日商簿記検定2級 第132回総評(過去問分析)

第1問 普通レベルの仕訳問題です。ケアレスミスに気をつけて!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。問題文で列挙されている勘定科目が少しいじわるでしたが、5問とも過去問類似問題だったので、きちんと過去問対策をやっていれば満点が取れる問題でした。

 ちなみに…第1問の仕訳問題で3問以下しか取れないと合格がかなり遠のくので、仕訳に不安がある方は仕訳問題対策を使って仕訳力を強化しておいてください。


 問1固定資産の改良と修繕に関する問題ですが、第115回の問3でも同じような問題が出題されているので、過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 問2特殊商品売買(未着品)に関する問題です。未着品を売り上げた場合は通常、一般商品の売上と区別するために未着品売上勘定を使いますが、本問のように問題文で列挙されている勘定科目に未着品売上勘定がない場合は売上勘定で処理します。

 なお、第123回の問3でも同じような問題が出題されているので、問1同様に過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 問3消費税に関する問題です。消費税の仕訳は「税込方式」と「税抜方式(本問)」がありますが、仕訳問題ではどちらが問われてもおかしくないので、必ずどちらの処理もできるようにしておいてください。

 なお、第117回の問3でも同じような問題が出題されているので、問1・問2と同様に過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 問4固定資産の売却に関する問題です。解答手順は、まず当期首までの減価償却費を計算し、さらに当期の減価償却費を計算した上で売却時の帳簿価額を算定し、売却金額と比較して差額で売却損益を求める、という流れになります。

 期中売却はどの問題もこの考え方で解答仕訳を導き出すことが出来るので、本問や他の過去問を使って練習しておいてください。

 問5特殊商品売買(委託買付)に関する問題ですが、本問は問題文の「当社は買付委託時に支払った手付金を前払金勘定で処理している」という一文がポイントになります。まず買付委託時の仕訳を書きだした上で、解答仕訳を考えると分かりやすいと思います。

 なお、第103回の問4第119回の問1のように、前払金勘定ではなく委託買付勘定で処理する場合もあるので、あわせて押さえておいてください。


 なお、各問の詳細な解説に関しては、仕訳問題対策のほうで個別にまとめましたので、必要に応じてご覧いただければと思います。(仕訳問題対策に掲載しているのは過去問類題ですので、過去問の解答仕訳とは異なる点に留意してください)


 最後に、仕訳問題の解答手順をもう一度確認しておいてください。最近の試験では…第124回の2級で現金預金勘定を使う仕訳問題が出題されましたが、勘定科目のチェックを怠ってしまった受験生は、現金勘定や当座預金勘定を使って解答してしまい、それだけでマイナス12点になってしまいましたので、練習時から「勘定科目のチェック」を忘れないようにしてください。

  1. 問題文を読んで、一度、問題用紙の余白部分に仕訳をする
  2. 問題で列挙されている勘定科目を使っているか確認する
  3. ない場合は代替できる勘定を探す(例・未着品売上→売上など)
  4. 解答用紙に仕訳をする

第2問 難度の高い特殊商品売買の勘定記入問題。部分点狙いでいきましょう!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は特殊商品売買が絡む【勘定記入】の問題でした。特殊商品売買の処理は苦手とする受験生が多く、問題を見た瞬間に手が止まってしまった方も多かったようです。アンケートでも半数近くの方が「かなり難しかった」と回答されています。

 今回のようないわゆる難問が出題された場合は、満点を狙う必要はありません。部分点狙いで半分も取れれば十分です。ドツボにはまって時間を浪費してしまうのが一番怖いので、1月中の仕訳をざっと書きだしてみて分かるところを埋めたらさっさと次の問題に進みましょう。

 解答手順は…先に1月の月中取引の仕訳を考えた上で、決算整理仕訳を導き出し、最後に勘定の貸借差額で損益の金額を算定します。

1月の月中取引

1月5日の仕訳
(借)仕入 200,000
 (貸)買掛金 200,000
1月6日の仕訳
(借)積送品 74,000
 (貸)仕入 70,000
 (貸)現金 4,000
1月9日の仕訳
(借)当座預金 100,000
 (貸)売上 100,000
(借)仕入 74,000
 (貸)積送品 74,000
1月10日の仕訳
(借)売掛金 460,000
 (貸)売上 460,000
1月16日の仕訳
(借)試用未収金 45,000
 (貸)試用仮売上 45,000
1月20日の仕訳
(借)仕入 300,000
 (貸)買掛金 300,000
1月25日の仕訳
(借)売掛金 27,000
 (貸)売上 27,000
(借)試用仮売上 27,000
 (貸)試用未収金 27,000

