日商簿記検定2級 第133回総評(過去問分析)

第1問 普通レベルの仕訳問題です。ケアレスミスに気をつけて!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。アンケートでは「普通だった」という回答が一番多かったようですが、問5の保証債務以外は過去問類似問題だったので、きちんと過去問対策していた方は最低でも4問(16点)は取れたと思います。

 ちなみに…第1問の仕訳問題で3問以下しか取れないと合格がかなり厳しくなるので、仕訳に不安がある方は仕訳問題対策を使って仕訳力を強化しておいてください。


 問1荷為替手形に関する問題ですが、第122回の問2でも同じような問題が出題されているので、過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 問2有価証券の売却に関する問題ですが、本問も第121回の問2で同じような問題が出題されているので、過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 問3銀行勘定調整表に関する問題です。毎度おなじみの「未渡小切手」なので、「買掛金の返済に関する未渡小切手→買掛金」「それ以外→未払金」という処理方法を押さえていれば、一瞬で正解仕訳を導き出せたと思います。

 問4設立時の新株発行に関する問題ですが、本問も第130回の問4で同じような問題が出題されているので、過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 なお、「株式発行に伴う諸費用」を株式交付費勘定で処理してしまった方もいるかもしれませんが、設立登記までに要した費用はまとめて創立費勘定で処理するので、間違えないように気をつけてください。典型的なひっかけポイントです。

 問5不渡手形に関する問題です。保証債務とセットで出てくるのは初めてだったのでびっくりしたかもしれませんが、落ち着いて「手形裏書時の仕訳」をイメージ出来ればどうってことはない問題です。


 なお、各問の詳細な解説に関しては、以下の仕訳問題対策の個別ページをご覧ください(なお、仕訳問題対策に掲載しているのは過去問類題なので、解答仕訳が過去問と異なる点に留意してください)。


 最後に、仕訳問題の解答手順をもう一度確認しておいてください。最近の試験では…第124回の2級で現金預金勘定を使う仕訳問題が出題されましたが、勘定科目のチェックを怠ってしまった受験生は、現金勘定や当座預金勘定を使って解答してしまい、それだけでマイナス12点になってしまったので、練習時から「勘定科目のチェック」を忘れないように気をつけてください。

  1. 解答用紙に仕訳を書く(問題文に列挙されている勘定科目のうち、解答に使用するものには打ち消し線を入れる)
  2. 問5まで全て解き終えたら、勘定科目の再チェックをする(今度は斜線ではなく丸で囲む)
  3. 打ち消し線と丸囲みが一致しているか最終チェックをする

第2問 とっても簡単な伝票会計!短時間で満点を狙いましょう!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は【伝票会計】からの出題でした。仕訳日計表と総勘定元帳(現金と買掛金)、仕入先元帳(山口商店・広島商店・岡山商店)を作成する問題で、第130回で出題された伝票会計と同じタイプの簡単な問題でした。

 アンケートでも多くの受験生が「かなり簡単だった」と回答しており、合格するためにはなるべく短い解答時間で満点を取らなければいけない問題です。

 以下の下書き画像は、管理人が実際に問題を解く際に書いたものですが、本問は下書きの前に解答用紙の仕入先元帳(山口商店・広島商店・岡山商店)を完成させてしまいましょう。先に完成させることにより、下書きを書く際に買掛金を商店ごとに把握する必要がなくなるので、解答時間を短縮することができます。

 例えば、山口商店の場合はまず答案用紙に「出金伝票」と書かれているので、問題用紙の出金伝票をチェックして、No.203の110,000円がこれに該当すると判断します。

 次に、答案用紙の「振替伝票」「(残高)8,000」から問題用紙の振替伝票No.304の金額が150,000円(=158,000円-8,000円)であると判断します。

 最後の1行は答案用紙にヒントはないので、問題用紙をざーっとチェックして、仕入伝票No.401の255,000が入ると判断して金額を記入します。広島商店・岡山商店も同様にチェックをして、解答用紙の仕入先元帳への記入が完了したら各伝票を集計しますが、この作業については特に問題ないと思います。

 なお、下書きの書き方は十人十色で「絶対的な正解」はありませんが、出来るかぎりシンプルにまとめることをおすすめします。

第2問・伝票会計の下書き
第2問・伝票会計の下書き

 簿記検定ナビでは勘定科目の省略パターン一覧表ページで、勘定科目を省略して書いたり、金額の下3桁が「000」のときは「-」で代用するなど、「塵も積もれば山となる」的なテクニックをいろいろ紹介しているので、興味のある方は一度ご覧下さい。

