日商簿記検定2級 第124回総評(過去問分析)

第1問 今回もやっぱり仕訳問題!過去問類似問題が多数出題されました!

 第1問は今回もスタンダードな【仕訳】問題でした。


 問1固定資産の改良と修繕に関する問題は、まず資本的支出と収益的支出を明確に区別するところから始めます。資本的支出に該当する金額については資産の増加を認識し、収益的支出に該当する金額については費用の発生を認識します。

 なお、修繕引当金を設定している場合は、収益的支出を費用処理する際に設定額を取り崩すことになりますので、全額費用処理してしまうことの無いように気をつけてください。

 問2特殊商品売買の受託販売に関する問題は、前受金が絡んだ一般売上がセットになっていましたので、過去に出題された受託販売の仕訳問題なんかと比べるとちょっと難度が高かったかもしれません。

 ただ、ひとつひとつの取引自体は難しくありませんので、【A商品の販売に関する仕訳】と【B商品の販売に関する仕訳】と【発送費に関する仕訳】の3つに分けて考えていけば、正解まで辿り着ける問題だったと思います。

 問3消費税に関する問題は、第104回の問3とほとんど同じような問題でしたので、きちんと過去問対策をしていた方にとってはボーナス問題になったはずです。

 日商簿記検定2級では、どちらかというと税込方式の方が出題頻度が高いのですが、税抜方式と対比して覚えると理解がより深まりますので、必ず両方とも出来るようにしておいてください。

 問4有価証券の購入に関する問題は、第102回の問3とほとんど同じような問題でしたので、問3と同様に、きちんと過去問対策をしていた方にとってはボーナス問題になったはずです。

 この問題で間違えるとしたら有価証券利息に関する部分になると思いますが、考え方や処理方法などについては仕訳問題対策ページで詳しく解説していますので、興味がある方はご覧ください(→第124回の問4

 問5固定資産の買換えに関する問題は、第106回の問5とほとんど同じような問題でしたが、出てくる勘定の数が多いので、細心の注意を払って仕訳を切る必要があります。


 今回の仕訳問題は、「現金預金」勘定にやられてしまった方が多かったようです。「現金預金」勘定を使って仕訳を切るべき問題は3問(問1・問2・問4)もありましたので、「現金預金」勘定を使わずに仕訳を切った時点でマイナス12点が確定してしまうことになります。

 試験の数日前に、簿記2級質問掲示板(→該当スレ)に、「第1問・仕訳問題のおすすめ解答法」を紹介していましたが、その方法で仕訳問題を解いていれば、今回のような致命的なミスをすることはなかったはずです。

 作問者のひっかけにまんまとひっかかってしまった方は、もう一度、基本的な解き方をマスターする必要がありますが、試験時にいきなりやろうと思っても無理ですので、練習時から以下の各ステップを常に心がけるようにしてください。

  1. まずは勘定科目を見ずに頭の中で解答の仕訳をイメージする
  2. イメージした仕訳の勘定科目が問題文で列挙されているか確認する
  3. ない場合は代替できる勘定を探す(例・火災未決算→未決算など)
  4. 解答用紙に仕訳を書く
  5. 解答用紙の勘定科目と問題文で列挙されている勘定科目を再チェックする

第2問 普通仕訳帳と特殊仕訳帳を基に、残高試算表を作成する問題でした!

 第2問は【帳簿組織】からの出題でした。具体的な解き方としては、11月中の普通仕訳帳&特殊仕訳帳に記入された取引の仕訳を下書き用紙に全部書き出して、次に二重仕訳部分を除外する作業をしたうえで、除外されずに残ったものを残高試算表に集計していきます。

第2問・帳簿組織の下書き
第2問・帳簿組織の下書き

①全ての仕訳を(下書き用紙に)切る

 まず、普通仕訳帳と特殊仕訳帳に記入された取引の仕訳を下書き用紙に全て書き出しますが、この際に注意していただきたいのは、普通仕訳帳に記入されている【受取手形を割り引いた取引】の部分です。

