日商簿記検定2級 第127回総評(過去問分析)

第1問 今回もやっぱり仕訳問題!きちんと対策していれば満点取れたはず!

第1問の難度アンケート結果

 第1問は今回もスタンダードな【仕訳】問題でしたが、ひとつひとつの問題を考えていく前に、基本的な解き方をもう一度確認してください。

  1. 問題文を読んで、問題用紙の余白部分に仕訳を切る
  2. 仕訳の勘定科目が問題文で列挙されているか確認する
  3. ない場合は代替できる勘定を探す(例・火災未決算→未決算など)
  4. 解答用紙に仕訳を写す
  5. 解答用紙の勘定科目と問題文で列挙されている勘定科目を再チェックする

 第128回試験以降も、第124回試験の「現金預金」勘定のように意表をついた勘定科目で答えさせられる可能性がありますし、上記の解答手順は試験時にいきなりやろうと思っても無理ですので、練習時から基本的な解き方を常に心がけるようにしてください。


 問1増資時の新株発行に関する問題は、「増資のために要した手数料」を支払手数料勘定ではなく、株式交付費勘定で処理できるかどうかがポイントになります。とても簡単な問題です。

 問2特殊商品売買(割賦販売)に関する問題は、問題文の「当社は割賦販売において、販売基準を採用している」から、割賦金回収時ではなく販売時に売上を計上すること、また、割賦売掛金勘定ではなく売掛金勘定を使って仕訳を切ること、の2点がポイントになります。

 なお、第1問で割賦販売の仕訳が問われる可能性はあまり高くありませんので、本問(販売基準)と第103回の問2(回収基準)を押さえておけば十分だと思います。

 問3企業買収に関する問題は、問題文の「商品3,000,000円」の処理がポイントになります。企業買収や企業合併で商品を受け入れる場合、期中であれば仕入勘定を、期末であれば繰越商品勘定を使って仕訳を切るのが一般的ですが、本問の場合、列挙されている勘定科目の中に繰越商品勘定がありませんので、仕入勘定を使って仕訳を切ると判断することになります。

 問4社債の発行に関する問題は、第120回の問4と同じような問題でしたので、きちんと過去問対策をしていた方にとってはボーナス問題になりました。

 社債については、発行に関する問題よりも償還に関する問題の方が出題頻度が高い傾向にありますので、発行に関しては本問の復習程度に留めておいて、社債の償還に関する問題(満期償還・買入償還)の復習に時間を割くようにしてください

 問5法人税等に関する問題は、問4同様、過去問と同じような問題でしたので、きちんと過去問対策をしていた方にとってはボーナス問題になりました。

 日商簿記検定2級の第1問で出題される法人税等に関する仕訳問題は、必ず中間納付が絡んできますので、実際に中間納付時の仕訳を書き出してみると簡単に解くことが出来ます。


 今回の仕訳問題は、問1・問4・問5は絶対に正解しなければいけないレベルの問題で、問2・問3は少なくとも1問は正解しなければいけないレベルの問題でしたので、簿記検定ナビの仕訳問題対策できちんと対策していれば、少なくとも16点は取れたと思います。

第2問 スタンダードな帳簿組織の問題!一部当座取引の処理がポイント!

第2問の難度アンケート結果

 第2問は【帳簿組織】からの出題でした。具体的な解き方としては、11月中の普通仕訳帳&特殊仕訳帳に記入された取引の仕訳を下書き用紙に全部書き出して、次に二重仕訳部分を除外する作業をしたうえで、除外されずに残ったものを集計して解答用紙の残高試算表に書き込んでいきます。

第2問・帳簿組織の下書き1
第2問・帳簿組織の下書き1

①全ての仕訳を(下書き用紙に)切る

 まず、下書き用紙を横長の状態にして4つの区分に区切ってください。左から【普通仕訳帳に記入された仕訳】【当座預金出納帳に記入された仕訳】【仕入帳および売上帳に記入された仕訳】【受取手形記入帳および仕入手形記入帳に記入された仕訳】という順番になります。

第2問・帳簿組織の下書き2
第2問・帳簿組織の下書き2

 次に、普通仕訳帳と特殊仕訳帳に記入された取引の仕訳を下書き用紙に全て書き出しますが、この際にいくつかルールがありますので、それを守って書き出してみてください。ルールは以下の通りです。


