日商簿記検定3級 第131回総評(過去問分析)

第1問 今回も仕訳問題!前回同様に満点が狙える簡単な問題でした!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。問2を除く4問は過去に似たような形式の問題でしたし、問2も問題文で与えられた勘定科目で簡単に正解を導き出せる問題でしたので、過去問対策をきちんとやっていれば十分満点が狙える回だったと思います。

 アンケートでも90%近くの方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答しています。


 問1有価証券の売却に関する問題です。仕訳の過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 復習の際は、代金を「他店振出小切手を受け取った場合」「他店振出小切手を受け取って、ただちに当座預金に預け入れた場合」「当店振出小切手を受け取った場合」もあわせて押さえておいてください。

  • 他店振出小切手を受け取った場合…現金勘定の増加
  • 他店振出小切手を受け取って、ただちに当座預金に預け入れた場合…当座預金勘定の増加
  • 当店振出小切手を受け取った場合…当座預金勘定の増加

 問2土地の賃借に関する問題です。あまり見かけないタイプの問題ですが、問題文の「土地を賃借し」から支払地代勘定を使って処理すると判断します。土地を購入したわけではありませんので、土地勘定を使って処理しないように気をつけましょう。

 問3借入金の返済に関する問題です。問題文に「元利合計を返済した」とありますので、利息の金額を自分で算定する必要があります。なお、算定の際は按分計算(3か月/12か月)を忘れないように気をつけましょう。

 問4所得税の源泉徴収に関する問題です。本問のように、既に切られた仕訳を前提とする問題は、実際に仕訳を書き出して考えてみると分かりやすいです。第109回の問2とほとんど同じ問題なので、仕訳の過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 問5売上取引・前受金・立替金に関する問題です。過去にも同じような問題が何度も出題されているので、仕訳の過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 なお、本問では先方負担の送料(発送費)を立替金勘定で処理していますが、問題によっては売掛金勘定で処理する場合もあるので、問題文や列挙されている勘定科目のチェックを忘れないように気をつけましょう。


 なお、各問の詳細な解説に関しては、仕訳問題対策のほうで個別にまとめましたので、必要に応じてご覧いただければと思います。(仕訳問題対策に掲載しているのは過去問類題ですので、過去問の解答仕訳とは異なる点に留意してください)


 最後に、仕訳問題の解答手順をもう一度確認しておいてください。

 最近の試験では…第124回の2級で現金預金勘定を使う仕訳問題が出題されましたが、勘定科目のチェックを怠ってしまった受験生は、現金勘定や当座預金勘定を使って解答してしまい、それだけでマイナス12点になってしまいましたので、練習時から「勘定科目のチェック」を忘れないようにしてください。

  1. 問題文を読んで、一度、問題用紙の余白部分に仕訳をする
  2. 問題で列挙されている勘定科目を使っているか確認する
  3. ない場合は代替できる勘定を探す(例・従業員預り金→預り金など)
  4. 解答用紙に仕訳をする

第2問 備品&累計額の勘定記入問題!減価償却の算定期間と残存価額に注意!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は【勘定記入】に関する問題でした。平成22年1月1日から平成23年12月31日までの2年分の仕訳をすべて書きだしたうえで、備品勘定・備品減価償却累計額勘定を埋めていくシンプルな問題です。

①仕訳をすべて書きだす

平成22月1月1日(備品の購入)
(借)備品 300,000
 (貸)当座預金 300,000
平成22月12月31日(決算整理仕訳)
(借)減価償却費 60,000 ※1
 (貸)備品減価償却累計額 60,000
平成23月7月1日(備品の購入)
(借)備品 200,000
 (貸)当座預金 200,000
平成23月12月31日(決算整理仕訳)
(借)減価償却費 80,000 ※2
 (貸)備品減価償却累計額 80,000

※1:300,000円÷5年=60,000円

※2:(300,000円÷5年)+(200,000円÷5年÷2)=80,000円

 平成23年12月31日の決算整理仕訳で計上する減価償却費は、平成22年1月1日購入分は1年分。平成23年7月1日購入分は半年分になります。また、残存価額はゼロです。なんとなく10%で計算しないように気をつけましょう。

②備品勘定・備品減価償却累計額勘定を埋めていく

 あとは、各勘定を埋めていくだけの単純な作業なので特に問題はないと思います。ちなみに、12月31日の「次期繰越」と1月1日の「前期繰越」は2つで1セットなので先に埋めてしまいましょう。

 具体的には…備品勘定の「22/12/31 次期繰越」→「23/1/1 前期繰越」→「23/12/31 前期繰越」→「24/1/1 次期繰越」といった順番で埋めていきます。

 備品減価償却累計額勘定は「24/1/1 前期繰越」→「23/12/31 次期繰越」→「23/1/1 前期繰越」→「22/12/31 次期繰越」といった順番で下から埋めていくと良いでしょう。

