日商簿記検定3級 第132回総評(過去問分析)

第1問 今回も仕訳問題!前回同様に満点が狙える簡単な問題でした!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。5問とも過去問類似問題だったので、簿記検定ナビの仕訳問題対策やで過去問対策をきちんとやっていれば十分満点が狙える回だったと思います。

 アンケートでも90%以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。


 問1貸付金の回収に関する問題です。本問は第104回の問5とほとんど同じ問題なので、過去問対策をきちんとやっていた方にはボーナス問題だったと思います。

 復習の際は、貸付金を「他店振出小切手を受け取った場合」だけでなく、「他店振出小切手を受け取って、ただちに当座預金に預け入れた場合」「当店振出小切手を受け取った場合」もあわせて押さえておいてください。

  • 他店振出小切手を受け取った場合…現金勘定の増加
  • 他店振出小切手を受け取って、ただちに当座預金に預け入れた場合…当座預金勘定の増加
  • 当店振出小切手を受け取った場合…当座預金勘定の増加

 問2固定資産の売却に関する問題です。本問も第105回の問2とほとんど同じ問題なので、過去問対策をきちんとやっていた方にはボーナス問題だったと思います。

 なお、本問では3年目の期首に固定資産を売却しているので、仕訳を考えるにあたって過去2年分の減価償却額を算定する必要がありますが、残存価額ゼロという点に気をつけてください。また、代金については「売却先振出しの小切手で受け取った」とあるので、問1と同様に現金の増加として処理します。

 問3固定資産の購入に関する問題です。固定資産の購入に関しては不可避的に発生した費用(付随費用)は購入原価に含めて計算することだけ押さえていれば、簡単に正解を導き出すことができます。過去にも同じような形で何度も出題されています。

 問4仕入戻しに関する問題です。本問も第106回の問2とほとんど同じ問題で仕入時の逆仕訳をするだけなので、過去問対策をきちんとやっていた方にはボーナス問題だったと思います。

 問5仮受金・前受金に関する問題です。考え方としては「1.不明な入金がったので一時的に仮受金勘定で処理する」→「2.不明な入金が商品代金の手付金であることが判明するしたので、仮受金勘定を前受金勘定に振り替える」という流れになりますが、1.の仕訳を実際に書きだしてみると2.の仕訳を導き出しやすいと思います。


 なお、各問の詳細な解説に関しては、仕訳問題対策のほうで個別にまとめましたので、必要に応じてご覧いただければと思います(仕訳問題対策に掲載しているのは過去問類題なので、過去問の解答仕訳とは異なる点に留意してください)。


 最後に、仕訳問題の解答手順をもう一度確認しておいてください。

 最近の試験では…第124回の2級で現金預金勘定を使う仕訳問題が出題されましたが、勘定科目のチェックを怠ってしまった受験生は、現金勘定や当座預金勘定を使って解答してしまい、それだけでマイナス12点になってしまったので、練習時から「勘定科目のチェック」を忘れないように気をつけてください。

  1. 問題文を読んで、一度、問題用紙の余白部分に仕訳をする
  2. 問題で列挙されている勘定科目を使っているか確認する
  3. ない場合は代替できる勘定を探す(例・従業員預り金→預り金など)
  4. 解答用紙に仕訳をする

第2問 帳簿組織の仕訳問題!「貸方残→当座借越の発生」がポイント!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は【帳簿組織】に関する問題でした。当座預金出納帳から仕訳を類推する、というあまり見かけないパターンの問題ですが、内容自体は極めて平易で、アンケートでも「かなり簡単だった」という声が大半を占めました。

 解答手順は当座預金出納帳から仕訳を類推するだけです。難しい処理はないので特に問題ないと思いますが、仕訳を考える前に当座預金出納帳の残高欄を埋めておきましょう。上から「100,000」「10,000」「159,500」「89,500」「▲500」「119,500」「69,500」「17,000」「0」です。

 なお、10月25日の給料の支払いにより当座預金がマイナスになりますが、このマイナス分については当座借越勘定を使って処理します。本問のポイントはここだけです。

解答仕訳(二勘定制)