  1. 特殊仕訳帳(本問では当座預金出納帳・売上帳・仕入帳・受取手形記入帳・支払手形記入帳)に記入される仕訳のうち、普通仕訳帳を通さずに総勘定元帳に個別転記する勘定についてはアンダーラインを付す。これは個別転記分と合計転記分を分けて解答する問題に対応するためのルールですが、本問のように分類する必要のない簡単な問題でもきちんと分類するクセをつけておくと、帳簿組織に関する理解も深まりますし、上位資格の勉強をする際にも役に立ちます。
  2. 普通仕訳帳と特殊仕訳帳に記入される仕訳のうち、他の特殊仕訳帳の親勘定となる勘定については二重仕訳を回避するために()で括る。一部当座取引の二重仕訳となる勘定も同じく()で括る
  3. 仕訳を書き出していく際には、諸口勘定を使わずに、内訳をきちんと書く。本問ですと、当座預金出納帳の借方の受取手形・売買目的有価証券・土地・固定資産売却益、貸方の支払手形・売買目的有価証券・給料・支払家賃のことです。

 上記のルールに沿って書き出していくと、冒頭で紹介した私の下書きが出来上がるはずです。なお、11月19日の「手形の割引」に関する仕訳と、11月25日の「有価証券の売却」に関する仕訳は一部当座取引に該当しますので、見落とさないように注意してください。

 一部当座取引の記帳方法に関しては、「取引を分解する方法」や「取引を擬制する方法」や「取引全体を普通仕訳帳に記帳する方法」などがありますが、受験簿記では十中八九、二重仕訳が生じる「取引全体を普通仕訳帳に記帳する方法」で出題されますので、考え方や処理方法を必ずマスターしておいてください。

②二重仕訳を把握する

 下書き用紙に仕訳を切ったら、次は二重仕訳を把握するための作業を行うことになります。私の場合は、下書き用紙右側部分のような図を書いて二重仕訳を把握するようにしていますが、正確に二重仕訳を把握できる方法であれば、もちろん他の方法でも構いません。

 普通仕訳帳と当座預金出納帳に関する二重仕訳(本問では73,500円の部分)を忘れてしまう人が多いので、拾い漏れの無いように細心の注意を払うようにしてください。

③二重仕訳を除外する

 ②で把握した二重仕訳を除外する作業を行います。例えば、仕入帳と支払手形記入帳にまたがって二重仕訳されている金額は46,000円ですので、集計しないように【仕入帳の支払手形勘定】と【支払手形記入帳の仕入勘定】をカッコで囲んで目立たせておきます。

  • 普通仕訳帳⇔当座預金出納帳
  • 当座預金出納帳⇔仕入帳
  • 当座預金出納帳⇔売上帳
  • 仕入帳⇔支払手形記入帳
  • 売上帳⇔受取手形記入帳

 なお、この作業に関しては「①全ての仕訳を(下書き用紙に)切る」ときにまとめて行っても構いません…と言いますか、まとめて処理しておいて集計前のこの段階でもう一度見直すほうが、見落としや勘違いなどのケアレスミスが少なくなるのでおすすめです(管理人もそうしています)

④残ったもの(カッコで囲まれなかった勘定)を集計する

 最後に、カッコで囲まれなかった勘定(アンダーラインを付した勘定も含む)を集計して残高試算表に金額を記入していきます。

 この作業に関しては、ひたすら集計していくだけですのでテクニカルなポイントはありませんが、集計した勘定には必ず打ち消し線を引くなどといった自己ルールを決めて、拾い漏れの無いようにしてください。

第3問 新形式の本支店会計!でもね、いつも通りの下書きでいいんですよ。

第3問の難度アンケート結果

 第3問は【本支店会計】からの出題でしたが、いつもと違う形で出題されましたので、問題を解き始める前から心が折れてしまった方も多かったようです。アンケートも「やや難しかった」「かなり難しかった」が80%以上となっています。

 ただ、簿記検定ナビの過去問分析ページで何度も紹介している「いつもの下書き」で解き進めていけば、なんだかんだで半分以上取れる問題です。今回は、下書きの書き方を一から順番に説明していきますので、下書きの書き方が固まっていない方はぜひ参考にしてください。

