日商簿記検定3級 第130回総評(過去問分析)

第1問 今回も仕訳問題!前回同様に満点が狙える簡単な問題でした!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。5問とも過去に似たような形式の問題が出題されていましたので、過去問対策をきちんとやっていれば十分満点が狙える回だったと思います。事実、アンケートでも80%以上の方が「かなり簡単だった」と回答しています。


 問1仮受金に関する問題です。第108回の問5とほとんど同じ形式の問題で、特に解説するところはありません。仕訳の過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 問2仕入取引・前払金に関する問題です。本問も特に解説するところがないぐらい簡単な問題でしたので、仕訳の過去問対策をきちんとやっていた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 問3預り金・所得税の源泉徴収に関する問題です。社会保険料の処理のところで手が止まった方もいるかもしれませんが、問題文で列挙されている勘定科目に分かりやすく「社会保険料預り金」とありますので、特に問題なく処理できたと思います。

 問4売掛金の回収に関する問題です。「小切手を受け取った」という一文から現金勘定を使って処理した方もいらっしゃるかもしれませんが、本問は当店振出小切手の回収になりますので、当座預金勘定で処理します。小切手を受け取った場合の処理方法は以下の3パターンだけですので、この際に押さえておいてください。

  • 他店振出小切手を受け取った場合…現金勘定の増加
  • 他店振出小切手を受け取って、ただちに当座預金に預け入れた場合…当座預金勘定の増加
  • 当店振出小切手を受け取った場合…当座預金勘定の増加

 問5手形の割引きに関する問題です。通常、利息の金額は問題文で与えられますが、本問のように自分で算定する必要がある場合は、問題の指示に従って日割計算(または月割計算)をしてください


 なお、各問の詳細な解説に関しては、仕訳問題対策のほうで個別にまとめましたので、必要に応じてご覧いただければと思います。(仕訳問題対策に掲載しているのは過去問類題ですので、過去問の解答仕訳とは異なる点に留意してください)


 最後に、仕訳問題の解答手順をもう一度確認しておいてください。最近の試験では…第124回の2級で現金預金勘定を使う仕訳問題が出題されましたが、勘定科目のチェックを怠ってしまった受験生は、現金勘定や当座預金勘定を使って解答してしまい、それだけでマイナス12点になってしまいましたので、練習時から「勘定科目のチェック」を忘れないようにしてください。

  1. 問題文を読んで、一度、問題用紙の余白部分に仕訳をする
  2. 問題で列挙されている勘定科目を使っているか確認する
  3. ない場合は代替できる勘定を探す(例・従業員預り金→預り金など)
  4. 解答用紙に仕訳をする

第2問 売掛金明細表の作成問題!仕訳を書きだすときにひと工夫を!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は【帳簿組織】に関する問題でした。具体的な解答手順は…1月中の取引の仕訳を下書き用紙に書き出したうえで、それらを集計するだけなんですが、仕訳の書き出し方をひと工夫すると集計作業が楽になります(詳細については以下参照)

①1月中の取引の仕訳を下書き用紙に書きだす

 本問は各商会ごとの売掛金残高を解答する問題なので、仕訳の時点で各商会ごとに分類しておくと集計が楽になります(買掛金については商会ごとの残高を問われていませんので分類する必要はありません。)

 私が実際に問題を解いたときは、宮城商会を「み」、岩手商会を「い」、福島商会を「ふ」と書きましたが、この書き方については決まりはありませんので、好きなように書いていただいて問題ありません。

第2問・帳簿組織の下書き
第2問・帳簿組織の下書き

 ちなみに、21日については仕訳をしていませんが、これは「売掛金に関する取引ではない→仕訳をする必要がない」からです。この仕訳で時間を浪費してしまった方は気をつけて下さい。

②各商会ごとの売掛金残高を集計する

 あとは、売掛金残高を集計するだけなので特に問題ないと思います。


 本問は、アンケート結果からも分かるようにボーナス問題です。第1問・第2問で満点(合計32点)を取ると合格にぐっと近づきますので、取りこぼしのないように気をつけてください。

第3問 今回の試算表作成問題は「下書き用紙の書き方」がポイントになります!