10/5
(借)買掛金 90,000
 (貸)当座預金 90,000
10/10
(借)当座預金 149,500
(借)手形売却損 500
 (貸)受取手形 150,000
10/15
(借)現金 70,000
 (貸)当座預金 70,000
10/25
(借)給料 90,000
 (貸)当座預金 89,500
 (貸)当座借越 500
10/26
(借)当座借越 500
(借)当座預金 119,500
 (貸)売掛金 120,000
10/29
(借)支払手形 50,000
 (貸)当座預金 50,000
10/30
(借)広告宣伝費 52,500
 (貸)当座預金 52,500

 それでは最後に類題をひとつ考えてみましょう。問題文で列挙されている勘定科目が「当座預金」「当座借越」(二勘定制)ではなく、「当座」(一勘定制)だったら仕訳がどうなるか分かりますか?

 仕訳はとっても簡単ですよね。一勘定制の場合、当座取引に関しては借方残・貸方残に関係なく「当座」勘定で処理するだけです。迷ってしまった方はテキストに戻って復習しておいてください。

参考仕訳(一勘定制)

10/5
(借)買掛金 90,000
 (貸)当座 90,000
10/10
(借)当座 149,500
(借)手形売却損 500
 (貸)受取手形 150,000
10/15
(借)現金 70,000
 (貸)当座 70,000
10/25
(借)給料 90,000
 (貸)当座 90,000
10/26
(借)当座 120,000
 (貸)売掛金 120,000
10/29
(借)支払手形 50,000
 (貸)当座 50,000
10/30
(借)広告宣伝費 52,500
 (貸)当座 52,500

第3問 予想通りの試算表作成問題。今回は下書きの書き方を徹底解説!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は予想通り【試算表作成問題】で、平成23年12月31日の貸借対照表に、平成24年1月中の取引15個を反映させて、平成24年1月末の合計試算表を作成する問題でした。

 本問は、試算表作成問題でやっかいな「二重仕訳」もなく、質・量ともに普通レベルの問題だったので、きちんと過去問対策していれば満点近い点数が取れたと思います。

 ただ、アンケートのコメントでは「貸借の金額が合わなかった」という声が多く、投票でも「普通ぐらいだった」が一番多かったので、今回はいつも以上に下書きの書き方にフォーカスをあてて解説したいと思います。

解答方法について

 試算表作成問題の解答方法については、下書き用紙に全取引の仕訳を書きだした上で集計する方法と、頻出勘定(仕訳によく出てくる勘定)についてT勘定を設定し、その他の勘定についてはひとつにまとめた上で、最後に一気に集計するという方法の2つがあります。

 第130回試験の試算表作成問題のように取引が時系列ではなく取引ごとにまとめられている場合は二重仕訳を考慮する必要があるので、前者の方法で解くことをおすすめいたします。

 一方、本問のように取引が時系列でまとめられている場合は二重仕訳を考慮する必要がないので、後者の方法で解くことをおすすめいたします。

 練習時から、問題を解き始める前に「二重仕訳が出てくるのかどうか」を自分で判断して、問題にあった解き方を選択できるようにしておいてください。

T勘定を設定すべき勘定について

 3級の試算表作成問題をT勘定を使って解く場合は、現金勘定・当座預金勘定・売掛金勘定・買掛金勘定・受取手形勘定・支払手形勘定・仕入勘定・売上勘定の8つについては必ずT勘定を作ってください。

 その他の勘定については臨機応変に対応することになりますが、基本的には「その他」という勘定を作ってそこにどんどん書き込んでいくことをおすすめいたします。

  • 必ず設定すべきT勘定:現金勘定、当座預金勘定、売掛金勘定、買掛金勘定、受取手形勘定、支払手形勘定、仕入勘定、売上勘定

具体的な解答手順について

 まず下書き用紙にT勘定を設定し、資料Aの貸借対照表に計上されている各勘定の金額をT勘定に移記します。その際、右端あたりに縦長の「その他」という勘定も設定してください。