 なお、第2問で出題される伝票会計については、第115回・第119回・今回のように各伝票の金額が全て埋まっている問題と、第121回・第123回・第128回・第130回のように一部の金額を推定する問題の2つのパターンがありますが、どちらも過去問に類似した問題が何度も繰り返し出題されるので、過去問対策が非常に効果的です。

 最後に、伝票会計に関しては下の画像の内容をきちんと理解できているか確認してください。この画像は管理人が実際に作ったまとめノートの一部ですが、この画像の内容を確実に理解しておけば、たいていの伝票会計の問題に対応できます。

伝票会計のまとめノート1
伝票会計のまとめノート1
伝票会計のまとめノート2
伝票会計のまとめノート2

第3問 予想通りの本支店会計。勇気を持って「捨てる」ことが必要です!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は予想通り【本支店会計】からの出題でしたが、損益計算書だけでなく本店・支店の利益や支店勘定の次期繰越額まで問われたので「難しかった」と感じる受験生が多かったようです。

 ただ、本店・支店の利益や支店勘定の次期繰越額は配点が少ない(4点前後)のに算定するのに時間がかかる、いわゆる「捨てる問題」なので、余裕で解答できるという人以外は解答する必要はありません…というか解答して無駄な時間を使ってはいけません。(1)の損益計算書だけ作成してさっさと次に進みましょう。

 それでは実際に解き方を見ていきましょう。日商簿記2級で出題される本支店会計の問題は、下書きを定型化して数字を当てはめていくという作業だけで高得点を狙えます。下に管理人が問題を解く際に実際に書いた下書きを載せておきますので、本支店会計が苦手な方は参考にして問題を解いてみてください。

第3問・本支店会計の下書き
第3問・本支店会計の下書き

1.未達事項を処理する

 下書き作成の流れを簡単に説明していきます。まず、「本店」と「支店」、「支店へ売上」と「本店より仕入」の各勘定の残高を一致させるために、資料(Ⅲ)の未達取引の処理を行ないます。

 なお、今回はすべて仕訳を書き出しましたが、頭の中で仕訳をして、「支店勘定」「支店へ売上」「本店勘定」「本店より仕入」については下書き用紙に設定する勘定に記入し、その他の勘定科目については資料Ⅰの決算整理前残高試算表に加減する形で記入しても構いません。

2.下書き用紙に4つの勘定を書く

 本店の「支店」「支店へ売上」勘定と、支店の「本店」「本店より仕入」勘定の4つを下書き用紙に書きます。資料(Ⅰ)の決算整理前残高試算表から金額を引っ張ってきた後に、1.の未達事項の仕訳を反映させましょう。

 なお、1.と2.の作業は逆にしても構いません。その日の気分によって変えてもOKです。

3.商品BOXを使って商品の流れを把握する

 その後、商品BOXを使って本店と支店の商品の流れを把握しますが、商品BOXの書き方については上記のように本店と支店を1つにまとめて書いてもいいですし、第125回の過去問分析ページで紹介している下書きのように、本店と支店とに分けて書いてもどちらでもいいです。

 商品BOXについては、金額の分かるところからどんどん埋めていきます。支店の期首・期末の上下にある四角の部分には内部利益の金額を書いてください。

 なお、支店の期末棚卸高96,000円は外部仕入36,000円分と本店仕入分60,000円に分けた上で、本店仕入分60,000円に未達事項の本店仕入10,800円をあわせて70,800円とした上で、内部利益11,800円(=70,800円-70,800円÷1.2)を算定します。

 商品BOX内の金額を全て埋め終わったら、(Ⅱ)期末整理事項の処理を行う前に損益計算書の「期首商品棚卸高」「当期商品仕入高」「売上高」「期末商品棚卸高」の金額を解答用紙に書き込んでください。

  • 期首商品棚卸高…150,000円+98,000円-8,000円=240,000円
  • 当期商品仕入高…938,000円+183,000円=1,121,000円
  • 売  上  高…1,220,000円+600,000円=1,820,000円
  • 期末商品棚卸高…186,000円+36,000円+(60,000円+10,800円)-11,800円=281,000円