備品勘定と備品減価償却累計額勘定
備品勘定と備品減価償却累計額勘定

第3問 試算表作成問題はT勘定を使ってサクサク解きましょう!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は予想通り【試算表作成問題】で、平成24年4月30日の残高試算表に、平成24年5月中の取引21個を反映させて、平成24年5月末の残高試算表を作成する問題でした。

 本問は、試算表作成問題でお馴染みの「二重仕訳」もなく、質・量ともに過去問レベルの普通の問題でしたので、きちんと過去問対策していれば満点が狙える問題だったと思います。アンケートでも90%近くの方が「かなり簡単だった」「やや簡単だった」と回答されています。

解答方法について

 試算表作成問題の解答方法については、下書き用紙に全取引の仕訳を書きだした上で集計する方法と、頻出勘定(仕訳によく出てくる勘定)についてT勘定を設定し、その他の勘定については問題文で与えられている残高試算表の両端の余白に書き込んだり、解答用紙に直接書き込んでいく方法の2つがあります。

 第130回試験の試算表作成問題のように二重仕訳を考慮する必要がある場合は、前者の方法で解くことをおすすめいたします。一方、本問のように二重仕訳を考慮する必要がない場合は、後者の方法で解くことをおすすめいたします。

 問題を解き始める前に「二重仕訳が出てくるのかどうか」を自分で判断して、問題にあった解き方を選択できるようにしておいてください。

T勘定を設定すべき勘定について

 3級の試算表作成問題をT勘定を使って解く場合は、現金勘定・当座預金勘定・売掛金勘定・買掛金勘定・受取手形勘定・支払手形勘定・仕入勘定・売上勘定の8つについては必ずT勘定を作ってください。

 なお、その他の勘定については臨機応変に対応することになりますが、基本的には残高試算表の両端の余白に書き込んだり、解答用紙に直接書き込むことになります。

  • 必ず設定すべきT勘定:現金勘定、当座預金勘定、売掛金勘定、買掛金勘定、受取手形勘定、支払手形勘定、仕入勘定、売上勘定

具体的な解答手順について

 まず下書き用紙にT勘定を設定し、資料Aで与えられている残高試算表の金額をT勘定に反映させた後、資料Bの5月中の取引の仕訳を頭の中で考えて、T勘定を設定している勘定についてはT勘定に、設定していないものについては、資料Aの残高試算表の両端の余白または解答用紙に直接記入していきます。

 次に、資料Bの5月中の取引を全て処理したら、下書き用紙のT勘定を締め切り、各T勘定の残高を解答用紙に記入していきます。同様にT勘定を設定していない勘定で、資料Aの残高試算表の両端の余白に書いていたものも忘れずに解答用紙に記入してください。

 下の画像は、管理人が問題を解く際に実際に書いた下書き用紙です。T勘定を使った解き方がよく分からない方は参考にしてください。最初は解答を見ながら下書きの練習をすると良いと思います。

第3問・試算表作成問題の下書き
第3問・試算表作成問題の下書き

第4問 第2問に引き続き勘定記入の問題!パターン化して考えるがよろし。

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【勘定記入】に関する問題で、資本の引出しに関する取引を資本金勘定で記帳した場合の勘定を、資本金勘定と引出金勘定で記帳した場合の勘定に直してくださいね、というものです。

 具体的な解き方は以下のようになりますが、勘定記入ではよくあるパターンの問題ですので、手順をきちんと押さえておいてください。

  1. 問題文で与えられている資本金勘定から仕訳をイメージして書きだす
  2. その仕訳から資本金勘定と引出金勘定で記帳した場合の仕訳をイメージして書きだす
  3. 解答用紙の勘定に記入する

問題文で与えられている資本金勘定から仕訳をイメージして書きだす

3月5日
(借)資本金 67,000
 (貸)現金 67,000
5月20日
(借)資本金 67,000
 (貸)仕入 67,000
6月15日
(借)資本金 86,000
 (貸)当座預金 86,000
7月31日
(借)諸口 1,200,000
 (貸)資本金 1,200,000
10月5日
(借)資本金 140,000
 (貸)諸口 140,000
12月31日
(借)損益 552,000
 (貸)資本金 552,000

 この処理については簡単なので特に問題ないと思います。7月31日と10月5日の「諸口」はそのまま「諸口」で仕訳をしてください。

資本金勘定と引出金勘定で記帳した場合の仕訳をイメージして書きだす

3月5日
(借)引出金 67,000
 (貸)現金 67,000
5月20日
(借)引出金 67,000
 (貸)仕入 67,000
6月15日
(借)引出金 86,000
 (貸)当座預金 86,000
7月31日
(借)諸口 1,200,000
 (貸)資本金 1,200,000
10月5日
(借)引出金 140,000
 (貸)諸口 140,000
12月31日
(借)資本金 343,000
 (貸)引出金 343,000
(借)損益 552,000
 (貸)資本金 552,000

