日商簿記検定3級 第126回総評(過去問分析)

第1問 今回も仕訳問題!過去問対策をきちんとやれば満点が取れた問題です!

アンケート画像1

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。5問とも過去に似たような形式の問題が出題されていましたので、過去問対策をきちんとやっていれば十分満点が狙える回だったと思います。それではまず、仕訳問題の解答手順をもう一度確認してから個々の問題を考えていきましょう。

  1. まずは勘定科目を見ずに頭の中で解答の仕訳をイメージする
  2. イメージした仕訳の勘定科目が問題文で列挙されているか確認する
  3. ない場合は代替できる勘定を探す(例・立替金→従業員立替金など)
  4. 解答用紙に仕訳を書く
  5. 解答用紙の勘定科目と問題文で列挙されている勘定科目を再チェックする

 上記の解答手順は試験時にいきなりやろうと思っても無理ですので、練習時から基本的な解き方を常に心がけるようにしてください。


 問1前払金に関する問題は、簡単すぎて特にコメントすることはありません。

 問2小口現金に関する問題は、「支払報告と小口現金を補給が同時だったかどうか」と「勘定科目の選択肢に「小口現金」勘定があるかどうか」の2つのステップで考えることになります。小口現金に関する問題は、毎回この2つのステップで考えるようにすれば、どんな問題にも対応できますのでおすすめです。

 問3立替金に関する問題は、立替時の仕訳を正確にイメージできるかどうかがカギになります。勘定科目については、問題文の選択肢に「従業員立替金」勘定しかありませんので、「立替金」勘定を使って仕訳を切らないように気をつけてください。

 問4有価証券の売却・未収金に関する問題は、問1と同様、簡単すぎて特にコメントすることはありません。

 問5資本の引き出しに関する問題は、「引出金」勘定ではなく「資本金」勘定を使って仕訳を切る点に気をつけるだけです。

 なお、各問の詳細な解説に関しては、仕訳問題対策のほうで個別にまとめましたので、必要に応じてご覧いただければと思います。

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第2問 大方の予想通り補助簿の選択に関する問題でした!

アンケート画像2

 第2問は【帳簿組織】の補助簿の選択に関する問題でしたが、試験前に無料でお配りした簿記検定ナビオリジナルの本試験予想問題でもガッツリ出題した論点ですし、他の専門学校でも今回の「本命」としてピックアップしていた論点ですので、きちんと対策していた方にとってはボーナス問題になったと思います。

 具体的な解き方としては、各取引の仕訳を切って、どの帳簿に記入されるのかひとつひとつ判断していくだけです。本問は、商品有高帳の取り扱いがカギになりますので、その点に気をつけて解答するようにしてください。

5日の取引

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 412,000 支払手形
買掛金
現金
250,000
150,000
12,000

 借方の「仕入」に関しては、仕入帳に記入するとともに商品の受け払いを記入する商品有高帳にも記入することになります。貸方の「支払手形」に関しては支払手形記入帳に、「買掛金」に関しては買掛金元帳に、「現金」に関しては現金出納帳にそれぞれ記入することになります。

解答:仕入帳・商品有高帳・支払手形記入帳・買掛金元帳・現金出納帳

12日の取引

借方科目 金額 貸方科目 金額
受取手形
売掛金
発送費
300,000
220,000
15,000
売上

当座預金
520,000

15,000

 借方の「受取手形」に関しては受取手形記入帳に、「売掛金」に関しては売掛金元帳に記入することになります。貸方の「売上」に関しては売上帳に記入するとともに商品の受け払いを記入する商品有高帳にも記入することになります。また、「当座預金」に関しては当座預金出納帳に記入することになります。

解答:受取手形記入帳・売掛金元帳・売上帳・商品有高帳・当座預金出納帳

17日の取引

借方科目 金額 貸方科目 金額
売上 30,000 売掛金 30,000

 売上値引の仕訳については、掛け売上の逆仕訳を切るだけですので特に問題ないと思います。借方の「売上」に関しては売上帳に、貸方の「売掛金」に関しては売掛金元帳に記入することになります。ただ、「売上値引は商品売買に関する取引だから、商品有高帳にも記入す…」と考えてしまった方は要注意です。

