日商簿記検定3級 第124回総評(過去問分析)

第1問 仕訳問題はとにかく過去問対策!満点欲しけりゃ過去問対策!

 第1問は今回もスタンダードな【仕訳】問題でした。特に難しい問題はありませんでしたので、ぜひとも満点(20点)を狙いたいところです。なお、各問題の詳しい解説は仕訳問題対策に掲載しておりますので、そちらの方もご覧ください(問1問2問3問4問5


 問1の商品券の授受に関する問題は、第120回の問2とほとんど同じ問題でしたので、きちんと過去問対策をしていればすんなり正答に辿り着けたと思います。簿記3級の商品券に関しては、本問(商品券の授受)と第114回の問題(商品券の精算)が解ければ十分だと思います。

 問2の仕入取引に関する問題は、【裏書手形に関する仕訳】【小切手振出しに関する仕訳】に分けて考えると分かりやすいです。それぞれの仕訳自体はとても簡単ですので、問1同様に取りこぼしの無いようにしたい問題です。

 問3の前受金に関する問題は、仮受金と前受金の区別ができたどうかがポイントになりますが、第108回の問2でもほとんど同じ問題が出題されていましたので、過去問対策が出来ていればただのボーナス問題だったと思います。

  • 仮受金…なんのためのお金か分からないまま(とりあえず仮に)受け取った場合に計上する勘定
  • 前受金…なんのためのお金か分かっていて(取引の前に)受け取った場合に計上する勘定

 目的がはっきりしていない場合は仮受金で、目的がはっきりしている場合は前受金と考えることも出来ます。本問は、問題文に「商品40,000円の注文を受け、手付金として…」とありますので、前受金勘定を使って処理することになります。

 問4の仮払金に関する問題は、「仮払した際の仕訳を考えてみる」ことがポイントになります。慣れるまでは実際に下書き用紙に書き出してみるといいと思いますが、慣れてきたらなるべく頭の中で仕訳をイメージして解答できるようにしておいてください。

 第119回の問4でもほとんど同じ問題が出題されていましたので、過去問対策が出来ていればただのボーナス問題だったと思います。

 問5の有価証券の購入に関する問題も、第119回の問4とほとんど同じような問題で、特にひねりもなく簡単な問題でした。コメントすることは特にありません。


 第1問の仕訳問題は、過去問と似たような問題が繰り返し出題される傾向にあり、今後もこの傾向は続いていくものと考えられますので、必ず過去問対策を行うようにしてください。特に、今回の問題はは過去問をきちんとやっていれば間違いなく満点(20点)が取れるレベルの問題だったと思います。

第2問 帳簿組織の仕訳問題でした!封筒は通信費?消耗品費?

 第2問は、【帳簿組織の仕訳】に関する問題でした。流れとしては、問題文で与えられた小口現金出納帳を使って、1週間の間に発生した諸費用を把握し、費用相当額だけまた小口現金を追加補充するといった感じになると思います。

 解答手順としましては、まず10月5日の当座預金から小口現金に振り替えた仕訳から切ることになりますが、これについては特に問題ないと思います。

10月5日の仕訳
(借)小口現金 40,000
 (貸)当座預金 40,000

 次に、10月10日の仕訳を切ることになりますが、諸費用の分類が少し難しかったように思います。

 中でも【封筒】に関しては、通信費なのか消耗品費なのか判断が難しかったかもしれませんが、封筒は手紙を入れるだけでなく書類などの入れ物としても使われますので、通信費ではなく消耗品費として処理することになります。

10月10日の仕訳
(借)交通費 5,900
(借)通信費 12,400
(借)消耗品費 3,700
(借)雑費 6,200
 (貸)小口現金 28,200

 最後に10月13日の仕訳を切ることになりますが、これは10日の仕訳で減った小口現金勘定の金額を補充するだけですので、特に問題はないと思います。

 仮に封筒を通信費として処理してしまったとしても、小口現金からの支出総額に変わりはありませんから、5日と13日の仕訳に関してはきっちり得点したいところです。

10月13日の仕訳
(借)小口現金 28,200
 (貸)当座預金 28,200

 なお、「小口現金」勘定を「現金」勘定と書いたんですけどダメですか?という質問をいくつかいただきましたが、「現金」勘定や「当座預金」勘定と区別するためにわざわざ「小口現金」勘定を設定している訳ですから、「現金」勘定を使って仕訳を切った場合は、残念ながら不正解となります。

第3問 いつも通りの試算表作成問題。T勘定を使って効率的に解答しよう!