 なお、本支店会計の下書きの書き方については、第117回過去問分析第123回過去問分析第125回過去問分析ページでも、管理人の下書き画像付きで解説しています。

第3問・本支店会計の下書き1
第3問・本支店会計の下書き1

 まず、本店の支店勘定・支店へ売上勘定、支店の本店勘定・本店から仕入勘定を書きます。金額は資料1の残高試算表から拾ってきてください。また、その下あたりに「商品の流れ」を関係図で把握しておくと良いと思います。

第3問・本支店会計の下書き2
第3問・本支店会計の下書き2

 次に、資料2の未達事項を処理するんですが、頭の中で仕訳を切って、上記の4つの勘定(本店・支店・支店へ売上・本店から仕入)についてはそのまま勘定に書き込んで、それ以外については資料1の残高試算表に書き込むようにしてください。

 具体的には、1については支店の「本店から仕入」勘定と「本店」勘定にそのまま金額を書き込むんですが、このときに資料3の期末商品棚卸高の10,800円・4,800円という金額の上にも「+1,200」と書いておくと、商品BOXの金額を埋めるときに集計漏れの心配がなくなるのでおすすめです。

 2については本店の「支店」勘定に金額を書き込み、現金の増加は資料1の残高試算表の現金(本店の14,000)の右あたりに「+800」と書きます。3については、支店の「本店」勘定に金額を書き込み、売掛金の減少は資料1の残高試算表の売掛金(支店の20,000)の右あたりに「-2,000」と書き込みます。

 未達事項の処理が全て終わったら、最後に「本店⇔支店」「支店へ売上⇔本店から仕入」の金額が合っているかチェックします。

 この金額が合っていれば未達事項の処理がきちんと出来ているという証拠になりますし、「支店へ売上⇔本店から仕入」の金額は商品BOXを書くときにも使いますので、チェックを忘れないようにしてください。

第3問・本支店会計の下書き3
第3問・本支店会計の下書き3

 未達事項の処理が終わったら、次は商品BOXの金額を埋めていきます。金額自体は資料1の残高試算表や資料3の期末商品棚卸高から引っ張ってくるだけなんですが、「本店の支店売上の金額」と「支店の本店仕入の金額」は、上で導き出した142,800円を使いますので141,600円や142,800円を使わないように注意してください。

 商品BOXの空欄を全て埋めたら、売上総利益までの合併P/Lの作成に移ります。売上・当期商品仕入高については外部売上・外部仕入のみを集計する点、期首商品棚卸高・期末商品棚卸高は内部利益を控除する点に気をつけてください。


 ここまでがいつもの下書きになりますが、この時点で問題(1)の売上・支店へ売上・内部利益戻入・仕入・内部利益控除の金額、問題(2)の売上高・売上原価・商品の金額を埋めることが出来ますので、おそらくこれだけで10点ぐらい取れるはずです。

 あとは、資料3の2~7の決算整理事項の仕訳を切って、本店の損益勘定を分かるところからどんどん埋めていってください。問題(2)の売掛金の金額も埋めることが出来ますので、ここまで解答すれば14点前後の得点になると思います。本問についてはこれで万々歳です。

 なお、問題(1)の借方の繰越利益剰余金勘定と貸方の支店勘定、問題(2)の繰越利益剰余金勘定には金額が入らないと思いますが、これらについては支店の損益勘定を作成しなければ算定できませんので、あえて算定する必要はありません(上位資格でもこの部分は捨てるのが一般的です)

 本問は一見難しいように見えますが、いつも通り下書きを書いて、分かる部分からどんどん金額を埋めていくようにすれば、なんだかんだで点数が取れる問題です。

第4問 個別原価計算の問題!直接作業時間の算定がポイントになります!