第3問の難度アンケート結果

 第3問は予想通り【試算表作成問題】でした。問題文で与えられ前期末の貸借対照表の各残高に、平成24年1月中の取引を反映させて、1月31日における合残高計試算表を作成するというスタンダードな問題です。

 本問は、1月中の取引が時系列ではなく取引ごとにまとめられているので、一部取引が二重になっていることをきちんと読み取れたかどうかがポイントになります。


 それでは早速、具体的な問題の解き方を考えていきたいと思いますが…、個人的には「下書き用紙に全ての取引の仕訳を切った上で、二重取引を考慮して集計する方法」がベストだと思いますので、まずは下書き用紙に全ての取引の仕訳を書いてください。

 なお、仕訳を切る際に「現金取引」「当座預金取引」「仕入取引」「売上取引」「その他の取引」をきちんと分けて書いておくと、集計時の二重取引のピックアップ作業が楽になりますので、下の管理人が実際に問題を解く際に書いた下書き画像を参考にして書いてください。

第3問・試算表作成問題の下書き1
第3問・試算表作成問題の下書き1

 それでは次に集計に移りますが、現金勘定・当座預金勘定・仕入勘定・売上勘定については、一部が二重に計上されている可能性があるので、上記の4勘定についてはそれぞれの欄に計上されている金額のみを集計するようにしてください。

 具体的には…例えば現金勘定であれば、「現金取引」欄で切った仕訳から現金勘定を集計して、「仕入取引」「売上取引」「その他の取引」の各欄に計上されている、いわゆる二重取引に該当する現金勘定については集計時に無視します。

第3問・試算表作成問題の下書き2
第3問・試算表作成問題の下書き2

 あとは、現金勘定と同じように当座預金勘定・仕入勘定・売上勘定を集計していくだけです。その他の勘定科目については普通に集計するだけですので特に問題ないと思います。

 解き方については他にもいろいろありますが、この方法は全ての仕訳を切った後に簡単なルールに従って機械的に集計するだけで二重取引を排除することが出来るのでおすすめです。

 なお、同様の問題が第127回の第3問でも出題されていますので、復習の際には本問とあわせて確認しておいてください。考え方・解き方は全く同じです。

第4問 支払家賃・前払家賃の勘定記入の問題!第129回の第2問とクリソツです。

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【勘定記入】に関する問題でした。家賃の支払いに関する1年間の仕訳をすべて書きだしたうえで、支払家賃勘定・前払家賃勘定を埋めていくだけのシンプルな問題です。

 第129回の問2でも同じような勘定記入の問題が出題されていた(しかも今回のほうが簡単!)ので、過去問対策をきちんとやって試験に臨んだ方にとってはボーナス問題になったと思います。

①1年間の仕訳をすべて書きだす

 まず、家賃の支払いに関する1年間の仕訳を書き出します。

3月1日(家賃の支払い)
(借)支払家賃 240,000
 (貸)現金 240,000
9月1日(家賃の支払い)
(借)支払家賃 240,000
 (貸)現金 240,000
12月31日(決算整理仕訳)
(借)前払家賃 80,000
 (貸)支払家賃 80,000
12月31日(決算振替仕訳)
(借)損益 400,000
 (貸)支払家賃 400,000

 決算整理仕訳については、9月1日に半年分の保険料240,000円を単発で支払っていますので、翌期の1月・2月の2か月分を前払いしていることになります。

 そこで、1か月あたりの保険料40,000円/月(=240,000円÷6か月)を算出したうえで、2か月分の保険料80,000円(=40,000円/月×2か月)を前払い処理します。

②支払家賃勘定・前払家賃勘定を埋めていく

 あとは、各勘定を埋めていくだけの単純な作業なので特に問題はないと思います。


 本問は、支払家賃勘定の「損益」と、前払家賃勘定の「次期繰越」のところが少し難しかったかもしれませんが、その他の箇所は確実に得点しなければいけません。なお、勘定記入の問題は毎回ワンパターンですので、過去問を使ってきちんと対策すると得点源になります。