 「仕入戻し・仕入値引・売上戻り・売上値引」のうち、商品有高帳に記入する必要があるのは「仕入戻し・仕入値引・売上戻り」だけです。売上値引は売価を修正するだけですので、商品有高帳に記入することはありません。本問は、補助簿の選択問題の典型論点になりますので、間違えてしまった方はもう一度テキストに戻って商品有高帳の記入方法を復習しておいてください。

解答:売上帳・売掛金元帳

20日の取引

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 250,000 売掛金 250,000

 借方の「仕入」に関しては、仕入帳に記入するとともに商品の受け払いを記入する商品有高帳にも記入することになります。貸方の「売掛金」に関しては売掛金元帳に記入することになります。

解答:仕入帳・商品有高帳・売掛金元帳

27日の取引

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 130,000 売掛金
前受金
100,000
30,000

 まず、仕訳に関してですが、問題文の「送金小切手で送られてきた」という一文で止まってしまった方がいらっしゃるかもしれませんが、送金小切手というのは通貨代用証券の一種で、簿記上では現金として処理することになります。なお、借方の「現金」に関しては、現金出納帳に記入することになります。貸方の「売掛金」に関しては売掛金元帳に記入することになります。

解答:現金出納帳・売掛金元帳

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第3問 二重取引の処理がポイントになる試算表作成問題です!

アンケート画像3

 第3問は予想通り【試算表作成問題】でした。問題文で与えられた10月31日の残高試算表に11月中の取引を反映させて、11月30日における残高試算表を作成するというスタンダードな問題ですが、11月中の取引が日付ごとではなくて種類ごとに分類されていますので、一部取引が二重になっていることをきちんと読み取れたかどうかがポイントになります。

 具体的な解答手順としては…本問については様々な解き方が考えられますが、個人的には「下書き用紙に全ての取引の仕訳を切った上で、二重取引を考慮して集計する方法」がベストだと思いますので、まずは下書き用紙に全ての取引の仕訳を書いてください。

 なお、仕訳を切る際に「現金に関する取引」「当座預金に関する取引」「仕入に関する取引」「売上に関する取引」「その他の取引」をきちんと分けて書いておくと、集計時の二重取引のピックアップ作業が楽になりますので、下の管理人が実際に問題を解く際に書いた下書き画像を参考にして書いてください。

下書き画像1

 上記の個別の仕訳に関しては特に問題ないと思いますが、(2)h.の「給料の支払額 116,000円」というのは、所得税源泉徴収額4,000円を差し引いた後の金額ですので、借方に計上する給料勘定の金額は116,000円+4,000円=120,000円となります。

 また、(5)b.の「仕入先から振り出された当店あての為替手形の引受高 150,000円」については、当店あての為替手形を引き受けたことにより、仕入先に対する買掛金が減る代わりに手形の支払い義務が新たに発生しますので、上記のような仕訳を切ることになります。


 それでは次に集計に移りますが、現金勘定・当座預金勘定・仕入勘定・売上勘定については、一部が二重に計上されている可能性がありますので、上記の4勘定についてはそれぞれの欄に計上されている金額のみを集計するようにしてください。

 具体的には…例えば現金勘定であれば、「(1)現金に関する取引」で切った仕訳から現金勘定を集計して、(2)(3)(4)(5)に計上されている、いわゆる二重取引に該当する現金勘定については集計時に無視することになります。ちなみに、実際に電卓で集計してみますと、730,000円-80,000円(a)-100,000円(b)+30,000円(c)-71,000円(d)-4,000円(e)+150,000円(f)=655,000円という感じになります。

下書き画像2

 あとは、現金勘定と同じように当座預金勘定・仕入勘定・売上勘定を集計していくだけです。この方法ですと、全ての仕訳を切った後に、簡単なルールに従って機械的に集計するだけで二重取引を排除することが出来ます。なお、その他の勘定科目については普通に集計するだけですので特に問題ないと思います。

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第4問 伝票会計に関する非常に簡単な問題でした!