第4問の難度アンケート結果

 第4問は【個別原価計算】からの出題でしたが、本問はまず「直接労務費の金額」と「実際賃率」を使って直接作業時間を算定するという点に気づくことが出来るかどうかがポイントになります。

 若干処理が面倒くさいものの、難度的には普通レベルの問題ですので、ここで満点近くの点数を稼いで合格に王手をかけたいところです。

 なお、具体的な解答手順は以下のようになります。その下に管理人の下書きも載せておきますので、下書きの書き方が固まっていない方は参考にしてください。

  1. 各製造指図書の直接作業時間を算定する
  2. 各製造指図書の製造間接費を算定する
  3. 各製造指図書の期首・期末の状態を考える
  4. 金額を集計して解答用紙に書き込む
第4問・個別原価計算の下書き
第4問・個別原価計算の下書き

 上記の下書きだけで全ての解答欄を埋めることが出来ます。無駄な下書きは時間を浪費するだけでなくケアレスミスの要因にもなりますので、なるべくシンプルに書くようにしてください。

第5問 2回連続で標準原価計算…ただ、問題自体は簡単です!

第5問の難度アンケート結果

 第5問は【標準原価計算】からの出題でした。まさかまさかの2回連続で、第3問の本支店会計と同様に面食らってしまった方も多かったようですが、(1)の標準原価カード作成と、(2)の原価要素別の差異の把握はいたって簡単な部類の問題になりますので、確実に点数を取っておきたいところです。

第5問・標準原価計算の下書き
第5問・標準原価計算の下書き

 (1)(2)については、問題の資料から金額や数字を拾ってくるだけですので特に問題ないと思いますが、(2)の解答にはきちんと「借方」「貸方」と書くようにしてください。指示を守らずに「借」「貸」としか書かなかった方が結構いらっしゃいました。

 (3)(4)については、「完成品換算総量」というキーワードがネックになったかと思いますが、これは「完成品に換算すると全部でどれだけの量になるんだ、おいっ。」ってことですので、商品BOXの左側部分の数字に標準消費量(10kg)・標準直接作業時間(5時間)をそれぞれ掛けあわせて計算すれば答えを導き出すことが出来ます。

  • 完成品換算総量に対する直接材料費の標準消費量 400個×10kg/個=4,000kg
  • 完成品換算総量に対する直接労務費の標準直接作業時間 390個×5時間/個=1,950時間

 なお、本問は仮に「完成品換算総量」の意味が分からなくて(3)(4)を落としてしまったとしても、(1)(2)で16点前後の点数が取れていればそれでOKです。

まとめ

全体的な難度に関するアンケート結果

 今回の試験は、新形式で出題された第3問の本支店会計と、まさかまさかの2回連続出題となった第5問の標準原価計算が合否を分ける問題になりますが、この2問に関しては20点満点を取る必要は全くなくて、簡単な箇所でどれだけ点数を稼げたかどうかが大きなポイントになります。合格するためには、この2問で少なくとも25点以上は欲しいところです。

 あと、前回の第126回試験の特殊商品売買の問題の後半部分もそうだったんですが、解答するのに多くの時間を割かなければいけない問題は思い切って捨てるようにしてください。

 今回の本支店会計の問題でいいますと、支店損益・繰越利益剰余金の金額がこれに該当しますが、固執してドツボに嵌ってしまうのが一番怖いので、「時間がかかりそうだな」と思ったら深入りせずに、別の簡単な問題から優先して解くように心がけてください。

 日商簿記検定2級には各科目の足きり制度はなく、合計で70点以上取れれば合格できる試験ですので、「取れるところから取る!」ということを試験時だけでなく練習時にも常に意識して問題を解くようにしてください。「木を見て森を見ず」は絶対にダメです。


 新形式の問題については、第126回の第2問(特殊商品売買)、第127回の第3問(本支店会計)と立て続けに出題されましたので、第128回試験でも新形式の問題が出題される可能性は十分にあります。

 ただ、事前に予想して対策を講じるのは費用対効果の面で現実的ではありませんので、運悪く出題されてしまった場合には、とにかく諦めずに部分点を積み上げていくようにしてください。

 勉強法については、「テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら過去問・予想問題を購入して典型論点の問題をこなしておく」という王道的なスタイルできちんと勉強すれば、普通に短期&1発合格できますので、奇をてらわずに地道に勉強するようにしてください。

 なお、過去問・予想問題を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように工夫すること」の以上2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているかチェックするようにしてください。下書き用紙については捨てずに解答用紙に挟んでおき、前回のものと比べられるようにしておいてください。



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