 「期首商品棚卸高」と「期末商品棚卸高」に関しては、内部利益を控除することを忘れないように気をつけてください。また、「当期商品仕入高」と「売上高」に関しては、外部仕入高と外部売上高のみを集計し、内部取引(支店売上=本店仕入)を含まない点に気をつけてください。

4.資料Ⅱの期末整理事項を処理する

 以上で商品関係の処理が終わるので、あとは(Ⅱ)期末整理事項の処理を行うだけです。こちらに関しては未達事項4の売掛金の減少を貸倒引当金の算定時に考慮するぐらいで、その他は特に問題はないと思います。

 なお、本店・支店の利益や支店勘定の次期繰越額については、途中の処理を1つでも間違えると正解にたどり着けなくなります。上にも書きましたが、費用対効果が悪すぎるので解答する必要はありません。復習をする必要もありませんので、ここでは説明を割愛させて頂きます。

 本支店会計の具体的な下書きの書き方については、第117回日商簿記検定の2級総評にも詳しく載せてあるので、そちらのほうも参考にしてみてください。日商簿記検定2級の本支店会計対策は、下書き用紙の書き方をマスターして過去問を何回も繰り返すだけで十分です。

第4問 えっ!第131回にも出た本社工場会計?!でもとっても簡単です。

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【本社工場会計】の仕訳問題でした。本社工場会計に関しては第131回で出題されたばかりなのでノーマークの方も多かったと思いますが、簡単な仕訳問題だったので総じて出来は良かったようです。

 アンケートでも、60%近くの方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答していますが、こういう問題を取りこぼさずに取れるかどうかが合否のカギになります。

 本社工場会計の仕訳問題は、なんとなく処理が面倒くさそうに見えるかもしれませんが、解答手順はとてもシンプルです。工場会計が独立する前の仕訳を書きだした上で、工場の仕訳と本社の仕訳を考えるだけです。

(1)材料の掛け購入

独立前の仕訳
(借)材料 500,000
 (貸)買掛金 500,000
工場の仕訳
(借)材料 500,000
 (貸)本社 500,000
本社の仕訳
(借)工場 500,000
 (貸)買掛金 500,000

 まず、工場会計が独立する前の仕訳を書きだします。材料勘定に関しては問題文で与えられている工場の残高試算表に載っているので工場側で仕訳すると判断し、逆に買掛金勘定に関しては工場の残高試算表に載っていないので本社側で仕訳すると判断します。

(2)従業員給与の現金支給

独立前の仕訳
(借)賃金・給料 800,000
 (貸)現金 800,000
工場の仕訳
(借)賃金・給料 800,000
 (貸)本社 800,000
本社の仕訳
(借)工場 800,000
 (貸)現金 800,000

 まず、工場会計が独立する前の仕訳を書きだします。賃金・給料勘定に関しては問題文で与えられている工場の残高試算表に載っているので工場側で仕訳すると判断し、逆に現金勘定に関しては工場の残高試算表に載っていないので本社側で仕訳すると判断します。

(3)特許権使用料(直接経費)の支払い

独立前の仕訳
(借)仕掛品 250,000
 (貸)当座預金 250,000
工場の仕訳
(借)仕掛品 250,000
 (貸)本社 250,000
本社の仕訳
(借)工場 250,000
 (貸)当座預金 250,000

 まず、工場会計が独立する前の仕訳を書きだします。仕掛品勘定に関しては問題文で与えられている工場の残高試算表に載っているので工場側で仕訳すると判断し、逆に当座預金勘定に関しては工場の残高試算表に載っていないので本社側で仕訳すると判断します。

(4)減価償却費(間接経費)の計上

独立前の仕訳
(借)製造間接費 400,000
 (貸)機械減価償却累計額 400,000
工場の仕訳
(借)製造間接費 400,000
 (貸)本社 400,000
本社の仕訳
(借)工場 400,000
 (貸)機械減価償却累計額 400,000

 まず、工場会計が独立する前の仕訳を書きだします。製造間接費勘定に関しては問題文で与えられている工場の残高試算表に載っているので工場側で仕訳すると判断し、逆に機械減価償却累計額勘定に関しては工場の残高試算表に載っていないので本社側で仕訳すると判断します。

(5)製品の完成

独立前の仕訳
(借)製品 3,500,000
 (貸)仕掛品 3,500,000
工場の仕訳
(借)本社 3,500,000
 (貸)仕掛品 3,500,000
本社の仕訳
(借)製品 3,500,000
 (貸)工場 3,500,000