 借方に当座預金がきて、貸方に受取手形がくることになりますが、この仕訳を切った時に「あ、当座預金出納帳にも重複して仕訳が切られているはずだから、他の受取手形の回収分と区別する必要があるな」と判断しなければいけません。

 この判断が出来ないと、当座預金出納帳の受取手形欄合計の58,000円をそのまま書いてしまうことになりますので、数字が合わなくなってしまいます。58,000円のうち14,070円については二重仕訳分になりますので、集計時に14,070円と残額の43,930円を分けて仕訳を切る必要があります。

②二重仕訳を把握する

 下書き用紙に仕訳を切ったら、次は二重仕訳を把握するための作業を行うことになります。私の場合は、下書き用紙右側部分のような図を書いて二重仕訳を把握するようにしていますが、正確に二重仕訳を把握できる方法であれば、もちろん他の方法でも構いません。

 普通仕訳帳と当座預金出納帳に関する二重仕訳を忘れてしまう人が多いですので、拾い漏れの無いように細心の注意を払うようにしてください。

③二重仕訳を除外する

 ②で把握した二重仕訳を除外する作業を行います。例えば、仕入帳と支払手形記入帳にまたがって二重仕訳されている金額は27,000円ですので、集計しないように【仕入帳の支払手形勘定】と【支払手形記入帳の仕入勘定】を四角で囲んで目立たせておきます。

④残ったもの(四角で囲まれなかった勘定)を集計する

 最後に、四角で囲まれなかった勘定を集計して残高試算表に金額を記入していきます。この作業に関しては、ひたすら集計していくだけですのでテクニカルなポイントはありませんが、集計した勘定には必ず打ち消し線を引くなどといった自己ルールを決めて、拾い漏れの無いようにしてください。

第3問 精算表の作成問題は、仕訳を正確に切れるかどうかがポイントです!

 第3問は【精算表作成】の問題でした。全体的な難度は普通レベルの問題でしたが、商品評価損や棚卸減耗損の処理が少し難しかったかもしれません。

 個人的には、簿記2級レベルで原価性を判断させる問題はちょっとどうなのかな…と思いますが、このような問題に遭遇した場合は、とにかく部分点を取る戦略に切り替えて、貪欲に1点ずつ積み上げていくようにしてください。

 商品評価損や棚卸減耗損に関する仕訳について、管理人の下書きを載せておきますので、興味のある方はぜひご覧ください。

第3問・精算表作成問題の下書き1
第3問・精算表作成問題の下書き1

 追記:掲示板やメールなどで、社債の処理に関するご質問を何人かの方からいただきましたので、ここで簡単に説明しておきたいと思います。

 それではまず、本問の問題文を確認してください。「社債は平成16年1月1日に、償還期限7年、年利率1.8%(利払日:6月末および12月末)、額面100円につき97.90円で発行されたものである。償却原価法としての定額法により社債の評価替えを行う。あわせて、社債利息の当期の未払分を計上した。」とありますが、通常の社債の処理に関する問題と異なる点にお気づきいただけたでしょうか?

 そうです、この問題では通常与えられることが多い、社債の発行口数に関する情報が与えられていませんので、社債の発行価額を自分で算定しなければなりません。

 具体的には、まず問題文の「償還期限7年」と「額面100円につき97.90円で発行」という箇所のデータから、【1月あたりの評価替え単価】を算定します。

(@100円-@97.90円)÷84か月=0.025円/月

 次に、社債発行日が平成16年1月1日で、当期首が平成20年4月1日ですから、社債発行日から当期首まで51か月が経過していることになりますので、【期首時点での評価替え単価】を算定します。

@97.90円+0.025円/月×51か月=@99.175円

 つまり、解答用紙の残高試算表で与えられている社債金額1,983,500円というのは、社債発行価額に51か月分の評価替えを反映させた金額ということが分かりますので、1,983,500円を@99.175円で割り返してあげれば額面金額2,000,000円が算定できますし、その額面金額2,000,000円に0.979(@97.90円/@100円)をかけてやれば発行価額1,958,000円を算定することも出来ます。

