1,500
 (貸)消耗品費 1,500
7.
(借)減価償却費 233,000
 (貸)建物減価償却累計額 108,000
 (貸)備品減価償却累計額 125,000
8.
(借)資本金 123,000
 (貸)引出金 123,000
9.
(借)前払保険料 3,360
 (貸)支払保険料 3,360
10.
(借)支払利息 460
 (貸)未払利息 460

 1.の現金過不足については、帳簿残高76,500円と実際有高75,600円の差額(900円)を雑損勘定で処理します。本問のように決算時に不一致が判明した場合、現金過不足勘定は使わないのでご注意ください。

 2.の仮受金については内容が判明(売掛金の回収)したので、仮受金勘定と売掛金勘定を相殺しますが、この売掛金の減少は3.の貸倒引当金の計算時に考慮し忘れないように気をつけてください。

 3.の貸倒引当金の計算は2.の売掛金の減少を考慮するだけです。4.の売買目的有価証券の時価評価も特に問題ないと思います。

 5.の売上原価の算定については、問題文に「売上原価は仕入の行で計算する」という指示があるので、いつもの「しーくりくりしー」の仕訳を切るだけです。なお、第128回試験のように売上原価勘定を使って売上原価を計算する場合もあるので、あわせて確認しておいてください。

 6.の消耗品については、答案用紙の残高試算表欄の「消耗品費 7,900」から、決算期末に未使用分を消耗品勘定に振り替える方法を採用していることが分かるので、1,500円を消耗品費勘定から消耗品勘定に振り替えます。

 7.の減価償却については特に問題ないと思いますが、「建物の残存価額→取得原価の10%」「備品の残存価額→ゼロ」に気をつけてください。8.の引出金については資本金勘定に振り替えるだけです。

 9.の保険料ついては、答案用紙の残高試算表欄に計上されている支払保険料13,440円が4月1日に支払った1年分になるので、前払いした3か月分(翌期の1月1日から3月31日まで)の3,360円(=13,440円÷3か月/12か月)を前払い処理します。

 10.の借入金については、当期の9月1日から12月31日までの4か月分の利息460円(=60,000円×2.3%×4か月/12か月)を未払利息として処理します。

まとめ

全体的な難度に関するアンケート結果

 今回の試験は第2問がかなりの難問でしたが、逆に配点比率の高い第1問・第3問・第5問が比較的簡単だったこともあり、全体的には「やや簡単だった」と感じる人が多かったようです。合格率も39.5%と平均より少し高めの数字になりました。

 日商簿記検定3級については、「テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら過去問題集・予想問題集を購入して典型論点の問題をこなしておく」という王道的なスタイルできちんと勉強すれば、よっぽどのことがない限り短期&1発合格できるので、地道にコツコツ勉強してください。

 なお、過去問・予想問題を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように毎回工夫すること」の2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているか毎回チェックし、下書き用紙については捨てずに保管しておいて、常に比較できるようにしておいてください。



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