第5問 質・量ともにかなり易しめの精算表作成問題!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は、質・量ともにかなり易しめの【精算表作成問題】でした。過去問対策をきちんとやっていれば、普通に満点近い点数を取ることが出来たはずです。

 解答手順としては、決算整理事項の全取引の仕訳を下書き用紙に書き出した上で、それらを集計して精算表の修正記入欄に反映させ、損益計算書欄と貸借対照表欄を完成させるのが一番良いと思います。

 なお、仕訳を頭の中で考えて、そのまま解答用紙の精算表の修正記入欄に書きこんでいくという上級テクニックもありますが、3級受験時にマスターするのはかなり大変ですので、無理に挑戦する必要はありません。まずはひとつひとつの取引を確実に処理することを最優先にして取り組んでください。

決算整理事項その他

(1)
(借)現金過不足 500
 (貸)受取手数料 400
 (貸)雑益 100
(2)
(借)旅費交通費 18,500
(借)当座預金 1,500
 (貸)仮払金 20,000
(3)
(借)貸倒引当金繰入 3,600
 (貸)貸倒引当金 3,600
(4)
(借)有価証券評価損 6,000
 (貸)売買目的有価証券 6,000
(5)
(借)仕入 31,000
 (貸)繰越商品 31,000
(借)繰越商品 23,000
 (貸)仕入 23,000
(6)
(借)消耗品 680
 (貸)消耗品費 680
(7)
(借)減価償却費 81,000
 (貸)建物減価償却累計額 36,000
 (貸)備品減価償却累計額 45,000
(8)
(借)前払保険料 1,190
 (貸)支払保険料 1,190
(9)
(借)支払利息 900
 (貸)未払利息 900

 (1)の現金過不足については、貸借差額を雑益(または雑収入)勘定で処理するだけです。(2)の未記帳については、仮払金勘定を適切な勘定科目に振り替えます。なお、残額はただちに当座預金に預けいれているので、当座預金勘定の増加として処理します。

 (3)の貸倒れの見積もりについては、受取手形勘定や売掛金勘定の増減が無いのでそのまま計算するだけです。とっても簡単です。(4)の有価証券の期末評価、(5)の売上原価の算定についても特にひねりはありません。いつも通り計算するだけです。

 (6)の消耗品の処理については、解答用紙の残高試算表に「消耗品費 4,360」とあるので、購入時に費用処理する方法を採用していると判断し、決算期末時には未費消分(本問は680円)を消耗品勘定に振り替えます。

 (7)の減価償却については、簡単すぎるので割愛。(8)の保険料(費用)の前払いについては、8月1日に1年分の保険料2,040円を単発で支払っていますので、翌期の1月~7月の7か月分を前払いしていることになります。

 そこで、1か月あたりの保険料170円/月(=2,040円÷12か月)を算出したうえで、7か月分の保険料1,190円(=170円/月×7か月)を前払い処理します。

 なお、費用の前払いについては、本問のように単発で支払う場合と、第128回の第5問のように毎年支払う場合の2つのケースがありますので、両者を混同しないように気をつけてください。

 (9)の利息(費用)の未払いについては、4月1日~12月31日までの9か月分が未払いとなっているので、1か月あたりの利息100円/月(=60,000円×2%÷12か月)を算出したうえで、9か月分の利息900円(=100円/月×9か月)を未払い計上します。

まとめ

全体的な難度に関するアンケート結果

 アンケート結果を見る限りでは、個別で見ても全体で見てもかなり易しかったようです。前回同様、高い合格率になるのは間違いなさそうで、きちんと勉強した人が順当に合格できる超ラッキーな試験回だったと思います。

 日商簿記検定3級の勉強法については、「テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら過去問・予想問題を購入して典型論点の問題をこなしておく」という王道的なスタイルできちんと勉強すれば、よっぽどのことがない限り短期&1発合格できますので、地道にコツコツ勉強するようにしてください。

 なお、過去問・予想問題を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように毎回工夫すること」の2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているか毎回チェックし、下書き用紙については捨てずに解答用紙に挟んでおいて、前回のものと比べられるようにしておいてください。



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