 処理のポイントは2つあります。1つは、資本金を減額する取引については引出金勘定を使って処理すること。もう1つは決算整理仕訳で引出金勘定を資本金勘定に振り替えることです。

 なお、7月31日のように資本金を増額する取引については引出金勘定ではなく資本金勘定を使って処理します。間違えないように気をつけましょう。

解答用紙の勘定に記入する

 勘定の締め切りに関して苦手意識を持っている受験生も多いと思いますが、本問は第2問と同様に問題の資料に締め切り方法のヒントがあるので、それを参考にして解答用紙に記入すればOKです。

第5問 質・量ともにかなり易しめの精算表作成問題!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は、質・量ともにかなり易しめの【精算表作成問題】でした。アンケートでも半数以上の方が「かなり簡単だった」と感じたようで、過去問対策をきちんとやっていれば満点近い点数を取ることが出来たはずです。

 解答手順としては、決算整理事項の全取引の仕訳を下書き用紙に書き出した上で、それらを集計して解答用紙の精算表の修正記入欄に反映させ、損益計算書欄と貸借対照表欄を完成させるのが一番良いと思います。

 なお、仕訳を頭の中で考えて、そのまま解答用紙の精算表の修正記入欄に書きこんでいくという上級テクニックもありますが、3級受験時にマスターするのはかなり大変ですので、無理に挑戦する必要はありません。まずはひとつひとつの取引を確実に処理することを最優先にして取り組んでください。

決算整理事項

(1)
(借)通信費 5,000
 (貸)現金過不足 5,000
(借)雑損 500
 (貸)受取手数料 500
(2)
(借)仕入 302,400
 (貸)繰越商品 302,400
(借)繰越商品 230,100
 (貸)仕入 230,100
(3)
(借)有価証券評価損 35,600
 (貸)売買目的有価証券 35,600
(4)
(借)貸倒引当金繰入 8,460
 (貸)貸倒引当金 8,460
(5)
(借)減価償却費 77,000
 (貸)建物減価償却累計額 50,000
 (貸)備品減価償却累計額 27,00
(6)
(借)受取手数料 10,400
 (貸)前受手数料 10,400
(7)
(借)未収利息 2,000
 (貸)受取利息 2,000
(8)
(借)前払保険料 5,400
 (貸)支払保険料 5,400
(9)
(借)前払広告宣伝費 3,800
 (貸)広告宣伝費 3,800
(10)
(借)支払利息 10,000
 (貸)未払利息 10,000

 (1)の現金過不足については、借方残2,300の現金過不足勘定を反対側(貸方)にもってきて、さらに2つの記入漏れを計上したうえで、貸借差額を雑損(または雑損失)勘定で処理するだけです。

 (2)の売上原価の算定については、本問は「仕入」の行で計算するバージョンのだったので、毎度おなじみの「しーくりくりしー」の仕訳をします。

 なお、第128回試験・第5問の精算表作成問題のように「売上原価」の行で計算する場合もありますので、あわせて押さえておいてください。仕訳自体は浮く牛食う(うくうしくう)という語呂で覚えることをおすすめします。

 (3)の有価証券の期末評価については差額で評価損の金額を計算するだけですし、(4)の貸倒れの見積もりについても、決算整理時に受取手形勘定や売掛金勘定の増減が無いのでそのまま計算するだけなので簡単です。

 (5)の減価償却については、残存価額10%に気をつける(第2問は残存価額ゼロだったので)ことと、期中購入分については減価償却費を月割計算する必要があることの2点に気をつけましょう。

 (6)の前受収益については簡単すぎるので割愛。(7)の未収収益についても3か月分の利息を計算するだけなので特に問題ないと思います。

 (8)(9)の前払費用も特に問題ないと思います。ちなみに、(8)に前払保険料ついては精算表の残高試算表欄に計上されている32,400円が1年分になるので、前払いした2か月分(=32,400円×2か月/12か月)を翌期に繰り延べます。

 (10)の未払費用は(7)と考え方は同じです。未払いになっている半年分の利息を計上します。

まとめ

全体的な難度に関するアンケート結果

 アンケート結果を見る限りでは、個別で見ても全体で見てもかなり易しかったようです。合格率も41.1%と過去平均を上回る数字で、きちんと勉強した人が順当に合格できる試験回だったと思います。

 日商簿記検定3級の勉強法については、「テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら過去問・予想問題を購入して典型論点の問題をこなしておく」という王道的なスタイルできちんと勉強すれば、よっぽどのことがない限り短期&1発合格できますので、地道にコツコツ勉強するようにしてください。

 なお、過去問・予想問題を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように毎回工夫すること」の2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているか毎回チェックし、下書き用紙については捨てずに解答用紙に挟んでおいて、前回のものと比べられるようにしておいてください。



ページの先頭へ