 6日の仕訳は、問題文の「積送諸掛は積送品勘定に含める」より、積送した商品70,000円に諸掛4,000円を含めた74,000円を積送品勘定に振り替えます。

 9日の仕訳は、問題文の「委託販売による売上高は代理店の手数料を差し引いた当店手取額で売上勘定に計上する」より、商品代金110,000円から手数料10,000円を差し引いた100,000円を売上として計上します。

 16日の仕訳は、問題文の「試用販売の会計処理は、対照勘定を用いる方法によって行う」より、試送した商品の売価45,000円で備忘記録の仕訳をきります。

1月31日の仕訳(決算整理仕訳)
(借)仕入 20,000
 (貸)繰越商品 20,000
(借)繰越商品 37,000
 (貸)仕入 37,000

 期首商品棚卸高の20,000円については、答案用紙から引っ張ってくるだけなので特に問題ないと思いますが、期末商品棚卸高の37,000円は自ら算定する必要があります。

 まず、問題文の31日の「手許商品(試送中の商品を除く)の棚卸高は25,000円であった」より、一般商品売買に係る期末商品棚卸高が25,000円であることが分かります。

 さらに、16日に試送した商品30,000円のうち、5分の3(=18,000円)は25日に買取りの意思表示があったものの、残りの5分の2(=12,000円)は未だ売れ残っているので、この12,000円も期末商品棚卸高に含めて処理します。

手許商品25,000円+試用品12,000円=37,000円

1月31日の仕訳(決算整理仕訳)
(借)損益 487,000
 (貸)仕入 487,000
(借)売上 587,000
 (貸)損益 587,000

 最後に、決算振替仕訳も載せておきますが、問題を解く上では必要ありません。月中仕訳・決算整理仕訳を答案用紙の勘定に反映させれば、貸借差額で損益の金額を算定することができるからです。

 なお、月中仕訳や決算整理仕訳のうち、ひとつでも間違えると損益の金額も合わなくなるので、本試験では損益の金額は捨てても良いと思います。決算整理仕訳までを確実に処理出来れば本問は十分です。

第3問 質・量ともに普通レベルの精算表作成問題!

第3問の難度アンケート結果

 第3問はスタンダードな【精算表作成問題】でした。質・量ともに普通レベルの問題だったので、きちんと対策していた方は満点近い点数が取れたと思います。アンケートでも、半分以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。

 解答手順は、下書き用氏に仕訳を書きだした上で答案用紙の解答欄を埋めていく、という流れで問題ないと思います。2.の貸倒引当金の設定は、1.(1)の仕訳の影響を受けるので、金額算定時に忘れないように気をつけましょう

決算整理その他の事項

1.(1)
(借)現金預金 20,000
 (貸)受取手形 20,000
1.(2)
仕訳なし
1.(3)
(借)現金預金 150,000
(借)火災損失 50,000
 (貸)未決算 200,000
2.
(借)貸倒引当金繰入 1,980
 (貸)貸倒引当金 1,980
3.(1)
(借)売買目的有価証券 2,000
 (貸)有価証券評価益 2,000
3.(2)
(借)満期保有目的債券 200
 (貸)有価証券利息 200
4.
(借)仕入 82,000
 (貸)繰越商品 82,000
(借)繰越商品 95,500
 (貸)仕入 95,500
(借)棚卸減耗損 710
 (貸)繰越商品 710
(借)商品評価損 3,240
 (貸)繰越商品 3,240
5.
(借)建物 1,000,000
 (貸)建設仮勘定 800,000
 (貸)未払金 200,000
6.
(借)減価償却費 161,440
 (貸)建物減価償却累計額 100,000
 (貸)備品減価償却累計額 61,440
7.
(借)のれん償却 1,200
 (貸)のれん 1,200
8.
(借)前受金 30,000
 (貸)売上 30,000
9.
(借)前払保険料 2,000
 (貸)支払保険料 2,000
10.
(借)支払利息 650
 (貸)未払利息 650

 1(1)の入金未通知については、普通に仕訳するだけなので特に問題ないと思います。1(2)の時間外預入については、時間の経過により不一致が解消するので特別な処理は必要ありません。

 1(3)の入金未通知については、答案用紙の残高試算表に計上されている未決算勘定200,000円を当座預金勘定に振り替え、貸借差額の50,000円を火災損失として費用処理します。