第3問・試算表作成問題の下書き1
第3問・試算表作成問題の下書き1

 次に、資料Bの平成24年1月中の取引の仕訳を頭の中で考えて、T勘定を設定している勘定についてはT勘定に、設定していないものについては「その他」勘定に金額を埋めていきます。

 なお、「その他」勘定に金額を埋める場合は、日付も書き込んでおくと見直しの際に便利です。

第3問・試算表作成問題の下書き2
第3問・試算表作成問題の下書き2

 全ての取引を処理したら下書き用紙のT勘定を締め切り、各勘定の残高を算定したうえで答案用紙に移記します。なお、「その他」勘定については締め切る必要はありませんので、ひとつずつ答案用紙に移記してください。移記したものは打ち消し線を引くなどして、目立たせておくと良いと思います。

 なお、本問は合計試算表を作成する問題なので、T勘定を締め切る際に下の画像のように締め切り方をひと工夫すると次のステップの集計が楽になります。

第3問・試算表作成問題の下書き3
第3問・試算表作成問題の下書き3

 それでは最後に…本問が「合計」試算表作成問題ではなく「合計残高」試算表作成問題だった場合、どのように下書きを書くと集計が楽になるでしょうか。少し考えてみてください。

第3問・試算表作成問題の下書き4
第3問・試算表作成問題の下書き4

 このように、下書き用紙にひと工夫加えるだけで集計がぐっと楽になります。毎回なんとなく解いていても「効率の良い下書きの書き方」はマスター出来ませんので、練習時から目的意識を持って取り組んでください。

第4問 意表を突いた空欄推定問題!パッと見は難しそうですが…

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【語句記入】問題で、一瞬固まってしまった受験生も多かったと思います。ただ、問われている内容はいずれも基本的なものばかりなので、帳簿組織や伝票会計をきちんと理解している人にとってはボーナス問題になったと思います。

 アンケートでも7割以上の受験生が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。

1.得意先元帳に関して

 得意先元帳(売上先元帳)は、得意先ごとの売掛金の増減を記録する補助元帳です。商品有高帳や仕入先元帳なんかも補助元帳です。

 一方、特定の取引について、取引が発生した順に明細な記録を行う帳簿を補助記入帳といい、現金出納帳や当座預金出納帳、仕入帳、売上帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳などがこれに当たります。

帳簿組織のまとめノート
帳簿組織のまとめノート

2.支払手形記入帳に関して

 支払手形記入帳は、手形債務に関する諸情報を明細に記録する補助記入帳です。この帳簿を作成することによって、手形金額や受取人・振出人はもちろん、手形がいつ発生し現時点でどのような状態になっているのかを知ることが出来るようになります。

 当店が振り出した約束手形を、支払期日に決済した場合、支払手形記入帳のてん末欄にその旨を記入します。

支払手形記入帳の記入例
支払手形記入帳の記入例

3.3伝票制に関して & 4.仕入伝票に関して

 3伝票制を採用している場合、入金伝票・出金伝票の他に振替伝票を利用します。一方、5伝票制を採用している場合は、入金伝票・出金伝票・売上伝票・仕入伝票・振替伝票を利用します。

 また、仕入伝票は通常、仕入取引は掛けによるもの(買掛金)と擬制して記入します。同様に、売上伝票も通常、売上取引は掛けによるもの(売掛金)と擬制して記入します。

伝票会計のまとめノート
伝票会計のまとめノート

第5問 質・量ともに普通レベルの精算表作成問題!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は、普通レベルのオーソドックスな【精算表作成問題】でした。アンケートでも半数近くの方が「かなり簡単だった」と回答されており、過去問対策をきちんとやっていれば満点近い点数を取ることが出来たはずです。

 解答手順としては、未処理事項と決算整理事項の全取引の仕訳を下書き用紙に書き出した上で、それらを集計して答案用紙の精算表の修正記入欄に記入し、損益計算書欄と貸借対照表欄を完成させるのが一番良いと思います。

 なお、仕訳を頭の中で考えて、そのまま解答用紙の精算表の修正記入欄に書きこんでいくという上級テクニックもありますが、3級受験時にマスターするのはかなり大変ですので、無理に挑戦する必要はありません。まずはひとつひとつの取引を確実に処理することを最優先にして取り組んでください。