 第3問は今回も【試算表】の出題でした。平成21年12月31日の繰越試算表に、平成22年1月の月中取引を反映させて、平成22年1月末の残高試算表を完成させる問題でした。質・量ともに過去に出題された精算表作成問題と大差はありませんでしたので、きちんと過去問対策していれば満点が狙える問題でした。

 日商簿記検定3級の試算表作成の問題は、下書き用紙に仕訳を全部書き出した上で集計する方法でも良いのですが、短時間で効率よく解くためにはT勘定を使った解答方法をマスターしていただくのが一番です。

 頻出勘定(仕訳によく出てくる勘定)についてT勘定を設定し、その他の勘定については問題文で与えられている残高試算表の両端の余白に書き込んだり、解答用紙に直接書き込んでいく方法です。

T勘定に設定すべき勘定を考えてみよう

  • 必ず設定すべきT勘定:現金勘定、当座預金勘定、売掛金勘定、買掛金勘定、受取手形勘定、支払手形勘定、売上勘定、仕入勘定
  • 各自、必要に応じて設定するT勘定:保険料勘定、受取手数料勘定など

 それでは、解答手順について詳しく見ていきましょう。

 まず下書き用紙にT勘定を設定し、資料Ⅰで与えられている繰越試算表の数字をT勘定に反映(期首残高に金額を記入)させた後、資料Ⅱの月中取引の仕訳を頭の中で切って、T勘定を設定している勘定についてはT勘定に、設定していないものについては、資料Ⅰの繰越試算表の両端の余白または解答用紙に直接記入していくことになります。

 次に、資料Ⅱの月中取引を全て処理し終わったら、下書き用紙のT勘定を締め切り、各T勘定の残高を解答用紙に記入していきます。同様に、T勘定を設定していない勘定で、資料Ⅰの繰越試算表の両端の余白に書いていたものも忘れずに解答用紙に記入してください。

 下の画像は、管理人が実際に書いた下書き用紙ですので、興味のある方はご覧になってください。日商簿記検定3級の第3問の試算表作成の問題は毎回時間との勝負になりますので、必ずT勘定を使った方法で解けるように練習しておいてください。

第3問・試算表作成問題の下書き
第3問・試算表作成問題の下書き

第4問 勘定記入に関する問題!仕訳自体はめちゃ簡単です!

 第4問は【勘定記入】の問題でした。再振替仕訳→期中仕訳→決算整理仕訳→決算振替仕訳をきちんと理解出来ているかを問われた訳ですが、個人的には簿記一巡の流れを問う、なかなかいい問題だったと思います(受験生にとっては微妙だったかもしれませんが…)

第4問・勘定記入の下書き
第4問・勘定記入の下書き

 上の画像は管理人が問題を解く際に書いた仕訳ですが、ご覧のように仕訳自体は特に何のひねりもありませんので、この問題は正しく勘定記入できたかどうかがポイントになります。

 勘定記入は簿記の基本中の基本ですので、今さらテクニックも何もありませんが、見た目ほど難度が高い問題ではありませんし、最近は勘定記入の問題がよく出題されますので、これぐらいの問題は確実に出来るようにしておいてください。

第5問 B/SとP/Lを作成する問題!最近ちょくちょく出題されます!

 第5問は【財務諸表の作成】問題でした。質・量ともに平均的なレベルでしたが、未処理事項3のレジスターが2台になっていたり、ところどころで受験生をひっかけさせる罠が仕掛けてありました。

 最近の出題傾向としては、過去問と同じような問題をベースにしつつ、細かいところで受験生をひっかけようとしてきますので、本問のレジスターの部分なんかも該当箇所を読んだ時に、丸で囲むなりして目立たせておくようにすると見落としを防げると思います。

 それでは最後に、決算整理事項7の保険料について知識を整理しておきましょう。問題文に「保険料は、全額建物に対する火災保険料で、毎年同額を5月1日に12か月分として支払っている」とありますので、期首から順番に仕訳を確認していきます。

1月1日(期首)に関する仕訳
(借)保険料 54,000
 (貸)前払保険料 54,000
5月1日(保険料支払日)に関する仕訳
(借)保険料 162,000
 (貸)現金など 162,000
12月31日(決算期末)に関する仕訳
(借)前払保険料 54,000
 (貸)保険料 54,000

 まず去年の5月1日に12か月分の火災保険料を1年分支払っているわけですが、今年の1月1日から4月30日までの4か月分については前払いとなりますので、前期末に前払保険料を計上していることが分かります。よって、期首の1月1日に再振替仕訳を切る必要がありますので、上記のような仕訳を切ります。

 次は、5月1日の12か月分の保険料を支払ったという取引ですが、これはただ単に支払った金額の仕訳を切るだけです。よって、問題文で与えられている残高試算表の保険料216,000円というのは、①と②の仕訳の保険料の金額を足したものですから、この時点で16か月分の保険料が計上されていることになります。

 最後に、決算整理仕訳において、4か月分の前払いを認識しますが、これによって16か月分計上されていた保険料が12か月分に修正されますので、正しい数字が損益計算書に載ることになります。

まとめ

 第124回日商簿記検定3級の問題は、第2問の仕訳問題と第4問の勘定記入の出来が合否を分けそうな感じがしますが、個人的には、第1問の仕訳問題で満点が取れたかどうかがカギとなるような気がします。

 第1問で満点が取れれば、残り80点のうち50点を取れば合格できるわけですから、第2問以降で苦手な分野の問題が出題されたとしても、部分点狙いで十分対応できることになります。

 第5問については、今回のように財務諸表作成問題が出題されるケースが少しずつ増えてきていますので、精算表に絞るのではなく、本問や第120回の財務諸表作成問題などを使ってきちんと対策しておいてください。



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