 2.の貸倒引当金の繰入については、上でも述べましたが1(1)の受取手形の減少を考慮して計算する必要があるので気をつけましょう。

 3.の有価証券の評価替えについては、売買目的で保有している甲社株式と乙社株式をまとめて評価損益を算定し、満期保有目的で保有している丙社株式は償却原価法を適用して当期償却額を算定します。

 4.の売上原価の計算および期末商品の評価については、商品ごとに棚卸減耗損と商品評価損を算定した上で、それらを合算して最終的な金額を算定します。

 なお、A商品は正味売却価額>原価(簿価)なので商品評価損は発生しませんし、C商品は帳簿棚卸数量=実地棚卸数量なので棚卸減耗損は発生しません。

 5.の建設仮勘定については建物勘定に振り替えて貸借差額を未払金勘定で処理するだけですが、この新建物は6.において減価償却の対象となるので算定の際は気をつけてください。

 なお、新建物は12月1日に引渡しを受けているので、3月31日までの4か月分が今期の減価償却の対象になります。12か月分を計上しないように気をつけてください。

新建物の減価償却費:1,000,000円×0.9÷30年×4か月/12か月=10,000円

 7.ののれんの償却については、前期末までに既に5年分を償却済みなので、残りの5年間で残高試算表の借方残高の6,000円を均等償却します。6,000円を10で割らないように気をつけてください。

 8.の予約販売については、前受金勘定を売上勘定に振り替えるだけです。

 9.の保険料の前払いについては、答案用紙の残高試算表に計上されている支払保険料15,000円が当期の12月1日に支払った1年分になるので、前払いした8か月分(平成24年4月1日~11月30日)を前払い処理します。

 10.の利息の未払いについては、未払利息を計上するだけなので特に問題ないと思います。

第4問 費目別計算の仕訳問題!外注加工賃の処理がポイントです!

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【費目別計算】の仕訳問題でした。同様の問題は第114回試験や第120回試験、第125回試験と定期的に出題されており、きちんと準備していた受験生にとっては得点源になったと思います。

 アンケートでも半数以上の方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答していますが、こういう問題を取りこぼさずに取れるかどうかが合否のカギになります。

 それでは早速、仕訳を考えていきますが、1(1)の材料の掛け購入に関する仕訳ついては特に問題ないと思います。

原料の掛け購入に関する仕訳
(借)材料 266,000
 (貸)買掛金 266,000

 1(2)の原料の無償支給に関する仕訳については、問題文に「原料費の計算には1kg当たり350円の予定消費価格を用いている」とあるので、予定消費価格(350円/kg)を使って計算するのがポイントです。

 なお、問題文の「出庫記録は通常の出庫表による」という一文は、貸方に材料勘定を記入して材料の減少(出庫)を記録しておいてねという意味です。あまり深く考える必要はありません。

原料の無償支給に関する仕訳
(借)仕掛品 227,500
 (貸)材料 227,500

 1(3)の原料消費価格差異に関する仕訳については、問題文で与えられている月初の原料のデータと1(1)の月中仕訳を使って実際消費価格による消費高を算定し、この金額と1(2)で算定した227,500円の差額を原料消費価格差異として認識します。

実際消費価格による消費高:100kg×400円/kg+(650kg-100kg)×380円/kg=249,000円

249,000円-227,500円=21,500円(実際>予定 → 不利差異)

原料消費価格差異に関する仕訳
(借)原価差異 21,500
 (貸)材料 21,500

 1(4)の外注加工賃の支払いに関する仕訳については、当該支払いは直接経費になるので仕掛品勘定で処理します。間違えてしまった方、意味がよく分からない方はテキストに戻って復習してください。

外注加工賃の支払いに関する仕訳
(借)仕掛品 19,500
 (貸)当座預金 19,500

 2(1)の直接工労務費に関する仕訳については、問題文に「直接工の消費賃金の計算には1時間当たり900円の予定消費賃率を用いている」とあるので、予定消費賃率(900円/時間)を使って計算するのがポイントです。

直接工労務費に関する仕訳
(借)仕掛品 162,000
(借)製造間接費 135,000
 (貸)賃金 297,000

 2(2)の賃率差異に関する仕訳については、まず当月の要支払額を算定した上で、この金額と2(1)で算定した297,000円の差額を賃率差異として認識します。

当月の要支払額:305,000円+105,000円-112,000円=298,000円

298,000円-297,000円=1,000円(要支払額>予定 → 不利差異)