未処理事項

(1)
(借)当座預金 18,000
 (貸)売掛金 18,000
(2)
(借)旅費交通費 26,000
(借)現金 3,000
 (貸)仮払金 29,000
(3)
(借)現金 4,500
 (貸)受取配当金 4,500

 (1)の売掛金の回収については簡単なので特に問題ないと思いますが、後ろに出てくる貸倒引当金の算定時に考慮することを忘れないように気をつけてください。(2)の仮払金の精算については、分かりづらい場合は仮払時の仕訳をイメージしてください。

 (3)の配当金領収証の処理については、簿記上では現金として処理することを知っているかどうかが問われています。簿記上で現金として扱うのは配当金領収証の他にも、他人振出小切手や送金小切手、郵便為替証書、期限が到来した利札などがあります。

決算整理事項

(1)
(借)貸倒引当金繰入 11,000
 (貸)貸倒引当金 11,000
(2)
(借)仕入 410,000
 (貸)繰越商品 410,000
(借)繰越商品 458,000
 (貸)仕入 458,000
(3)
(借)売買目的有価証券 75,000
 (貸)有価証券評価益 75,000
(4)
(借)減価償却費 200,000
 (貸)建物減価償却累計額 100,000
 (貸)備品減価償却累計額 100,000
(5)
(借)資本金 168,000
 (貸)引出金 168,000
(6)
(借)消耗品費 34,000
 (貸)消耗品 34,000
(7)
(借)前払保険料 70,000
 (貸)支払保険料 70,000
(8)
(借)受取家賃 20,000
 (貸)前受家賃 20,000

 (1)の貸倒引当金の繰入については、上でも書きましたが未処理事項で減少した18,000円を忘れずに考慮してください。

 (2)の売上原価の算定については、本問は「仕入」の行で計算するバージョンのだったので、毎度おなじみの「しーくりくりしー」の仕訳をします。

 なお、第128回試験・第5問の精算表作成問題のように「売上原価」の行で計算する場合もありますので、あわせて押さえておいてください。仕訳自体は浮く牛食う(うくうしくう)という語呂で覚えることをおすすめします。

 (3)の有価証券の期末評価については、まず3銘柄の評価損益を別々に算定した上で合算するだけです。(4)の減価償却については、残存価額がゼロという点に気をつけてください。計算自体はとても簡単です。

 (5)の引出金の整理については、答案用紙の試算表欄の借方に計上されている168,000円を資本金に振り替えるだけです。

 (6)の消耗品の処理については、答案用紙の試算表欄に消耗品勘定があるので、「購入時に資産(消耗品)計上して、期末時に期中使用分を費用(消耗品費)に振り替える」方法で処理していると判断します。

 消耗品の処理については「購入時に費用(消耗品費)処理して、期末時に未使用分を試算(消耗品)に振り替える」方法もあるので、あわせて確認しておいてください。

 (7)の前払保険料ついては、答案用紙の試算表欄に計上されている支払保険料120,000円が8月1日に支払った1年分になるので、前払いした7か月分(=120,000円×7か月/12か月)を前払い処理します。

 (8)の前受家賃については、答案用紙の試算表欄に計上されている受取家賃260,000円のうち、20,000円を前受家賃に振り替えるだけです。

まとめ

全体的な難度に関するアンケート結果

 今回の試験は、全体的には「やや簡単だった」と感じる人が多かったようです。ただ、配点比率の高い第3問・第5問で取りこぼしてしまった受験生が多く、その結果、合格率も31.9%という平均よりも低い数字になりました。

 日商簿記検定3級の勉強法については、「テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら過去問・予想問題を購入して典型論点の問題をこなしておく」という王道的なスタイルできちんと勉強すれば、よっぽどのことがない限り短期&1発合格できますので、地道にコツコツ勉強するようにしてください。

 なお、過去問・予想問題を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように毎回工夫すること」の2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているか毎回チェックし、下書き用紙については捨てずに解答用紙に挟んでおいて、前回のものと比べられるようにしておいてください。



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