 まず、工場会計が独立する前の仕訳を書きだします。仕掛品勘定に関しては問題文で与えられている工場の残高試算表に載っているので工場側で仕訳すると判断し、逆に製品勘定に関しては工場の残高試算表に載っていないので本社側で仕訳すると判断します。

 解答は以上です。本社工場会計は解き方を知っていればなんてことはない問題です。第131回・第133回と出題が続いたので、近いうちに出題される可能性はかなり低いと思いますが、忘れた頃にぽろっと出題されるので過去問等を使ってきちんと対策しておいてください。

第5問 個別原価計算の問題。勘定連絡図を書いて考えよう!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は【個別原価計算】からの出題でした。製造間接費の予定配賦の部分が少し難しかったかもしれませんが、その他はよくあるパターンの問題だったので、きちんと対策していた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 アンケートでも60%近くの方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。

 それでは早速、考えていきましょう。本問はまず「直接材料費」「直接労務費」「製造間接費」「仕掛品」「製品」「売上原価」の各勘定を下書き用紙に書き出した上で、各製造指図書の費用がどこに入るのか考えていきます。

 101については、1月28日に既に完成しているので、直接材料費・直接労務費・製造間接費の合計額1,990,000円は期首製品の欄に記入します。

 102については、1月末の時点で未だ完成していなかったので1月11日~1月31日までの直接材料費・直接労務費・製造間接費の合計額1,030,000円は期首仕掛品の欄に記入し、2月1日~2月5日までの直接労務費・製造間接費は各勘定に記入します。

 103については、2月中に製造着手・完成・引渡しのすべてが完了しているので、2月4日~2月15日までの直接材料費・直接労務費・製造間接費は各勘定に記入します。

 104については、2月中に製造着手・完成し、3月1日に引渡し予定なので、2月12日~2月25日までの直接材料費・直接労務費・製造間接費は各勘定に記入するとともに、合計額1,400,000円を期末製品の欄に記入します。

 105については、2月中に製造着手したものの2月末の時点では未だ完成していなかったので、2月18日~2月28日までの直接材料費・直接労務費・製造間接費は各勘定に記入するとともに、合計額1,060,000円を期末商品の欄に記入します。

第5問・個別原価計算の下書き
第5問・個別原価計算の下書き

 すべて記入して勘定連絡図を完成させると上記のような下書きになります。最初からうまく書くことは難しいと思いますので、まずは同じものを書いてみて数字を追ってみてください。勘定連絡図はとにかく自分の手で書いて体で覚えるようにしてください。

まとめ

全体的な難度に関するアンケート結果

 全体の難度に関するアンケート結果は「やや簡単だった」が最多で、「普通ぐらいだった」「かなり簡単だった」が続きましたが、個人的にはかなり簡単な部類に入る試験回だったと思います。

 合格率は47.6%で、第100回試験以降で過去最高の数字になりました。がんばって勉強した人がきちんと報われるという点では良かったと思いますが、前回試験の合格率が22.9%ということを考えると、もう少し合格率を平準化してもらいたいなぁというのが正直なところです。


 日商簿記検定2級の勉強法については、3級同様、「テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら過去問・予想問題を購入して典型論点の問題をこなしておく」という王道的なスタイルできちんと勉強すれば、よっぽどのことがない限り短期&1発合格できるので、地道にコツコツ勉強するようにしてください。

 なお、過去問・予想問題を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように毎回工夫すること」の2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているか毎回チェックし、下書き用紙については捨てずに解答用紙に挟んでおいて、前回のものと比べられるようにしておいてください。

新形式の問題について

 新形式の問題については、第126回の第2問(特殊商品売買)、第127回の第3問(本支店会計)、第132回の第2問(特殊商品売買)とここ最近頻繁に出題されているので、第134回以降の試験でも出題される可能性は十分にあります。

 ただ、事前に予想して対策を講じるのは費用対効果の面で現実的ではないので、運悪く出題されてしまった場合にはとにかく諦めずに部分点を積み上げていくようにしてください。

 日商簿記検定2級には各科目の足きり制度はなく、合計で70点以上取れれば合格できる試験なので、「取れるところから取る!難しいところは部分点を積み上げる!」ということを、試験時だけでなく練習時にも常に意識して問題を解いてください。



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