賃率差異に関する仕訳
(借)原価差異 1,000
 (貸)賃金 1,000

第5問 直接原価計算のCVP分析問題!ボーナス問題です!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は【直接原価計算】からの出題でした。アンケートでは「かなり簡単だった」という回答が多い一方で、「やや難しかった」という回答も多く、出来不出来が大きい問題になりました。

 それでは早速、考えていきますが、(1)の当月の直接材料費の総額については特に問題ないと思います。主要材料費と買入部品費の合計額2,500,000円が正解です。

 (2)の当月の製造間接費の総額についても、資料の製造原価から直接材料費(主要材料費と買入部品費)と、直接労務費(直接賃金)を差し引いて算定するだけです(本問は直接経費はありません)。

 (3)の当月の貢献利益(売上高-変動費)については、資料の変動費を全て足しあわせて当月の売上高から差し引くだけです。変動費の計算には、製造原価だけでなく販売費の2,000,000円も含むので気をつけてください。

 (4)の当月の損益分岐点売上高については、以下のような下書きを書くと分かりやすいです。

損益計算書の下書き画像
損益計算書の下書き画像

 まず、売上高をS(Salesの頭文字)と置きます。次に変動費ですが、当月の売上高24,600,000円に対して変動費総額が9,840,000円だったので、変動費率は9,840,000円÷24,600,000円=0.4となります。

 よって、売上高をSと置いた場合の貢献利益は0.6Sになるので、この0.6Sから売上の大小に関わらず毎月一定額発生する固定費13,320,000円を差し引いて、営業利益0.6S-13,320,000円を算定します。

 ここで、損益分岐点売上高というのは営業利益がゼロの地点の売上高のことなので、「0.6S-13,320,000円=0」という式を立ててSの金額を求めます。

 (5)の4,800,000円の営業利益を達成するための売上高についても(4)と考え方は同じです。本問の場合は「0.6S-13,320,000円=4,800,000」という式を立ててSの金額を求めます。

 いかがでしょうか。CVP分析の問題は上記のようなP/Lの下書きを書くと分かりやすいと思いますので、解き方が固まっていない方はぜひ参考にしてください。

まとめ

全体的な難度に関するアンケート結果

 今回の試験は商業簿記の第1問・第3問が普通レベルで、第2問がかなり難しく、工業簿記の第4問・第5問がかなり簡単だったというアンケート結果になりました。総合的には「やや難しい」と感じた受験生が多かったようです。

 合格率も22.9%という、第126回試験以来の20%台になりました。これは商業簿記の第2問で戦意喪失したり、はまってしまった方が多かったことを表していると思います。

 なお、前回の総評にも書きましたが、本問のように商業簿記と工業簿記の難度に大きな開きがある場合は、解答手順を「簡単→難しい」にすることをおすすめします。

 具体的には第4問→第5問→第1問→第3問→第2問とし、とにかく工業簿記で出来るかぎり点数を稼いで、商業簿記は部分点を拾っていく…というスタイルです。

 解答手順の変更については、本試験でいきなりやろうと思ってもうまくいきませんので、練習段階から意識して取り組むようにしてください。試験開始後3分間くらいは、解答手順の組立に使っても良いと思います。


 日商簿記検定2級の勉強法については、3級同様、「テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら過去問・予想問題を購入して典型論点の問題をこなしておく」という王道的なスタイルできちんと勉強すれば、よっぽどのことがない限り短期&1発合格できますので、地道にコツコツ勉強するようにしてください。

 なお、過去問・予想問題を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように毎回工夫すること」の2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているか毎回チェックし、下書き用紙については捨てずに解答用紙に挟んでおいて、前回のものと比べられるようにしておいてください。

新形式の問題について

 新形式の問題については、第126回の第2問(特殊商品売買)、第127回の第3問(本支店会計)、第132回の第2問(特殊商品売買)とここ最近頻繁に出題されているので、第133回以降の試験でも出題される可能性は十分にあります。

 ただ、事前に予想して対策を講じるのは費用対効果の面で現実的ではないので、運悪く出題されてしまった場合にはとにかく諦めずに部分点を積み上げていくようにしてください。

 日商簿記検定2級には各科目の足きり制度はなく、合計で70点以上取れれば合格できる試験ですので、「取れるところから取る!難しいところは部分点を積み上げる!」ということを、試験時だけでなく練習時にも常に意識して問題を解いてください。



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