アンケート画像4

 第4問は【伝票会計】に関する問題でした。解答用紙の入金伝票・出金伝票・振替伝票から3伝票制を採用していることが分かりますので、各取引の仕訳を切って、入金・出金部分をその他部分と切り分けて伝票に記入していくだけのボーナス問題です。

まずは仕訳を考える
借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却累計額
現金
固定資産売却損
360,000
50,000
90,000
備品 500,000
→現金の増加については入金伝票に記入する
現金 50,000 備品 50,000
→その他については振替伝票に記入する
減価償却累計額
固定資産売却損
360,000
90,000
備品 450,000

 なお、本問は第1問のような勘定の指定がありませんので、「減価償却累計額」は「備品減価償却累計額」でもOKですし、「固定資産売却損」は「備品売却損」でもOKです。また、振替伝票の勘定科目は上下が逆になってもOKです。


まずは仕訳を考える
借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 300,000 現金
前払金
買掛金
100,000
100,000
100,000
→現金の減少については出金伝票に記入する
仕入 100,000 現金 100,000
→その他については振替伝票に記入する
仕入 200,000 前払金
買掛金
100,000
100,000

 問1と同様に、振替伝票の勘定科目は上下が逆になってもOKです。

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第5問 スタンダードな精算表作成問題。満点を狙える問題です!

アンケート画像5

 第5問はスタンダードな【精算表作成問題】でした。[決算日に判明した事項]の処理が少し難しかったかもしれませんが、逆に[決算整理事項]の処理については非常に簡単なレベルのものばかりでしたので、過去問対策をきちんとやっていれば満点近くの点数が取れたのではないでしょうか。

決算日に判明した事項
借方科目 金額 貸方科目 金額
(1) 広告宣伝費 18,000 現金過不足 18,000
(2) 現金
旅費交通費
3,000
17,000
仮払金 20,000
(3) 仮受金 40,000 売掛金
前受金
30,000
10,000
(4) 当座預金 50,000 受取手形 50,000
決算整理事項
借方科目 金額 貸方科目 金額
(1) 仕入
繰越商品
319,000
368,000
繰越商品
仕入
319,000
368,000
(2) 貸倒引当金繰入 11,300 貸倒引当金 11,300
(3) 減価償却費 159,000 建物減価償却累計額
備品減価償却累計額
54,000
105,000
(4) 売買目的有価証券 16,000 有価証券評価益 16,000
(5) 現金過不足 11,000 雑益 11,000
(6) 消耗品費 55,000 消耗品 55,000
(7) 前払保険料 48,000 支払保険料 48,000
(8) 未収地代 30,000 受取地代 30,000
(9) 給料 45,000 未払給料 45,000

 なお、現金過不足に関しては、[決算日に判明した事項]の(1)でいったん貸方に18,000円を計上した上で、[決算整理事項]の(5)において借方に貸借差額の11,000円を計上するという2ステップで相殺消去していますが、[決算日に判明した事項]の(1)の処理時に借方残高の7,000円を貸方に計上して1ステップで相殺消去しても問題ありません。また、「雑益」勘定は「雑収入」勘定でもOKです。

 仕訳の集計に関しては特に問題ないと思いますが、効率よく解くために自分なりにいろんな工夫をしてください。例えば、貸倒引当金に関する仕訳を切る際には、先に受取手形および売掛金の期末残高を算定する必要がありますが、解答用紙の貸借対照表欄の受取手形の金額(=219,000円)と売掛金の金額(=401,000円)を記入したついでに、両者の金額を電卓で足し合わせて620,000円を算定し、それに貸倒設定率4%を掛け合わせて一気に貸倒引当金の期末残高(620,000円×4%=24,800円)まで算定・記入してしまいます。

 さらに、「残高試算表に計上されている貸方残13,500円」を「貸方残24,800円」にするためには、貸方に11,300円を計上すればよいわけですから、貸倒引当金の修正記入欄の貸方に11,300円を記入するとともに、貸倒引当金繰入の修正記入欄の借方に11,300円を記入して、そのまま損益計算書欄にも同額を移記することになります。

 このように、一気に計算・記入できるところはまとめて処理するようにすると、解答時間の短縮にもなりますし、ケアレスミスの防止にもなりますので一石二鳥です。

下書き画像3

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まとめ

アンケート画像6
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 今回は新形式の問題もなく、大方の予想通りの出題になりましたので、かなり高めの合格率になると思います(注:総評作成時点ではまだ公表されていません)日商簿記検定3級の勉強法については、「テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら過去問・予想問題集を購入して典型論点の問題をこなしておく」という王道的なスタイルできちんと勉強すれば、合格可能性が飛躍的に上がると思います。

 なお、過去問を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように工夫すること」の以上2点に気をつけてください。計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているかチェックするようにしてください。下書き用紙については捨てずに解答用紙に挟んでおき、前回のものと比べられるようにしておいてください。



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