1,983,500円÷@99.175円=2,000,000円(社債の額面金額)

2,000,000円×@97.90円/@100円=1,958,000円(社債の発行価額)

{(@99.475円-@99.175円)/@100円}×2,000,000円=6,000円(社債の評価替え

2,000,000円×1.8%×3か月/12か月=9,000円(当期利息未払分の計上

社債に関する仕訳(解答)
(借)社債利息 6,000
 (貸)社債 6,000
(借)社債利息 9,000
 (貸)未払利息 9,000

 単価算定時の下書きの書き方については、管理人の下書きを下に載せておきますので、興味のある方はぜひご覧ください。なお、下書き用紙には説明のために3行ほど式を書いていますが、実際に問題を解く際は、上部分の数直線だけで計算していきます。

第3問・精算表作成問題の下書き2
第3問・精算表作成問題の下書き2

第4問 費目別原価計算の問題でした!勘定のつながりを意識しよう!

 第4問は【費目別原価計算】からの出題でしたが、この問題はズバリ、問題文で与えられているデータから、勘定の流れを把握して下書きできたかどうかがカギとなります。

 管理人の下書きを下に載せておきますので、興味のある方はぜひご覧ください。工業簿記に関しては常日頃から、勘定の流れを常に意識して問題を解くことが大切です。

第4問・費目別原価計算の下書き
第4問・費目別原価計算の下書き

第5問 久しぶりに直接原価計算から出題されました!CVP分析がカギ!

 第5問は久しぶりに【直接原価計算】からの出題でした。

 問題文で全部原価計算の損益計算書が与えられていましたので、これを直接原価計算の損益計算書に組み替えた上で、損益分岐点売上高と目標営業利益額を達成するために必要な売上高を算定することになりますが、期首と期末に仕掛品と製品の在庫が無かったので、それほど難しい問題ではなかったと思います。

 問1の解き方としては、まず全部原価計算の損益計算書の【売上原価】と【販売費および一般管理費】を固変分解して、固定費部分を把握し、直接原価計算の損益計算書を作っていくことになろうかと思います。

 問2、問3については、必要販売量をXとして一次方程式を作ってXの数字を算定した後に、1個あたりの販売単価200円を掛けあわせて売上高を算定することになります。計算自体は難しくありませんので、正しく数字を拾ってこれるかどうかがキモとなります。

 直接原価計算の問題は、最初のほう(本問でいう問1)で間違えてしまうと、その後(本問でいう問2・問3)も芋づる式に間違えてしまうことになりますので、慎重に計算・記入するように心がけてください。下に管理人が問題を解く際に書いた下書き用紙を載せておきますので、よろしければ参考にしてください。

第5問・直接原価計算の下書き
第5問・直接原価計算の下書き

まとめ

 今回の試験は、試験問題予想ページで予想した分野から結構出題されていましたし、過去問に類似した問題もいくつかありましたが、商業簿記に関してはひっかけにひっかからなければ、まずまずの得点を取れたと思います。

 ただ逆に、工業簿記のほうは少し難しかった(特に第4問)ですので、全体的な得点はあまり伸びずに、合格率は前回よりも低くなりそうです。個人的には第122回の合格率25.5%という数字ぐらいに落ち着きそうな気がします。

 勉強法については、テキストと問題集を何度も繰り返しある程度力が付いてきたら、過去問を入手して典型論点の問題をこなしておくと合格率が飛躍的に上がると思います。第2問の帳簿組織や第4問の勘定連絡については、本問を使って下書き用紙の書き方をマスターすることをおすすめします。

 なお、過去問を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように工夫すること」の以上2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているかチェックするようにしてください。下書き用紙については捨てずに解答用紙に挟んでおき、前回のものと比べられるようにしておいてください。

 第1問の仕訳問題の過去問類題は、簿記2級・仕訳問題対策に詳しくまとめてありますので、興味のある方はぜひご覧ください。



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